まよらなブログ

33章3話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


最近、前書きに書くことがないので、スハイルの「ぴよぴよ語」について解説(?)します。
一応、ある程度の法則があるのですが、その一例を。

・肯定・快・喜楽は「ぴよ」、否定・不快・怒哀は「ぴー」
・「ぴぴよぴぴよ」は「いい子いい子」の真似で、
 「自分はいい子」と主張したいときや「あなたはいい子」と慰めたいときに使用。
・「ぴっぴっ!」は「シッシッ!」の真似で、
 「あっち行け」とか「嫌い」の意味。「ぴっ!」は「めっ!」の真似で、叱っている。
・「ぴぴ」は一人称。「ぼく」の意味。
・母音は発音できることもある。(発音できる母音は増えている)
・人の名前はディスケの呼び方の真似をしている。
 (ので、マルカブのことは「おとーさん(ぴよーぴん)」、
  ディスケが「さん付け」しているマリアは「マリアさん(ぴぴぴぴん)」)
・なぜそんな言葉を知っている・・・という単語は、クー・シーが吹き込んだ。

以上から、
「ぴー!ぴぴ、ぴぴよぴぴよ!ぴよーぴん、ぴぴぃー、ぴっ!」だと
「怒ったピヨ!ぼくはいい子にしてたピヨ!おとーさん、アヴィーを「めっ!」してピヨ!」か
「違うピヨ!ぼく悪くないピヨ!おとーさんとアヴィー、「めっ!」ピヨ!」とかになります。
微妙なニュアンスは文脈でご判断ください。


それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。
今日はスハイルは出てませんけど。


33章3話
-----------------------------------------

 ・・・日の光が明るすぎて、風景が白んで見える。
 ディスケは眼鏡を外し、瞼を押さえた。寝不足の目に、南国の午後の日差しは強過ぎた。
 寝不足と言っても、やることが沢山あるわけではない。探索もしていないので、時間はあると言ってもいい。ただ、気が休まる時間はなかったし、寝られるかと言えば「そんなわけないだろ。」と答える。やるべきことは少ないのに考えることが多くて、ディスケはすっかり疲れている。
 ・・・これからどうなるのだろう。というより、どうすべきなのだろう。
 元老院から出てきて、ディスケは煙草を取り出した。元老院前の広場の片隅で煙を吸う。しかし、肺に流れているはずの煙は、口の中で止まっているようにも感じた。何事も上滑りしていく感覚。
 ・・・美味くない。
 と、思ったら止めるべきなのだ。煙草など嗜好品なのだから。健康にだって良くないとは分かってるのだから。それでも吸うのは、美味いからだ。リスク以上の価値があるからだ。その価値を感じられないのだから、少なくとも今は、止めるべきなのだ。
 それでも止めないのは、依存しているから・・・というよりも、美味く感じたいからだ。いつもと同じ味に感じることで、せめて自分が動揺していないことを確かめたい。動揺なんかしていない。そりゃ少しはしているかもしれないが、愛していると言ってもいい喫煙の味が揺らぐほど、自分はおかしくなっていない。
 だが、煙はただ鼻先を漂うだけで、肺に染みるような感覚など起きなかった。
 忌々しさまで感じつつ、ディスケは元老院での出来事を頭の中で反芻する。
 フローディア個人は、マルカブの事故について心配と回復を祈る言葉だけを口にした。だが、海都を治め、王家の100年を見てきた政治家としては、それだけで止めるわけにも行かなかった。「冷酷なことを言うと分かってるんだけどね、」と前置きをした上で、
「このまま、アンタたちにフカビト討伐を任せることは出来るのかい?」
 そう、聞いてきた。元老院としては、姫が100年生きていることを知っている『アルゴー』と『ファクト』以外に、この任務を任せたくはない。情報が漏れることを考えれば当然だ。そして、真祖に呼ばれたのが『アルゴー』である以上、『ファクト』に任せることも出来なかった。つまり、「討伐を任せることが出来るか?」と聞いているものの、「あんたたち以外には任せられないんだ。」と言っているのだ。フカビトの真祖を倒せるのは『アルゴー』であり、『アルゴー』が出来ることは人員を補充することだけなのだ。もう決まってしまっている。
 いっそ任務なんか放棄したい、とディスケは正直思いつつ、仲間たちはそんなことは許さないだろうし、自分自身もそれを許すことは出来なかった。ただし、その理由はそれぞれだった。アヴィーやマルカブは責任感かもしれないし、オリヒメは【魔】の元にいくという使命があるため真祖を倒すことは必須の通過点だ。ディスケの場合、故郷がフカビトに蹂躙されることは我慢ならないという理由だ。だから、フカビトの真祖を倒す、という責務を放り出すつもりはない。
 とは言っても「ちょっと待ってくれ」と正直思う。仲間の一人の脚が失われ、まだ意識を取り戻さないのだ。その不幸な現実に、立ち止まっている時間も許されないのか。
 何となく、人間扱いされていない、とディスケは感じる。英雄扱いなんかクソ食らえだというのに。
 ディスケは苛立たしげに煙を鼻から吐いて、まだまだ長い煙草を携帯灰皿に放り込んだ。頭をがじがじと掻いてから、ポケットに手をつっこんで歩き出す。宿に向かって歩き出す。
 もう一つ、苛立たしいのはこのタイミングで『航路探索』について聞かされたことだ。このこと自体は、フローディアに意図があったわけでもない。事故みたいなものだ。たまたま、『航路探索』事業について、報告をしにきた元老院議員と鉢合わせただけだった。
 これからの海都が、異国との国交を結び、交易の中心となるために、航路を切り開くことを国家政策とする・・・。そんな事業が立ち上がっている。それに対する各人の意見をまとめた報告書を持ってきた元老院議員は、ディスケが『アルゴー』の一人だと気づき、マルカブの怪我を気の毒に思っている、と声をかけてきた。
 そこまでは、まあ、一般的な社交辞令のようなものだ。『アルゴー』のギルドマスターの怪我が、会ったこともない元老院議員にまで知られていることには辟易としたが。ディスケは、ごく一般的な社交辞令に対して社交辞令的に礼を返した。その後の一言だ。港の管理人が、マルカブに航路探索に誘っていた矢先だったのに・・・と惜しむような口調で言われた一言だ。
 ―― そんなことは聞いてない。
 いつも機嫌のいいディスケにしては珍しく、むっと唇を曲げて歩く。そんなことは聞いていない。聞く前に事故があったのか、内緒にしていたのかは分からない。確かめようもないことが苛立ちを倍増させる。まさかマルカブが『アルゴー』を辞めて海にでるとは思わないが・・・というか、アヴィーを置いて海にでるとは思わないが、元々冒険者志望ではないことは知っている。暇な時間にミアプラキドゥス号の掃除をしたり、海を見ていることも知っている。海に出て航路を探り出会った誰かのことを心配する・・・、そんな生活の方が魔物を相手にするよりも性に合っていることは分かっている。きっと悪い話ではなかったはずだ。
 そんな話は聞いていない、という苛立ちとともに、マルカブにとって悪い話でもなかったことが立ち消えになることに苛立ちも感じる。脚の切断で、諦めなくてはいけないことが増えるなら・・・・・・・・・、
 ・・・・・・・・・諦めなくてはいけないのか?
 ディスケはふと足を止めた。思い出すのは、先日ディアデムとともにネイピア商会の工房を見せてもらったときのことだ。あのとき、職人はディアデムの脚を見たが、それは何のためだった?
「・・・義足、」
 ディスケはぼそっと呟いて、方向転換をした。向かう先は、樹海の入り口にある磁軸。さらに言えば、磁軸の先の深都だ。

*****

「筋電義肢。」
 ディスケの話を黙って聞いていたオランピアは、話が終わると一言答えた。
「あなたの求める技術は、古代にはそう呼ばれていたらしい。」
「ってことは、実現されていたってことか。」
 天極殿星御座の天文時計が回る中、オランピアは頷いた。この深都の城のような建物に、人の姿は減っていた。王である深王は海都にいる時間も増えている。いずれは海都との統合が図られ、この建物は王の住まいではなくなるのだ。以前から静かな建物ではあるが、天文時計が回る音が少し大きくなったように感じる。
「兄王様のあの身体も、その技術?」
「深王さ・・・ザイフリード様の場合、脳から機械の身体に直接信号を送っている。皮膚や筋肉上の電気信号を受信して動かすのが筋電義手。ザイフリード様のように脳からの直接に信号を受信する場合、脳外科の手術が必要になる。その技術が今の深都にあるかと言われたら・・・、100年で失われてしまった。世界樹の助力を頼むこともできるが・・・、」
「それは不安要素が強いな。マルカブの記憶までいじられたら困るもの。」
「・・・そうか。」
 世界樹はそんなことはしない、と反論するかと思ったが、オランピアはただ聞き流しただけだった。ディスケはその理由を聞きはしなかった。
「アンドロの手足の技術を人に使うことはできるってことでいいのかな?」
「できる。実際、そのような義肢を使っている深都兵もいる。ただ、電気信号の受容体となる機械部分が未発達だ。2、3つの簡単な動作しか認識させるだけで数ヶ月かかる。制作者にも装着者にも根気がいる。」
「立つことと歩くことができれば上々。」
 ディスケの考えに、オランピアは厳しいまなざしを向けた。
「『ファクト』のアンドロ・・・ディアデムと言ったか?彼女を作り整備しているのは、あなただと聞いている。彼女が歩く動作をする際に、稼働する部品はいくつある?」
 オランピアの問いかけに、ディスケはぐう、と声を漏らした。膝の間接、足首の間接、筋肉代わりの繊維、足裏の力加減、指先の幅。それらが動き、変化する。さらにそれらの中でも、骨(にあたる鉄の棒)、筋肉(にあたる伸び縮みする繊維)、間接(の中の球体とクッション)が動く。
「もしかして、二つ三つの簡単な動作って・・・」
「立つ・歩くといった動作のことではない。ある一カ所の間接の動きだけで、一つの動きにあたる。物をつかむという動作をするために、指の第一関節・第二間接を動かすが、それで機械が認識できる動作が満杯になることもある。」
 人の体はそれだけ複雑なのだ、とオランピアが告げた。
「・・・だが、ここが『アーモロード』と呼ばれるよりも遙か以前の時代、人の身体の形状・機能と遜色ない義肢が存在していたらしい。昔のアーモロードには、古代の御業ほどではないが今よりも高い技術は在ったらしい。幸い、文献は残っており、我々の機能にも応用されている。だが・・・。」
「今は、そこまでの技術は無いんだ。」
「・・・100年で、その技術は廃れてしまった。戦うことに特化した結果だ。」
 その一言で、深都はギリギリの戦いを繰り広げていたのだろう、とディスケは真に理解した。医療技術は戦いの中で発展することもある。まして義肢こそ、戦士と切っても切れない縁だ。人口の多くない深都で、片手を失い戦線を離脱することが、どれだけの戦力損失になるかを考えれば、義肢の研究が盛んであってもおかしくはない。・・・しかし、その研究すら可能にできないほど、戦うだけで精一杯だったのだ。
「とっとと海都に助けを求めればよかったのに。」
「・・・今となってはそう考える。」
 オランピアは素直に認めた。主もいない天極殿でそう認めた機械の少女には、毒が過ぎたとディスケは反省した。
「じゃあ、その文献を見せてほしいのと・・・今の技術屋に会わせてほしい。それぐらい、マルカブのために許してよ。」
「本来は深王様の許可が必要な文献だが、断るとは思えない。即刻、許可証を発行する。」
「緩くなったなあ、オランピア。」
「あなたたちは恩人だ。」
 まさか君からそんな風に言われるなんてなあ、とディスケは笑い、オランピアはその笑みがかつての教育係にそっくりだと感じ、・・・その懐かしさも彼に協力したい理由であるとも認識する。
「晩年のトゥレイスも研究していた。」
 全く意識せず、オランピアは一言漏らし、それに気づいて口を押さえた。ディスケは、え?と聞き返し・・・そしてすぐに気づいた。
「俺の曾々じいさんのこと?」
「何でもない。」
「・・・前から思ってたけど、オランピアは曾々祖父さんと仲がよかったの?」
 オランピアは視線を揺らし、やがて観念した。
「・・・私が起動したばかりの教育係だった。」
「そうならそうと早く言ってよー。どんな人だった?」
「あなたに似ている。それで説明は十分だ。」
「それ、本人に一番わかりにくい説明なんだけど。」
「似ている。謹慎が命じられた後も、せめて戦士でいようとし、武器や義肢の研究を続けていた。戦友のみを戦場に送り出せないと、そう言っていた。」
 オランピアは溜息らしきものを吐いた。
「あなたも・・・、同じなのだろうか?」
「・・・・・・、どうだろうね?」
 ディスケは乾いた笑いを浮かべて首を傾げた。どうだろうか。この動機は、自分たちの戦場に戦友を引き戻すためのなのではないか。それはつまり・・・、彼のためではなく自分のためだ。そんな疑惑は拭い去れない。
 トゥレイスが答えをごまかすときの反応と同じであることに、オランピアは気が付いた。。そういうときは何を聞いてもはぐらかす。だから、オランピアはそれ以上は何も聞かず、
「少し時間をもらう。許可証を持ってくる。」
 そう言って、部屋から出ていった。



(33章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------

全くまとまらない話になってしまいました。
ねらったわけではないものの、混乱感がでていていいかなあ、とは思ってます。


義肢の辺りは調べ不足で申し訳ないです。
現実に使っている人がいる以上、ちゃんと調べて書きたいんですが・・・時間がなかった。
こういう展開になることは決めてたから、早くから書籍用意しておけばよかった・・・
・・・・・・ちょっと明日、本屋行って関連書籍買い漁ってきます。分野は医学になるのかな・・・

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する