まよらなブログ

二章第2話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
ちょっと日が空いたので、本日は一挙二話です、昔のガンガン漫画みたいだ!(笑)


また、いきなり「あれ?誰視点の話なの?」というシーンからスタートします。
あまり深く考えないでお読みください。今日は眼鏡バリスタ周辺の顔見せです。




では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




では、バリスタの兄やん登場の話を。
相手の女性は、黒ウォリ子です。



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「泣くなよ、コロネ。」
「・・・だって、だって・・・!ウサちゃん、死んじゃった・・・!!」
「うん・・・、でも、泣くなよ。」
「死んじゃったんだよう・・・!」
 拳ほどの大きさの石の墓を前にして、7歳ほどの少女はしゃくりあげ、10になるかという少年はその隣で「泣くなよ。」と繰り返した。それで幼なじみの少女が泣き止んでくれるはずもなく、少年は空を仰いだ。夕日が沈み、空は群青。その中で、針の先のように光る明星と、薄い雲と、まあるい月。
「ほら、見ろよ。」
「・・・うー・・・?」
「月にウサギがいるぞ。」
 少年は月を見上げてそう言い、今度は少女を見て言った。
「だから泣くな。」
 少女はぱちくり、と瞬きをした後に、唇をとがらせて、
「・・・いないよう。」
「いるんだぞ。」
「いないもん。お月様の模様がウサギに見えるだけだもん。」
「あれはウサギがいる証拠なんだ。ばあちゃんが言ってたからな。」
「いないもん!」
「いる。」
「いないもん!」
「いるってことにしておけ!」
「いないもん!」
「いるの!」
「いないもん!ディスケはうそつきだ、うそつきディスケ!嘘ついたら、あたしに飴を一万億個くれる約束だったよね!」
「一万億なんて数字はねえの、ばーか。」
「ばかっていう方がばかだもん、ばーーか!!」
「それにおれが言ったのが嘘なのかわかんねえだろ、ばーーーか!」
「だって嘘だもん!」
「じゃあ、いつか月まで行って見てきてやる!」
 少年は、びしっと月を指してそう言った。
「ウサギがいたら、お前、罰ゲームだからな!」
「いいよ!ホントにウサギがいたら、あたし、ディスケのお嫁さんになってやる!」
「ば・・・罰ゲームなのかよ、それ!」
「ふんだ、ディスケのばーーか!ばかディスケのばーか!!」
 たーっと駆けていってしまう少女を、少年は慌てて追いかけた。
「ついてこないでよー!」
 と少女は言いながら、時々立ち止まって振り返る。月のように淡い色を放つ少年の金色の髪を確認し、また走り出しながら、ちょっとだけ思うのだ。月にウサギはいないけれど、本当にいればいい、と。




 そんなかつては少年少女だったディスケとコロネは、今では立派に大人になっている。そして、樹海の一階、少し奥まったところで、コロネは手近な石に座り、空に向けて弩を放つ幼馴染みを見ていた。彼は今でも月に向かっていこうとしている。
 でも、あんな賭けをしたことはきっと忘れてるんだろうな。
 そう思うとちょっとだけ腹立たしくなるのだ。コロネが一人で頬を膨らませると、ゴーグルをかけた幼馴染みは、ふとコロネを見て、
「何だ?」
「何もいってない。」
「そうか?じゃ、耳塞いどけよッ!」
 言うなり、彼は天に・・・というより太陽に向かって大弓を放つ。火薬が炸裂する音とともに、小さな筒をつけた矢は青空へ吸い込まれていった・・・ように見えたが、途中で空中分解した。
「あー・・・火薬の衝撃に耐えられねえんだよなあ・・・。」
「鉄を使ったら?」
「重いと飛ばないからなあ。」
 ディスケはゴーグルを外し、眩しそうに目を細めてから、
「今日はここまででいいや。つきあってくれてサンキュー。」
「あたしを護衛にするのは高いんだけどな。」
「しょうがねえなあ、一杯おごるよ。蝶亭に行こう。」
「うん、エールがいいな。それとー、おつまみ。貝の活きのいいのが入ってるといいな。」
「そうだな、外の席で飲むか。天気もいいし、きっと美味いぞ。」
 ディスケが弩をかつぎ上げ、コロネがぴょん!と飛び上がるように立ち上がったときだ、悲鳴が聞こえてきた。コロネは耳をすませながら、
「・・・近くに誰かいる。」
「おーおー、助けに行ってやれ。」
 人事のようにディスケは言い、コロネは肩を竦め、
「そうだね、営業活動してこようか。」
 鎚を持って、跳ねるように駆けだした。



「何で、オオヤマネコのしっぽを踏むんだよお!!」
「仕方ねえだろ!そこにあったんだから!」
「よりによってオオヤマネコ・・・!」
「じゃあ何か?森林カエルの舌ならよかったっていうのか!?」
「そういう話じゃないだろ!」
「どういう話でもいいから、喋るのやめて走りなさい!!」
 コロネが悲鳴の方へ走っていくと、黒髪の少年と赤毛の男が何か走りながら言い争い、そして併走する金髪の少女に一喝されて黙りこんでいた。三人の背後には、オオヤマネコが怒り狂って迫っている。コロネは、ふーむ、と息を吐きながらタイミングを見計らい、ひゅん!と鎚を投げた。
 鎚は放物線を描いて飛んでいき、そして三人の冒険者の頭上を越え、オオヤマネコの脳天に着地する。突然背後で「ごす!」という音を聞いた三人は後ろを振り返り、ヤマネコが地面にめり込むように倒れれているのを見て、立ち止まった。
 コロネは、ぱんぱん!と手を叩き、一同の注目を自分に向ける。
「はいはい、あなたたち新米冒険者?」
 突然のコロネの出現に、少女は男の背後に隠れるようにし、少年はコロネと鎚を交互に見て、男はコロネに声をかけてきた。
「じゃあ、姉ちゃんは熟練冒険者だな。」
「そうだねー、あたしはコロネ。傭兵みたいなことしてんの。」
「傭兵?」
 冒険者じゃなくて?と少年が聞く。
「お金で雇われていろんなギルドの手伝いしてんだ。お金があるなら、あなたたちの探索も手伝うよ?」
「悪いが金がないんだよ。」
 それが大問題だ、というように男は首を振り、はっと固まってから、
「・・・まさか・・・今助けてくれたことにも金を払えっていうわけじゃ・・・?」
「今のは広報活動。じゃあさ、口コミで広げてよ。『エルキュール』ってギルドが、みなさまの探索のお手伝いをします、って。」
「エルキュール?」
「あたしのギルド。あたしだけだけど。」
 あなたたちのギルド名は?とコロネが聞くと、
「『アルゴー』。」
 少年が、ちょっと得意げに言うのだ。コロネは、ふむ?と腕を組み、
「なんだっけ?どっかで聞いたことある名前だぞ?」
「大昔の異国の神話だろ?」
 と、弩を担ぎ、ざくざく音を立ててディスケがやってきて声を掛けた。少年と少女は興味津々といった様子で、ディスケの弩をじーっと見つめている。ディスケは子どもたちの視線に気がつき、触ってみる?と弩を軽く掲げて聞いた。子どもはぱっと顔を輝かせて頷いた。
「アルゴーって、大昔のそのまた昔の神話で、勇者が何人も乗ってた船の名前だよな?」
 ディスケは、ぺたぺたと弩に触る少年に、
「お前が名付けたの?物知りだな。頭良さそうな顔してるもんなー。」
「・・・俺が名付けたんだが。」
 と、赤毛の男が言うので、悪い悪い、とディスケは明るく謝った。「マルカブは意外と物知りよね。」「知識をうまく使えてないけどね。」と子どもたちがコソコソとそんなことを話すのを、男は「ガキんちょ共がいっちょ前に・・・!」と二人を睨みつけたが、二人はふーんと知らんぷりをして、
「だってね、もう少しで地図が埋まるはずなのに。」と少女。
「その時にマルカブが寝ているオオヤマネコのしっぽを踏むから・・・」と少年。
「寝息が聞こえるから気をつけろって自分で言ってたのに・・・」と少女。
「もう一週間も一階に挑戦してるんだから、そろそろ地図も完成させたいよね。」と少年。
「ああ!悪かったよ俺が悪いんだろ悪うございましたッ!!」と男。
 こしょこしょ話し続ける子どもとムキになった男の様子に、コロネとディスケはけらけら笑い、
「やー、可愛いギルドだなー。ねえ、どれくらい地図出来てるの?」
 コロネが尋ねると、少女が荷物から羊皮紙に描かれた地図を出す。コロネはそれをのぞき込み、
「あ、なんだ、ほとんど出来てるよ。」
「本当ですか?」
「この先、少し進むといいよ。樹海の入り口に向かって抜け道があるから、そこを探せば戻るより早く街に戻れるし。通せんぼしてる衛兵のところにもすぐに行けるよ。」
「本当ですか!?」
 ぱっと少女は顔を輝かせ、少年と男に地図を見せた。少年もぱあああ!と顔を輝かせ、男は頭を掻き、
「姉ちゃんたちも街に戻るところか?だったら、」
「だめだめ。あたしたちのこと護衛にするつもりでしょ?でも、一階の地図を完成させて元老院の許可もらってないギルドの探索の手伝いはしないことに決めてんの。」
 コロネはパタパタと手を振って、
「そうしないと、地下二階でそのギルドが苦労するから。」
 コロネの言葉に、少年は納得しつつもディスケの弩を眺めながら、
「そっか・・・、残念だな、僕、この道具をどう使うのか見てみたいんだけど・・・。」
 そして、これは武器ですよね?とディスケに聞く。ディスケは、おうよ!と気安く答え、
「武器だし、俺の研究道具だぞ!」
「研究道具?」
「そうそう、いつか月まで行くための!」
「月!」
 少年は、好奇心の固まりそのままで、
「本当にいつか月まで行けそうですか!?」
「そんなの、いつか行くために研究してんじゃん!」
 わはははは、と大笑いして答えるディスケに、少年はそれも「それもそうですよね!」と明るく答えている。それを呆れた様子で見ていた男が、隣の少女にぼそっと言った。
「・・・アヴィーは頭いいのにたまに馬鹿だよな・・・。」
「それがアヴィーのいいところだと思う。」
 いわゆる専門馬鹿っていうのかしら、と少女は首を傾げながら言い、お前はたまに毒がキツい、と男に返された。
 一方、少年とディスケは、
「この道具で、物体を飛ばすんですよね?」
「そうそう。とりあえず飛距離をのばそうと思ってさ、今はこんな小さいのしか飛ばしてないんだけど。」
「どれくらい飛ぶんですか?速度も出ると、衝撃も大きそうですよね?」
「おお!すごいぜ!何せ、一週間前に世界樹の枝を折ったぐらいだからな!こーんな、大人一人分くらいの太さの・・・・・・」
 ディスケが腕を広げて、枝の大きさを示すのを見て、
「あの時、枝を折ったのはお前か・・・!!」
 男が何かを思い出して頭を抱えたが、ディスケは全く頓着せずに、
「え?何?知ってんの?俺と弩の活躍、しっかり見てくれた?」
「見た、というより、世界樹が折れる音に驚いてオオヤマネコが飛び出してきた。」
「へー、ヤマネコもびっくりかー。」
「・・・それに襲いかかられたんだがな。」
「あっはっはっは!悪い悪い!まあ、でも今ここにいるってことは無事だったってことだよな、結果オーライ?」
 そうそう、結果オーライ!とディスケは一人で納得し、
「よし!じゃあ、少年!弩に興味あるなら樹海出たところでちょっといじらせてやるよ。」
「本当ですか!?」
「そうそう、だから、ちゃっちゃっと樹海から出ちゃおうな!」
 はい!と少年は答え、勝手に進めるな、と男は思ったが、いずれにせよこれまでの探索でボロボロだ。街に戻って休んでから先に進んだ方がいいので、口には出さなかった。




(3話に続く)
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と、いうわけでまたいきなり新キャラから始まりました。
コロネは黒ヲリ子で、ディスケは眼鏡バリです。子どもの会話を書くのは楽しいですね。

「アルゴー」というギルドになった三人ですが、
この時代になると、「アルゴー船の冒険」も
一部の人しか知らないマニアックな神話になっているんです。
あ、あと「エルキュール」は、「ヘルクレス」のフランス語読みです。
ここも星座関連の名前です。

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