まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・9


久しぶりに、Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

使用お題は、
 ・「星が流れる理由を答えなさい」

ちょっと中世っぽい世界観(のつもり)の、オリジナル話です。


【第79回 フリーワンライ企画】
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 このおろかな娘【占星術】は、一般からは評判のよくない職業に従事して、
 その利益によって賢いが貧しい母【天文学】を養っている
                                 ―― ヨハネス・ケプラー





「星の流れる理由を答えなさい。」
 と師匠が問い、
「……、一体どうしたんですか?」
 と、弟子が問い直した。

 師匠の方は息を吐き、つまらなそうに天球儀を回す。
「星が流れることに理由があると思うかね?」
「その理由を探ることが、ボクらの仕事なんじゃないですか?」
 と、師匠の問いのような愚痴に、弟子は問いのような確認をした。師匠は、椅子の背もたれに寄り掛かり、「あー」と言いながら天井を仰ぐ。天井には、星図が貼られている。弟子が弟子入りを志願する際に持ち込んだ、手作りの星図だ。星詠みなんか目指さないで画家になれ、と言って追い返せばよかった、と思うのだが、画家になれ、と言える程度には才能のある絵に感心しているうちに、あれよあれよと弟子入りを認めさせてしまった、という手作りの星図だ。
 師匠にとっては、この生意気な若者が弟子になってしまった曰くつきの星図ではあったが、弟子にとってはどうだったのか…と師匠は考える。もしかしたら、画家になっていた方がこの弟子は成功しているのかもしれないので、やっぱり弟子にとっても曰く付きのような気がした。師匠のうだつが上がらなければ、弟子のうだつもやっぱり上がらない。自分の弟子になってしまったことが、双方にとってどうだったのか、と問われれば、お互いに不幸せではないようにしたい、と答えるのが精いっぱいだ。
「キミは、」
「はい?」
「理由を知って、どうしたい?」
 と、師匠が問い、弟子は「今日、嫌なことがあったんですね?」と問いかけ直す。会話は噛み合わないようで、恐ろしいほど噛み合っている。この弟子の勘の良さも、たまに憎々しく、非常に勿体ない。
「質問に答えなさい。星の流れる理由を知って、キミはどうしたい?」
「師匠こそ、質問の意図……じゃないな、ボクに八つ当たりをする理由を話してくださいよ。そうじゃなかったら、」
「そうじゃなかったら?」
「師匠がもっとイライラする答えを答えますよ。」
「……例えば?」
「そうですねえ、」
 と、弟子は顎に人差し指を置いて考えだした。可愛いらしいポーズをわざわざやらかす辺りが、なんと言うか、師匠は気に入らない。
「お金儲けのため、とか。」
 と、弟子は答え、師匠は間髪を入れずに追加質問をした。
「どうやって金を稼ぐつもりだ?」
 弟子は分かってるくせに、と肩を竦め、
「星が流れる理由が分かれば、それが世界の運行にどんな影響を及ぼすか、説明できるでしょう?その世界の運行は、国や人の運命にどんあ影響をもたらすかも予測できる。それを、王様とか貴族様とかにお伝えすれば、あらまあ、報酬がざっくざく…という寸法で。」
「…………もういい。お前(と、師匠の二人称が変わった。地雷を見事に踏んだらしいが、地雷を踏みぬくつもりでいた弟子は意にも介さなかった。)、聞いたのか?」
「何のことでしょ。」
「…………もういい。」
「もう良くはないですよ。でも、師匠がイライライライライライラするときは、まあ理由は限られてますからね。イライラぐらいだったら、何度結んでも靴ひもがほどけるとか、黒猫に前を横切られたとか、卵を割ったら殻が入った、とか、その程度のことがあったんだろうなあ相変わらず器ちっちぇえなあ、で済ませますけど、」
「……おい。」
「イライライライライライラしてるときは、もう、理由は一つでしょう。」
「…………、」
 師匠は、一度唇を引き結び、息を吐きながら言った。溜め息交じりというよりも、うめき声のようだった。
「星の動きに理由はないんだ。」
「まあ、神様がそうお創りになった、としか。」
「我々が知ろうとしていることは、星の動きそのものだ。周期、配置、動き、そのものだ。何故、星は輝いているのか、何故、星は流れるのか、何故、星はかのように空にあるのか。問いかけるのは起源であり、理由じゃない。そう作られるに至った経緯は知りたいが、そう作った神の考えなど知る気はない。」
「神様の考えなんか分かりませんからねえ。」
「我々は、世界を知りたいのであって、世界がこれからどう動くのかを知りたいのではない。世界を知ろうとする中で、星の動きと季節の動きが一致することに気付き、農耕に役立つこともあっただろう。だが、それだけのことなんだ。そんなものはオマケに過ぎない。星詠みとは、世界を知るための方法で、決して予想をすることじゃない。まして、人の運命なんか知ったことか。」
 そして師匠は天井を仰ぎ、掌で瞼を覆う。さすがに泣いてはいないだろうが、まあ悔しい思いはしているのだろう。
 師匠はまた、星から運命を占えと命じられたのだろう、と弟子は容易に推測した。まあ、仕方がない。誰だってこんな先行き不透明な中、星の導きにでも頼りたくもなる。その気持ちは分からなくもないが、星の観測者でしかなく観測者以上にはなるつもりもない師匠には、全くお門違いな命令なのだ。
 星は動くが、そこに理由はない。もし仮に、理由があってもそれは人間には窺い知れない。星は星として空に在り、人は人として地上に在る。天の運行は、個人の運命など左右しない。
「もし、」
 と、弟子は口を開いた。目の上を掌で抑えていた師匠が、弟子を見る。
「星が流れることに理由があって、ボクがそれを知ったのなら、」
「………なんだ、急に。」
「なんだ、じゃないでしょ。師匠が問い掛けました。『星の流れる理由を答えなさい』、そして、『その理由を知って、どうしたい?』って。」
「お前が話を逸らしたんだが。」
「じゃあ、ボクが責任をもって話を戻しますよ。あれですかね、詩的に答えるとしたら、ボク、思うんですよね。流れ星って、女の子の頬を伝う涙みたいじゃありません?」
「…………、」
 師匠は無言のままで、手元にあった四分儀を弟子に投げつけた。道具は大切にーと言いながら弟子はそれを避け、
「だからね、星が流れるのは、あれ、神様の涙なんじゃないですかね。もしそうだとしたら、ボクは慰めに行きたいですよ。女神様だったらいいなあ!ハンカチ準備しなきゃ!」
 師匠はやっぱり無言のままで、その辺にあったペンをダーツのように投げつけた。弟子は、それを避けたが、「今、殺意ありましたよね!?」と叫び声を上げてから、
「いやね、昨日、知り合った女の子に、さっそく泣かれてしまったので、ぎゅっとして慰めてたんですけどね、それ、女神さまに通じますかね?」
「知るか!」
「でも、神様が女神さまとは限りませんよね。師匠みたいな偏屈男かもしれないし……。師匠はどう思います?」
「知るか!!」
「とはいえ、偏屈男でも哀しければ泣くんでしょうから、その時は!」
 と、弟子は腕を広げて見せた。
「せめて、おどけて見せましょう!命の次に大切なはずの四分儀を投げつけられる程度には、きっと元気にしますから!」
 自分は慰められていたのか……と師匠は気付き、そして、その内容の酷さとプライドの傷つきと、まあ、多少の気恥ずかしさによって、
「知るか!!!」
 弟子に向かってインク壺を剛速球で投げつけた。




---------------あとがきのようなもの------------------

おかしい………
天文部の男女の爽やか恋話にするつもりだったのに、
「占星術師のこと調べてたのに、使わなかったなあ…」という思いから、こんな話になりました。

言いたいことがはっきりしてるのに書き切れてないので、いずれどこかでリベンジしたい。


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