まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・12

Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

使用お題は、
 ・「じゃあ、どうするの?」で始まって「君らしいね」で終わる
 ・「消しゴムじゃ消せない」
 ・「風に揺られて」
 ・「雪化粧の思い出」


オリジナル話です。恋する少女の呪いのような言い訳の話。




【第85回 フリーワンライ企画】
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「じゃあ、どうするの?」
 と、数少ない【友人】に問いかけられて、少女はむっと唇を尖らせた。綺麗な黒髪で色の白い少女は美人であったが、目つきが悪い。なんてことのない時でも、不機嫌そうに気怠そうに見える。だが、今回は、不機嫌絶好調だろう。怒り狂ってないことが、【友人】には意外でもあった。
「で、どうするの?」
 と、【友人】はもう一度問いかけた。問いかけたが、答えは求めてないことは少女にも分かった。ただ、この意地の悪い【友人】は、この状況を楽しんでいるのだ。
 つまり、届けてほしいと恋文を託されて、その宛先が自分の想い人だったと知った少女が、その恋文をどうするのか。
「……なんで私なの…。」
 と少女は恋文を見て呟く。白い封筒の表面には、少女の想い人の名前。裏面には、手紙を託してきた娘の名前。やはり、特別な手紙だからだろう。洒落たことに封蝋で封がしてあった。
 【友人】は、椅子の上でくつろぎながら、さも当たり前のように言った。
「あなたが、彼と親しいからでしょ?」
「私が、あの人を好きなこと、バレてないってこと?」
「それに気づかないんだから、馬鹿な子だなあ、と思ったけど。」
「……私がこういうのちゃんと渡す子だと思われてるのも意外だけど。」
「…その点では、人の恋心に気付かない馬鹿な子なりに、人のことを良く見てるのね。」
 と、【友人】は無責任に大あくびをして、もう一度、問いかけた。
「で、どうするの?」
「…………、」
 少女は封筒を見つめて溜息を吐いた。
「渡したくない。」
「まあ、当然よね。」
「私、あの人が好きなのよ。本当に、…本当に大好きなのよ。」
「知ってるわよ。正直、どこがいいのかよく分からないけど。」
「……雪の日にはしゃいで、畑に倒れ込んで人型を取るところとか。」
「…………、ハタチ超えた男がやることじゃないと思うけど。」
 っていうか初めて聞いたわあ、子どもっぽい男だと思ってたけど本当に子どもだったのねえ、と【友人】は軽く伸びをしながら言う。感心しているようにすら見えるが、男の子どもっぽさになのか少女の趣味の悪さになのかは、分からない。ただ、まあ、ミステリアスに見えるが実際はコミュニケーションが苦手でただただテンパっているだけの少女が、自分の好きな人のことをこうも素直に話すことは珍しかった。初めてだった、と言ってもいい。よほど、大切な思い出なのだろう。その、子どもっぽい男とそれを見ていた少女の、雪化粧の日の思い出は。
「好きだけど、私は、」
「うん?」
「……手紙なんか、書けない。」
「書けばいいのに。」
「何を書いていいか分からない。」
「好きだって書けばいいのよ。」
「だって、それじゃ、嘘になるんだもの。」
「好きなのは嘘じゃないでしょうに。」
「……そうだけど、『好き』って言葉じゃ言い表せないんだもの。」
 と、少女はよく膨らんだ胸に手を置いて、唇を尖らせた。そこに在るものは、『好き』だとか『恋』だとか、もしかしたら『愛』すらも超越しているらしい。
「……馬鹿ねえ。」
 だから、あなたはコミュ障なのよ、とは言わなかったが、【友人】は目を細めた。自分の中に在るものを、言葉に落とし込めずに、しかし正確に言葉で写し取ろうとすれば、彼女をますます分かりにくくする。でも、それは誠実さの顕れだとも【友人】は分かっている。そして、彼女が言い表せないものを無理に言い表せようとはせずに、にこにこと彼女と過ごすことを楽しんでいるのが、彼女の想い人なのだ。それこそ、雪に倒れ込んで「見て!自分のカタチだ!」とか満面の笑顔で少女に見せたに違いない。少女は、それを呆れたような顔で、でもそれは生来の顔つきがそうさせるだけで、実際はとっても楽しんでいたのだろう。笑いはせずに、笑っていたのだ。そんな様子を見ることが、【友人】は好きだった。
 ……ちょっと邪魔されたくないなあ、と【友人】は思った。
「私は、そんな手紙、捨ててもいいと思うのよ。」
 邪魔されたくないのは自分の楽しみを奪われるからだ。そう分かりながら、【友人】はそう言った。少女は、眉を寄せた。普通にしてても不機嫌そうな表情だが、はっきりと怒りを見せた。
「それは、ダメでしょ。」
「どうしてよ。」
「…ダメでしょ。受け取っちゃったんだから。」
「あら、いい子ね。」
「別に、私はいい子じゃないけど。」
 どこからどうしたっていい子なのよ、と【友人】が言っても、彼女の想い人が言っても、少女はそれは否定する。だから、首を傾げただけで【友人】は何も言わなかった。
「……私が、渡さなきゃって思うのは、」
「ええ?」
「私が、あの人を好きなことを、『私』が否定したくないからなの。」
「どういうこと?」
「私は、手紙を書けない。でも、あの子は手紙が書けた。好きって気持ちを書けた。…私もいつか、手紙を書けるかもしれない。ここで、この手紙を渡さなかったら、私は手紙を書けるようになった私のことも否定するでしょ。」
「まあ、簡単なことをわざわざ難しく言ってるように聞こえるけど、言いたいことは分かったわ。」
「私のためなのよ。私だって、いつかはちゃんと伝えたいもの。その時のために、この手紙は渡さなきゃ。手紙を破ってもあの子の想いはなくならないし、消しゴムじゃ消せないし。」
「いっそ、消せればいいのにね。」
「そう思う。…渡さなきゃ、と頭で分かってるのに、渡したくないって思ってる。この『渡したくない』って気持ちも、消しゴムで消せればいいのに。」
 ああ、渡すことはもう決めてるんだな、と【友人】は理解をした。まあ、最初から、そうだろうと分かってはいたのだが。
 【友人】は、天井からぶらさがっているモビールを見上げて、息を吐いた。窓からのんびりと入り込んでくる風の所為で、邪魔にならない程度に揺れている。
「ゆらゆら揺られるわねえ。渡したくないっていう気持ちと、渡さなきゃっていう義務感で。風に揺られるモビールのよう。」
 その一見単純なカタチが、揺れることで複雑な形に変化する。時には、予想してない形に変化をする。それも、まるで人の営みのよう。少女のこの揺らぎや葛藤が、最後は思いもよらない形になってちゃんと想い人に届くことを、【友人】は願って祈って止まないのだ。
 少女はモビールを見上げてから、そんなに綺麗なもんじゃない、と呟いた。
「私は、嫌な子なんだって。」
「恋敵の手紙を、自分の想い人に渡そうっていう子が嫌な子だったら、世の中には鬼か悪魔しかいないと思うけどね。」
「…渡すけど、私は嫌な子だから、」
 と、少女は封筒をそっと持ち上げて、その封蝋の部分に口づけた。おそらく少女たちの想い人が指で触れるであろう場所に、短いが万感の想いを込めて口づけて、
「どうか、上手くいきませんように。」
 と、少女は可愛らしい呪詛を吐き出した。
 【友人】は、喉を鳴らすように機嫌よく笑いだした。少女は、一瞬むっと唇を引き結んでから、
「…だから、言ったじゃない。私は、嫌な子よ。上手くいかないようにって人の不幸を祈るんだから。」
「ええ、ええ。そうね、その通りよ。」
 と、【友人】は笑いながら頷いて、のっそりと立ち上がった。これが呪いだっていうんなら、この世はすでに地獄だろう。とっくに最後の審判のラッパが鳴っている。 それでも、これは人の不幸を祈ったのだ、と言う少女の人の好さと精一杯の強がりに、【友人】は最高の賛辞を伝えた。
「君らしいね。」



---------------あとがきのようなもの------------------


使用お題、「全部!!」をやりたかったんですが、一個入れ忘れた orz


実はこの話、
前々回と前回のワンライ参加話と繋がりがあって、実際の世界観はファンタジーです。
でも、雰囲気は放課後の部室のイメージで書いてます。
ファンタジーでも現実世界でも、どっちでもいいっていうか、
舞台設定が問題ではなく、女の子を書こう!と思って、書きました。



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