まよらなブログ

四章5話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

部屋の掃除をしていて、
妄想話の構想を練り始めた初期のネタ帳を見つけました。
メイン三人の大まかな背景は最初から決めていたのですが、
赤パイのキャラ設定に「生きていく為の悪事にはそれほど抵抗はなく善人ではない。」と
書かれており、「どこに行っちゃったんだ、このキャラは。」と首を捻るばかりです。

そしてこのネタ帳には、
しっかりと、「出会って別れる“まで”の話」を書かれているわけですが。はてさて。


それでもまだまだ出会って一ヶ月程度の彼らの話、
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


4章5話

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「いいかね、もう一回同じことをしたら、わしはお前をぶん殴って気絶させるからね?」
「わ、分かってるよう・・・。」
 巣の中心で休むナルメルとその周囲に湧いた虫のような魔物の動きを見つめるカリーナの後ろから、クー・シーとアヴィーのやりとりが聞こえる。アヴィーの肩は焼けただれていて、クー・シーの気功で治療はしたものの傷が癒えたわけではないし、体力も万全とは言えない。肩に再び星術用の機械を担いでいるが、その重さはいつも以上に感じられるのだろう。傷の持つ熱と機械の重さで、アヴィーの額には汗が浮いている。
「もういっそ、気絶させた方がいいかもしれないけどな。」
 カリーナと一緒に魔物の動きを観察していたマルカブが後ろを振り返らずにぼそり、と言うと、アヴィーの方が反応して、
「僕、大丈夫だからね!」
「何が、大丈夫だ。俺はこんなの、賛成できない。」
 マルカブが振り返り静かだが、キツい口調で言った。クー・シーは髭を撫でながら、
「そうだよねえ、わしも気功師として賛成できないよ。おとーさんのようなマルカブとしては、ますます賛成できないだろうよ、こう見えて心配性だからねえ。」
「誰がお父さんだ・・・!?」
 ぎぎぎぎ・・・!とクー・シーの髭を引っ張りながらマルカブは言い、そうしながらもその様子をへらへら笑って見ているディスケを睨みつけ、
「ディスケ。アヴィーがまた無茶しそうになったら止めろよ。」
「はいはい、分かってますよ、おとーさん。・・・って、これじゃあ、まるで俺がおかーさんじゃん?」
 ディスケが肩を竦めて言うと、マルカブはとりあえず抗議を表して更にクー・シーの髭を引っ張った。
「痛い!痛いよ、マルカブ!お髭は引っ張るもんじゃないよ!お前の髭も引っ張っちゃうよ!?いやむしろ、髪を引っ張って毛根を痛めつけてやる!ハゲろ!!」
「あー、もうどうでもいいけどよ!クー爺!お前は最優先でアヴィーを回復しろよ!」
「ラジャー!おとーさん!!」
「もう面倒だから反応しないぞ。アヴィー、絶対同じことすんなよ。それだけは約束しろ。」
「・・・うん。・・・でもね、」
 アヴィーが俯きがちに何かを言おうとしたが、マルカブはそのアヴィーに手を伸ばし、その額を指で弾いた。
「・・・あう!?」
 額を両手で押さえるアヴィーに、マルカブはため息混じりに
「・・・もう一踏ん張りだ。頼むわ、アヴィー。」
 マルカブは苦々しく、けれども柔らかく言うのだ。苦々しいのは、そうは言ってもアヴィーを貴重な戦力として扱わざる得ない自分だ、とその表情は告げている。自分が無理をして困るのは自分以上にこの人なんだな、と感じたアヴィーは、しゅん、と俯き、
「・・・うん・・・心配かけてごめんなさい。」
 そう謝ると、頭を撫でられた。だから、アヴィーは頷いて顔を上げた。
「・・・分かった。無理しないように頑張る!」
「・・・その答えはビミョーに分かってない気がするけどな・・・。」
 やる気満々のアヴィーの答えに、マルカブは頭を抱えて嘆息した。


*****


 ナルメルの周囲に現れた虫のような魔物は、刺激しなければ自ら寄ってくることはないようだった。魔物は気にせず、5人は一気にナルメルに総攻撃をたたき込むことにする。狙いは、傷ついたヒレの部分だ。
 一方のナルメルも、もう逃げられない、ということが分かっているのだろう。現れた虫のような魔物もナルメルの仲間、というわけでもない。逆に虫たちがいることで、ナルメルの移動範囲も限られてしまっている。
「もしかしたら、あの虫・・・、」
 クー・シーがナルメルから投げつけられた泥を避けつつ、
「わしらがナルメルを倒した後に、その亡骸を食ってしまうつもりなんじゃないかね!?」
 そう言ってから、泥の中に混ざっていた石を肩に受け、くぐもった声を出すアヴィーの回復に向かう。
「蜘蛛かと思ったが、蟻みたいだな!」
 マルカブがそう答えながらナルメルの顔面を狙って銃を撃つ。その隙をくぐるように、カリーナが剣を構えてナルメルに走り寄った。
「そんな!全部食べられたら、俺らの分の唐揚げがないぞ!!」
 そんなことを言いながら、ディスケは弦をぐっと掴んで引いて振るわせて弩についた泥を払う。そして改めて矢弾を込めて、素早く照準を合わせ、
「むしろナルメルを倒した後からが勝負じゃんか!」
 そんな軽口を叩きながら、矢弾を発射。狙いはカリーナが剣を刺し、アヴィーが雷を落としたヒレの傷だ。
 生々しく見えている肉に、ディスケが発した矢が刺さる。ナルメルは痛みに暴れるかのように、尾鰭を円を描くように回して振った。長い尾が描く円の中にいた5人は、それぞれが尾鰭によって弾かれる。尾が鎧に当たったことと泥の上に着地したことでダメージの少ないカリーナは、泥の中で身を起こし、周囲を見た。尾の一撃を腹に受けてせき込みながら胃液を吐くマルカブは、それでも視線と銃口をナルメルに向けている。ディスケは地面を滑るように転がって、離れたところで聞こえた金属音に視線を上げた。弩も一緒に弾き飛ばされ、彼から離れたところに落ちたのだ。クー・シーとアヴィーは重なるように地面に倒れていて、アヴィーがクー・シーを呼んでいる。回復中の攻撃に、とっさにアヴィーをかばったのだろう。クー・シーは、大丈夫だよ、と掠れた声で言いながら己の脇腹に手を当てて気功を使う。
 仲間の様子を一瞬で確認したカリーナは、この絶好の機会に素早い動きを見せないナルメルを見た。今、誰か一人に向かって尾鰭を一振りすれば、その一人は致命傷を負うはずなのだ。
 ナルメルもそれだけ消耗しているの・・・?
 そして、カリーナは次にはその考えが間違っていたことを知るのだ。ナルメルは全員と間を取って、とぷん!と泥の中に潜る。
「また逃げた・・・!?」
 カリーナは剣を支えにして立ち上がり、そしてそれも間違っていたことを知る。ナルメルの尾鰭が周囲の泥の上に時折現れる。その出現する場所はまちまちで、でも五人それぞれから一定の距離を保ち続けている。
「・・・あの魚・・・、攪乱する気か・・・!」
 腹を押さえて片膝をついて、マルカブが引き金を引いた。泥の上に現れていた尾鰭を狙うが、尾鰭は泥の中に隠れ、弾丸はむなしく泥に突き刺さる。別の場所から尾鰭が現れ、からかうかのようのゆらゆら揺れて、そして泥の中に消えた。そのまましばらく、なにも起こらない。
「・・・攻撃してこない・・・?」
 カリーナはつぶやいた。不意打ちをしてくるかと思ったが、そういうわけでもないようだ。注意は必要とはいえ、今のうちに治療をしてしまった方がいい、とカリーナは判断する。せき込むマルカブに向かって、メディカを取り出し駆け寄った。
 静寂が辺りを包む中、いつの間にか、虫たちも消えている。
 とてつもなく嫌な予感を感じたディスケは、弾き飛ばされた弩まで駆け寄った。それを担ぎ上げようとして、弓の弦が小さく細かくふるえていることに気がつく。風も音も周囲にはない。それなのに、何かに共震している。
 ーー地震はね、地下の大ナマズが暴れて起こるんだよ。
 幼い頃に祖母から聞いた話を不意に思い出した。嫌な予感が確信に変わって、ディスケは叫んだ。
「伏せろ!!」
 声と同時に、ずん!と地面が揺れた。いや、地面が揺れる、というような地震ではない。地面がひずむ。泥がたわみ、地面がずれ、5人の体は跳ね上がるようにして地面から離れ、そして重力によって地に叩きつけられた。
 ナルメルが泥から飛び出し、そのまま地面に倒れているカリーナとマルカブに向かって着地しようとする。マルカブはカリーナを抱えるようにして、泥の地面を転がった。彼の背中を固いヒレの先が切りつけて、ナルメルは再び泥の中へと消えていく。
「マルカブ!カリーナ!!無事か!?」
 身を起こそうとしながらディスケが叫び、それから視線をずらしてクー・シーとアヴィーを見る。そちらもどうにか耐えたようだが、それで精一杯だった。クー・シーは治療に回るために自分の治療をしており、アヴィーは肩を押さえつつ荒い息を吐いている。ディスケは、もう一度マルカブとカリーナに視線を移す。ふらつきながらカリーナは身を起こし、背中に大きな切り傷をつけ血をにじませているマルカブに、必死に何かを叫んでいる。
「カリーナ!そいつにメディカ!!」
 ディスケはそう言って、弩の弦を見た。再び弦は細かく振るえ始めている。先ほどの地震は、ナルメルが地中で泥を振るわせて起こしたものなのだろうが、細かい理屈はどうでもよかった。とにかく、第二撃が来る前にあのナマズを泥から出すしかない。けれども、ナマズの尾鰭すら見あたらない。
「・・・・・・は・・・」」
 ディスケは息を吐くように、笑った。
「ラッキーだなあ、俺ら。これもカリーナが会ったケセランパサランの効果かも。」
 立てるほどの体力もなく、ディスケは地面に座るようにして弩を構え、その発射口に弾薬を詰めた。
「どこにいるか分かんないなら、全部に当てるしかねえな!」
 詰めた弾薬は野営地でアヴィーと一緒に作ったものだ。雷の属性を火薬に込めた弾幕用の弾薬。ちょっと伏せとけよ!と仲間たちに伝えつつ、発射口を宙に向ける。ばしゅん!という音と煙を吐いて弾薬は巣の中心の空中に向かって撃たれ、空中で割れて周囲に飛散した。
 ちりちりと電気を帯びた矢弾が地面に向かって降り注ぐ。地面はもちろん泥であり、その泥のどこかにはナルメルがいる。泥に着弾した弾は同時に電撃を起こした。そして一拍の間。泥を伝う電撃を受けたナルメルが、体を振るわせながら飛び出してきた。細かい泥が飛沫になって降り注ぐ中、素早くディスケは通常の矢弾を装填した。泥で汚れた眼鏡を指で拭う。視界がはっきりしない中、大まかな照準で発射する。ナルメルに当てることが目的ではない。回復中の仲間たちに意識を向けさせないことが目的だ。
 泥に着地したナルメルはディスケを狙って尾鰭を持ち上げ、その先端を槍のように真っ直ぐにディスケに向かって突いてくる。ディスケはとっさに弩を盾代わりに構えたが、その尾鰭の槍は上からの棍の一撃に泥の地面へと沈んだ。
「爺さん!」
 無事か!?とディスケが問うよりも早く、ナルメルの尾鰭に棍を打ち込んだクー・シーはその尾鰭の反動を利用して跳躍。荒い息を吐きながらどうにか身を起こしたマルカブのそばに着地した。
「時間稼ぎはもう大丈夫!」
 クー・シー自身の治療も十分ではないのだろう。血色を悪くしながらも、クー・シーはいつもの調子でえへん!と胸をそらした。
「あとはもう、いつもの調子で打ち込んじゃってよ!」
 返事の代わりに、機械の駆動音。ディスケはそちらを見るまでもなく、
「よろしく、アヴィー!」
「うん!」
 アヴィーの返事と同時に、ナルメルに雷が墜ちた。




(四章6話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

うちのモン爺とうちのグラマンおじいちゃんは、
「おとーさん」を迫るか「孫婿」を迫るかの違いのみで、やってることが何一つ変わらない、
・・・・・・というそんな仕様でお届けしたいと思ってたんですが、
あまりにもどうでもいい会話で長々となったので、かなりがっさり削りました。


「大地震」を起こさせないことが、ナルメル攻略のポイントとは言え、
一回ぐらいは地震来ないと、ということで、「大地震」使わせました。
しかし、地震の一番の被害は周囲の建物などの倒壊の下敷きになること・・・
だと思うんですが、それって戦闘シーンとしては使いにくいし、
なによりあのナルメルの巣のど真ん中に、何か倒れてくるものがあるとは思えない・・・
ということで、「アースクエイク」系の技の(文章としての)使いにくさを感じた次第です。

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