まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・5

Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画については こちら


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

なお、今回は
 お題:「飛ぶ」 で参加です。
 オリジナルで、ファンタジー。姫と竜。  な話です。


【第18回 フリーワンライ企画】
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お題: 飛ぶ


 凪の空気。
 青。雲海。
 音もない世界の中で、ぼふん、という音でもするように、雲から一匹の黒い竜が現れた。正確には、高速の、風切る音とともに、黒竜が現れた。
 雲を割ってきた黒竜はそのまま雲海の上を飛んでいく。黒い巨体の背中に、銀色の紐のようなものがなびいている。紐ではなく、髪だ。女性の銀髪。長い銀髪の女性が、黒竜の背中にまたがっている。魔力で黒竜周辺の風圧と重力を調整しているため、馬に乗って駆けている程度の髪のなびき方ではあった。
 黒竜を追うように、もう一匹の竜が雲から上がってきた。背後を見た女性は、…絶世の美女ではあったが…、忌々しげに舌打ちをした。
「バラク!ダメだ、追ってきた!」
 黒竜に女性は呼びかける。バラクと呼ばれた黒竜は、牙をむき出しにしてさらに加速をする。両の翼が熱を持ち、外気で冷やされ、二本の筋を描いていく。女性は、背後の追っ手が顎を開き、その口の中に光を溜めだしたのを見る。
「…攻撃だと!?この速さで飛んでいるのに!?」
 騎乗しているのは魔術師か、と女性はもう一度舌打ちをしてから、
「バラク、防御結界を解け!さすれば、速さに回せる!」
【馬鹿を言わないでください!】
 バラクは思念で答えた。
【姫様が死にますよ!】
「死なないかもしれない!分からぬぞ!私は意外と丈夫だからな!」
【死にます!確実に!空のことは私が専門です!私が言うのだから絶対です!】
「む…!」
 姫と呼ばれた女性は黙った。このひたすらに偉そうな女性が、認めるべきことはきちんと認められる素直さを持っていることを知っているバラクは思念に出さないように苦笑して、
【姫は、どうか、ここから離脱するルートをお考えください。私は、ただ、飛ぶことしかできません。】
「………、分かった。その間は粘れよ!」
 返事はしなかった。さらに加速するとすれば、思考に回すエネルギーもない。
 とにかく、黒竜は、背中に乗せたこの恩人を望むところに連れていくのだ、と。それだけを、考えた。


 …飛ぶ。
 …飛ぶのだ。
 誰よりも速く。高く飛ぶのだ。
 自分たり、竜は、飛ぶ生き物なのだ。
 『マグロ』という魚は寝る時も泳いでいるのだ、と背中に乗せている恩人から聞いたことがある。きっと『マグロ』は泳いでいないと死んでしまうのだろう、と思った。
 竜も同じだ。
 誰よりも速く、高く、飛ぶ。誰かの背中を追うこともなく飛ぶ。賢者が知識を蓄えるように。人が自分でない誰かを求めるように。生き物が呼吸するように。竜は、飛ぶのだ。
 その竜を、騎士は捉えて道具にしてしまった。鎖をつけられ戦場に引っ張り出されるようになった。極端に臆病だったり反抗的で、戦場で騎士に従うのが難しい、と判断された竜は、競技場のレースの見世物になった。競技場の外へ飛び出さぬように、呪いの描かれた鎖を嵌められ、高く飛ぼうものなら雷が体に走る。低空を同族ともつれるように飛び、それを競う。誰よりも速く、高く、何物にも邪魔をされない世界を飛ぶのが竜だというのに!
 生かされつつも竜としては死んでいたバラクの鎖を外したのが、この背中の姫君だ。一つだけ私の願いを叶えてほしい、と言いながら、鎖を外したのだ。窮地に陥った婚約者にとある書状を届けに行きたい。婚約者の元まで連れていけ、という条件だった。それさえ叶えば、それでいい。お前の好きに飛べ、と言い、長い距離をともに飛んできた。高く速く飛ぶバラクの飛行を無邪気に喜び、竜はそういう生き物なのだ、と言えば感心し、そして競技場の竜が竜という種として無理な生き方を強いられていることに、己自身で気付く。そんな姫が、自分の鎖を外してくれたのは幸いだった。飛行距離は長くとも、ともに居た時間は短く、しかし、その中で、バラクはすっかりこの豪胆な姫を気に入っていた。
「…バラク、」
 絶世の美姫と言っても言い過ぎではない繊細な風貌に反して豪胆な姫は、その豪胆さを覆すように声を震わせた。背中には魔力弾を放つ準備をしている竜が追っている。防御決壊を張っているから耐えられるが、本来人の身が耐えられる速度を超えている。視覚や聴覚が受ける刺激は、きっと許容容量を超えている。勇ましい姫が叫び出してもおかしくない状況。
 恐怖の中、声を震わせただけなら上等だ。さすがは私の恩人だ、とバラクは考えたが、その思念を送らないようにして、
【…離脱する方法を考えつかれましたか?】
 と、聞いた。現実の話をすれば。この姫は取り乱さないことは、短い日数の中でも分かっていた。
「うむ。」
 姫の声は、意外としっかりしていた。
「…しかし…、バラク、許せ。」
【…何をですか?】
「…速く高く飛ぶ、というお前の生き様を一瞬捨てろ、ということになる。」
 姫の声は揺れていた。バラクは…瞬きをし、本当に一瞬失速した。姫は慌てた。
「ま、まだだ!まだだぞ!」
【いえ、申し訳ない。姫は…】
 この状況で竜の生き方を気にするのか?…と問おうとする前に、思念に漏れた。姫の方がぱちくりと瞬きをして、
「どんな状況でも変わらぬから、生き方なのであろう?」
 と、さも当たり前のことの様に告げるのだ。バラクは、乾いた笑いを思念に乗せた。もう、それを隠そうともしなかった。
「何を笑う?」
【いえ。私は幸運な竜だ、と思いまして。】
 幸運な竜だ。自分ではない存在に、己の生き方を在り方を、これほどないまでに肯定されている。
【世界のどこを探しても、これほどの幸運はありますまい。】
「うむ、ならば幸先がいいな。きっとこの方法もうまくいく。」
【では、どんな。】
「一度、失速しろ。出来るだけ、奴を引き付けるのだ。」
 魔力弾を溜めるのに、もう少し時間がかかる、と姫は髪を抑えつつ背後を振り返る。充填率は半分といったところだ。
「その後、90°体を傾け、頭を下側に向けろ。重力により、急降下する。」
【…姫はどこでそのような知識を。】
「竜騎士から聞いた。続けるぞ。急激な落下と、この雲海だ。追っ手は我々の姿を見失う。そのまま離脱も可能だが…」
 姫は、唇を舐めてにやりと笑った。
「降下によって速度も増している。そのまま再度上昇すれば、追っ手の背後に付ける。なればこちらが攻撃可能だ。」
 どうする?と問う姫に、バラクは【姫はどうしたいので?】と問う。姫は頬を膨らませ、
「一瞬でも、お前に生き方を諦めさせるのだ。私はムシャクシャしている!離脱など正直、御免だ!」
 そう、拳を振り上げた。バラクは思念でなく笑ってから、大真面目に答えた。
「了解しました、我が姫。」
 生き方などもっと大事なものが出来れば変わるものだ、と痛感しながら、失速を開始した。



---------------あとがきのようなもの------------------

いつか、書こうと思っているネタを部分解禁。
世界樹話が終了したら書き出すことを考えようと思ってるんですが…
………、いつになるのかねえ?(笑)

最後の姫の提案は、
プロペラ機の技「木の葉落とし」…を参考にしてますが、多分、何かが違う気がする…
一応、「ドッグファイトの科学 (サイエンス・アイ新書)」を参考にしてます。
この本、何度も読もうとしてるんですが、揚力がよく分かんなくて
気が付くと本を持ったまま寝てるんですよね。その程度の理解力です、ご了承ください。


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