まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・4

Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画については こちら


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

なお、
 お題:「炎天下のはしっこ」
 オリジナル。恋人未満の少年少女。  で、挑戦してます。

【第15回 フリーワンライ企画】

お題: 炎天下のはしっこ


 炎天下の防波堤は、暑かった。
 その海に突き出した先端に座って、かき氷を食べている学生がいる。男女で、二人。どちらも髪は染めていない。かき氷はコンビニで買ったカップの100円のやつ。高校の制服を着ている。
「ここって、」
 と、少女の方が言った。コーヒーフロートのかき氷を木のスプーンで崩しながら、
「はしっこだよね。」
「何が?」
 と、少年の方が聞いた。ソーダフロートのかき氷と真ん中のアイスをかき混ぜながら、
「いつも急だよな。」
「日本のはしっこ。」
 と、少女は足をぶらぶらと揺らす。防波堤から降りた足の踵が、その側面を叩いた。
「この防波堤に沿っていけば、ずっとはしっこを歩いてることになる。」
「まあ、そうなるのかもしれないけど。」
「まあ、いつだって私たちははしっこなのかもしれないけど。」
 と少女は少年の口調を真似して言った。だが、内容は少年には理解が出来ないものだったので、
「なんだよ、それ。いつもギリギリだってこと?」
「まあ、実際、ギリギリなんじゃないのかな。」
 と、少女は隣に放り出したリュックを叩き、
「模試の結果だって、ギリギリでしょうよ。受かるか受からないかの瀬戸際。瀬戸際って、はしっこ?」
「まだ、夏休みだ。」
「もう、夏休みかもね。」
 と少女は言い、かき氷のカップの縁を木のスプーンで撫でる。少年は、それを見ながら青いかき氷を口に運んだ。
「いつでも、私たちははしっこにいるんだよ。」
「だから、何なんだよ。そりゃあ、ど真ん中にはいられないけど。」
「何なのか分からないのなら、端って何なのかから考えてみようじゃないか、ワトソン君。」
「推理もしないのに何言ってんだよ。」
「あ、関口君って呼んだ方がいい?それで、何だと思う?」
「だから、何が?」
「『端』って何なのかってことだよ。」
 少女の声は切羽詰まっていた。それに少年は気が付かなかった。ただただ、その言葉だけを聞く。少し風変わりな少女の、ちょっと突飛な質問。それだけのことだと思っている。
「端ってつまり…」
 と少年は言いかけて、答えるよりも先にスマホを取り出した。
「カンニングしないの!」
「いいじゃんかよ。……ええっと、その一。中央や中心からいちばん離れた部分。その2。 物を切り離したうちの、小さい方。切れはし。その3。物事の、核心から遠い部分。重要でない部分。その4…」
 素早く検索して意味を読み上げる少年を見て、少女は「君は、その3が当てはまりすぎだよ。」と呟いた。そして、
「貸して!」
 と、スマホを取り上げる。ざっと『端』の意味を読んでから、
「それで、君は「端」って何だと思ってるの?」
「…その1。一番離れた部分…だろ?ここが日本のはしっこってことなら。」
「じゃあ、日本の真ん中ってどこなの?」
「…東京?……皇居?国会議事堂?」
「京都かもしれないじゃん。」
「そんなの分からないよ。どこが真ん中かなんて。」
「でも、ここが端っこだってことは、そうだって思うでしょう?」
「…まあ、それは…」
 と少年はかき氷をまた口に運んで、海を見た。
「…ここから先が海になるから、だろ?海になったら、そこは日本じゃない…ええっと領海っていうのがあるから日本だけど、日本列島じゃなくなるから。」
「…そうだよ。」
 と、少女は、少年にとっては珍しく同意をした。
「ここが端っこなのは、ここから先が違うものになってしまうからなんだよ。」
 だから、と少女はかき氷のカップの縁を今度は指でなぞるのだ。
「この縁は、かき氷の端っこだよね。そして、かき氷の山のてっぺんは、かき氷の端っこなんだけど、」
 少女は、カップの中でかき氷の山を作り、その先端を舌で舐めとった。少年は木のスプーンを咥えたまま、それを見て瞬きをした。少女は先端がくぼんだかき氷の山を指しながら、
「さっきまで端っこだったものは、私が食べちゃった。今の端っこは、今、ここにある部分。でも、それも私が舐めれば無くなってしまうんだけど。」
 と、唇を舐める。少年は、お前訳分かんないよと言って、自分のカップのかき氷をただ口に運ぶのだ。少女は、君は臆病だ、と呟いてから、
「境界なんか、すぐに溶けちゃうって話だよ。」
「…そんな話をしてどうするんだよ。」
 かき氷ウマいなって話の方がいいよ、と少年は呟いた。少女はむすっと唇を尖らせた。
「…私はそんな話できないよ。おいしい~ってお菓子を食べたり、かわいい~って喜んだりできないよ。」
「それは知ってる。」
「でも、オイシイって思ってないとか可愛いって思ってないとか、そんなことは絶対にないんだよ。」
「…だったら、分かり易く言えよ。」
「分かり易く言ったら、嘘になってしまうんだもの。私の言葉も、いつだって本当か嘘かの境界線で、本当のはしっこにあるんだよ。」
 少女はそして溜息をついた。
「私たちも、はしっこにいるんだよ。」
 少年は水っぽくなったかき氷をカップから直接口に流し込んだ。
「だから、何の…」
「友達とそうじゃないかの境界線だってことだよ。」
 少女はそう言って、少年の胸を押した。その足の下で、防波堤に波がぶつかった。放り出されたかき氷のカップが転がって、海に落ちてしまった。
「…私は、そういう境界線の上にいるってことだよ。」
 一度、ぐっとシャツを掴んでから、少女はリュックを掴んで立ち上がり、防波堤から陸の方へと駆けて行った。はしっこから中央に向かって駆けていった。
 少年はそれをぼうっと見ながら、シャツの掴まれた部分に触れる。己の鼓動に気付いた途端、鼓動が速くなった。そして、その鼓動を見透かしたかのように、少女は振り返るのだ。
「ねえ!」
 長い黒髪を揺らして、少女は振り返り、
「君は、どうなの!?今、どこにいるの!?」
 足元で、波が防波堤にぶつかる。波の音がする。ここから先は海で、今の自分は端っこにいて、彼女は「端」ではないところに駆けていった。
 少年は、衝動的に立ち上がり、かき氷のカップを持ちつつ駆けだした。
 防波堤から陸へ。端から中へ。返事を待っている少女のところへ。炎天下の境界線上を走って、
 その境界線を、飛び越える。
 
 
---------------あとがきのようなもの------------------

お題「小説の最後を『どうしてこうなった』で終わらせる」をやろうとしたのに
なぜか全く違う青春の1ページ的な話になってました。どうしてこうなった。


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