まよらなブログ

一章第五話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
ゲームの方は、ただいま二周目4層に入りました。
黒ゾディ以外は引退して、新しいキャラで挑戦してるんですが、
四層に入った途端、苦しくなってきました。うー・・・。

ともあれ、妄想話はやっと樹海の入り口です。

では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

では、前回の続きから。

やっと樹海の入り口の前まで来ました。
冒険ではなく、観光ですが。


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一章 第五話

 朽ち果てた城壁に、赤い花が彩りを添えている。
 その城壁を幾つもくぐった先に、ぱっくりと口を開いた大穴があった。草木の緑と花の赤、そして青い空が南国の太陽に照らされて輝く中で、さらに輝きを放って大穴に落ちていくものがある。いくつもの細い滝が光を反射させて深淵へと流れ落ちいるのだ。その水飛沫が霧のようになって、穴から少し離れているアヴィーの頬まで飛んできた。なんて大きいんだろう、とアヴィーは目眩のようなものを感じる。
「この穴が、100年前の大異変で沈んだ部分だそうだ。」
 フェイデンが穴の奥をのぞき込みながら言い、カリーナがもっとよく穴を見ようとして身を乗り出し、マルカブに襟を掴まれ止められた。顔を真っ赤にしてマルカブを睨むカリーナと肩をすくめるマルカブを、にこやかに眺めながら、フェイデンはさらに説明をする。
「この穴を作った大異変と同時期に、街の地下に迷宮が発見されたんだそうだ。すぐ近くに下に降りる場所があってな、そこから迷宮に入れるんだぞ。」
「フェイデンさんは樹海に潜られたことがあるんですか?」
 カリーナが首を傾げて聞く。フェイデンは、うん、と頷いてから、
「ただ、最近はちょっと時間なくてなあ。二階層の途中までしか進めてないんだよなあ。・・・あんまりマリアに心配かけられないし・・・。」
「・・・やはり危険でしょうか?」
「あー、もちろん危険だなあ?」
 フェイデンはうーん、と首を捻りつつ、 
「まあ、危険だからこそ、準備を整えて迷宮に挑むわけだ。コツは無理をしないこと。そして、自分がすべきことはしておくこと。」
 あとは仲間だなー、と言いながらフェイデンは三人を見、
「三人かー。もう二人、仲間がいるといいなあ。うーんと・・・、・・・そう!回復ができる人とアタッカーが必要だとみた!」
「三人?」
「三人だよな?いーち、にー、さーん。」
 とフェイデンは、カリーナ、マルカブ、アヴィーと指し、頷いた。
「三人だ。」
「二人だ。」
 とマルカブが訂正し、フェイデンは首を傾げた。
「うーん?マルカブは数の数え方を間違えてるんじゃないかな?一緒に数えようか?」
「そんなことは今度生まれてくるアンタの子とやってくれ。アヴィーは冒険者じゃない。この街に勉強しに来たんだろう?」
 問いかけはアヴィーに向けて。ぼーっと周囲の景色を見ていたアヴィーは、きょとん、とマルカブを見た。
「え?何の話?」
「お前な・・・」
「それより、フェイデンさん。樹海の中もこんなに綺麗なんですか?」
 アヴィーは周囲を見回しながらフェイデンに聞く。魅入られたな、とフェイデンは感じながらも、
「いや、樹海の方が綺麗かな。緑が濃いんだ。」
 と答えると、アヴィーは「ここよりも綺麗なんだ。」と呟いた。ぐるり、とアヴィーは周囲を見回し、それからマルカブを見上げた。
「マルカブ、あのさ、僕、すぐに星術使えるようになるから、」
「断る。」
「僕、まだ何もお願いしてない。」
「お前、樹海に潜りたくなったんだろ。断る。お嬢ちゃん一人のお守りで大変なんだ俺は。」
「まだ何もお守りされてません。」
 カリーナが心底心外そうに呟き、それに被せるように、アヴィーは主張した。
「僕はカリーナほどお守りが必要じゃないよ!」
「アヴィー!それはどういう意味!?」
 カリーナは心底自尊心を傷つけられたという顔でアヴィーをきっ!と睨みつける。慌てて、「な、なんでもないよう。」とごまかそうとするアヴィーを見ながらため息をつき、マルカブはフェイデンを振り返り、
「フェイデンさんよ、アンタからもアヴィーに・・・」
「ああ、うん、まあ、いいんじゃないかな。」
「・・・何が。」
「僕のギルドの中にも14歳の子がいたしなー。ソイツはバカだったけど、アヴィーは賢いしなー。採掘でカブトムシの幼虫掘り起こしたり、毒キノコを考えもせず食べたりしないだろうからなー。そういう意味では、アヴィーならお守りも楽だと思うぞー?」
「そうですよね!僕、ハルほど馬鹿じゃないですもんね!」
 ぱっと顔を輝かせるアヴィーに、「比較対象がハルで、喜んでちゃダメだぞー。」と言いながらフェイデンはにこやかな笑みを返しつつも、
「でも、アヴィー。だったら尚更、ベクの宿題を解かないとな。確かに、何も力のない子がいきなり樹海に入ってもやられちゃうだけだ。」
「そうだそうだ。大体、お前、喧嘩だってしたことないような顔をして。魔物が出てビビっちまうのがオチだ。」
 優しく諭すようなフェイデンの言葉はしゅん、となって聞いていたアヴィーだったが、茶化すようなマルカブの物言いに、ぷい!とそっぽを向いた。カリーナが「そんなことないと思う。」と抗議をしたが、そんなもんだ、と返されて、カリーナもぷっ!と頬を膨らませた。
「うーん、まあ確かに、昔のアヴィーはお化けが怖くてシルンにしがみついてたからなー。」
「だから昔の話ですよ!!」
 フェイデンが首をひねりながら言った言葉に、アヴィーがむきー!と両手をあげて抗議したときだ、
 ダアン・・・!という砲撃のような音が世界樹の根本から響いた。
「・・・何だ?」
 その二秒後、世界樹の枝がパン!と音を立ててはぜ割れる。そして世界樹の小枝・・・だが大人一人分の大きさはあるだろう枝が折れ、下に広がる森に落下する。森から小鳥が一斉に飛び立った。
「・・・腕の悪い射手が弩を外したかな。まあ、とにかく・・・。」
 フェイデンが話を戻そう・・・というか混ぜ返そうとしたときだ、
 ガササササ!と茂みが揺れる音がして、そして茂みから大きな猫が飛び出した。
「!」
「伏せろ!」
 フェイデンが命じ、マルカブはアヴィーとカリーナの頭をぐ!と押して地面に伏せさせる。フェイデンは飛びかかってくる魔物から目を離さずに、ベルトから投げナイフを引き抜いた。彼が素早く腕を振った直後、猫の爪は、フェイデンの肩を掠め、彼の背後へと猫は着地した。
 マルカブが伏せた体勢のまま、ベルトに差し込んでいた銃を抜き、フェイデンの背後にいる猫へと照準を合わせる。マルカブにフェイデンが穏やかに「大丈夫。」と伝えるのと同時に、猫はゆらゆらと傾いでそのまま地面にぱたり、と倒れた。
「眉間に当てた。」
 そういいながら、痙攣している猫の狭い額から投げナイフを引き抜いた。一瞬の出来事だったが、急所を一突きにしたらしい。ぽかん、としている三人を見て、フェイデンはナイフについた血を拭いながら
「なんだかごめんなあ。樹海の外に魔物が出てくるなんて思わなかったから、みんなを案内したんだけど・・・。きっとさっきの砲撃音に驚いて、樹海の入り口を守ってる衛兵がそちらを見に行ったんだろうな。このオオヤマネコもあの音に驚いて、樹海の入り口から飛び出してしまったんだろうなあ・・・。」
 そう思うとちょっと可哀想だったなあ・・・とフェイデンは呟きながら、ふと地面に伏せたままの三人を見て微笑んだ。
「なんだあ、アヴィーもカリーナもやる気だなあ。」
 フェイデンの言葉に、マルカブは自分の腕の下にいる少年少女をみた。カリーナは一体どこに隠していたのか短剣を持っていたし、アヴィーはとっさに拾ったのか木の枝を握りしめている。マルカブが起きあがると、二人も身を起こし、
「大人しくやられるわけにはいきませんから。」
 とカリーナは当然のことのように言い、アヴィーもこくりと頷いた。しかしアヴィーは頭を掻きながら、
「でも、こんな木の棒じゃ魔物は倒せないよね・・・。」
 そう言って、持っていた木の棒をぽいっと投げた。フェイデンはにこやかに、
「まあ、そうだな。だけど上出来だ。今できることで、何とか生きて帰ろうとするのが冒険者だからな。」
 そして、ちらりとマルカブに視線を動かした。アヴィーはその視線に気がついて、きょとんとした様子でマルカブを見る。彼は、深いため息をついた後に、
「悪かった。前言撤回だ。」
「え?何が?」
「お前は魔物が出てもビビってない。」
「・・・ああ。なんだ、そのことか。」
 アヴィーは全く気にしてない様子で、
「僕は確かに喧嘩は苦手だけど・・・でも、エトリアの人間だもの。震えるのは魔物を倒してからにしろっていうことは知ってるよ。」
 そして、情けなく笑い、
「・・・何だよ、思い出したら震えてきちゃった。」
 と、小刻みに震える手を握っては広げ、を繰り返す。アヴィーはあらゆることに物怖じしないらしい、とマルカブは気がついた。つまり、他者を助けようとすることにも、自分がすべきことをすることにも、自分が震えるところを他人に見せることにも、物怖じしないのだ。
 そして、それはとても重要なことに思えた。
「・・・気に入った。」
 マルカブは膝を叩き、
「いいぞ、アヴィー。俺らと一緒に冒険しよう。」
 カリーナが、え?と聞き返し、アヴィーはきょとん、とマルカブを見返し、フェイデンは満足そうに頷いた。
「だから星術ちゃんと使えるようになれ。」
 よっこらせ、とマルカブは立ち上がり、アヴィーはぱあああ!と顔を輝かせた。
「うん!がんばる!」
「アヴィーと一緒なら楽しそう。」
 カリーナはアヴィーの隣で笑顔を見せ、改めてよろしくね、と手を差し出す。アヴィーは、うん!と握手を返した。
 フェイデンはそれを和やかそうに見つめながら、
「じゃあ、宿題のことを全力で考えないとなあー。」
 三人でなー、と、のんびりと言った。


(6話につづく)
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多分、自分で考えて行動している子どもが好きなんです、うちの赤パイは。
そして「俺と一緒に冒険しよう」は海賊の誘い文句のデフォルト・・・のはずだ!!


会話中に出てくる「ハル」はエトリアのギルメンです。
(以下は志水の中の設定です)
エトリア冒険開始時14歳の赤ソドです。
ギルドは5層攻略後に解散してますが、彼が数年かかって6層を攻略しました。
モリビトの少女に謝罪をしようと、樹海をくまなく探しました。少女とは再会できていませんが、
エトリア執政院とモリビトの生き残りの間で和解調停の交渉までこぎ着けています。
それも馬鹿なりに一生懸命だった彼の姿勢の賜物のようです。
そんな彼も今は27歳、三児の父です。
奥さんになるおさげカスメとの小さな恋のメロディーっぽい話はこの辺で

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