まよらなブログ

38章3話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


仕事してるか新世界樹2をやってるか、な生活ですが、
新世界樹2は第四階層入りました。物語の核心にも迫っているようです。
……核心部分なだけに、「ああ!そういう設定なの!?」と気付くこともあり、
この話に生かすか生かさないか迷うところです。
でも、ストーリーモードは「公式の自ギルド設定」だと思ってます。
つまり、他の方の考察や作品を読んで、「それだー!」と思ったときに
それを参考にして自分の話を組み替えていく…のと何も変わらない。
オイシイところだけ、盛っていきたい。
「ストーリーモードを己の妄想に生かしてもいいし生かさなくてもいい。」が
あらゆる方向に対する基本スタンスです。


それでは興味のある方は、「つづきを表示」からどうぞ~。




38章3話
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 オリヒメの師・ヤライ会った帰路、アヴィーとオリヒメが宿に帰ってきてまず行ったことは、レグルスたちへの相談だった。話を聞いたレグルスは、
「何というか、オリヒメのお師匠様は怪しい方ですね。」
 と、無遠慮に言い、アヴィーがばたばた両手を振りながら「オリヒメの前で何てことを言うんだよう!」と抗議した。レグルスはそのアヴィーの抗議をレグルスは聞き流しつつ、自分の疑問を口にした。
「そもそも不思議だったんです、この南海の防衛のシステムが。違和感があった、と言った方が適切かもしれませんが。」
「…他の海域の国の方には、そう感じられるようですね。カリーナも同じことを言っていました。」
 オリヒメもアヴィーの抗議を聞き流し、レグルスの感想に応えた。話を聞いていたセルファが、僭越ですが、と断りを入れて、
「商人が実権を握る都市国家では、国防を他国の人間や傭兵に任せることもあると聞いたことがあります。アーモロードは島国で人口も多くない。数という点で、自国の人間で軍を組織しても十分ではないでしょう。そう考えると、傭兵に頼らざるえない文化があるのでは?」
 と考えを述べる。さすが武人の家の娘ですぅ~とミツナミが茶々のような感心をいれ、セルファに睨まれた。レグルスは頷き、
「セルファの考えはもっともです。ただ…気になっていることが。ボクもこの海都に来る前に、この国と周辺の都市のことは調べてきました。かつては交易の中心で、偉大な文明を誇ったこのアーモロードも、100年前からただ小さな都市国家です。他の国と異なることは、世界樹を擁しているかということぐらい。ただ、世界樹を擁している町は他にもありますし。」
 と、レグルスはアヴィーに視線を向ける。アヴィーは、うん、と頷いて、
「僕の故郷のエトリアや、もっと北のラガート公国もね。さらに北西に、世界樹が見える町があるって噂で聞いたことがあるけど。」
「でも、ショーグンはエトリアを守っていないんでしょう?」
「うん。前の執政院長がずっと守ってきたらしいけど、今のエトリアを守ってるのは執政院だよ。あと、僕の母さんも!」
 えへん!とアヴィーは胸を張る。そうですか、とレグルスはにこやかながら感情を込めずに頷いて、
「世界樹を擁する町だから、という理由で守られているなら、エトリアだってショーグンによって守られるはずです。ショーグンの存在以外でも、このアーモロードを取り巻くこの南海のシステムは過剰なんです。詳細は控えますが、アーモロードを守るような密約が多く交わされているようです。かつての文明の面影も、交易で栄えた栄光も、すっかり消えたこの小さな島国を守って、何の得があるのか、と。まるで塔の上の姫でも守るかのようですよ。」
「レグルスがそのような比喩を使うのも珍しいですね。」
 オリヒメの皮肉なのか感想なのか分からない一言に、レグルスは肩を竦め、
「王子としてこう言っては夢を壊すことになるのかもしれませんが、塔に姫がいる…という情報だけでは、その姫の元に駆けつけようとは思いませんよね。そこに、何らかの得を感じなければ。」
 と、12歳の少年らしからぬ一言を添えた。アヴィーが「そういうものなの?」と首を傾げ、そういうものですよ、とレグルスは頷いた。オリヒメは、それはレグルスに限った話であるようにも思いますが、と呟いた後で、
「損得で考えれば、確かに、アーモロードやこの南海を守ることへの見返りはありません。それを我々の使命としてきたため、働きと見返りが釣り合っているか、と考えたこともありませんでしたが。」
「ああ~、つまりあれですね、」
 とミツナミがレグルスに抱きつきながら、
「私も、レグルス様のお側でお仕えすることが私の目的なので、お給金が少なくても問題を感じないのと一緒ですねぇ!」
「お給料を上げた方がいいですか、ミツナミ?」
「貰えるものはもらっておきますう!でも、お給金を貰えなくても私はレグルス様にお仕えしますよぉ!」
 そう言いながら、レグルスにすり寄るミツナミをセルファが引き離し、
「…つまり、南海を護ること自体が、オリヒメのお師匠様の目的…ということでしょうか。」
「そうなのでしょう。ですが…、何故なんでしょうか。【魔】からもこの町を護るつもりなら、たどり着け、という指令では…曖昧すぎます。」
 オリヒメが考え込んだタイミングで、アヴィーが「あ!」と声を上げた。
「あのねえ!僕、ちょっと思いついたよ!どんな意味があるかは分からないけど、オリヒメの先生は【魔】のことが気がかりなんだよね。」
「ええ。」
「【魔】のことがちょっとでも分かれば、オリヒメの先生が【魔】の何を気にしてるか、想像しやすくなるんじゃないかな?」
「それは確かにそう思いますが、【魔】に詳しい人はいるのでしょうか?ザイフリート様もオランピアも、詳細を知っている風ではありませんでした。ザイフリート様は、もうこの町にいませんし…」
「王様と一緒に【魔】と戦ってきた人に聞くんだよう!つまり、世界樹だよ!」
「…世界樹に?」
「うん!前に『ファクト』が世界樹と話をしたって言ってたよ!シェリアクさんに聞いてみよう!僕、『ファクト』が帰ってきたか見てくる!」
 アヴィーはそう言って、たーっと部屋から出て行ってしまった。オリヒメが呼び止めたが、アヴィーは止まる様子もなかった。
「…本当に、気持ちの向くままなんですから…。」
 オリヒメが呻き、レグルスは苦笑して、
「まあ、アヴィーらしいじゃないですか。…ボクもちょっと興味あります。アヴィーと一緒に『ファクト』にお話を聞きにいってきますね。」
 そう言って、レグルスも部屋から出て行く。ミツナミがにこにこしながらそれを見送る。
「レグルス様は新しい技術の話を聞くのがお好きですからねえ!…そうそう。ディスケが作っている義足にもご興味があるようなんですけど、もう出来たんですかあ?私も、医術を使う人間としてちょっと気になりますぅ!」
「ええ。完成して、マルカブが装着してます。少し調整したらマルカブは航路探索に行くらしいので、早めに見せてもらった方がいいですよ。」
 レグルスなら、アヴィーのように服を脱がせようとしてまで義足を見たがらないと思うので、オリヒメは丁寧に伝えた。「それは急がないとですぅ!」とミツナミは手をたたく。
「………、もしかして、その所為ですか?」
 セルファが唐突に、オリヒメにそう尋ねた。オリヒメは瞬きをして、
「どの、所為ですか?」
 そう聞き返すと、セルファは真っ赤になって「ごめんなさい。」と口の中でもごもごと謝った。ミツナミがセルファの肩に触れて、
「セルファ、オリヒメは怒ってないよぉ。ただ、聞き返しただけですう。ゆっくり質問すればいいんですぅ!」
「わ、分かってる…!」
 真っ赤になりつつ俯くセルファの後頭部を、ミツナミはよしよしと撫でる。どんなにふざけていても、ミツナミが年長者なのだ。しかし、甘えさせないで、と言ってセルファが顔をあげると、ミツナミは素直に引いた。やはり、年長者らしかった。
 セルファは一つ咳払いをして、
「私の、印象でしかないのですが、オリヒメは…疑問を感じる任務なら、そもそも最初から受けないのではないか、と。」
「……、ええ。確かに。」
 オリヒメは良くも悪くも嘘がつけない…、周囲もオリヒメ自身もそう思っている。自分がその任務に納得できないものは、確かに受けられない。
「随分と、曖昧な任務を受けた…と、自分でも思ってるのでしょう?けれど、受けたのは…、信頼できる何かがあったからだと思います。私たちであれば、それはレグルス様です。レグルス様が命じられた、というだけで、私たちのとって、それは信じられる命令になります。」
 その忠誠は本当に正しいのか、と問いかけたのはカリーナだった。だが、今はそれを口にする時でもない。オリヒメはセルファの話の続きを促した。
「私の立場からの想像ですが…、オリヒメはお師匠様に全幅の信頼を置いていたのでは?だから、曖昧な命令でも、受けることができた。」
「…ええ。そうですね。」
「私は、その気持ちは理解できるんです。私も、レグルス様のご命令を何よりも最優先にしますから。逆に…理解できないんです。なぜ、オリヒメが今になって、信頼できる方からの命令を疑うのか。話を聞きながら、そう考えいたら…、マルカブが航海に出ると聞いて…、」
 セルファは一度口を噤んだ。少しの沈黙が起こり、「今、セルファは考えてますぅ。ちょっとお待ちを~!」とミツナミが口を挟んだ。ミツナミは黙ってて!とセルファはくわっと怒り、…怒ってから「何と言っていいのか…」と言いよどんだ。それを聞いて、オリヒメは少しだけ表情を緩めた。オリヒメの表情を読めるようになったアヴィーや、観察眼の鋭いレグルスなら気づく程度の変化でしかなかったが。オリヒメ自身も「何と言っていいか分からない」感情があるのだと感じているからだ。
「ええっと…、オリヒメはおそらくアヴィーを放っておけなくなったのではないかと…。マルカブは、アヴィーが信頼する最大の人です。その人が町にいない中、【魔】に挑むアヴィーの力になりたいと思ったとき…、自分が【魔】について知らないことが…悔しく感じられた…のかな…と私は考えたんです。」
「…ええ。」
 オリヒメはため息をついた。セルファにも明らかなら、他の人間にも明らかなのかもしれないと思いながら。
「そうです。アヴィーが、私を変えたのでしょう。あの、必死さにほだされない人がいるとも思えませんが。…彼は、いい子ですから。」
「まあ、それには同意しますが。」
 セルファは腕を組み、
「…私は、そこから先が想像できないんです。私が、レグルス様のご命令を最優先に考えるからかもしれませんが…。もし、オリヒメに与えられている任務が、アヴィーの行く手を阻んでしまったら…その時は、どうするんですか?」
 非難している…ようには聞こえなかった。単純に、セルファは自分を案じている、とオリヒメは感じる。もし、そんなことがあればオリヒメが苦しむことは、セルファも想像できるからだろう。オリヒメは軽く頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「わ…、わ、私はお礼を言われるようなことを、何もしてませんが…!?」
「心配してくださった、と感じました。…そうですね。その時は…」
 オリヒメは少し考えて、
「……きっと、悩むのでしょう。でも、その迷いは間違っていないのだと…、アヴィーは言ってくれるでしょうから、…私はアヴィーに迷っていることを打ち明けて、迷おうと思います。」
 セルファは「答えになってないと思います。」と唇をとがらせたが、ミツナミは緩く笑った。
「その時は、私たちやレグルス様にも打ち明けてくださいねぇ!だって、アヴィーに、迷っていいんだ、弱音も吐いていいんだって言われて、救われたのはレグルス様ですからね。」
 レグルス様のために打ち明けて欲しいんですよぉ!と言うミツナミの言葉に、オリヒメは「お約束します。」と頷いた。


*****

「世界樹と話したい?」
 依頼をこなして宿に帰ってきた『ファクト』を見つけて、アヴィーが駆けていき用件を伝える。疲れもあるだろうに、シェリアクはすぐに話を聞いてくれた。ミラが「シェリアクさんはお疲れですのよ!」とキーキー怒りだしたが、エラキスに促されて部屋へと戻っていった。
「第四階層、地下15階に碑文がある。一見、ただの壁なのだが…その前で【イブン・ガジの粉】を使うと、文字が浮かび声が聞こえる。そこで、世界樹と話をしたが…、」
 シェリアクはそして眉を寄せる。
「その碑文が現れる壁が、壊れていた、という噂を聞いた。」
「壊れていた?」
「割れたんですか?」
 レグルスの質問に、詳しくは知らないのだが、とシェリアクは前置きをし、
「何かに斬り付けられたような痕があった、と聞いている。第四階層の神殿の壁と同じ材質でできているように見えた。あそこには魔物も多いが、100年無事だったのだから、それなりに頑丈な造りだったのだろう。そして、壁と同じ材質なら、砕くことはあっても斬れるとは思えないのだが。」
「…もしかしたら、壊れちゃったのかな?」
「そうかもしれません。世界樹と話すことは出来ますかね?」
 アヴィーとレグスルが、心配そうに聞く。(心配そうに見えたのは、アヴィーだけだったが。)シェリアクは首を振り、
「私も確かめたわけではないのでね。オランピアに聞くのが確実だろう。第三・四階層は、深都兵中心に調査隊が入っているそうだから、碑文のことも知っているだろうし、【イブン・ガジの粉】を借りる必要もあるからな。…地図を見るかね?碑文のある場所を教えよう。」
 依頼帰りだったシェリアクは、荷物から地図を取り出した。碑文のある場所は、アマラントスの花を見つけた場所に近かった。アマラントスを見つけた場所は、地図に(カリーナの字で)書き込んである。アヴィーは碑文の場所をすぐに覚え、それからシェリアクの持つ地図の束が自分たちのそれより薄いことに気がついた。
「…『ファクト』は六層の探索をしないんですか?」
 アヴィーの問いかけに、シェリアクは頭を掻き、
「一度足を踏み入れたが、我々には危険過ぎた。ディアデムがもう少し探索に慣れてくれば、本格的に奥に足を踏み入れようと考えてはいるのだが…。そのころには、君たちはさらに下の階に進んでいるのだろう。本当は、我々の探索で得た情報を、君たちに伝えることで力になりたいのだが、…すまないな。」
「い、いえ!いいんです!『ファクト』には依頼も多いだろうし!『ファクト』が依頼を受けてくれるから、町の人はすごく助かってると思います!」
 ありがとう、とシェリアクは軽く頭を下げてから、 
「…ところで、マルカブが航路探索の任務を引き受けると聞いた。」
「あ、噂になってるんですか?」
「元老院に寄ったときにな。……アヴィー、君は」
「それで、いいんです。」
 アヴィーは頷いた。
「マルカブは自分のしなきゃいけないことをしに行くんです。『ファクト』が町の人の依頼を引き受けるのと同じです。カリーナや僕と同じです。だから、僕らは、一緒にいなくても一緒にいるんだと思います。」
「………、そうか。」
 シェリアクは息を吐き、
「『ファクト』は『アルゴー』に協力をしたい。どんな些細なことでも、言ってくれ、『アルゴー』のギルドマスター。」
 そう言って手を差し出した。アヴィーはぱちくりと瞬きをしてから、『ファクト』のギルドマスターに同等の立場として認識されたのだと気がついて、
「…あ…、ありがとうございます!」
 はにかみながら握手を返した。


(38章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------

『ファクト』は茸狩りクエストでも終わらせてきたのでしょう。

お久しぶりのシェリアクさん登場です。忘れられているんじゃないか…と思って登場させました。
同じ理由で、フィニック家もそろそろ再登場させたい。


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