まよらなブログ

六章4話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

さて、世界樹の迷宮?・?少年パラディン合同誌「週刊少年パラディン」。
昨日の日記で、告知サイトにリンクを貼らせてもらいました。
あまりの豪華執筆陣に、主催の井藤さんが、
「・・・私、何でこの本にいるんだろう。」と言っておりましたので、
「バッキャロウ!○○さんのショタパラの名前が明らかになっただけで、
 『ありがとう少年パラディン編集部!』って気持ちで一杯だ!」と言ったところ、
納得してくれました、よかったよかった。(?)


そんな『週刊少年パラディン』に、興味のある方はこちらからどうぞ。
志水の妄想話に興味のある方は、「つづきを表示」からどうぞ。



六章4話
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 通路を渦巻く空気が流れている。強力な力を持った空気の海流に吸い込まれると、抗う暇もなく通路の先へと流されてしまう。迷宮にいる魔物たちもそれは例外でないらしく、魔物たちはその奔流には近づかない。だから、逆巻く風の出入り口は、気流の激しさに反比例し手静かだった。
 そんな気流の吐き出し口。ぽん!と放り出されるように、空気の渦から出てきたのはクー・シーだった。彼は、「着地成功ー!10点まんてーん!」と言いながら、くるくる!と空中で周り、すちゃ!と器用に着地する。続いて気流から吐き出されたマルカブが、べちゃ!と地面に激突し、続いて吐き出されたアヴィーとカリーナがマルカブの上に尻餅をついて着地した。ぐ!とくぐもった声をあげるマルカブの足を最後に気流から吐き出されたディスケが踏みつけて着地した。
「・・・いやー、何度くぐってもすごい流れだな、こりゃ。」
 気流の吹き出し口の風を受けながら、ディスケが感心しきって呟き、
「・・・この仕掛けが分かればな・・・、気流を出しながら空を飛べる機械が作れるな・・・」
 ぶつぶつ言いながら、気流の周囲を探り出した。
 カリーナとアヴィーはにこにこしながら、地面に(というかマルカブの背中に)座って気流を見上げ、
「この仕掛け、面白いよね!」
「空を飛んでるみたいね!」
「今度は渦の中を駆けてみようか!」
「あ、それ、楽しそう!」
「ねえ、帰りもこの仕掛けを通って帰ろうよう!」
「・・・・・・・・・帰らねえよッ!!」
 マルカブがぐわ!!と起きあがり、彼の背中に座っていた二人はころん!と地面に転がり落ちた。
「お前ら、俺の上にいつまで乗ってんだ!おまけに何を暢気に話してんだ!!降りろ!!」
 アヴィーとカリーナはぶーっと膨れ、
「別にいいよね。」
「そうよね、別にいいもの。」
「・・・何がだ!?俺は胸とケツのデカい美人しか乗せる気はねえ!!」
「おとーさん、そういうことは子どもの前で言わないー。」
 ディスケがわはははは、と笑ってツッコみ、カリーナがぼそりと「・・・それ、私は美人じゃないってこと?」と呟き、どちらかというと「胸とケツのデカい」という条件の方に引っかかるんだろうな、とアヴィーは思ったが賢かったので口にはしなかった。
「・・・あー、くそ。とりあえず、これでしばらく気流は潜らなくて済むよな、クー爺。」
 マルカブは着地のポーズのままのクー・シーに問いかける。クー・シーは、うむ、と頷き、ポーズを解いて、腰帯に差し込んでいる地図を取り出した。
「そうだね。もうちょっと進むとまた海流があるけど。ああ、この先に野営地があるようだよ。」
「・・・一回休憩すっか。ほら、行くぞ。ディスケもいつまでも観察してんな。」
「えー、だって、この仕組みが分かったら、世紀の大発見だぞー?」
「そういうことは後でやれ。魔物が出てこないところでな。」
 マルカブはそう言って、ほら行くぞ、とアヴィーたちに声をかける。二人は風でぼさぼさになった髪や服を軽く整えて立ち上がった。アヴィーは気流を少し見てから、
「ねえ、おじいちゃんが昔ここを冒険したときもこの海流はあったの?」
「おお、あったよ。おじいちゃんたちもあの海流で遊び回ったものだよー。」
「・・・あの、クー・シー。」
 カリーナがおずおずと、
「あのね、野営地に着いたらでいいんだけど・・・聞きたいことがあるの。いい?」
「無論でございますよ、姫。」
「余計なこと教えんじゃねえぞ。」
 前を歩くマルカブが、振り返らずに釘を刺す。信用ないねえ、とクー・シーは肩をすくめた。
 ここは地下6階。アルゴーは、もう一度、一週間ほど掛けて5階を探索し直し、自分たちで地図を作りなおしてから6階へと降りてきた。余裕もあれば、魔物の行動も樹海の仕掛けもよく観察できる。二階層に慣れてきたことで、6階の探索も危なげなく進めることが出来ていた。
 ――、この時点では何の問題もなく進んでいたのだ。

*****

「・・・あのね。クー・シー。私、考えたんだけど。」
 野営地でテントの準備をしながら、カリーナはクー・シーに問いかけた。他の三人は、周囲の見回りと薪と食材集めに向かっている。
「ええ、なんでしょう?」
「・・・昔、仲間を一人樹海で亡くしたって言ってたでしょう?あなたが何か焦っているのは、そのせいなの・・・?」
「それを他の者に仰いましたか?」
「いいえ。」
 きっぱりとカリーナは答えた。
「言った方がいいのかな・・・。でも・・・。・・・マルカブには言ってもいいのかな、と思ったけど・・・やめたの。」
「どうして?」
「だって、こんなこと、勝手に言われたくないでしょう。私でもそう思うと思う。」
「さて、どうでしょうか。言ってしまった方がよろしいこともあるかと。」
「でも、もし絶対に言うことが必要なら、あなたはきっと言っている。」
 カリーナは、さきほどよりキッパリと言うのだ。
「私はそのことは信じてるの、クー・シー。」
「・・・光栄ではありますが、ディスケが一人心配した理由がよく分かりますな。」
「私やアヴィーやマルカブがちっとも疑わないから?でも、私はこの前のマルカブの言葉はもっともだって思う。信じられないならギルドを組まなければいいんだもの、組んだ以上は信じないと。」
 カリーナは続きの言葉で、おそらく次に言うであろうクー・シーの言葉を封じ込めた。
「それでもし、あなたが裏切ったとしても、それは私たちの責任でしょう。」
「・・・・・・。」
 クー・シーはじっとカリーナを見つめ、それからゆっくりと、意地悪く苦笑して見せた。
「では、姫が追放先から逃げたのは、兄上も友人も信じられなかったからだ、と。」
「・・・。」
 カリーナは瞬きをしてから、息を飲んだ。
「それは、」
「そういうことでございますよ、姫。わしやこのギルドと、兄上や友人や騎士たちの、一体何が違うというのか。みな、真意など分からないと言うのに。」
「でも、マルカブもアヴィーもディスケもいい人だし、私の仲間だもの!」
「セイリアスもいいヤツです!」
 クー・シーは強い口調で言い、カリーナが目を見開いて自分を見つめる姿を見た。慌てて口を噤み、髭を撫でながらため息をついた。
「・・・どうもいけませんな。ここはやはり気持ちが落ち着きません。お許しください、姫。年をとると人は丸くはなりますが、制御が効かないようにもなるのです。」
「・・・・・・あの、」
 カリーナは躊躇いがちに声をかけ、それからくっと唇を噛んでから決意したように、
「ごめんなさい。」
「・・・どっちかというとわしが謝る立場ではないかと。」
「いいえ、謝ります。私はあなたの仲間のことを、きっと悪く言ったんでしょう。・・・怒るよね。だって私も、みんなのことを悪く言われたら怒るもの。」
 だからね、とカリーナは続けた。
「クー・シー。あなた自身のことも悪く言わないでね。」
 ごめんなさい、ともう一度頭を下げて、テント設営の作業に戻るカリーナをぼんやりと眺めて、クー・シーは天を仰いだ。
「・・・何でこんなにそっくりなんだろうねえ・・・。」


*****

 野営地で休んだ後の一行は、特に苦労することなく長い通路の先の扉を開けた。蒼さが深い。鬱蒼と繁る蒼い樹木のせいで、海を通して差し込む光も陰りを見せている。
 カリーナは、クー・シーがその扉の先の小さな広場の一点を見つめたことに気がついた。まるで、古い足跡でも探しているかのようだった。
 どうしたの?と問いかけようとしたときだ、前に誰かの気配を感じて、一行は素早く身構える。
「あ、みなさん、お久しぶりです。第二階層に来られていたのですね。おめでとうございます!」
 聞き覚えのある明るい声だった。地下二階で会い、野営地とテントについて教えてくれた少女・オランピアがそこにいる。
 ぎち、という音をカリーナは聴いたような気がした。クー・シーが強く拳を握りしめている。そこから血が一筋流れたことに、カリーナは気がついた。
 カリーナはオランピアとクー・シーを見る。彼女がどうかしたのだろうか?少し違和感を感じるけれど、ただの女の子なのに・・・。
 カリーナの視線は全く気にとめず、オランピアは微笑んだ。
 


(六章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------


途中、お地蔵さんにお祈りをするシーンがあったんですが、
「だからそういうこと書いてると話が進まねえんだよ!」と思い、がっさり消しました。
そのうち復活させたいものです、クエストもあるし。

いよいよオランピア登場です。台詞はゲームそのまんまで。
NPCはあまり書きたくないとはいえ、彼女と深王は書かないわけにもいかないなあ・・・。
気が進まないわあ、特に深王さま。

あ、三章1話の後書きで、地下二階でオランピアと会ったときに野営をしていないのは、
モン爺が自称・ぎっくり腰で街で留守番してるので早めに帰った、と書きました。
ここでモン爺とオランピアを出会わせるためにそうした、とやっと暴露できます。(笑)

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