まよらなブログ

【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加してみた・24


Twitterの「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」に参加してみました。
(企画についてはこちら )


書いた話は追記に記載します。
推敲してないので、いつにもまして誤字脱字激しいと思いますが大目に見てください。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

使用お題は、
・例え誰が何と言おうとも、君の感じた事が君にとっての「真実」
   *オリジナル話です。





【第122回 フリーワンライ企画】
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 例え誰が何と言おうとも、君の感じた事が君にとっての『真実』。

 そんなことは。そんなことは、分かっている。自分が見ている物は、間違ってもいない。別の角度から見たらもしかしたら違うものに見えるかもしれない。それだけのことだ。ただの誤差だ。それだけのことだ。
 だが、誰かと共有できない『真実』など、『真実』と呼べるのかどうか。
 弟子は、つまらなそうに天球儀を回る師を見つめ、ただただ、溜息を吐いた。

 師匠は、星の観測者でしかなく観測者以上にはなるつもりもない。
 星は動くがそこに理由はない、と言う。もし仮に、理由があってもそれは人間には窺い知れない、とも言う。星は星として空に在り、人は人として地上に在る。天の運行は、個人の運命など左右しない。それが師匠の『真実』だ。
 全く。全くその通りだと思う。星の動きは観測できる。星の動きと季節が連動していることも観測できる。それは客観的に、数値として表せることができる。そこにあるのは『事実』を重ねた『真実』で、その数値は『真実』だ。それは『客観性』とも言う。その酷く他人事で第三者的で意図も恣意も存在しない数値を、師匠は酷く愛していた。誰かの恣意で変わる数値には信頼が出来ない。絶対的揺るがなさを求める、生粋の師匠の想いは分からなくもない。
 本来、科学において『真実』とはそう言った揺るがなさだ。同じような手順を辿れば、誰しも同じ結果を出せる。理論を違えなければ、皆を納得させられる。(理解できるかはまた別の話だ。)そこに在る以上、そこに在るのだ、という事実。そこには主観など存在しない。
 例え誰が何と言おうとも、君の感じた事が君にとっての『真実』…などとは師匠は言わない。
 ところが、弟子は知っている。観測できない『事実』、窺い知れない『真実』、神の意志としか言えない『何か』があることを。
 それが何か、とは弟子も説明は出来ない。予測、予知、直観。いずれの言葉も適切ではない。星を使って未来を占え、と言われ、「星の動きに理由はない」と苛立っている師匠には申し訳ないのだが、実は、予知は出来るのだ。
 そう、予知ができるのだ。予測、というレベルを超えて。確信をもって、未来を言い当てることができるのだ。この弟子には、できるのだ。
 弟子は、ぶつぶつ呟きながら天球儀を回す師をじっと見つめた。予測・予知・直観。幼いことから降ってくる、「きっとこうなるだろう」という確信に、弟子はずっと苦しめられていた。確信を説明する術がない。「だって、そう決まっているから」としか言えない。説明できなければ、誰かに分かってももらえない。「あなたはそう思ってるんだね。だったら、それはあなたにとっての『真実』だ」などと言われても、そんなのは慰めでしかない。自分の主観を、同じように受け入れてくれる言葉ではない。慰めを求めてなどいない。そんなものは、別の言葉で事足りる。
 だから弟子は、科学者の…、この学問が『科学』になるにはもう少し時間が必要ではあるが…、天文学者の弟子になった。自筆の星図を持って行き、押しかけるように弟子になった。国や人の運命にどんな影響をもたらすかも予測できる…と思われている学問で、それでもこれは占いではなく『科学』なのだと、声を出さずに抗っているこの師匠の弟子になった。皆が見えること・皆が出来ること・皆が再現できること、客観と普遍の方法をひたすら探る、ある意味では誠実で、ある意味では頑固な、師匠の弟子になった。
 客観と普遍を伝える方法を、ひたすらひたすら極めれば、自分のこの天啓としか言えない予知の力も、客観と普遍の言葉の中で表せることが出来るかもしれない。そのとき、きっと『我が事』のように受け入れてくれる人が出てくるかもしれない。『あなたにとって』という言葉ではなく、『もしかしたら、その可能性があるかもしれない』程度に受け入れようとする人が出てくるかもしれない。
 主観こそが真実だ、などとよく言える。もちろん、人間はそれぞれの目を耳を口を肌を通してしか、物事を認識できない。その人が感じたことは、その人にとっての事実だ。だが、その中で共感できるものを用いて、誰かとともに共有する。その結果、その真実は、孤独ではない『真実』になる。客観と普遍は、冷たいものではない。決してそうではない。それは誰かと繋がれる、しかも誤解が少なく繋がれる、絶対の方法だというのに。
 なぜ、皆は師匠の「分かり易い」科学的手法ではなく、どうやって確かめればいいのかも分からない「科学的な占い」をもてはやすのだろう。
 弟子は、うんざりと溜息を吐いた。自分が予知している未来を口にしても誰も信じないくせに、自分の妄想だと笑うくせに。別の方法で、科学を科学ではない方法に貶める形では、なぜ未来を知りたがるのだろう。
 うんざり、とついたため息は、師匠に聞かれていた。天球儀を回していた手が止まり、くるくると回る天球儀を今度はぴたりと止める。
「…なんだ、お前、いたのか。」
 つまらなそうに師匠は言い、弟子は「お茶をいれてこい」と言ったのは師匠でしょうよ、と文句を口にした。
「そうだったか?」
「そうですよ。もー…お茶、置いておきますよ。」
 カップを置くスペースもない机ではなく、サイドテーブルにカップを置く。師匠は「ああ」と返事をした後で、
「ありがとう。」
 と、口にした、礼を言われると思ってもいなかった弟子は、「え?」と問いかけてから
「師匠…、いま、なんて…」
「あ?何が?」
「お礼、言いませんでした…!?」
「…それの何が問題だ?」
「問題がないから、問題なんですよ!師匠が、お礼を言うなんて!どうしたんですか!?そんなに弱っているんですか!?ご主人に、星から運命を占え、と言われて、そんなにショックですか!?もう何度目ですか!?ご主人とはいえ、馬鹿は放っておきましょうよ!」
「お前、そんなでかい声で言うな!それに、金さえ払ってくれるなら別に馬鹿でも構わない!」
「うわあ、師匠こそ声がでかいですよ!」
「いいんだよ。どうせ、星の運行の美しさなど、分かりやしない主人だ。ただ箔をつけるために、天文学者を雇っているのなら、こっちもそのつもりでいればいい。まあ…、腹立たしいが、哀しくはならない。」
「哀しくは、ならないですか?」
「……、相手に伝わらない、という物悲しさはあるが、」
 と、師匠は鼻で溜息を吐き、弟子を見た。師匠が座っているので、弟子を見上げる形になっている。
「…、それは相手の方の限界だ。私の所為じゃない。」
 弟子はやんわりと微笑んだ。
「…伝わらないことは哀しくないですか。師匠は、言葉を尽くして、未来を予測は出来ないが世界を知る素晴らしい学問だと、必死にご主人に訴えている。」
 弟子の言葉に、師匠は少しだけ目を開いた。弟子は、静かに言葉をつづけた。
「それだけ、師匠が伝えたいことなのだ、と思ってます。でも、伝わらない。それは相手の所為でもあるけど。伝わらないことは、哀しいでしょう。」
 それがどれだけ、『未来の普遍的な真実』でも 『君にとっての真実』として扱われてしまう弟子は目を伏せた。師匠は、つまらなそうに鼻を鳴らす。
「伝えたいことが伝わらないことは、よくあることだ。私の説明が十分でないこともあれば、相手が馬鹿だったというだけのこともある。それでも、言葉は尽くすべきだ。馬鹿にでも伝わる言葉はあるからな。」
 辛辣なことを言いながら、ひどく親切なことも言う。結局、諦めきれないのがこの師匠だ。もしかしたら伝わるかもしれない、今度こそ伝わるかもしれない。自分が大事にしている『真実』が、その欠片が、伝わるかもしれない。
 そう思って、もう一回、と試してしまうのがこの師匠だ。
「師匠って、」
 呆れと敬服を込めて、弟子は呟いた。
「馬鹿みたいに強いですよね。」
「まあ、それが学者の取り柄みたいなものだしな。馬鹿は余計だが。」
 師匠は背もたれに寄り掛かり、
「それに、まあ…。……、私の従事している学問がどれだけ素晴らしいか、爪の先ほどには分かっている弟子もいるんでな。」
 私の『真実』はここで共有されている、と師匠は言う。弟子は、目を上げた。
「……一般人に理解を求めることを諦めるなど。師匠としても、格好の悪いことは出来ないだろうに。」
 結局は『意地』だ、と言っているようなものではあったが。
 弟子は、自分の感じて抱いている『真実』が共有されない中でも、それでも、自分と師匠の間に分かり合えるものが存在していることに気が付いて、
「師匠のそういうところ、大好きですよ!!」
 そう満面の笑顔で言うと、師匠は本当に嫌そうな顔をした。




---------------あとがきのようなもの------------------

この話 の続き…というか、弟子視点です。

私も割と直観タイプで、
私の感じたことが私にとって「だけ」の「真実」だってことは分かってるんだけど
他人が共有できる言葉にまで落とし込めなくて、モダモダする。


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