まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・10

久しぶりに、Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

使用お題は、
 ・「失ったはずの光に照らされ」


ファンタジー世界観の、オリジナル話です。



【第82回 フリーワンライ企画】
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 お先は真っ暗だ!
 未来が見えない。全く見えない。予言者として王都に招かれるまでになったのに。ある日を境に、未来が見えなくなった。夢すら見ない。当然、予言は当たらない。予言ですらない。予言ですらなければ、小娘の戯言だ。当たらなかった戯言の罰が、都からの追放で済んだのは王の慈悲だったのか。少なくとも、己の力ではなかったはずだ。
 お先は真っ暗、未来も真っ暗、己の未来も真っ暗で、でも生きていかねばならない。
 予言はいつも夢で見ていたから、占いの作法を知ってるわけでもない。でも、蛇の道は蛇というか、それらしい風を装うこともできた。だから、この迷宮都市で、流れ者なのか野心家なのか夢想家なのかただの馬鹿なのか分からないような冒険者を相手に、それらしいことを占って、どうにか日銭を稼いでいた。
 でも、そのささやかな…、いや軽蔑すらしたくなる生活の、一秒先も真っ暗だ!!
 占いが当たらなかった。それで賭けに負けた。どう落とし前を付けるんだ、なんて因縁を付けられたってどうにもできない。知るか、そんなこと!!と卓ごと客を蹴り飛ばしたら、相手を激昂させてしまった。その日の売上金だけを抱えて、迷宮都市の路地を走って逃げる。さすがに迷宮都市と名付けられているだけあって、土地勘のある人間でも逃げる相手に追いつくことは難しい。そして、逃げる方も道を覚えて走ることも難しかった。
 どうせ、一秒先も真っ暗なら、どこに向かっていっても同じだ。
 そう、もはや投げやりに走って走って走って。息が上がって、胸のあたりが灼ける様でいて冷たくなって、もう走れなくなって、立ち止まる。腕の中の売上金に視線を落として、そしてそのままその場にしゃがみ込んだ。こんな僅かな金を後生大事に抱え持っていることが、もう悔しくて悔しくてしょうがない。もう涙だって出てきやしない。
 お先は真っ暗で、路地も真っ暗だ。路地の先もなお暗い。暗い、というより、黒い。そしてその黒が、動いた。
 さわさわ、くすくす、ほうほう、と。黒い無数の手が、声を立ててこちらに伸びてくる。この都市に縛りつけられている霊たちだ。黒い霊は肉体を見つけ、そして路地の先…というより「向こう側」へ引きずり込もうと、体に手を巻き付けてくる。
 真っ暗なのは、お先だけでいい…!!
 売上金も放り出して、その黒い手を振り払おうとしてもびくともしない。そのまま、黒い路地の先の先へ、引きずられ……
 と、その黒い腕に向かって、チョップが一つ、振り落とされた。
 それだけで、黒い腕はちぎれ、粉になり、霧になり、消えていく。お先は相変わらず真っ暗ではあったし、路地はやはり暗いままだったが、路地の先の黒さはなくなった。ただ、真っ暗なだけだ。
「大丈夫かね?」
 と、問いかけてきたのは、背の高い男だった。胸に聖印を下げているところを見ると、聖職者だ。祓魔の力を使ったのだろうか。
「大丈夫かね?」
 と、もう一度、低いがやわらかい声で問いかけてくる。頷いて、問いかけに答えると、良かった、といって、辺りに散らばった金を拾い出した。
「それ、私の、」
「ああ。手伝おう。」
 と、そいつは言った。二人で金を拾い上げながら、おそらくすべてを回収すると、男は拾った金を渡してきた。
「霊がいる路地に進むものじゃないが…、君はそちらに用があるのか?」
 と、黒い手が伸びてきた道の先を見る。首を振ってこたえると、そうか、と安心したように微笑んだ。
「では、戻ろう。周囲に霊もいるだろうから、明るい道までは共に行こう。」
 断る理由もないので、頷…こうとして、聞いた。
「司祭様は、」
「あ、私は助祭なんだ。」
「…助祭様は、こっちの道に用があったわけではないの?」
 と、路地の先を指す。どこかに行くつもりもなければ、こんな路地など通らない。
 助祭は、成人男性とは思えない仕草で首を傾げ、
「いや、私は、多分、君に用があったんだろうな?」
 と、了解不能のことを言う。
「私は、助祭様に用はないけど。」
「お先は真っ暗だと叫んでいた。」
 と、助祭はさらに了解不能なことを……、そしてどうしようもなく事実を口にした。叫んではいない。声には出していない。心で叫んではいたが、声には出していない。だから、誰にも聞こえていないはずだ。
「あれは、君ではなかったのか?」
 と、助祭は不思議そうに聞く。私ではない、と言ったら、それを信じてしまうような純粋さで聴いてくる。だから、だったのか。頷いた。
「お先、真っ暗なの。助けてよ、助祭様。」
「力になりたいが、助けられるかどうかは。」
 と、助祭は正直に答えた。そして、また問いかけてくる。
「何が、真っ暗なんだ?」
「私の、未来。」
「そうかね?」
「そうなの。」
「そうなのか。」
「そうなのよ。」
「そうか。」
 …………この助祭、馬鹿なんじゃないのか。
「……しかし。なぜ、」
 と、助祭は聞いた。
「未来が真っ暗だと分かるんだ?」
「はあ?」
「だって、真っ暗かどうか分からないじゃないか。未来なんだから。」
「何言ってんの。お金もない、家もない、名誉もなくなった。こんな迷宮都市で女ひとり。何が出来るっていうの。明るい未来なんか描けない。」
「そうであっても、薄暗い未来か真っ暗な未来かは分からないだろう?」
「……薄暗い未来って……」
「もしかして…!」
 と、助祭はわざとらしい仕草で指を鳴らして、その指をこちらに向けてきた。
「君、未来が見えるのか!?」
「―― ばっかじゃないの!!!」
 と、売上金を助祭に投げつけた。ああああ、勿体ない、なんてことをするんだ、君が一生懸命働いたお金なんだろう…と助祭は再び金を拾い始めた。そんなことはもうどうでもいい。こいつは私の逆鱗に触れた…っていうか踏みつけた。
「私、未来が見えないの!」
「……うん?」
「前は、予言ができたのよ!それがある日、急に…、何も見えなくなって…!!その後の私、もう転落人生よ!!お先も真っ暗!どう転んだって、いい方に向かうと想えない!光なんかどこにもない!」
「……未来が見えないのに、断言するんだなあ。」
 予言者だった時のくせかい?と、助祭は言って、ポケットからハンカチを取り出し、わずかな売上金をそれに包んだ。
「君は、未来が見たいのか。」
「見えるようになったら、もうちょっと稼ぎのいい占い師になれるでしょうね。」
「………?」
 と、助祭は首を傾げた。何よ、と聞くと、いや…と呟いて、
「占い師ということは、人の未来を見てあげるのか?」
「…まあ、そうね。」
 ふむ、と助祭は頷き、ハンカチごと金を差し出してきた。落としてもバラバラにならないように、ということなのか。やっぱり馬鹿なんじゃないのか、この助祭。ハンカチを睨みながら、それを受け取れないでいる。
「予言者だったときは、誰の予言をしていたんだい?」
「………は…?」
「君は君の未来を見たことは、あるのかな。」
「…………」
 唐突な問いかけに、答えがでなかった。最初の予言は、村の火事。その次は、荷馬車の事故。最後に出来た予言は、戦場の落雷。
 私の、未来ではないもの。私自身の未来を、見たことは一度も、ない。
「自分の未来を見たことがないのなら、君の未来は以前から不確定だったわけだ。」
 光があったこともあれば、光が奪われたこともあり、光が見いだせない時が来ているというわけだ、と助祭は頷き、
「でも、君は今も生きている。こうして稼いでもいる。霊が魅力的に感じる程度には、君は確かに生きていて、私と議論もできるわけだ。」
 と、ハンカチで包んだ金を揺らしながら言った。これが議論なのかは疑問だが、
 だが、なんだ、と思ったのも事実だった。
 私には、最初から光なんか差し込んでいなかったのだ。私自身には光なんか差し込んでいなかったのだ。見たつもりにいなっていた光は、誰かの未来で私の未来ではないのなら。そもそも、失ってもいないのだ。
「私たちの教義では、未来は進んだ先にしかないんだよ。」
 と、助祭はやっと助祭らしいことを言った。
「私たちの教義を君に押し付けるつもりもないが、君の未来が真っ暗だと決めつけるのは、」
 助祭は私の手を掴んで、ハンカチに包んだ金をそこに載せた。
「まあ、もうちょっと先でもいいんじゃないだろうか。」
 ハンカチにまとまっているせいか、金はさっきより重く感じた。その重さに引きずられるように、頷いて、
 ふと、未来を光が照らすような気分になった。



---------------あとがきのようなもの------------------

時間切れ…!!不完全燃焼……!!

えーっと、ちょっと今、考えてるお話がありまして
それで今作ってる最中の設定を使いながら
サブキャラである助祭様をフライング気味に動かしてみました。


現実世界観で話を書こうかなー…と思ってたんですが、
今回のお題が詩的なものばかりで、
それで現実的な話をすると、逆に恥ずかしい…!と思って、ファンタジーです。



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