まよらなブログ

32章4話。


どうやら今日は世界樹オンリーのようですが、
「イベントカンケーねえ!」と「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話を更新です。


新キャラの性格が掴めずに四苦八苦中です。
プリ子とモン爺に帰ってきてほしい。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



32章4話
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「大きな樹ですねえ。」
 アーモロードのどこからでも見える世界樹を見上げて、先ほど出会ったばかりの少年・レグルスが感嘆の声を上げた。
「そうでしょう!?」
「ぴよ!」
 と、アヴィーとスハイルは我が事のように得意げに胸を張った。レグルスはにこやかに頷いて、
「アーモロードには世界樹の迷宮があると聞いています。あの樹の中にあるのですか?それとも樹の下に?」
「下に、だよ!迷宮は海底にも、溶岩が流れてる土の下にもあるんだよ!」
「海底に?」
「そうだよ!海の底を歩いてるみたいな迷宮もあるんだよ!綺麗だよう!」
「ぴよーーん!」
 わあい!とアヴィーとスハイルは楽しげに身振り手振りで説明し、レグルスは落ち着いた様子でにこやかに相づちを打った。レグルスの様子は、子どもの話を聞いてくれている年上の少年という風だったが、・・・アヴィーの方が年上のはずだ。
「アヴィーたちも迷宮に入ったことがあるのですね?」
「うん、僕ら、冒険者だもん!」
「ぴよ!ぴぴ、『ぴうよー』!」
「結構、奥の階層まで進んでるんだよう!今は四階層の新・・・」
「アヴィー。樹海の話はその辺にしろ。」
 真祖のところに行こうとしてる、と平気で口を滑らせそうなアヴィーを、マルカブは一呼びして止めた。そして、一番年長であるミツナミに、
「あんたたちも樹海に挑みに来たのか?」
「いいえぇ。南の島でレグルス様とのんびりバカンスを~。」
「そんな予定はどこにもない!」
 船から手荷物を運び出したセルファが、きー!と声を上げた。
「ミツナミ!手伝って!レグルス様のお荷物を持って!」
「ああ、セルファ。ボクの荷物はボクが持ちますよ。」
 アヴィーと話をしていたレグルスが声を掛けると、ヒステリックな声を上げていたセルファは慌てふためいて、
「お、お手を煩わせるわけにはいきません!これも従者の仕事です!」
「ここはボクらの国ではないんですから、一旅行者として自分のものは自分でやる、と言ったはずです。」
「そうよぉ。レグルス様の言うとおり、一旅行者としてバカンスしましょうよ~。」
 ミツナミがレグルスの発言に便乗する。どうやら、この三人組でもっとも強い発言権を持つのはレグルスであり、調子に乗るのはミツナミ、真面目故に損する役なのはセルファのようだ。
「レグルスたちは旅行に来たの?」
 アヴィーはレグルスに尋ねた。そうしながら、レグルスが持つ剣やセルファが身につけている鎧を見て、
「冒険者志望だと思った。」
「結果的には、そうなるかもしれません。」
「?」
「バカンスで済めばいいんですけど~。」
 ミツナミが笑い、セルファはうんざりと溜息をついた。レグルスは一度セルファの方に戻り、自分の荷物であるトランクを持ち上げた。そして
マルカブに向かって、
「出来ましたら、宿を紹介していただけませんか?少々長い滞在になるかもしれませんので、連泊が可能な宿ならいいのですが。」
「だったら、僕らが使ってる宿においでよう!」
 マルカブが答える前にアヴィーが誘う。
「綺麗だし、宿の人は親切だし、広場にも近いから便利だよ!」
「うわあ!案内してもらいましょうよ~レグルス様!私、アヴィーと一緒が良いですぅ!」
「・・・・・・、俺としてはアヴィーの側にいてほしくない。」
 保護者センサーが危険を認識したらしく、マルカブはミツナミからアヴィーを遠ざけて言った。レグルスが静かに笑い、
「安心してください。ミツナミのことはボクがきちんと見ていますから。」
 保護者のような一言を口にする。ミツナミといえば「きゃー!レグルス様に環視されちゃう~!」とハシャいで、セルファに「静かに!」と注意をされた。レグルスは少し考えてから、アヴィーに向かって質問した。
「アヴィーたちの宿は、冒険者がよく使うのでしょうか?」
「うん。宿に泊まってる人は大体冒険者じゃないかな。ねえ、マルカブ?」
「まあ、治療院もあるからな。便利なんだろ。冒険者は傷が耐えないし。」
 なるほど、とレグルスは頷いてから、アヴィーに再度質問した。
「アヴィーたちはこの後、ご用事があるのでしょうか?」
「あ、そうだ。マルカブ、港のおじいさん、誰か紹介してくれたの?」
「・・・当てが外れたそうだ。」
 マルカブが肩をすくめて答えると、「残念だったねえ・・・。」とアヴィーが呟き、スハイルがマルカブの肩に止まって「ぴー・・・」と項垂れた。
「ご用事はお済みなのですか?」
 とレグルスが今度はマルカブに尋ねる。マルカブの、まあな、という返事を聞き、レグルスはアヴィーに話を振った。
「これもご縁です。良かったら、宿に案内していただけますか?」
「うん!いいよ!」
 アヴィーはあっさり頷き、マルカブは眉を寄せた。案内するのは(ミツナミが心配だが)まあ、いい。だが・・・、今のレグルスは明らかにアヴィーに絞って話を振った。子ども同士の方が話をしやすいからではない。その方が都合がいいと、どこかで判断しているようだ。
(・・・本当にガキなのか、こいつ・・・)
 マルカブが訝しげにレグルスを眺めると、彼はその視線に気づいて、にこりと微笑んだ。バツが悪くなり、マルカブは鼻の頭を掻く。それすらレグルスは綺麗に流して、荷物を手にした。セルファがその荷物を持とうと、レグルスの周りを右往左往しているが、それもレグルスは取り合わない。結果、無視されるような形になっているセルファの肩をミツナミが叩き、「諦めよぅ?」と声を掛けた。
 アヴィーは「こっちだよ!」と言い、歩きだし、スハイルがアヴィーの腕にとまって「ぴっよ!ぴっよ!」と一緒になって道案内を始めた。ありがとうございます、とレグルスはセルファとミツナミを伴いそれに続く。
 マルカブは港の管理人に軽く挨拶をしてから(港の管理人は、彼らのやりとりを見ていたので、軽く手を振るだけで見送ってくれた。)、アヴィーと三人組の後に続く。少々厄介な連中と知り合ったように感じてはいた・・・が、
 (まあ、厄介じゃない奴ってのもいねえしな。)
 どこまでも好奇心で突き進むアヴィーや、ヘラヘラ笑って真剣味のないディスケや問答無用で押し掛け仲間入りをしたオリヒメや、マイペースにテンションの高いクー・シーや素直な一方で頑固だったカリーナを思いながら、そんなことを考えて・・・
 自分の周りには困った奴らしかいないのだ、とがっくりを肩を落とした。


*****


 「ここだよう!」「ぴよー!」というアヴィーとスハイルの声を聞き、宿のラウンジで新聞を広げていたシェリアクが顔を上げた。続いて聞こえてくるのは、知らない人間の声だった。
「ザ・リゾートって感じねえ!」
「清潔感もあって、これなら安心です。」
「ええ、素敵な宿ですね。」
 女、少女、少年の声。目をやると、アヴィーが知らない三人組を宿の少年に引き合わせている。宿の少年が宿帳を取り出したのを見ると、宿泊客を連れてきたのだろう。何故か、マルカブはうんざりとしているが。
 シェリアクは新聞を畳み、立ち上がった。入り口からは奥まったところにあるが、巨漢の動きにアヴィーが気が付き、
「あ、シェリアクさん!こんにちは。」
 ぶんぶんと手を振って挨拶をしてくる。挨拶を返しながら、シェリアクは彼らに歩み寄る。宿帳に記入をしている三人組の手元をアヴィーとスハイルが覗き込み、「それがレグルスの本名?」とか聞いている。そこから三歩ほど離れたところにいるマルカブに、
「ディスケは一緒ではないのか?」
 とシェリアクは尋ねると、彼は眉を寄せた。
「・・・アイツ、また何かしたのか?」
 「また」と付くところが、マルカブの心労を表しているようだ。そして彼が「また何かしたのか?」と聞きたくなる人物はディスケだけではないのも心労だろう。
「・・・安心してくれ。礼を言うつもりだ。」
「礼?」
 マルカブはまた「アイツ、何かしたのか?」と聞いた。まあ、これはただの心配性なだけだが。
「ディアデムの腕の装甲を直してくれるそうだ。ディアデムを連れて材料を買いに行ったらしいが・・・、ずいぶんと遅いので手間を掛けているのかと。」
「・・・、・・・ディスケがディアデムに手間を掛けてるんじゃないか・・・?」
 マルカブは一瞬考えてから、そう呻いた。あり得そうな話ではあったが、ディアデムの整備をしてくれる相手を悪く言うことも出来ない。「そうではないと思うのだが。」とだけシェリアクは答え・・・、宿帳を書き終えた少年の視線に気づいた。
「・・・何かね?」
「あなたも冒険者ですか?」
「そうだが・・・?」
「そうですか。騎士かと思ったのですが。」
 シェリアクが渋い顔をした。シェリアクはどこかの騎士だったとは聞いているマルカブは、レグルスが何をもってシェリアクを騎士だと思ったのかが気になった。今のシェリアクは鎧もつけていないのだ。
 レグルスはすぐに意識を逸らし、宿の少年に部屋について聞きはじめた。シェリアクはマルカブに、小声で尋ねる。
「・・・彼らは?」
「さっき港で会ってな。宿を紹介したんだよ。」
「・・・・・・ふむ。」
 シェリアクは腕を組み、少年の後頭部を見つめながら、
「・・・カリーナに、似ている。」
「はあ?」
「・・・・・・、すまない。失言だった。」
 シェリアクは素早く謝り・・・、そして少年がぱっと自分を振り返ったことに気が付いた。そして、じっと見つめてくる視線を受けて、興味のあるものを凝視するカリーナの視線を思い起こしたことに気が付いた。
「カリーナ、とは、」
 少年が口を開いた。
「もしや、16歳ぐらいの女性でしょうか?金髪碧眼の。7つの宝石の嵌った髪飾りをしていませんか?」
 シェリアクとマルカブは顔を見合わせた。アヴィーが驚いて、
「カリーナのこと知ってるの?」
 と聞き返し、「馬鹿!カマかけられてんだよ!」とマルカブに睨まれた。
「・・・どうやら、ボクの言っている『カリーナ』と同一人物のようですが、その方がどこにいるかご存じですか?」
「・・・・・・、ここにはいない。」
 マルカブは腕を組む。ここにいないのは事実だったし、それだけを伝えるならどう転んでもカリーナにとって不利益にはならない。
「ここには、もう、いない。」
「・・・ふむ。国に帰られたのかな。セイリアス様の容態が悪化しているというのは事実のようですね。」
 顎に手を当てて考え込む少年を見ていたシェリアクは、はっと息を飲み、低い声で唸った。
「・・・すまない、マルカブ。私は本当に失言をしたようだ。」
「あ?」
 マルカブが聞き返すが、シェリアクは少年を見続ける。丁度、そこへ「ただいまー。」とディスケとディアデムが帰ってきた。
「・・・お?どうしたんだよ?」
 ディスケがマルカブの隣にやってきて聞くが、マルカブは肩をすくめただけだった。ディスケは不思議そうに成り行きを見守ることにした。ディアデムはシェリアクの後ろで成り行きを見ることにした。
「・・・君のベルト留めと胸のブローチの細工・・・星の紋章があるが・・・」
 シェリアクは少年の装飾品を見ながら、
「・・・それは、ある大国の紋章だ。・・・周辺の国は『星を紋に持つ国』と呼んでいる。」
「・・・おい、それって。」
 ディスケがマルカブを見、マルカブは奥歯を噛んだ。全く知らない国だが、一つだけ知っていることがある。その『星を紋に持つ国』と呼ばれている国はカリーナの国の隣国で・・・、戦争こそしてはいないが彼女の国の敵国ということだ。
 その国の紋を身につけた少年が、カリーナを探している。
「・・・カリーナの身分も分かっているのだろう?」
「ええ。本当の名前はカリーナエ様。半年ほど前からこの海都にいらっしゃると聞いておりますが、・・・帰られたのですね。」
 少年は、折角ここまで来たんですけどねえ、と溜息をついた。そして、優雅に一礼して見せた。
「ボクは、レグルス・アル・マリキと申します。人々が『星を紋に持つ国』と呼ぶ国の、第13王子です。」
「王子・・・?」
 アヴィーがぽかんと口を開け、マルカブは呻くように聞いた。
「その王子様がカリーナを探してどうするんだ?」
「両国友好のため、結婚を申し込もうかと。」
 一瞬の沈黙が降り、
「・・・・・・・・・・・・、はあ?」
「政略結婚は平和的に領地を広げる手段です。それにボクが実権を持つためにも。兄たちが王宮内で争っている間に、ボクが隣国を掌握し祖国に影響力を与えることもできる。時間はかかるものの、妾腹の王子には他に頼る術もありません。」
 哀れっぽく言ってみせるが、演技なのはあからさまだった。
「あー・・・えーっと、あのさ、坊ちゃん?」
 ディスケが軽く手を挙げて、
「・・・いろいろ言いたいことがあるけど、とりあえず一つ聞こうな。・・・本気か?」
「勿論です。それに姫にとっても悪い話ではない。『剣と茨の紋の国』は内政が非常に難しい状況にある。我が国には、そこに付け込み攻めるべきだという声もありますが、婚姻関係を結べば戦争は回避されます。少なくとも、数年は。」
「・・・数年ねえ。・・・数年後に、お前さんが中から手引きするかもしれないけど、ってことかなあ?」
「それも政略結婚が選ばれる理由の一つではありますね。」
「・・・・・・ちょ、ちょっと待ってよう!」
 ぽかーん、としていたアヴィーが、我に返り腕を振り回した。
「つまりレグルスはカリーナを利用するってこと!?」
「端的に言えばそうなります。」
「そ、そうなるって・・・!はっきり言うの!?」
「誤魔化す必要がありますか?」
「僕、そんなの許さないよ!カリーナは僕ら『アルゴー』の仲間なんだから!」
「ぴよ!ぴぴーぴ、『ぴうよー』!」
「ああ。聞いていますよ、『アルゴー』の噂は。元老院からの信頼も厚いギルドだとか。アヴィーたちでしたか。」
 口滑らせやがった・・・!とディスケとマルカブは額を抑えた。アヴィーはそれに気づかずに、
「そうだよう!国に帰ったけど、カリーナは僕の仲間なんだから!そうでしょう!?マルカブ!」
「・・・そうだけど、お前は喋りすぎだッ!」
 マルカブはアヴィーを怒鳴りつけてから、息を整えてレグルスに言った。
「・・・・・・ともかく、入れ違いだ。カリーナはここにはいない。」
「・・・・・・ふむ、折角来たのに残念です。」
 レグルスはさして残念そうでもなく呟き、
「では、アーモロード王家と懇意になっておきましょう。それと、『アルゴー』にカリーナエ姫がいた、ということは、今は少なくとも一人空きがあるということでしょうか。良かったら、我々を仲間に加えませんか?ボクもセルファもミツナミも腕に自信はありますからお力になれます。ボク等も『アルゴー』を通して元老院と懇意になれるのは助かります。」
「嫌だッ!僕、カリーナを利用する人と一緒に冒険したくないッ!」
「ぴよッ!ぴっぴ!ぴっぴッ!!」
 アヴィーとスハイルが一緒になって地団駄を踏んだ。あんまり騒がしくしているので、宿の少年がしーッ!と人差し指を立てた。シェリアクが、
「・・・・・・ここでは何だ。ともかく、一度部屋に向かえ。その後、話があるなら彼らの部屋を訪ねてはどうか?・・・・・・まあ、『アルゴー』が君の話を聞くとは・・・私は思えないが。」
 レグルスたちに提案すると、レグルスはあっさりと頷いた。
「そうしましょう。折角、きれいな宿ですしね。荷物も下ろしましょうか。」
 とレグルスは荷物を持ち上げて、とっとと階段を上がっていった。
「どんなお部屋ですかね~。」
「安全が確保しやすい部屋ならいいのですが。」
 それまで静かに控えていたミツナミとセルファも荷物を持って動き出す。まるで『アルゴー』がいなかったかのように、階段に消えていく三人組を見送りながら、
「僕、レグルス、嫌い!案内しなければ良かった!」
「ぴーー!!」
 アヴィーとスハイルが地団駄を踏み続ける。それを見ながら、ディスケがうんざりと尋ねた。
「なんでこう、メンドーなの連れて来ちゃうのかなー。」
「・・・・・・、俺が聞きたい。」
 マルカブもうんざりと答えた。


(32章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------


レグルスは嫌な子として書こうとしたんですが、ギャグっぽくなってる。

次回から、急展開の予定です。

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