まよらなブログ

二章7話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

何だか週刊化していますね。
そしてFAの感想更新時間とほぼ同時間に更新しますね。
まあ、いいか。生活リズムを整えるのは重要だよ。(違う)




本日、眼鏡バリの兄やんが仲間になります。
では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


では、二章7話です。



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 『アルゴー』にクー・シーが加入して二日後。宿の奥にある治療院で、ディスケは病室の扉を開ける。部屋のベッドの上で、コロネが長い黒髪を手櫛で梳こうと努力しているのが見えた。
「・・・コロネ、」
 二日間眠っていた幼馴染みが起きていることに、ディスケははーっとため息をつき、
「起きてたのか・・・」
「起きてたけど、」
 コロネは髪を肩の前に垂らすようにしながら、
「ノックぐらいしなさいよ。乙女の部屋に失礼な!」
「いいじゃんかよ、今更。」
 ディスケは取り合わず、ベッドの横のストールに腰をかけた。そして、出来るだけ静かに尋ねる。
「何か食いたいものとかあるか?必要なものとか。」
「うーん、大丈夫。さっき、様子を見に来てくれたのよ、ほら、あの樹海で会ったなんか可愛いギルドの三人組・・・」
「『アルゴー』の奴らか?」
「そう。カリーナちゃんに、着替え持ってきてもらうのお願いしたし。」
「そっか。なんか世話になりまくってるな。」
「うん?」
「お前を探しに、一緒に樹海に行ってくれたのもアイツらなんだよ。」
「らしいね。いい人たちだ。」
「それで・・・、何で、お前だけ帰ってこなかったんだ?」
「ああ、それがヒドいのよ。あたしのことカバの囮にしたの、依頼主のギルド。」
「カバ?」
「地下三階にいる、追いかけっこが好きなカバ。あたしは、どうにかこうにかカバから逃げて、野営地で一晩過ごしてさ、またカバから逃げてたんだけど、怪我しちゃってて。で、二階でトカゲに噛まれたことまでは覚えてるんだよね。」
「まあ、確かに毒にやられていたけどな。」
「いやー、もう一歩遅かったら、ヤバかったんじゃないかなー。」
「・・・コロネ。」
「うん?」
「そういうことは言うな。」
「・・・うん、ごめん。」
 コロネは入院用のスモッグの襟を掻き合わせながら謝った。ディスケは、ふー、と息を吐き、
「俺、考えたんだけどさ。」
「うん?」
「まあ、いいって言ってくれたらなんだけど、『アルゴー』に入れてもらおうかと思ってる。」
「いい人たちだし、そういう意味では安心だね。」
「おう。実力は全然ないみたいだけどな。でも、俺も喧嘩弱いし、丁度いいかなとは思ってる。」
「そうだよね。昔からあたしがケンカの助太刀に入ってたんだから。」
 コロネが笑い、そして顔を引きつらせて傷口を押さえた。慌てたディスケに、大丈夫、と微笑んで、
「でも、何でまた、冒険者になることにしたの?」
「このまま研究を続けててもドン詰まりになりそうだし。だったら海に沈んだっていう文明の力を探しに行った方がいいかな、と思って。」
「ふうん。それもアリかもしれないけどさ、あたしは、・・・あんまりアンタが決めたことにこういうこと言いたくないけど・・・、反対だな。だって、こういう目にディスケも遭うかもしれないんだよ。自分がケガするより、人がケガしてるのを見る方がドキっとするよ。」
「そうだけど、・・・・・・とっととさ、」
「・・・・・・?」
「月に行って、ウサギがいることを証明してこねえと。」
「・・・・・・・・・。・・・はい?」
「お前が死んじゃってからじゃ遅いんだな、と、今回のことでそう思った。」
 鼻の頭を掻きながらそんなことを言うディスケをコロネはじっと見つめる。7つかそこらのあの夜に、月にウサギがいたらどうしてやる、と自分は言った?
「・・・覚えてた?」
「まあ、それなりに。」
 ディスケは手を組み、しきりに指を擦り合わせる。どれだけ軽口を叩いていても実は緊張を隠しきれない彼のことを、よく知っている幼なじみは口の端を少しだけ上げた。
「・・・月にウサギはいないよ、ディスケ。」
「お、お前・・・!この流れでそういうこと言っちゃうわけ・・・!?」
「月にウサギがいなかったら、あたしに飴を一万億個くれるんだよね?」
 コロネは少なからず傷ついているらしいディスケをおかしそうに見つめながら、黒髪をくるくると指に絡め、
「でも、あたしはもう、子どもじゃないからさ、」
「・・・?」
「飴より、もっと甘いのがいいな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・、・・・えーっと」
 何かに気がついたらしいディスケは口を手で押さえ、一瞬目をそらして、そしてもう一度コロネを見て、聞いた。
「・・・・・・それも一万億個?」
「違うでしょー、ばかディスケ。」
 コロネは花開くように微笑んだ。
「一万億“回”でしょ。」


    *****


「おー、いたいた!」
 羽ばたく蝶亭でテーブルを囲んでいる『アルゴー』の面々を見つけて、ディスケは片手を上げつつテーブルに歩み寄った。
「ディスケさん。コロネさんに会いましたか?今朝、会いに行ったら起きてましたよ。」
 アヴィーが、もぐもぐと魚のフライを食べながら笑顔で聞く。おうよ、とディスケは答え、それから真顔になって深々と頭を下げた。
「本当に世話になった。ありがとう。・・・本当に、ありがとう。」
「そんなのいいんですよ、顔を上げてください。」
 慌てて手を振るカリーナに、「お前、何もしてねえじゃねえか。」とマルカブがエビのフライをかじりながら言い、キッ!とカリーナがにらむ。そんなことには全く頓着しないで、アヴィーは隣のテーブルから一つ椅子を持ってきてディスケに勧めた。その様子をクー・シーが笑って見ている。
 アヴィーに、どうぞ、と勧められ、ディスケは椅子に腰を掛け、
「更に申し訳ないんだが、」
 ぱん!と両手を合わせて、拝むように『アルゴー』に言った。
「俺をお前らのギルドに入れてほしい。」
 ディスケの一言に、一同(と言っても、クー・シーだけは笑って成り行きを見守るだけだが)は顔を見合わせた。言葉はなかったが、アヴィーとカリーナはギルドマスターに向かってにっこりと笑った。
「歓迎だ、ディスケ。」
 ギルドマスターであるマルカブが手を差し出した。
「お前の弩の威力は、俺らも欲しいと思ってたところだ。」
「世界樹の枝、ふっ飛ばしたくらいですからね!」
「おうよ!いやー、よろしく頼むわ!」
 ディスケはマルカブの手を掴み、ぶんぶんぶん!と振った。調子に乗りすぎだ、とマルカブはそれを払いのけた。
「でも、コロネさんは賛成してるんですか?」
 カリーナが少し心配そうに、
「今はコロネさんに付いていてあげた方が・・・」
「ああ、大丈夫。」
 ディスケはへらり、と笑って
「お前さんらのギルドに入るの、俺たちの総意だから。」
「・・・『俺たち』ねえ。」
 何だか妙に幸せそうなディスケの言葉に、マルカブが面白くなさそうに呟きながらエールの入ったジョッキを口に運び、「いやー、繰り返すなよ!」とディスケは上機嫌に、そのマルカブの背をバンバンバン!と叩いた。マルカブはむせて咳込み、アヴィーとカリーナが不思議そうに首を傾げ、「ううむ、若いっていいねえ。」と茶を啜りながらクー・シーがにこやかに呟いた。


 5人になった「アルゴー」が乾杯をしている店の片隅で、ちびちびとショットグラスを傾けている男がいる。20分ほど前にやってきた客だがほとんど気配を消していて、店の女主人すらその存在を忘れてしまうほどだった。
 その客は、乾杯後にそれぞれのグラスを一気に飲み干した5人組のギルドを・・・というよりもその中の一人である少女をしばし見やり、テーブルの上に置かれている藤のカトラリー入れから、そっとフォークを取った。その瞬間に視線を感じ、とっさに少女の隣に目をやる。長い髭の老人が、片眉を上げてこちらを見ていた。
 客はフォークを何気なくテーブルに置いたが、老人から目を逸らさなかった。今更、目を逸らしたところで、もう自分の存在はバレてしまっている。老人はそんな彼など最初からいなかったかのように視線を動かし、向かいの席に座っている少年の頬を指して何かを言っている。少年が頬を掻くと、そこについたご飯粒が指につく。それを、ぺろっと舐めた少年の様子に、金髪の男が笑い、赤毛の男が意地の悪い表情で何か言い、それに少年はムキになって何かを反論し、少女がおかしそうに腹を押さえながら笑うので、少年はますますムキになっているようだった。
 それを男は眺めながら、面白くなさそうに鼻を鳴らした。




(三章へ続く)
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ディスケとコロネ、当初はこんな仲になる予定はなかったんです。
きっと、最終回でプロポーズしたどっかの兄さんのせいだと思います。兄さんめー。

しかし、命狙われてるのに何で酒場なんか行ってるのかな、このアホギルド(笑)。


次回から三章です。
イマイチ目立ってない金プリ子・カリーナがメインなんですが
でも主役はウチの赤パイになりそうな予感です。

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