まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・7


Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

なお、
 お題は、「明け方の街」
 オリジナル話で、挑戦です。


【第32回 フリーワンライ企画】
 お題:「明け方の街」
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 夜明け前が一番暗い…と言ったのは誰だったのかは知らないが、街は明け方が一番静かだと思う。
 ……ふっと、暗い内に目が覚めて、普段は聞こえる車の音が一切しない。その無音によって目が覚めたのではないかと思ってしまう。23区内で駅からも遠くないこの家は、国道沿いにあるので、車の音が聞こえないことはまずない。その音が止むのが、明け方だ。
 いつもは煩いぐらいの車の音が…止まり、無音が耳に痛い。まるで別の世界に入れ替わったようだな、と思いながら、布団にくるまりなおす。眠らない街でも、明け方は休むのだ。私も今は休むのだ。出勤前まで二度寝をする。うとうとと夢を見る時間。
「でも、本当に別の世界に入れ替わっていたらどうするの?」
 と、無音の中で囁き声がした。夢に落ちかけていた意識が引き上げられる。エレベーターで急上昇したような、不快な感覚。不快さに負けたくなくて…何をもって負けるのかは全く不明だけれども…、頑なに夢を見ようと布団に潜りこみ…
 無音に痛む耳に、目を開けた。
 布団もなくて、部屋もなくて、だだっ広い空間……、空間には床も天井も壁もない。浮いている…ようで、沈んでいるようで、水の中なのだろうか、でも、呼吸は出来る。泡も出てない。誰かがこちらを覗きこんだが、それが視認できない。ホルマリン漬けの標本に意識があったら、こんな感じなのかもしれない…と考えて、我ながらグロイ想像をしたな、と少し困った。
「世界なんて、簡単に入れ替わるんだよ。」
 と、声がした。囁き声だけれども、よく響く。標本を覗きこんでいる誰か…だろう。
 明け方に目が覚めて、車の音がしなくて、私は二度寝をしようとし、夢現…。導き出されるのは、これは夢だ、という推測だ。
「呑気だなあ。」
 と、誰かは笑い、
「夢と現実だって、どちらが本当か分からないだろうに。君が、誰かの夢でない保証なんてどこにもない…なんて、どこかで聞いたようなフレーズだな。」
 そのオリジナリティの無さが逆に私の夢っぽいな、と腕を組んだ。どこかで得たものを弄繰り回して、どうにかしている。自分自身の夢でさえも、それらしい形に仕立てて、やりくりしている。標本を想像する人間もなかなかいないだろうけどね、と声は笑った。
「世界は毎日入れ替わってるのかもしれない。君は、昨日の君と同じ君であるという保証もない。」
 とんだSFだな、という感想に対して、声は笑わなかった。
「だって、保証がないんだよ。眠ってしまったら、意識に継続性はないのだから。」
 と、真剣に答える。つまり…、声も真実はどうなのか分からないということなのだろう。
「それでも、昨日の自分と今日の自分が同じだと言える君たちの存在は興味深いところだよ。全く同じなんてこと、無いのにね。」
 ……細胞分裂の話をしてるのだろうか?それとも、髪が一本抜けたら別の存在になる、ということなのだろうか。それとも…、泣き寝入りをしても目が覚めたら気分が変わってることもある…ということなのだろうか?
「さあ、どれも当てはまるよね。」
 と、声は首を傾げた。声だけしか聞こえないから、本当に首を傾げたかどうかは分からないが。
「ただ、ねえ。君も昨日は溜息ばかりをついて眠りについたけれど、今はそんなこと忘れている。」
 ………思い出させないでほしかった。
「それは申し訳ない。でも、出勤時間になれば思い出すでしょう。ただ、今は少しだけ、その溜息が軽くなっている。」
 ……私は眠ると忘れるタイプなの。
「眠ると、君は眠る前の自分とは違う心情になっているわけだ。やはり、同じ君である保証はない。もっとも、それが君たちを救っていることも分かっている。寝て起きて何かが変わることなんてないのに、寝て起きたら事態がよくなっているかもしれないと思いながら夜を越す。」
 それを人は、希望って呼ぶんだと思うんだよな。もしくは、期待。いずれにせよ、そういうのがないと、生きていくのは辛すぎる。
 そうだね、と声は同意をした。
「眠って起きて、気持ちが少し変わっていれば、それはそれで事態は好転した、ということになるんだろう。好転した分、世界はいつも入れ替わっているんだよ。溜め息ばかりを吐く世界と、少しだけどうにかなりそうだと感じる世界。繋がっているけど、決定的に違う。」
 でも、繋がっているから、好転したと考えるんでしょうに。そう考えると、声は「そうかもしれないね。」と笑って同意をした。
「実はね、」
 と、彼はそのまま打ち明け話をする。
「……街だって、眠るんだよ。最近のこの国はどこもかしこも24時間営業だから、街も寝不足なんだけど。それでもいつも以上の静かな明け方は、街が眠っているからなんだ。アスファルトが音を響かせたり、ビルが風を通したり、橋が町同士をつなぐことも、一瞬、お休みしてしまう。今日が静かなのは、車が通らないからじゃない。街が眠っているからだよ。」
 ……街は、起きるの?と。どうせ夢だろうから、荒唐無稽な話に質問を返す。もちろん、と声は頷いた。
「君が、目覚めないことがないように。」
 と、なると、街も、昨日までの街と今日の街は、少しだけ違う街になってるのかもしれないな、とそんなことを考えると、
「そうだね。」
 と、声は相槌を打った。
「眠る前と比べて、少しだけ、風の通し方や熱の伝え方が変わっているかもしれないよ。世界は少しだけ入れ替わってるのかもしれないね。つまりさ、昨日より、良い世界に。」
 そうだとしたらいいんだけど。
「そうだと言いたいから、街が少し変わっているかもしれないところを、探してみてよ。」 
 そう声は言ってから、目の前が暗くなった。ああ、この夢はここまでなのだ。


 
 夜明け前が一番暗い…と言ったのは誰だったのかは知らないが、街は明け方が一番静かだと思う。
 ……ふっと目が覚めたときには、国道を走るトラックの音がしていた。どこかに荷物を運ぶのだろうか。そこで品物が出され、一日が巡っていくのだろう。つまり、あのトラックは一日の最初の仕事をしているのだ。つまり……、明け方を抜け、朝になった。
 いつも通りの朝だった。昨日と何かが変わっているのかはよく分からないが、明け方に変な夢を見た割には、目覚めは悪くなかった。久々にすっきりと寝たな、と思えただけ、昨日と違う朝なのかもしれない。

 ゴミ出しに外に出ると、息が白くなっている。街は確かに昨日と変わったのかもしれなかった。



---------------あとがきのようなもの------------------

もうちょっとファンタジーな話というか
あわよくばホラーっぽくしようと画策したのですが、無理でした。


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