まよらなブログ

四章6話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

現在(2010年10月12日?11月11日)、サイトの方にアップしている追悼企画、
あの話のロイおじさんが出来上がる背景に、
こっちの妄想話の保護者である赤パイを書きながら考えていたことがあるんです。
こっちの話ではまだまだ上手く書けてないんですが、
半年ぐらいグダグダの志水に、うちの赤パイを付き合わせた結果、
今回の追悼企画のロイおじさんがいるという。おのれ、増田めーーーー。
まあ、今後もグダグダ志水に付き合ってくれるのでしょう、
書き手に対しても面倒見のいいキャラで助かります。(笑)

そして、私も彼も、一応でも何らかの決着点に辿り着けるのか、はてさて。



それでは興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

4章6話

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 アヴィーからの雷を受け、ナルメルは体のあちこちに焦げ目のような火傷を作りつつ、それでも星術発動後の無防備なアヴィーに素早くにじり寄った。カリーナが、そのナルメルの向かう先に駆け寄り、そのままナルメルを迎え撃つよう剣を構えて走り出す。ナルメルは速度を上げ、カリーナを喰ってやらん、と口を開けて顔を持ち上げた。
 いっそ食べてしまえばいい、とカリーナは思って、剣の切っ先の向かう先を変えようともしなかった。
「そうしたら体の中から切り裂くだけだ!」
 迷いはナルメルの方に生じた。
 カリーナの剣の先から逃れるように、ナルメルは向かう先を泥の中へと変える。そうはさせるか、とカリーナの剣はしずみかけたナルメルの額に刺さる。ナルメルは最後の力で顔を振る。剣をつかんでいたカリーナは、その動きで振り飛ばされた。
 再度、エーテルを集めたアヴィーが雷を落とそうとして止まる。ナルメルと泥の中に落とされたカリーナの距離は近すぎた。
「アヴィー!もう一撃だ!!」
 そう声がした。そのマルカブの声に、アヴィーは何故か安堵して機械を発動させた。声の主は、絶対に自分のこともカリーナのことも見捨てない。そんなことはあの海の上で助けられたときから知っている。その上で、自分に次の攻撃を指示した、ということは、彼女は絶対に助けられるのだ。
 マルカブはクー・シーの治療を遮って、地面を蹴って身を低くして泥の中のカリーナに駆け寄り、彼女を掬い上げるようにして抱えて地面を転がる。アヴィーは星術を発動させた。カリーナはマルカブの肩の向こうで、雷が落ちたのを見る。そして、泥の飛沫が上がるのを見た。
 ナルメルはびくん!と体を振るわせて、地中から飛び出てきたが、そのまま泥に落下した。泥の飛沫を上げて、ナルメルは倒れていく。そして、半身を泥の中に沈めたまま動かなくなった。その音を聞き、周囲にいた虫のような魔物は急に姿を消した。
 カリーナはその後に、頭上すぐ上かから安堵か疲労か分からない溜め息を聞いた。はっとカリーナは身を起こす。そして自分を抱えるようにして救ったマルカブの背中に、まだ血が滲んでいるのを見たのだ。クー・シーは既にこちらに向かってくる。
「・・・ナルメル、倒れたか?」
 マルカブは地面に倒れたままでカリーナに聞く。カリーナは涙ぐみながら、うん、と答えた。
「・・・アヴィーたちは無事か?」
「うん、マルカブが一番怪我してる。」
 そりゃ良かった、とマルカブは苦笑して、ゆっくり身を起こす。カリーナが首を振って、
「良くない!!」
「・・・大した傷じゃねえだろが。」
「マルカブはアヴィーを叱ったのにこれじゃ全然説得力がない!」
 カリーナは声を上げ、それから、うー、と唸るようにしながら泣き出した。
「・・・あ、お前、泣くなよ!」
 慌てるマルカブの声に、カリーナは首を振り、
「・・・・・・私を庇ったせいだ・・・!」
 カリーナは両手で顔を覆ってしゃくりあげ始めた。治療のために近寄ってきたクー・シーが、「あーあ、泣かしたー。」と意地悪くマルカブを見下ろした。マルカブはそれを睨み返してから、溜め息混じりに彼女の頭をよしよしと撫で、
「泣くな、カリーナ。みんな無事ならそれが一番だ。」
 と言いながら、これじゃあ本当に「いい人」だな、と思って嘆息をした。


*****

 クー・シーによる治療を終え、ナルメルから髭と切り身を持ち帰ることにして、一行はナルメルの巣の奥に進んだ。途中、ムロツミの二人組がやってきて、調子よくお礼を言いつつ街に戻るのを見送る。アルゴーの面々も、街に戻って傷を癒すなり泥だらけの体を風呂にいれるなりしたいのだが、この奥に続く二層への興味が打ち勝ったのだった。一歩だけ地下五階に足を踏み入れよう、と彼らは決めた。
 そして一行は地下五階へ続く階段をのぞき込む。階段の壁は蒼く見え、水が流れ落ちていく。目がいいアヴィーが奥をのぞき込み、
「・・・暗いけど、下の階にも青が見える。」
「なんだか涼しそうな場所だなあ。」
 ディスケが暢気な感想を述べた。カリーナと言えば、少し嬉しそうにして、
「どんなところなのかな、二層って。」
 と、今にも駆け降りていきそうだった。なので、マルカブが
「・・・五階に入るのは一歩だけだぞ。すぐに糸使って街に戻るからな。」
 と、釘を刺し、クー・シーがぼんやりと階段を見つめながら
「五階には樹海磁軸っていうのがあるはずだよ。それを使えば街に戻れるはずだから、糸を使うよりいいと思うよ。」
 などと言った。4人はそんなクー・シーをきょとん、と見つめ、その視線に気がついたクー・シーは、
「・・・ああっと!!!わしったら口を滑らせたよ!今の無し無し!おじいちゃんは嘘つきだから真に受けない方がいいよ!!」
 と手を振りながら言うのだ。
「おじいちゃん、昔も冒険者だったんだよね?」
「でも、二層まで行ったっていうのは初耳。」
「なんだよ、爺さん。じゃあ、今までの樹海のこと全部分かってたんじゃんか。」
「・・・先に言え、そういうことは!」
「だから、おじいちゃんのただの嘘だよ妄言だよ、そうそう!おじいちゃんもとうとう耄碌したんだよ!」
 マルカブに髭を引っ張られながら必死でしらばっくれようとするクー・シーに、アヴィーが無邪気に「二層ってどんなとこ?」と聞くと、
「蒼と赤が美しい階層だよ。よーく、見ておくといい。」
 と、そんなことを答えるので、さらに髭を捻りあげられた。


*****

 暗い階段を降りた先。急に視界が開ける。そこに差し込む光は仄かな明るさだったが、暗い階段から出てきたせいでまぶしさに目を細める。
 天井と壁にはゆらゆらと揺れる水面。道の横には赤い珊瑚。そして、仄かな光が差し込むその空間は蒼。天井と壁はガラスのような透明なもので出来ており、その壁の向こうに見えるのは海中だった。
 階段の先、地下五階。そこは海の底だった。
「・・・鯨がいる!」
 天を見上げながらアヴィーがびし!と指を指す。そこの空は海。その海の中を小型の鯨がゆったりと泳いでいる。
「・・・本当に海の底かよ・・・。」
 マルカブはあたりを見回した。ガラスの壁かと思っていたものに触れると、かすかに弾力があった。壁は光の差し込む方向によって、虹色に変色する。
 マルカブは、鯨を追いかけるように走り出そうとしたアヴィーとカリーナの襟をつかんで止めながら、どうやら自分達は大きなシャボン玉の中にいる、と考えればいいのだろう、と思う。ここの迷宮は、海底を大きなシャボン(のようなもの)が巡り、その中に空気が溜まり道になって出来たもののようだ。
 ディスケが道の横の珊瑚を見るために屈む。海底の蒼と珊瑚の赤。鮮やかなコントラストを作る赤い珊瑚を指しながら、
「なんかこいつらから、泡がでてねえ?」
「ここの珊瑚は特殊な粘液を出すらしくて、その中に空気がたまってこの迷宮の道になったらしいよ。」
 とクー・シーがえへん!と胸を反って解説をする。
 その時だ、ざくっという足音と「ずいぶんと詳しいな。」といぶかしむような声と共に、東洋風の派手な衣装をきた剣士が姿を表した。ナルメル退治のミッションを受けるまで、4階の道を塞いでいた若い男だった。

*****

 その、元老院ではクジュラと呼ばれていた男から北に樹海磁軸があることを聞き、その光の柱のような磁軸を使って、一行は街に戻ってきた。元老院に報告に行く前に、宿に帰り、泥を落とすために風呂に入ったり、きちんとした治療を受けたりしたが、その後は疲れのせいで眠ってしまった。空腹を感じて目を覚ましたときは夕方になっていた。
 一行は、元老院に報告に行きながら、蝶亭に夕食を食べに行くことにした。(ナルメルの切り身は一部をフィニック家にお裾分けして、残りは店で調理してもらうことにした。)元老院に報告に行くと、二階層に進む許可と金一封を貰い、「今日は好きなだけ食って飲んでよし!!」というギルマスの許可も出て、そのまま蝶亭に向うのだった。


「・・・で、何でこうなるんだろうな・・・」
 と、マルカブがぼやいたのは、星も高く上がる深夜。彼の背中にはアヴィーが背負われていて、くー、と寝息をたてている。そして、その前方ではカリーナとディスケが上機嫌に笑いながら肩を組んで千鳥足で歩いている。
「・・・もうお腹いっぱいだよう・・・」
「・・・どれだけ幸せな夢を見てるんだよ・・・」
 背中から聞こえてくる寝言にツッコみを入れていると、前方のカリーナがぴょん!と花壇に飛び乗って縁に沿ってふらふらと歩き出すので、
「カリーナ!降りろ、危ねえぞ!」
「平気----!」
 カリーナは花壇の縁で片足で立ちながらマルカブを振り返った。街灯に照らされた顔は赤ら顔。酒を飲んでいるのだ。
「ほらほら、カリーナ。おとーさんをあんまり心配させるもんじゃねえぞ?」
 あっはっはっは、といつも以上に上機嫌に笑いながらディスケはカリーナを抱き上げるようにして花壇から降ろす。彼も酔っているようだ。
「・・・人が便所行ってる間に、ガキんちょに酒を飲ませたのはどっちだ・・・?」
 マルカブは斜め後ろを歩いているクー・シーをぎ!と振り返る。クー・シーは肩をすくめ、
「そんな質問、意味がないと思うねえ。だって、わしとディスケだよ?一緒になって飲ませようとすると思わないかね?」
「・・・二度とするなよ・・・。」
「子どもたちが大人になるまではしないでおくよ。」
 クー・シーは苦笑混じりに答える。その前方で、カリーナとディスケが上機嫌で歌いだし、「近所迷惑だろうが!」と小言を言い出したマルカブを見て、
 何故か小さくため息をついた。
「おとーさんが怒ったぞ、カリーナ!」
「あははは、怒ったーーーーでもぜんぜん怖くないーーーー。」
 と、二人は駆け出し、「そんな足で走るな!転ぶぞ!」と慌てて追いかけようとしたマルカブに、
「ねえ、マルカブ。」
 クー・シーは声をかけた。
「あ!?」
「お前さんは、その子たちを守るつもりかね。」
「・・・・・・あ?」
「・・・わしは守りきれなかったから、」
「・・・・・・・・・え?」
「守れるところを見せてほしいよ。」
 そう一方的に言って、再び歌いだしたカリーナたちのところまで走っていき、
「その歌、知ってる!おじいちゃんも歌うよ!」
 と調子の外れた声で参加し始めた。
「・・・・・・なんだよ。」
 クー・シーの突然の言葉に、立ち止まったマルカブは呟く。そんな彼の背中で、
「・・・僕、もう食べられないよう・・・・・・」
 幸せな夢を見ているアヴィーは、えへへ、と笑って寝言を呟いた。


(五章に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

4章終了です。
ナルメル戦、あまり苦労してない感じですが、むしろケトス戦で大ピンチにしたいです。
一階層での話は5人(主にメイン3人)が仲良くなる話なので、若干甘めの味付けでした。

次回から二階層です。二階層で書きたいことは決まってるですが、
新キャラが増えたりしてどうにもまとまらないので、ちょっと一週お休みします。
代わりに、その頃のエトリアのパラ子とメディ子を書くかもしれません。

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