まよらなブログ

二章第3話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
本日、二話掲載してますので、二章第二話がこの下の記事にあります。



では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。






では、二章3話目を。
キャラ多くなってきますが、まだまだいるんだよな、どうしよう。


---------------------------------------------------------------

「地下一階突破、おめでとー!」
「おめでとう?!」
 と、フェイデンとマリアが拍手をする。
「地下二階といえば、ビッグビルだな!」
「大喰らいね!」
「オオヤマネコに続く、『どう考えてもおかしいだろお前がここにいるの。』っていうバランスブレイカーな魔物だぞ!」
「鳥で大喰らいってことは丸飲みなのかしらね?」
「そういえば、森林カエルをオオアナコンダが丸飲みにしてたの見たぞ!」
「じゃあ、そのオオアナコンダをビッグビルが食べちゃうのね!」
「そのビッグビルをオオヤマネコが食べるんだな!」
「その亡骸はタイタンアルムの肥料になって、毒吐きアゲハが花粉を運び、お化けドリアンの実を結ぶのね!」
「食物連鎖の完成だな!」
「樹海ってすごいわね!」
「・・・と、これから遭遇するだろう魔物を紹介してみたが参考になったかなあ?」
 フェイデンに聞かれ、地下二階の冒険を終えて宿に戻ってくるなりの夫婦のやりとりをぼんやりと聞き流していたマルカブは、どうでもよさそうに言った。
「・・・とりあえず、あんたらの夫婦漫才は面白くないことは分かった。」
「やだ!夫婦漫才だなんて!恥ずかしい!」
 とマリアが頬を押さえて照れるのだが、何が?、と聞くのも馬鹿馬鹿しくなり、
「そんなことより、何の用なんだよ。」
 マルカブは宿の食堂の椅子を引き、どっかり!と腰を下ろした。時間は夕方前の4時で、他に人はいない。マルカブはめんどくさそうに夫妻を見上げた。
「俺だけ呼び出して。」
 マルカブの隣には、アヴィーもカリーナもいない。フェイデンが、
「カリーナは部屋にいる?」
「ああ、探索で疲れたから寝るって言ってた。アヴィーは師匠んとこ行ってる。呼んでくるか?」
「いや、まずはマルカブに知らせた方がいいかな、と思ってな。」
 フェイデンの言葉に、マルカブは眉を上げ、
「もしかして、アイツを探してる奴がいたか?」
「ええ、港でね。」
 マリアが腹を抱えながら、ゆっくりとマルカブの向かいの席に座り、
「15、6ぐらいの女の子を探してる人がいたの。フードをかぶってたから顔はよく見えなかったけど、マルカブさんより少し低いぐらいの背丈の男の人。腕が見えたけど、鍛えてある感じだったし、刀傷も見えた。女の子を迎えにきたおうちの人っていう風には見えなかったわね。その人が探してる女の子の特徴が、カリーナちゃんに当てはまるの。」
「マリアさん、話しかけられたのか?」
「ううん。港で働いてる人たちに聞いてたわ。まあ、この街にくるには港を通るしかないし・・・港での聞き込みは当然といったら当然よね。」
「・・・そうか。じゃあ、マリアさんの顔をそいつが見たわけでもないんだな。・・・なら、よかったよ。さすがに妊婦さん、巻き込むわけに行かないからな。」
「あら。お気遣いありがとう。マルカブさんは本当に紳士よね。もう少し知的な顔をしてたらぐっと来ちゃうわあ。」
「マ・・・マリア!僕がいるのにか!?僕という人がいるのにか!?」
「・・・というか、今さらっと失礼なこと言わなかったか・・・?」
「やだ!フェイデンが一番よお!」
 ばし!とフェイデンの腕を叩いて、マリアは笑い、「この夫婦、時々蹴り飛ばしたくなるな・・・。」とマルカブは遠い目をしながら思うのだ。一方、一言でフェイデンの機嫌を直したマリアが、
「あのね、マルカブさん。ここの宿はお客さんの情報を流したりしない宿だけど、他のお客さんからカリーナちゃんのことが知られるかもしれないでしょう?だから、しばらくカリーナちゃんだけでもウチに泊まったらどうかなって思って。あの子にどんな事情があるのか知らないけど、あの子は悪い子じゃないもの。」
「申し出は嬉しいんだけどさ、何で俺に言うんだ?カリーナ本人に聞けばいいじゃねえか。」
「いや、だってほら、ギルマスだし。」
「あのな、俺がギルマスだけど、あいつらの保護者じゃねえんだぞ。」
「でも保護者よねえ?」
 とフェイデンを見上げ同意を求めるマリアに、
「そうだよなあ?」
 とフェイデンは同意を返した。ほらね、とマリアは言ってから、
「それにね、私、心配しちゃうの。あの子にこのことを伝えたら、私たちに迷惑かけられないって、結局頼ってもこないんじゃないかなって。場合によっては、あなたたちからも離れちゃうかもしれないし。だったら、ギルマスからうまく言ってもらって、うちにちょっとの間、泊まるってことにした方がいいんじゃないかなって思うの。」
「・・・。」
 マルカブは腕を組み、髭を撫でてから、
「でも、そのマリアさんが港で見た相手が、もし本当にカリーナを追ってきた奴なら・・・俺はあんたたちにカリーナを任せるわけにはいかない。」
「あら、でも私もフェイデンも強いわよ?」
「分かってるよ。でも、腹の子は強くないだろ。」
 マルカブはそしてマリアの後ろに立っているフェイデンを見た。彼の思いは、マリアと同じであるとは思えない。フェイデンはマルカブの視線を受けて情けなく苦笑した。
「・・・ありがとな、マルカブ。心配してくれて。そこから先は僕が言うべきことだよな。」
「おうよ、人のいい嫁さんだと苦労するな。」
「ま!どういう意味!?」
「マリア、今はお腹の子のことを一番に考えろってことだ。カリーナが危険な目に合うことは避けたいが・・・、彼女を守りたい、と思うのは場合によっては自分を危険にさらすことだ。まして、マリアの身は一人の身じゃないんだ。僕らの子を守るのは僕らしかいないんだぞ?」
 フェイデンの言葉を聞いて、マリアは腹を撫でつつ、分かってるけど、とつぶやいた。
「でも、ま、」
 マルカブは膝をぱん!とたたいて、
「知らせてくれて助かったよ。あんたらが腹の子守るのと同じで、俺はカリーナの護衛をする約束もしてるし・・・」
 これを言ったら俺の負けだなあ、とマルカブは思いながらも、しかたがない、と口にした。
「ギルドの連中を守るのも、ギルマスの仕事なんだ。俺に任せておいてくれ。」



 一方その頃、アヴィーはベクルックスの家のリビングで長い計算をしていた。
「定点Aより、12月30日に北極星を観測した場合、高度と角度は以下の通りとなる・・・そのときの定点Bまでの距離と定点Cまでの高度が・・・」
 カリカリと鉛筆を動かし、
「・・・うーんと・・・」
 鉛筆を止めて、首を傾げた。
「ええっと、となると、この区間の角度が分からないといけないから・・・」
 再び鉛筆を動かそうとしたアヴィーの前に、どん!と少々乱暴な音を立ててお茶の入ったコップが置かれた。アヴィーは顔をあげて、コップを置いてくれた人物に微笑んだ。
「ありがとう、ミモザ。」
「べ、別に。あたしも飲むからついでに淹れただけ。」
 視線を逸らして、出来るだけそっけなさを醸し出そうとしている少女がいる。ふわふわとしたウェーブの掛かった髪の少女だ。
「うん、ありがとう。」
 アヴィーは素直に礼をいい、少女はかえって彼と顔をあわせにくくなり、「ふんだ。」といってきびすを返しかけた。
「ああ、待ってよ、ミモザ。あのね、教えてほしいんだけど・・・。」
 アヴィーは、自分より年下の、12歳の少女に教えを請う。少女はちらり、とアヴィーを見て、
「なによ、自分で解かないとダメなんだから。」
「分かってるよ。でもね、ここのところだけ教えてほしいんだ。これって、この公式を当てはめればいいの?」
 アヴィーがごそごそと本をめくりながら聞く。ミモザ、と呼ばれた少女は、見せてみなさいよ、と言いながら、アヴィーの隣に座る。
「どこよ?」
「あのね、ここの部分・・・」
 アヴィーの手元をのぞき込むミモザの肩と、ミモザに問題の書かれたプリントを見せるアヴィーの肩が触れそうになったときだ、
 ばたんッ!!と、もともと血色の悪い顔をますます青くさせたベクルックスが扉を開けた。そして、ごんごんごんごん・・・!と殺気をその背から漲らせながら
「アヴィー、帰りなさい。」
「え、でも。」
「帰りなさい!さもなくばメテオを呼ぶぞ!!」
 ただでさえ血色のわるい顔を幽鬼のようにさせて有無を言わせない口調でいう師匠に、弟子はおとなしく従うしかないのだった。



「もー・・・何だろう、先生、時々機嫌がすごく悪くなるよね・・・。」
 癇癪持ちなのかな・・・と、その理由に全く思い至ってないアヴィーはぶつぶつ言いながら宿に帰ってきた。そして、宿の入り口を開けようとしかけたが、
 いきなり扉は中から開き、中から誰かが吹っ飛んでくる。支えなきゃ!とアヴィーは思ったが、女の子と間違えられるようなアヴィーでは吹っ飛んできた男を支えられるわけもなく、
「・・・うわああああ・・・!」
 と情けない声を上げて、男の背中の下敷きになった。
「言いがかりだぞ、俺らはそんな女、知らない。」
 きゅう、と、男の下敷きになっていたアヴィーの耳に、そんな言葉が届く。同時に、よろよろと吹っ飛ばされた男が咳き込みながら起き上がる。その男の声は咳き込んでいても、聞き覚えがあった。
「・・・ふざけ・・・な!コロネは確かに、お前ら・・・ギルド・・・手伝いに・・・!」
 よろけながら立ち上がった男は、数日前に知り合ったディスケだ。その前に立つ冒険者らしい男は、鼻を鳴らし、
「証拠もない。」
「ふざけんなッ!!何でコロネだけ帰ってこねえんだ!!」
 掴み掛かろうとしたディスケの腕を払いのけ、男は彼の腹に拳を入れた。ディスケは激しく咳き込みながら、その場に四つん這いになって胃液を吐く。アヴィーは慌てて身を起こし、ディスケの背中をさすった。
 ディスケを殴りつけた男は、そのままスタスタと歩き去っていく。這うようにしても、それを追いかけようとしたディスケだが、もう一度激しく咳き込み、その場に崩れ落ちた。
「・・・おい、兄ちゃん。何があった。」
 声とともに、ディスケの元に屈む人がいる。アヴィーは顔を上げて、ほっと安堵のため息をついた。宿の中で騒ぎを聞いたらしいマルカブが、ディスケの肩に触れて問いかける。
 ディスケは、ひゅー、という音を立てて呼吸をしながら、
「・・・コロネが・・・コロネだけが、樹海から帰ってこない・・・!」
 拳を握りしめ、必死に顔を上げ、
「頼む・・・!コロネを、探してくれ・・・!!」
 そう、懇願した。



(4話に続く)
--------------------------------------------------------

初登場のミモザ嬢(ふるゆわゾディ子)は清く正しいツンデレ、というイメージです。
アヴィーは天然タラシ設定なので、お父さんは心配だと思います。
まあ、あれだ、昔のロイアイ的なそんなノリで。(笑)

こんな終わり方をしておいて、次回はモン爺の話になります。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する