まよらなブログ

五章5話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

先日の日記でお知らせした通り、金曜ですが更新します。
あれだ、月曜が祝日のときのWJの様な感じで更新していけばいいんだ、と
そんなことを考える今日この頃です。


そんなこんなで、今日で五章は終了です。
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

五章5話
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「おお!これはまた可愛い子たちだね!新しい孫だね!ひゃっほーう!おじいちゃん可愛がっちゃうよーーー!」
「だからダメでしょ、クー・シー!思いっきり引かれてる!」
 サビクとアル・ジルに抱きつかんばかりのクー・シーの髭をつかんでカリーナが止め、マルカブがクー・シーの首に腕を回してズルズルと引きずって二人から引き離した。クー・シーはマルカブの腕を叩いて、降参を示しながら、
「おとーさん、隠し子かね?」
 と聞いて、今度は本気で首を締められた。
「うげほげほ!窒息するよ!」
 と言いつつも、クー・シーはにゅるーん!と腕からすり抜けて、腰帯の間に挟んでいた紙の束を抜いてマルカブに突きつけた。
「何だ?」
「地下5階と6階の地図の一部。」
「・・・何でそんなの持ってんだ?」
「言ったろう?わしは昔、冒険者だったって。その時の地図とその頃のツテを使って、ちょっと地図をまとめてみたよ。おじいちゃんが、休日中もそんな風に探索の為になることを考えているのに、おとーさんったら隠し子連れてきて、ぐすんぐすん。」
 顔を覆って嘘泣きをし始めたクー・シーだが、マルカブが何にも反応しないので、顔を覆う指の間からちらりと彼を見た。マルカブは地図をじっと見つめている。その視線は驚きに満ちている。それでいて、期待も落胆も感じられるのだ。
「どうかしたかね?」
 クー・シーが問いかけると、マルカブは地図をクー・シーに突き返すようにして押しつけて、自分の懐から一枚の地図を取り出した。
「む?何だねそれは?」
「・・・・・・同じだ。」
 赤い丸がついている、かつての仲間の地図を見て、マルカブは呟いた。
「何だね何だね。マルカブも二階層の地図を持っているのかね。地下何階・・・」
「お前の持ってきた地図の6階の・・・欠けた部分も描いてある。」
「ほう。それでは、それとこれを合わせれば完成かね?」
「そういうわけでもねえけどな。ほら、この辺。真ん中ら辺の小部屋が、こっちの地図には書いてあって、そこに丸がついている。」
 ここに何かあるのか?と呟くマルカブの視線は地図に注がれている。だから、クー・シーが冷たい視線で地図を見つめながら、口元を歪めたことに気がつかない。クー・シーの背中側にいたカリーナも気がつかない。ただ老人の背中を見ていたアル・ジルが、クー・シーのわずかな肩のこわばりに気がついてカリーナの袖を引っ張った。カリーナはそれを別の意味で誤解した。
「あ、ごめんね。クー・シーは変な人で・・・」
「・・・あのおじいちゃん、」
 何かを言おうとしたときだ。クー・シーはくるり、と振り返り、
「いやいや、お嬢ちゃんも素直な子のようですな!おじいちゃん、嬉しい!!今後もよろしくね!」
 いつもの調子でそんなことを言い、くるうり、と回る。アル・シルはおずおずと、頷いた。
「あらあら、おじいさん。いらっしゃい。いつも楽しそうね。」
 マリアがお茶を運びながら廊下に出てきて、クー・シーに挨拶をする。(部屋の家具を運び終えたので、約束通りお茶にするつもりらしい。)
「お邪魔しております!ドルチェちゃんはお昼寝ですかな?」
「ドルチェはリビングのゆりかごにいますよ。顔を見ていって。」
「見ます見ます!!」
 クー・シーはひょーん、とリビングに去っていく。マリアが、お茶にしましょうね、とカリーナたちに声をかけ、リビングへと入っていった。カリーナたちもリビングへ向かいかけ、カリーナはじっと地図を見つめるマルカブの様子に気がついて立ち止まる。しんっと立ち尽くす彼は、懐かしむように諦めるように、取り返しのつかないものを思うように、地図を見つめている。
 そんな顔を見たことはなかったし、見たくない。そう、カリーナは思った。
「・・・マルカブ?」
「・・・あ?」
「・・・泣いてるの?」
 おずおず、と問いかけた言葉に、マルカブはきょとんとカリーナを見つめる。それからみるみる苦笑を浮かべ、手を伸ばして彼女の頭を乱暴に撫でた。
「そんなわけあるかよ。」
 マルカブはそう言って、地図を畳んでリビングへと向かっていった。カリーナはくしゃくしゃになった髪を撫でつけようとしながら、その背中を見つめた。
 ・・・まるで知らない人みたい。
 そう思ったが、すぐに打ち消す。そうじゃない。知らないことの方が多いんだ。
「・・・。」
 何故だか、カリーナの方が泣きたくなった。


*****


「先生、帰ってきて良かったね。」
 ベクルックスとミモザの家で、アヴィーはニコニコしながらミモザに声をかけた。ミモザは素早くアヴィーから目をそらし、
「・・・探してくれてありがと。」
 と、ごにょごにょ口の中だけでお礼を言う。よく聞き取れずに、アヴィーが「なあに?」と聞き返すと、ミモザはぷん!とそっぽを向いて、
「何でもない!!」
「?」
「何でもないのッ!!」
「わ、分かったよう。・・・あのね、ミモザ。よけいなお世話かもしれないけど、そんなに怒らないでよ。僕だって、ちゃんと言ってもらえば分かるし・・・それにミモザは怒ってない方が可愛いのに。」
 素直なアヴィーが素直な感想を言うと、ミモザは口をぱくぱくさせながら顔を真っ赤にさせた。アヴィーが首を傾げ、どうしたの?と問いかけると、
 ベクルックスが扉をばたーん!!と開けてやってきて、
「アヴィー、なんだそれは、お前は師の娘を口説くつもりか、ならば破門だって考えるぞ、確かにミモザは亡き妻にそっくりで、私が彼女と会ったのも15のころだったが、だからといって、いやだからこそ、許すわけにはいかないのだ、どうなんだ、何か言うことは」
 ずんずんずん!と歩きながら、アヴィーに詰め寄る。全くそんな気のないアヴィーは、師匠の迫力に押されて後ずさりながら
「ぼ、僕は思ったことを言っただけで、ミモザは可愛いと思うけど、それは、えっと、妹みたいな感じで・・・」
「・・・何よう!!あたしの方が姉弟子なんだらッ!!」
 ミモザは顔を真っ赤にしてそんな主張をし、
「あ、あたしだって、あたしだって!!別にアヴィーのことなんか何とも思ってないんだから!!」
 うわあああん!と何故か泣きながら、ミモザは二階へ上がって行ってしまい、ベクルックスはアヴィーの頬をぐぐぐぐぐ・・・!!と引っ張った。
「しぇ、しぇんしぇい・・・いひゃいでしゅ・・・」
「お前・・・私の娘にあんなことを言わせて無事で済むと思っているのか・・・?」
「・・・?」
「私の妻も昔はあんなことを言っていたが想いを確かめてからは・・・・・・・・・、いや、いい、何でもない、その通りになったら困る。」
 ベクルックスは何か(おそらく若い頃の妻のツンデレぶりだ)を思いだしたらしく、手を離す。全くそういったことに疎いアヴィーは首を傾げる。それにますますイラッとしたベクルックスは、
「もう帰れ!!さもなくばメテオを呼ぶぞ!!」
「は、はい!!」
 アヴィーは、お邪魔しました!とぺこり!とお辞儀をして、玄関を開ける。苛立たしげにつま先で床を叩いていたベクルックスは、ふと思い出す。かつての仲間に、5・6階の地図を渡したことを。
「・・・アヴィー!」
 玄関から出ようとしたアヴィーをあわてて呼び止めた。アヴィーはびくッ!と肩をすくめて振り返る。
「・・・・・・、探索は順調か?」
「・・・は、はい。」
 打って変わって、師から躊躇いがちに問われた言葉に、アヴィーはおずおずと頷いた。そうか、とベクルックスは頷いて、
「・・・無理はするな。」
「・・・あ・・・あの、もしかして、おじいちゃ・・・クー・シーから聞いたんですか?さっき、先生に会ったって・・・」
「・・・ああ。エーテル圧縮を無理にして、火傷を負ったことは聞いた。」
「・・・・・・あ、あの、でも、ナルメル退治に必要なことで、」
「・・・今度、エーテル圧縮については教える。後日、来なさい。」
 ベクルックスは、ため息を隠しながら言う。結局、かつての仲間に対しても、この弟子に対しても、20年近く疑問と後悔を抱き続けている自分自身に対しても、今の自分が出来ることはそれくらいなのだ。
 素直な弟子は、苦々しさを押し殺した師匠の言葉に、ぱっと顔を輝かせた。
「ありがとうございます!」
 ぺこり、と頭を下げてから、お邪魔しました!と挨拶をしてから駆け出していく。
 ベクルックスは玄関の扉を見つめながら、これではまるで原罪じゃないか、とそんなことを思うのだ。



(六章に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

師匠の娘と父の弟子、と書きますと、当サイトでは真っ先にロイアイのことを指しますが、
アヴィーとミモザの関係は実はミツメイ(逆裁)から発想してます。(笑)

さて、次回から6章です。
そろそろ赤パイのかつての仲間のことも書き出さないとな、と思ってますので、
6章もいきなり「いつの話だ?」から始まります。6・7章は、大人っぽくしたいです。(え?)

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