まよらなブログ

一章 第二話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
SDカードのデータがぶっ飛んだり、と、いろいろありましたが、
今回からポメラでネタを打ってました、大活躍だポメラ!


書けば書くほど、うちの赤パイはいじられキャラになる予感がします。
では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

では、一章の2話目の話。
今日の舞台は市場です。いつになったら樹海に(以下略)。


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一章 第二話

「・・・ガラス玉に、銀メッキ。」
 商人は片眼鏡を外しながら、そう言った。
 カウンターに肘を付きながら、鑑定をぼんやりと待っていたマルカブは、は?と聞き返す。商人は、マルカブの前に髪飾りを置きながら、
「カットの仕方は珍しいな。光をうまく反射して、角度によって色が変化するようになっている。台座の細工も見事なもんだ。だが、この髪飾りに、宝石としての価値はない。」
 薄暗い商店の中でもランプの光を反射してきらきら光る髪飾りを、ぐるりと見回してから、商人はカウンターにその髪飾りをおいた。マルカブは、ふん、と鼻を鳴らし、
「いくらで引き取ろうってんだ?」
 どうせ安く買い取るための方便だ。マルカブは、そう高をくくっていたのだが、商人から出た言葉は
「買い取らんよ。」
 という、そんな言葉だった。マルカブは思わずカウンターに手を付き、身を乗り出すように、
「・・・マジで?」
「当たり前だ。こんな嘘をついても商売あがったりだろう。」
「いや、でもさ、ほら、細工は見事だって言うんだろう?」
「ああ。腕のいい職人が、貴族の子どもに作ってやったんだろう。ちょいと高級な子どものおもちゃだな。」
 けど玩具だよ、と商人は言い、マルカブは帽子を外して赤毛を掻いた。
 マルカブのいる店は、市場の一角・・・の地下だ。表向きは宝石商だが、裏では盗品の類を扱っている。マルカブが持ってきた髪飾りは、カリーナから受け取ったもので厳密には盗品ではないのだが、ここで売るのが妥当だと考えたのだ。表の店で売って、下手に足がつくのは避けたかった。何か訳ありの様子のカリーナには追っ手もいる様子だった。その追っ手が髪飾りが売られたことを知り、それを売り払ったのが自分だと知ったら、面倒ごとに巻き込まれるに決まっている。だったら、盗品を扱ううが故に厳重な情報管理がされており、一部の者しか知らないこのような店で売る方が危険は少ない、と判断したのだ。
 ところが、その店では、買い取れない、ときた。
「・・・参ったな、随分あっさり渡すと思ったが、そういうことか。」
「騙されたのか。」
「どうだろうね、相手は騙してもいないからな。」
 カリーナから自分に売りつけてきたものではない。自分が欲しいといったものだ。仮にカリーナがこの髪飾りに商品的価値がないことを知っていても、なにも親切に教えてやる道理はないのだ。
 こればっかりは俺のミスだ。マルカブは帽子を被り肩を竦め、髪飾りを持ってきたときのように包み直し、その包みを肩に担ぐようにして、
「仕方ねえ。別の目利きでない店で売るよ。」
「そうしてくれ。」
 マルカブは、手え取らせたな、と店から出る。店から出て、ほんの少し立ち止まる。実は髪飾りには価値があって、中から店主が追いかけてこないかと、まだまだそんな期待をしているのだ。ところが、中から誰も追っては来なかった。
「・・・本当に価値なしか・・・。」
 マルカブは深くため息を付き、ズボンのポケットに手をつっこんだ。中には数枚の小銭がある。それが、彼の全財産だった。
 とにかく金がない。今日の宿代もない。昼飯を食ったら、きっとそれで終わる。装備を整えてから樹海に向かいたかったが、これでは金を稼ぐために樹海に潜ることになりそうだ。いや、ならば昼飯にこの小銭を投資すべきか。腹が減っては、樹海にだって潜れない。
 マルカブは、店がひしめく市場の空を見上げた。狭い空だが、それでもそこから世界樹が見えた。彼は世界樹を見つめつつ、懐の中にある地図に服の上から触れた。自分の心臓が動くのも一緒に感じる。
「・・・なんかもう、くじけそうだ・・・。」
 マルカブはそう呟いて、天を仰いだ。



 「・・・あれ?」
 カリーナと共に市場に来ていたアヴィーは、狭い路地の向こう側に赤毛の男を見たような気がして足を止めた。
「どうしたの?」
 果物のジュースとサンドイッチを手にしたカリーナも足を止めて路地を覗く。
「マルカブだ。」
 アヴィーが路地の向こうを指したとき、相手もこちらに気がつき、
「お前ら、ちょうどいいところに!!」
 そのまま路地を全速力で駆けてきて、二人の肩をがし!とつかみ、
「金を貸してください!!」
 さっき別れたときの物言いとは全く違う様子で、マルカブは頭を下げた。



「やっぱりマルカブも密航だったんですか?」
 ハムと野菜をたっぷり挟んだコッペパンにがっついているマルカブにアヴィーは聞き、マルカブは、おうよ、と低く答えた。
「・・・金も船も無えんだから仕方ねえだろ。」
「救命ボートが一隻なくなったって船長が言ってたけど、マルカブが取っていったんでしょう?」
「まあ、いいじゃねえか。その結果、お前らは助かってんだから。救命ボートの正しい使い方だ。」
「そうだけど・・・」
 なんかダメな大人だなあ、とアヴィーは呟く。マルカブは「そうだよ。お前はこんな大人になるな。」と平然と口にした。反省しなよ、とアヴィーは言う。もう敬語を使いもしないアヴィーに、マルカブはもう苦笑した。そして、自分たちが市場におかれた縁台に座ってパンを食べている間、向かいの店を覗いているカリーナを、見る。麻の染め物を見ていた彼女は、店員に勧められ、その染め物を肩にかけて鏡を見ている。
「俺も、ってことは、嬢ちゃんもか?」
「なにが?」
「密航。」
「そうらしいよ。」
「お嬢様っぽいのに思い切ったことするな。」
「・・・そういえば、カリーナの髪飾りはどうしたの?」
「売れなかった。」
 マルカブはパンを口に放り込み、飲み込んでからカリーナを呼んだ。
 カリーナは染め物を店員に返し、走ってこちらに向かってくる。
「やっぱ、返すわ。」
 マルカブはそのカリーナに髪飾りの入った
包みを差し出した。カリーナは首を振り、
「一度、差し上げたものです。」
「じゃあ、嬢ちゃんにやる。代わりに、そのイヤリングをくれ。」
「うわー・・・調子いいな・・・。」
 アヴィーがうんざりした口調でそう言うが、カリーナは納得した様子を見せ、
「やはり売れなかったんですね、このティアラ。」
「なんだ、分かってたのか。石はガラスで、台座はメッキだってよ。」
「ええ。」
「先に言えよ。」
「いえ、本当に目利きの方かもしれない、と思いましたので。」
 と、よく分からないことを言いつつ、カリーナは包みを受け取り、中から髪飾りを取り出した。それを頭に戴せながら、
「こうしませんか、マルカブ。イヤリングは差し上げます。ただし、それはティアラと交換ではありません。」
 ティアラを戴せたカリーナは、
「私の護衛をする謝礼、ということではどうでしょうか。」
「ほー・・・そう来たか。」
「貴方は悪い方ではないようですし、私もこの後どうするかを考えなくてはいけませんし。」
「え、でもマルカブ、樹海に潜るつもりなんだよね?」
 アヴィーの確認に、それです、とカリーナは言った。
「私が樹海を冒険するための護衛です。」
「嬢ちゃんは冒険者は向かないって、俺はボートの上で言ったよな?」
「ですが、木を隠すには森、といいますし。」
「・・・それ、どういうこと?」
 と、アヴィーが聞き、
「つまり、あれか?追っ手から逃げるために、冒険者の振りして樹海に潜るってことか?」
 と、マルカブが確認する。カリーナは頷いた。
「詳細はお話できませんが、私は追われているようです。これだけ様々な方がいる街ならば、私を見つけるのも容易ではありませんが・・・樹海に潜っていればさらに見つけにくくなるはずです。それに、多少、武芸の心得もありますし、あなたの役にも立つかもしれません。」
 マルカブはじっとカリーナを、というか彼女のイヤリングを見る。面倒ごとに巻き込まれたくはないのだが・・・、背は腹に変えられなかったし、なによりお嬢様然としたこの娘が、街の様子と自分の状況を鑑みて考えた、という経過が気に入った。それに奥の階層まで連れていけ、と言っているわけでもない。追っ手の目をごまかせればいいのだから、樹海に潜る必要もないかもしれない。ちょっとした処世術を教えてやるだけでも事が足りるかもしれない。そう思い、マルカブは頷いた。
「ま、いいだろ。そういうお嬢さんも嫌いじゃないしな。嬢ちゃんの追っ手がこの街を通り過ぎるまで、浅い階層で時間潰しながら素材取ってくりゃ、それなりに金もできるだろうし。俺の目的は急ぎでないから丁度いいか。」
「では交渉成立ですね。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。ああ、それと敬語はやめろよ、めんどくせえからな。」
「分かりました。今後、気を付けます。」
 今、気を付けろよ、とマルカブは言い、そんな二人のやりとりを聞いていたアヴィーがおずおずと口を挟んだ。
「いいの?カリーナ。樹海は危ないところだって、エトリアの皆は言ってたし・・・、死んで帰ってくる冒険者も、僕、知ってるんだよ?」
 アヴィーが心底心配した様子で聞いてくるので、カリーナは微笑んで、
「大丈夫。どちらにせよ、命を狙われてるみたいだもの。」
「そうだけど・・・。」
 アヴィーがごにょごにょと口の中で、何か反論したときだ。
 すぐ近くで、女性の悲鳴がした。




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数日前、SDカードに入れていたデータがぶっ飛び、
書き直した結果、書き直す前の話とはまるで変わってました。

ところで今回、続き物みたいな終わり方をしてませんか!?
次回に「続く!」みたいな!(笑)
そんな次回は、エトリアとハイラガで活躍したケミ姐が登場する予定です。

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