まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・22


Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


使用お題は、
・ 『太陽に嫉妬する星と星に嫉妬する太陽』  で オリジナル話です。






【第111回 フリーワンライ企画】
------------------------------------

 ―― ああ、羨ましい。
 彼を近くで照らすその位置は。まるで太陽のようだから。
 太陽も星も恒星で、どちらも天に輝く星の一つに過ぎない。けれども、太陽はやはり特別な星なのだ。絶妙な大きさと位置を持って出来上がった母なる太陽であるからこそ、私たちはこの星に生み出され、命をつなぎ、今も生きている。
 この星で暮らしていけるのは、太陽がこの星を暖めているからだ。熱くもなく、冷たくもなく、暖めているからだ。それは、見下ろすような位置ではなく隣に立つような位置にあるからできるわけで、結局、同い年同士の気安さと、『まるで太陽のような』その子の性格が、彼を明るくさせている。
 私から見たら、子どもにはよくある…ほんの少しの失敗で、彼は落ち込んでいる。私も励ましてはみたが、それは励ましにすぎず、彼の気持ちを撫でるようになだめるものにはならなかった。
 あの子は紙パックのジュースを二つ買って一つを彼に手渡して、渡り廊下で並んで座り、彼の落ち込みを聴くわけでもなく励ますでもなく、けれども『君の落ち込みを知っているよ』と口にせずに態度で示す。じんわりと彼は暖められたのだろうか。彼の笑みから引きつりはなくなり、そのうち声も立てて笑い出し、そしてもう中身も少なくなった紙パックのジュースを二人は打ち合わせて、乾杯をした。
 ―― ああ、太陽は。太陽は、絶妙な大きさと位置を持って出来上がり、この星を暖める。
 夕日の橙色は、その暖かさをより主張して。二人はその中で立ち上がる。
 廊下に置いた荷物を取ろうとした彼は、私の視線に気づいた。そして、さっきまでは見せなかった笑顔を私に向けて、手を振った。
 
 先生、さようなら。
 
 そう言って、手を振った。気を付けて帰りなよ、と手を振り返す。あの子も、さようなら、と軽く頭を下げて。二人は、――私の可愛い生徒たちは、夕方の学校を出ていくのだ。
 ああ。私は。あの子が、あの女生徒が、彼の傍に居られるあの子が、本当に羨ましい。
 そんな感情を抱いてはいけないのだと分かっている。しかし、感情を抱くだけなら罪ではない、と思う自分もいる。それ以上、どうにかしようとも、どうにかなろうとも思わない。大丈夫。片想いなど、私もこの校舎で学んでいたころにすでに体験済みだ。
 ―― そう。ただただ、羨ましいだけだ。
 
 

*********


 ―― ああ、羨ましい。
 彼を遠くから導くその位置は。まるで星のようだから。
 太陽も星も恒星で、どちらも天に輝く星の一つに過ぎない…らしい。見えるものと見えないものがある星は、いくつもいくつも空にある。その中で、いくつか特別な星がある。例えば、冬のシリウスとかオリオンの三ツ星とか。あたしの知っていてこの街で見える星はそんなものだけど、北極星が道しるべになることは知っている。
 この星は、少し軸を傾けて毎日一回転する…らしい。その軸の北のずうと先にあるのが、北極星。ぐるうりと、空を回る星の中で(ホントはこの星が回っているんだけど)、『北』からずれない位置にあるから、北極星は北を示す。示す、と思っているのはこの星の人間で、北極星は北になろうと思ってるわけではないのだろうけど、地軸をずっと伸ばした位置にあるから、その星は方向を知りたい人に「北」を教えている。それは、隣ではなくずっと遠くにいるから出来るわけで、結局、あたしたちよりちょっと多い経験と、『まるで星のように』静かなその人の在り方が、彼に道を示すんだ。
 あたしから見ても、よくある…『学生あるある』な失敗で、彼は落ち込んでいる。あたしは傍で慰めではみるけど、それは慰めにしかならなくれ、彼を立ち上がらせるものにはならなかった。
 あの人は彼と向かい合って座って、彼が話せるように上手に質問をしながら、けれども絶対に決めつけたりせず、『あなたの言葉で聴きたいの』と口にはせずに態度で示す。ゆっくりと、星から自分の位置に気付いたのだろうか。彼の目線はだんだんと上がっていき、そのうちしっかり前を向き、そして自分でノートを取り出して、二人はこれから調べるべきこととやるべきことを書きだした。
 ―― ああ、北極星は。その星は地軸をずっと伸ばした位置にあるから、方向を知りたい人に「北」を教えている。
 人がいなくて静かな教室は、静かで確かな道案内の様子そのもので。二人はその中で額を突き合わせるように話しこんでいる。
 ドアに背をつけて中の話をぼんやりと聞いていると、廊下からクラスメートがあたしに声を掛けてきたので手を振って応える。その声を聴いたらしい彼は、教室から顔を出した。

 ごめん、先に行ってて。

 そう言って、手を振った。分かった頑張りなよ、と手を振り返す。教室の中のあの人も、部活頑張って来いよ、と手を振って、二人は、――私のクラスメートと先生は、夕方の教室に残るのだ。
 ああ、あたしは。あの人が、あの先生が、彼に道を教えられるあの人が、本当に羨ましい。
 そんな感情を抱いても追いつけないことは分かっている。けど、もしかしたら追いつけるかもしれない、と思う自分もいる。これ以上、どうにかしようとも、どうにかなるとも思ってない。大丈夫。片想いなんか、あたしも結構経験は長い。
 ―― そう。ただただ、羨ましいだけだ。


 
*********
 

 ―― ああ、羨ましい。
 と彼は思う。太陽も星もどちらも自ら輝く星。彼はその輝きに気後れもしていた。
 しかし、太陽に照らされて、星に導かれているように見える彼だって、自ら光る『星』。
 自分で世界を照らせると気づいたとき、彼は『太陽』でも『星』でもない『月』の存在にも気付くでしょう。





---------------あとがきのようなもの------------------

使用お題は「これ、素敵だ!」と即決でしたが、
お題自体が作品として完成されていて、
書きながら「これ以上、どこに手を入れろっていうのさ!」って気持ちになってました。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する