まよらなブログ

37章1話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

「世界樹カンケーねえ!」というより
「世界樹Ⅲとカンケーねえ!!」な展開です。

ゲーム内で語られていないことをいいことに、
設定捏造がすごいことになっておりますが、
それが二次創作だと思ってます。


それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

37章1話
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「王様たち、アーモロードから出て行くって本当?」
 アヴィーに聞かれ、マルカブは頭を掻いてから、
「本当だ。…お前、どこでその話を聞いたんだ?」
「元老院のおばあちゃんから。」
「…ああ、六階層の報告に行ったのか。どうだった、新しい階層は?」
「すごく気持ち悪いんだよ!森がタコみたいなんだよ!」
「…なんだそりゃ…。」
「森にタコの脚が巻き付いてるんだよう!!視線も感じるし…生き物の中を進んでるみたいで落ち着かなかった。そこに住んでる魔物がすごいけど…。」
「じゃあ、そのタコが【魔】ってことなのか?」
「そうかもしれないけど、分かんない。試しにオリヒメが脚を切ってみたけど、」
「…オリヒメは本当に遠慮がねえな。」
「また、ニョキニョキ生えてきたんだよう!!」
 気持ち悪かったよう!!とアヴィーは首を振りながら叫んだ。マルカブは、そうか、と答えつつ、その脚が(今の時点では)アヴィーたちに危害を加えていないことにほっとした。
「危険なことはなかったのか?」
「うーん…。動いてる床があってね、そこは勝手に進むんだ。でも、そうだなあ……、迷宮自体に危険な仕掛けはないかな。魔物は強いから、慎重に進まないといけないけど…」
「そうか。慎重に進めよ。お前は、目新しいものを見るといきなり走り寄るからな。」
「さすがに僕でも(「自覚が出てきたのか、よかった。」とマルカブは思った。)、あんな気持ち悪い場所で見つけたものに駆け寄らないよ。」
 アヴィーはぷっと膨れてから、ねえ、と窺うようにマルカブを見つめた。
「それでさ、王様とお姫様の話だけど。マルカブが別の島に送っていくんでしょう?」
 マルカブは、話が逸れなかったことにがっかりし、元老院からアヴィーにそこまで伝えていることに軽く腹を立てた。…とはいえ、隠せることでもないのだが。
「まあな。」
「マルカブ、脚は大丈夫なの?」
「…お前、王様たちの船出についてどこまで聞いている?」
「うん?ええっとね、お姫様の療養のためって聞いてるよ。それに、今は元老院が街を治めてるけど、そこに昔の王族が戻ってくると、元老院と王族をケンカさせて利用することを考える人もいるからって、おばあちゃんは言ってたよ。」
 随分と可愛らしく説明をしたな…とマルカブは思ったが、アヴィーは人の悪意にものすごく鈍感なので、そこまで噛み砕いた説明が必要だったのかもしれない。反して、レグルスたちはあっさりと理解したのだろう。
「…王様もお姫様も人間に戻ったけど100年以上生きてるし、いろいろ無理してきたから、寿命もそんなに長くないって。だから、これからは静かに過ごしたいって聞いたよ。」
 フローディアは全ては語っていないが、王と姫が長い命ではないことは話したらしい。アヴィーは「それを言ったら、元老院のおばあちゃんだってそうだと思うんだけどな…。」と至極もっともなことを口にした。マルカブは話を合わせて頷いた。
「まあ、そうだな。…、フカビトの力が残ってる海都から離れた方が、姫さんの体にもいいだろうって話だ。(それは、全くの嘘ではなかった
。)だから、俺が船を出すのも早い方がいいだろうな。」
「でも、なんでマルカブなの?海都の船じゃないの?」
「さっき、お前、言ってたろ?王様たちを利用しようとしたりする人間もいないとは限らない。王様たちがアーモロードを騙していたのは事実だから、反感を持つ奴だっているかもしれない。姫さんがフカビト化するかもしれないと疑ってるヤツや、それを利用してこの町をいいように混乱させようとするヤツもいないとは限らない。…で、そいつらを黙らせるために、王様と姫さんを人間に戻した『アルゴー』が付いているから大丈夫って言いたいんだよ。監視もしてるし、いざというときは戦って止めるからってさ。(それも全くの嘘ではなかった。)」
「脚を怪我してるのに、説得力がないと思うけど。」
「名前だけ貸して欲しいってことだ。言い訳みたいなもんだな。でも、無いよりはいい。」
「僕も一緒にいこうか?」
「お前は探索を進めろよ。それこそ、王様と姫さんのためになることだ。…二人を送っていくのは、俺とディスケがやるよ。」
「…うん、そうだね。」
 アヴィーは頷いてから、
「でも、無理しないでね。」
「ああ。お前もだぞ。」
「うん。僕、早く【魔】のところにいって、倒すか止めるか出来るように頑張るよ!!」
「…俺は、頑張れとは言ってないぞ…ムリすんなって言ったんだぞ?」
 お前、分かってるのか?と聞くが、アヴィーはぱっと立ち上がり、
「そうだ!僕、先生にもっと星術が強くならないか、相談してくる!あと、シェリアクさんがいたら護身術教えてもらおう!!じゃあね!マルカブ、また来るね!」
 と手を振って、とっとと出て行ってしまった。大人になったと思ったのに全然変わってない、とマルカブは頭を抑えた。


*****


 ザイフリートは久しぶりに深都に戻り、天極殿星御座で今後の深都のあり方に指示を出した。これからも深都は冒険者のための施設を開放し続けること、【魔】が倒されたときはこの都の機能を止め住民たちは海都で暮らすこと、今後の統治は海都の元老院に従うこと…が側近たちに伝えられた。もともと深都はフカビトや【魔】と戦うための街だ。【魔】を倒したときには深都は機能を止める前提があり、その前提は100年生きた王が崩さなかった。そのため、ザイフリートの厳命を驚きをもって聞いた存在は一人もいなかった。それぞれに、寂寥や期待や憤りや不安を感じる者もいたが、どう感じるかはその者の自由だ。賛成がほしいのではなく、命令を守ってくれればそれでいい、とザイフリートは思っており、そして戦士として生きてきた深都民たちにとっては、命令を守ることは何よりも尊く容易いことだった。
 とはいえ、深都の機能が停止するまで(必ずその日が来ると、ザイフリートは今や確信していた。)、深都を背負うのはオランピアだ。その荷を背負わせたことは…、罪悪感があった。誰よりも長く、近くで、自分に付き従ってきた機械の少女を、最後の最後で置いていくことを、裏切り以外のなんと呼べばいいのだろう?それでもオランピアは、これは己が望んだことだ、と言うのだ。【白亜の供物】を王に与えたのは己だった、とオランピアは言い、だから何も気に病むことはない、と言う。
 自分は…自分たち兄妹は、本当に我が儘に生きてしまった。
 ザイフリートは溜息しかもはや吐けず、樹海磁軸に向かう。磁軸を使って向かう先は、第四階層。かつては海都の神殿だった、海底神殿だ。
 魔物とフカビトが住み着いて久しい階層だったが、『アルゴー』が【真祖】を倒して以来、フカビトの数は激減した。【真祖】の力で、新しく生み出されるフカビトがいないのだろう。第四階層の魔物はザイフリートの敵ではなかったが、それでも煩わしい戦闘もなく進めることは助かった。
 かつては深王を名乗った100年前の海都の王は、静かな迷宮を一人で進む。もう一人、裏切るように置いていく戦友に会いに行く。地下15階の壁画の前まで進んだ王は、持っていた粉をその場に振りまいた。
 粉は『イブン・ガジ』と呼ばれるもので、壁画には碑文のような装置が組み込まれて絵の形を成している。1000年も前から、アーモロードの王家に伝わってきた、【世界樹】と交信するための道具だ。初代の王はその仕組みを知っていたのかもしれないが、今や使い方こそは分かってもその構造を把握できない超文明の道具になってしまった。
 粉が周囲に漂い、視界が歪み明滅する感覚。【世界樹】が発する微弱な信号を、粉と碑文の刻まれた石版が人間が知覚できるまでその波長を増大させる。その波長を増大させる途中に、脳が認識できないが受容体が反応している時間がある。その瞬間に、視界が歪む感覚を持つのだが……、1000年前のテクノロジーを知らないザイフリートには、その奇妙な感覚も【世界樹】と話をする前の儀式にすぎなかった。
 正面の壁の絵の下からその前の空間に、不思議な文字が浮かび上がってくる。読み方など知らない文字だが、誰かが朗読しているように頭の中に声が響いてきた。
【…久しいな、深王よ。】
「その呼び名はもう終いだ、世界樹。ザイフリートと呼んでほしい。」
 しかし、それももう長くはないのだ、とザイフリートは小さく笑った。
「…真祖は倒された。我も妹も、人の記憶と体を取り戻した。しかし…【魔】の力は未だ妹を蝕んでおり…我の記憶も混濁が強くなっていく。我の『肉体』としての脳が限界なのだろう。」
【その限界を迎えないために、記憶を消してきたのだ。】
「ああ。体を機械化し、記憶を整理してきたために、100年戦ってこられた。…方法は間違っていたのかもしれないが、後悔はない。100年戦ったからこそ、『アルゴー』が来るまで、アーモロードは【真祖】より守られたのだ。そう、思っている。」
 友である貴公のおかげだ、とザイフリートは碑文に向かって微笑んだ。【世界樹】はわずかに沈黙し、
【この100年、お前は余の最大の協力者であった。】
 と簡潔に答えた。ザイフリートは微笑みを強くして頷き、
「我もそう自負している。しかし…すまぬ。ここまでだ。我はもう…戦えぬ。再度、記憶を消せばもう少し持つのかもしれないが、」
 人としての『心』がそれを許さない、と小さく告げた。【世界樹】は、
【構わぬ。その『心』は、余の力になってきたのだ。余と【魔】は、感情をエネルギーに変換する事が出来る。お前たちの意志や喜びが、余の力になってきた。その『心』を否定はできない。】
 世界樹の声は淡々としていた。ザイフリートは、感謝する、と伝え……
「……、その独特なエネルギー体系のために、私の部下を利用したことを忘れたとは言わせんが。」
 不意に後方から声を聞き、機械の刃を広げながら振り返った。
 立っているのは、二刀を抜いた老剣士だ。その装束はクジュラやオリヒメのものによく似ており、彼が『ショーグン』と呼ばれる立場だと分かる。そして、ザイフリートはこの男を知っていた。100年前に海都の王だったころに、会ったことがあるからだ。アーモロードが繁栄を見せるのは、【世界樹】による技術と…この南海一帯を守るある男がいるからだ、と幼き日に父に教えられ紹介された男だった。そのときも、この男はこのままの姿だった。
【「ヤライ博士」】
 ザイフリートと【世界樹】は同時に男を呼び、ザイフリートは碑文を振り返った。ヤライと呼ばれた老将軍は、鼻を鳴らした。
「…やっと会えた…いや、話が出来るな、【世界樹】。100年前までは神殿を締め切って私を碑文前まで寄せ付けなかったが、…随分嫌われたものだ。」
【…心当たりがないのか?】
 【世界樹】の問いかけは笑いを含んでいるかのようで、ザイフリートは驚きで碑文を眺めた。【世界樹】は感情を出すことが無かったからだ。
「逆に聞くが、お前は私に好かれるようなことをしたと?」
 ヤライの問いかけに【世界樹】は答えなかったが、興味深そうにしている様子は窺えた。ヤライは吐き捨てるように、
「神殿を締め切るだけならともかく、王を操り自害させようとして、私に神殿に近づくことを諦めさせた。そんなやり方をしておきながら、私に嫌われていないと思っているなら…、随分おめでたいことだ。」
【私(という一人称を【世界樹】が使ったことに、ザイフリートは再び驚いた。)は、グンターとの約定を果たしているだけだ。】
「…何が、約定だ。貴様は、私の部下に一体どんな呪いをかけた……?」
 ヤライは、ちらりとザイフリートに視線をやって激昂した。
「1000年を超えて、彼の子孫に再び妹を忘れさせるなど…!何度利用すれば気が済むのだ!?」
【それも、約定だ。己の血脈を差し出す代わりに、この地を…この星を、そして妹を、守ってほしい、という約定を果たしているだけだ。グンターの願いがあまりに真摯であった故、私はそれを喰い、己の力にし、【魔】を討つための剣にした。それと同じことを、100年前にもしただけだ。】
 ザイフリートは碑文を見つめ、
「…願いを喰った…?」
【深王よ。お前の願いも、真に美味にして力強いものであった。故に100年、お前の願いだけで私は戦うことが出来たのだ。礼を言おう。】
 ―― 願い。海都を守ろうとした、世界を守ろうとした、そして、妹を幸せにしたかった。その中で、喰われた願いがあるとしたら…
「…まさか…、我が妹の記憶を失っていたのは…!」
「…希望のフリをした疫病神に喰われたからだ。」
 ヤライは容赦なくそう告げた。
【…疫病神、か。崇めたのはお前たちだったのに、随分な物言いだ。この土地を浄化する代わりに、己の目的に協力を仰ぐことが問題か?それに、何でも差し出すと言ったのはグンターでありザイフリートだ。私はそれを聞き入れただけであり、】
 【世界樹】は少しだけ間を開けた。それはわざとらしかた。
【目的のためなら、己自身も世界の半分も同志も孫も捨てた、お前とヴィズル博士を倣っただけだ。】
 その一言にヤライは碑文に殺到し、その刃を碑文に突きつけた。碑文の文字が赤く光り、黄色と黒の縞模様で囲った四角が現れる。四角の中には『ERROR』の文字が光っているが、声は響かず、ザイフリートにはその字はもう読めなかった。
 ヤライは舌打ちをしながら、刃を抜いた。そしてザイフリートを眺め、哀しそうに嘆息した。
「…100年ぶりだ。大きくなったな。」
「…やはり、あの時の『ヤライ』博士、ご本人か。」
「100年どころではない、1000年を生きている。」
 ヤライは刀を鞘に収め、ザイフリートをもう一度見やり、
「…君もグートルーネも、グンターとヒルデの兄妹によく似ている。年頃も同じ程度になったからかもしれないが。」
 と呟いた。それが先祖の名前なのだろう、とザイフリートは理解した。思い出の人に似ているからだろうか、ヤライは辛そうに眉を寄せた。
「…すまない。君達が、世界樹と魔の闘争に巻き込まれたのも…全ては1000年前の我々に由来する。そのために、辛い100年を君達兄妹に歩ませてしまった。」
 そして今も君の妹は苦しんでいる、とヤライが囁き、この老剣士が【白亜の森】で妹(というよりクジュラ)を助けてくれたことを思い出した。
「…貴方は、全てを知っているのか?」
「…私たちが、きっかけだ。…それ故、アーモロードを見守り、世界樹と魔を監視してきたが…大災害によって世界樹と魔は海に沈み、私は監視の術を失った。エトリアとラガートの世界樹も機能を止め…、やっと、今、道が通じ、全てが動き出している。」
 だから、とヤライは告げた。
「あとは私が責任を果たす。君達は…どうかゆっくり休みなさい。」
 それは孫に言い聞かせるような、優しい口調だった。


(37章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------


「プロローグ」シリーズとの関連が強くなっていきますので、ご了解ください。
世界樹関連の設定は捏造甚だしいですが、
王様と【世界樹】はこんなしゃべり方でいいのだろうか…。
ちなみに、【世界樹】は「ボクと契約して魔法少女になってよ!」系エイリアン、と思ってます。


グンターの妹の名は「ブリュンヒルデ」から取ってます。
ザイフリート(ジークフリート)、グートルーネ、
グンター、ブリュンヒルデで、「ニーベルングの指環」です。


それと、来週の更新はお休みします。
理由は、親知らずを抜き、おそらく更新作業が出来ないと思われるからです。
申し訳ございませんがご了承ください。

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