まよらなブログ

六章3話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

志水の「世界樹の迷宮?」のデータでは、
黒ゾディ以外のメイン4人は引退して、第二部のキャラが三竜倒したりしてるんですが、
「・・・寂しいなあ。」と思って、再度メイン4人を登録し直しています。
・・・・・・・・・何ていうか、末期だなあ、と思いました。(笑)


では、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

6章3話
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「ただいまー。」
 ディスケとマルカブが薪を抱えて野営地に帰ってきた。おかえりなさい、とアヴィーとカリーナは声をかけ、そしてじーっとマルカブを見上げる。
「・・・何だよ?」
「うん、何でもないんだけど。」
「やっぱりシェリアクさんには似てないのにね?」
「誰だよ?」
「さっき会った重騎士の人。ディスケより背が高いんだよ。」
 アヴィーが小さい体で、こーんなに大きいんだよ、と腕を伸ばして示す。それでもアヴィーの指先は、ディスケの頭の先に届かないのだが。
「お前らさー、知らない人にほいほい声をかけちゃダメだろー、」
 ディスケは薪を下ろし、マルカブを指しながら、
「・・・って、おとーさんがいつも言ってるだろー。」
 笑ってそんなことを言う。何か言いたげなマルカブは無視して、平気だよう、とアヴィーが口を開いた。
「だって、カリーナのこと助けてくれたんだよ?」
「・・・なんか危険なことでもあったのか?」
 マルカブがカリーナに聞くと、カリーナは首を振った。アヴィーがぷ!と頬を膨らませながら、
「カリーナね、街で男の人に絡まれたんだって。」
「アヴィー!言わないでって言ったのに!」
 カリーナがアヴィーに抗議したが、そのカリーナの肩をマルカブががし!っと掴み、
「そういうことはちゃんと言え。」
「だ・・・、だって、だって、」
「言いにくいことだって分かるけどな、言え。・・・それで・・・答えにくいことだって分かるけどよ、正直に答えてくれ。何かされたりしたのか?」
「されてないッ!!シェリアクさんが助けてくれたし!」
「・・・本当だな?」
「本当!!何だったら、シェリアクさんとエラキスさんに聞いてよ!」
「・・・そうか、それならまあ、いいんだけどよ・・・・・・って、よくねえよ!お前なあ、あからさまに世間知らずなお嬢さんって格好してんだから、街歩くときは気をつけろ。」
 肩に手をおいて、やっぱり身を屈めて言い聞かせるマルカブの様子に、カリーナは少しだけほっとしつつ、・・・なんだか無性にムカムカしてきて、
「もう!いいでしょ!!」
「いいわけないだろが!!何かあったらどうするんだ!?」
「マルカブは心配性すぎるの!こんな髭生やしておいて!」
「髭は関係ないだろ!?・・・って、引っ張るなよ!引っ張る髭はクー爺のだけにしろ!」
 そんなやりとりを眺めて、アヴィーはニコニコし始めて、
「よかった。マルカブ、いつもと同じだ!」
「何がだ!?」
「何がって、おとーさん機能が発揮されたってことじゃねえの?」
 ディスケがしれっと言うと、だから俺は父親じゃねえぞ、と呟いて、それでも年頃の娘に寄せる心配は消えていないので、
「・・・とにかく、カリーナ。一人で路地裏とか入るなよ。」
「わ、分かってる。」
 ものすごく真剣に言われてしまい、カリーナはこくん、と頷いた。それをヘラヘラ笑って見ていたディスケが、
「で、どうするんだ?野営の準備は出来たけど、一休みしてまた進む?」
「・・・あー・・・」
 マルカブはカリーナの肩から手を離し、身を伸ばして頭をかきながら、
「どうすっかな。お前ら疲れてんだろ?」
 カリーナとアヴィーに聞く。二人は「平気!」と同時に言って、
「「行けるところまで行ってみようよ!」」
 ね!と二人は顔を見合わせ、笑い合った。
「さっきまでとは全然違うなー、二人とも。」
 ディスケは吹き出しそうになるのを堪えつつ、
「おとーさんがいつも通りなら、子どもは安心するんだよなー、やっぱり。」
 とわざとらしく呟いて、だから俺は父親じゃない、とマルカブはいつものように抗議した。

*****

 『アルゴー』はその後、6階への階段の前までたどり着く。その階段の前で、下るか一度街に戻るかで、クー・シーとディスケがそれぞれ主張し始めた。
「わしはね、やっぱり先に進むべきかと思うんだよね。」
「いいや、俺は戻るべきだと思うんだけどな。6階の地図って未完成なんだろ?今度こそゆっくり行くべきだ。」
「そうかねえ。またここまで来るの大変だよ?」
「だからこそ、抜け道を開けながら磁軸まで戻った方がいいんじゃねえか?」
「そうかねえ。行けるところまで行っちゃった上で、糸で戻るといいと思うんだがね。どう思うかね、アヴィー。」
「え?僕?」
「爺さん、ずるいぞ。同意者増やすつもりだろ?」
「多数決という数の暴力だって使用すべきところでは使用するよ。で、どう思うかね、アヴィーは。」
「う、うん・・・。あのね、僕はもうちょっと進めると思うよ。先に進んでから糸を使って帰った方が、糸代ももったいなくないし・・・。」
「うちのギルドが貧乏なばっかりにそんなことで先に進むつもりなのかよ。カリーナ、お前はどう思う?」
「私、戻った方がいいと思う。クー・シー。あなただって癒しの技を使うのにも限界が来てるんじゃない?」
「うう、お優しい姫様。この老人の体を労わってくださるのですか。」
「いいえ。あなたが倒れたら私たちも倒れるから。だから私はあなたが倒れるようなことは避けたいの。」
「さすが、兵糧と後方支援の確保が戦場の士気にいかに関わるか、よくご存じで。とはいえ、わしはもうちょっといけますぞ。」
「あのさあ、爺さん。爺さんだけじゃなくて、さっき会ったムロツミの子たちもなんだけど。二階層に来てからおかしくねえ?」
 ディスケはゆっくりと二階層の海の底の迷宮を見渡して、ムロツミの二人の名前を出した。
「アガタがいうには、カナエの親父さんは二階層から戻ってこなかった。カナエが言うには、誰かが魔物から自分を庇う夢を見ている。」
 俺らには関係のない話だろうけどさ、とディスケは言いつつも、
「・・・それって、簡単に結びつけられるだろう?」
「つまり、二階層には魔物がいて、それにカナエちゃんが襲われて、それを父君が庇った、ということかねえ?」
 クー・シーが暢気に言い、アヴィーとカリーナは心配そうに来た道を振り返り、ムロツミの二人組を思うのだ。年が近いせいか、気になるらしい。
 ディスケは、そうだよ、と言いつつ、煙草をくわえて火をつけた。口を挟まずに両者のやり取りを聞いていたマルカブだけが、ディスケが煙草を吸いながら時間稼ぎを始めたことに気がついた。おそらく、ギルマスが決定を下すための思考の時間を稼ぐためだ。ディスケはゆっくりと煙を吐きつつ、
「・・・あのさあ、爺さんは知ってるんじゃねえの?ムロツミの二人が話す、事の真相を。」
 そして、と続ける。
「だからこそ、爺さんは焦ってる。」
「・・・・・・やれやれ。一人、聡いのがいるとやりにくいね。」
 クー・シーは、ディスケの煙を見つめながらため息をついた。
「だからといって、どうするつもりだね。ディスケ。焦っていても焦らずとも、わしらはこの先に進むんだろう?だって、それはみんなの総意のはずだ。」
 そうだよね?とクー・シーはアヴィーとカリーナに問いかけた。二人は、おずおずと頷く。
「俺は、焦ってることが問題だって言ってんの。」
 ディスケは煙草を手にして、その煙草をクー・シーに向けて振る。
「俺だって先に進んで海に沈んだ文明を知りたいよ。でもさ、だからこそ死にたくないんだって。三日後、コロネとデートの約束してるし。」
「ちょっと聞いたかね、マルカブ!この男、殴り倒したくならないかね!?日々、子育てに追われて、女の影もないお前としては!」
「・・・とりあえず、お前ら後で海に落とすから、覚悟しながら続けろ。」
 マルカブは静かに言った。クー・シーは片眉を上げた。それは、感心したようにも見えた。
「フン、うちのギルマスは情に流されやすい割に土壇場では冷静だ。やりにくいったらありゃしないよ。」
 クー・シーは鼻を鳴らし、それからディスケに、
「さて、ディスケ。わしが焦っているとしてだよ?一体何に焦っているというんだね?そして、どうして先に進みたがってるというんだね?こうも考えられないかね?先に進まないからこそ、危険が起こるのだと。」
「だったら、そう言えばいいだろう?・・・・・・それが一番気に入らないんだよ。何を隠す必要がある?」
 ディスケがぼそり、と呟き、顔を上げていつになく強い口調で言い放った。
「爺さん。あんたは俺らを利用しようとしてるんじゃねえのか。二階層に入ってからのあんたを、俺は信用」
「そこまでだ。」
 マルカブがディスケの肩を掴んで止める。ディスケはマルカブを振り返り、何か言いたげに口を開いたが、マルカブは肩を掴んだ指に力を込めて、
「ディスケ、お前が心配してることは分かった。クー爺が、何か焦ってることも分かってる。けどな、ギルド組んでる以上、仲間を疑うな。仮に疑ったとしても、それを皆の前で口にするな。」
「・・・、」
「・・・それと、ガキどもの前でそういうことは言うな。」
 ディスケはアヴィーとカリーナをちらりと見た。二人は、小さな姉弟が寄り添うようにしながらじっと成り行きを見守っている。いつになく険悪な雰囲気を心配しながら、クー・シーを揺れる瞳で見つめている。
 ディスケは深呼吸をした。確かに子どもの前で出す話ではない。アヴィーとカリーナには、人を素直に信じ続けてほしかった。マルカブやクー・シーも同じように思っていることは信じられた。だから、ディスケは軽く手を振った。
「・・・悪い。ちょっとカッとなった。」
「ふむ。まあ、全く疑わないのもどうかとは思うからね。」
 クー・シーは肩を竦めて、マルカブに、
「あとは任せるよ、ギルマスに。お前さんが何を一番大事にしてるか、今のでちょっと分かったし。それはわしらも大事にしたいところだし。」
 クー・シーの言葉に、マルカブはアヴィーとカリーナをちらりと見た。二人は心配そうにマルカブを見上げる。心配しているのは、このままギルドがバラバラになるのではないか、ということらしかった。地下6階に進むかどうか、ということはもはや問題ではないらしい。
 マルカブは自分の胸に一度軽く触れた。そこにガーネットの地図がある。その赤い印の場所を、もしかしたら彼女と一緒に来られたかもしれなかった場所を、早く確かめたい気持ちがある。だからといって、自分を見上げる瞳を振り払っていけるものか。
「・・・。」
 振り払ってはいけないものの中に、答え・・・というよりもすでに出ている答えを口にするきっかけがあるように思えた。
 マルカブはアヴィーとカリーナの肩に手を置き、屈んで二人の目をのぞき込んだ。子どもたちの瞳に映る自分を見て、そして苦笑した。二人の瞳にいる自分は、今朝、鏡で見た情けない顔の男とはどういうわけか少しだけ違うのだ。
「・・・マルカブ?」
「どうしたの?」
「・・・いや、悪い。」
 マルカブは背を伸ばして、二人の頭を撫でながら、
「心配そうな顔すんな。たまに大人は、しょうもないことで言い争いをするんだよ。そして、自分のしょうもなさにヘコむんだ。」
「しょうもないことだって言われたよ爺さん。」
「むう、わしらは真剣なんだけどねえ。」
 ディスケとクー・シーがいつもの調子で、文句を言う。アヴィーとカリーナはその様子を見て、少しだけ安堵の様子を見せた。マルカブはそんな二人の肩を軽く叩いてから、答えを口にした。
「帰るぞ。」
「え!?そっちで決断したのかね!?」
「やったあ!俺の主張の勝ち!!」
「何だね何だね、マルカブ!わしを疑うなと言っておいて、結局ディスケの肩を持つのかね!?おとーさんはおじいちゃんより、ディスケおかーさんがいいのかね!?」
「気色悪い家族像を作るな!」
「あっはっはっは!照れなくても分かってますよおとーさん!あなたがおかーさんが大好きだってこと!」
「お前も悪ノリすんな!!」
「うわあ!よかった!みんな、いつもと同じだ!」
「もう・・・バカみたいだけどちょっと安心した・・・。」
 アヴィーが顔を輝かせて、カリーナはあきれつつも安堵して、そしてマルカブは呻く。
「・・・こんな日常はイヤだぞ俺は。」
 それはいつものパターンだった。


(六章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------


今更、ウチのパーティの髭率高さに気がついた。

「ウチの眼鏡バリはおかーさんだなあ。」と思ってたので、そういうことにしました。
おとーさんがダメなときはしっかりするのに
おとーさんがしっかりすると一歩引くので、良妻だと思われます。(笑)

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