まよらなブログ

六章6話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
今年も週一更新を頑張っていこうと思いますので、宜しくお願いします。

先日「実家のドラクエの『知られざる伝説』を欲しい方に差し上げてもいい?」
という連絡が来て、実家にはドラクエ関連書籍がつまれていることを思い出しました。
そして、
「『精霊ルビス伝説』は、確か一巻の予定だったのが三巻になってたんだよな。
 じゃあ、2年連載の予定だった世界樹妄想話が3倍の6年になってもいいか!」
と思った次第でございます。(よくねえ。)


それにしても、ドラクエ関連書籍に随分買い込んでたなあ。
小?中学生だった志水らは、お小遣いとお年玉を姉妹で貯めて買っていたと思います。
20年ぐらい前からエニックス出版部(旧スクエニ出版部)に投資していたようです、
だから頑張ってほしいの!ガンガンには!!


というわけで、さすがに6年は掛からないと思う世界樹妄想話、
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

6章6話
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 カリーナは独りで通路を進みきり、そして小部屋に到達して身震いした。
 そこに漂う死の臭い。そこが、他の場所より薄暗く見えた理由を知る。珊瑚や木々が赤黒く濁り、光を吸ってしまっているのだ。
 その赤黒さは血のあとだ。血が注がれ続けた痕だ。地面には鎧の破片や背負い袋が散らばっている。それも新しいものだけでなく、かなり古そうなものまで、貝塚のように積まれている。
 その中に白い枝を見つけた。カリーナはそれを枝だと思いこむことにした。枝だ、あれは枝だ、間違っても人の骨などではない!
「・・・ッ・・・!」
 カリーナは膝の震えを必死にこらえて、後ずさる。そのまま小部屋から出ようとした。こんな場所に一人ではいられない。
 ・・・みんなに会いたい!!
 カリーナが祈るように願ったときだ、背後に気配が生まれて振り返る。通路に巨大な魚の群が現れて、部屋に向かって進軍してきた。カリーナは素早く周囲を見渡す。鎧の貝塚や赤黒い珊瑚の不気味さに構っている余裕は既にない。あの古代魚の群からどうにかして逃れなくては。
 もしかしたら、オランピアが言ったようにどこかに隠し階段があるかもしれない。
 そんな望みを見てはみるものの、それらしいものは見つからない。古代魚たちはどんどん奥へと進んできて、カリーナは貝塚の陰に隠れた。
 どうか見つかりませんように。
 カリーナは口を手で押さえ、目を瞑り、祈り続ける。古代魚の群は樹木の葉をこすりながら、宙を泳いでいるらしかった。静かな音が小部屋に響き、そして、がらん!という突然の落下音がそれを破った。
 信じられないほど近くで起こった音に、カリーナは目を開ける。自分の足下に、半分掛けた兜が転がっていた。そろそろと視線を上げると、貝塚の上に古代魚がいた。ぎょろり、とその目がカリーナをとらえる。
「・・・!!」
 カリーナは貝塚の陰から飛び出し、転がるようにして古代魚の群の下を走り抜けようとする。古代魚たちはいきなり現れたカリーナにパニックに陥ったようで、しきりに宙を右往左往し、そしてカリーナに向かって牙を向く。
 カリーナの眼前に、古代魚が立ちふさがった。カリーナは転ぶようにして両手を地面につき、強引に軌道を修正する。横にゴロゴロと転がり、そして立ち上がり必死に小部屋から抜けようとした。古代魚の群がそれを取り囲む。
「・・・カリーナ!!」
 声が、古代魚の囲みの外からした。
「こっちへ!!」
 カリーナは古代魚の向こうに、自分に手を伸ばすアヴィーの姿を見た。彼女はアヴィーに向かって駆け出す。アヴィーは肩と背中の機械を駆動させて、小振りの雷を古代魚の群に落とした。古代魚たちが電撃に怯んだ隙に、カリーナは群の下に頭から滑り込み、転がりながら群の包囲から抜け出た。アヴィーはカリーナに走り寄って、彼女の手を引っ張り立たせる。カリーナはぽろっと涙をこぼして、アヴィーの手を握り返した。
「大丈夫だよ!」
 アヴィーもカリーナの手を強く握って、そのまま通路に向かって走り出す。カリーナは涙を拭いながら、前を向きアヴィーとともに走り出した。
 その二人の背を古代魚が追ってくる。その口がカリーナのスカートの裾をとらえ、わずかに布を引きちぎった。
 振り返る時間などない。二人はそれだけは分かっていた。だから前だけ向いて、部屋から出ることだけを考える。もう一歩で小部屋から出る、というところで、部屋の珊瑚がのそりと動いた。
 珊瑚だと思っていたものは、珊瑚の形をした魔物だ。ロックコラールが珊瑚の茂みの中にいたらしい。騒ぎに驚いて、気が立っているようだった。ごつごつとした腕を広げ、小部屋の出口を塞ぐ。
 立ち止まったら古代魚に一飲みにされる。走っていけばロックコラールの手に捕らわれる。アヴィーが一瞬の躊躇いを見せ、速度が緩んだ。古代魚が尾で宙を一打ちして加速をし、カリーナの頭めがけて口を開けた。
 ぞわ・・・!としたものを背中に感じ、カリーナは悲鳴を上げ掛けた。アヴィーはロックコラールが急に前のめりに転んだのを見た。そして二人は、ロックコラールを踏みつけて部屋に飛び込んできたマルカブを見た。アヴィーとカリーナは彼に向かって手を伸ばし、地面を蹴る。
 マルカブは自分に飛び込んできた二人を左右の腕でそれぞれ抱え、そのまま背中から倒れ込んだ。マルカブのすぐ上で、古代魚の口がカリーナがいた場所の空気だけをばくん!と飲み込んだ。その古代魚を、通路からのディスケの射撃が小部屋の奥へと吹き飛ばす。
「アヴィー!走れるな!?」
 地面から起き上がりながら、マルカブは腕に抱えた子どもの一人の背中を叩く。アヴィーは顔を上げ、ぐっと頷いた。彼は自分の両腕を突っ張って身を起こす。マルカブは自分にしがみ付いてしゃくり上げ始めたカリーナを抱き上げた。アヴィーに「行け」と言いながら、彼も走り出し、
「泣くな、カリーナ!もう大丈夫だから!」
 横抱きにしたカリーナに一声掛ける。カリーナはマルカブの上着をぎゅ!と掴んで頷いたが、小刻みに震えている。無理もねえ、とマルカブは古代魚をちらりと見ながら思うのだ。古代魚はディスケの矢弾を受けつつも、さほどダメージを感じているようには見えない。ただ、目の前の獲物を横取りされたことを怒り猛烈な速度で宙を泳いできた。だからもう、マルカブは何も言わずに全速力で逃げることに決めた。
 出口を塞いでいたロックコラールは、クー・シーの槌によって茂みの中に吹き飛ばされた。直後、アヴィーは小部屋から抜ける。そして振り返り、その目を大きく見開いた。それを見てたマルカブは、彼が何を見たのかを知る。すっと、自分の足下が陰ったことも知る。
「マルカブ!上!!」
 アヴィーが叫んだ。マルカブには頭上を見上げてる暇などない。ただ走るのみだ。古代魚が自分の頭上にいて、今にも攻撃してくることは分かっているが、出来ることは走ることだ。・・・いや、他にもう一つ出来ることが。
「――お前ら、しっかり受け止めろ!」
 マルカブはカリーナを引き離して、まるで花束でも持ち上げるかのように軽々と、それでも花弁の一つも落ちてくれるなと願いながら、彼女を通路に向かって投げ飛ばす。慌ててアヴィーとクー・シーが二人がかりでカリーナを受け止めた。ディスケが再度弩を引き、古代魚を撃とうとする。だが、弾道にマルカブが被ってしまい、狙いが付けられない。
「マルカブ!」
 カリーナが叫んだ横を、巨大な影が走り抜けた。影は小部屋に踏み込むのと同時に、手にした槍を突き出して古代魚の顎を貫いた。その影の横をマルカブはスライディングで通り過ぎ、そして小部屋を抜けるのだ。抜けるなり、マルカブは振り返り、影の主を確認する。分厚い鎧に身をつつんだ巨漢の重騎士が、更に踏み込み古代魚の顎に深々と槍を差し込む。
「走れ!」
 騎士は振り返らずに、大音声で呼びかけた。マルカブは頷き、縋るように腕を伸ばしてくるカリーナをもう一度抱えあげ、走れ!と仲間たちに命じる。その背後で、槍の穂先が宙を撫ぐ音がした。続いて、巨大なものが地面に叩きつけられる音。ちらり、と見ると、重騎士は古代魚が刺さったままの槍をぐるん!と回し、古代魚を地面に叩きつけている。
 ・・・なんだ、ありゃ。
 その様を見て、マルカブが最初に思ったことはそんなことだ。自分たちとはレベルが違いすぎる。そこにいるのは、圧倒的な実力者だ。
 それでも騎士は一人で古代魚の群を相手にするつもりはないらしい。騎士は槍を引き抜き、後方へ下がる。槍の穂先を古代魚に向け、しばらく古代魚と睨み合った後、じりじりと後退していく。そして小部屋を抜けきるのと同時に、重騎士も踵を返して通路を走り出した。古代魚は追っては来なかった。おそらく、あの小部屋は古代魚の巣だったのだろう。巣の外に出て、圧倒的な力の持ち主と戦う気はないらしい。
 一行と重騎士は通路を走って、小部屋から十分な距離を取る。そして、誰ともなく立ち止まり、誰からでもなくその場に座り込んだ。
 しばらくは荒い息を吐くばかりで、誰も何も言わない。呼吸が整いだして、マルカブは小部屋の方をもう一度振り向いた。一層暗いその通路の先に、ぞくりと背中を震わせる。もしかしたらあの部屋で、と考える。あそこでカリーナやアヴィーが死・・・・・・いや、やめよう、と首を振る。
 マルカブは地面に座り込んだまま、カリーナを横抱きにしていることに気がついた。カリーナは、唇を噛みしめ、目を見開いて小さく震えている。泣くことさえ出来ない状態のカリーナをそっと地面に降ろす。それから、すぐ隣で必死に呼吸を整えようとしているアヴィーを見た。
「・・・カリーナ、アヴィー・・・、怪我ねえか?」
 そして、少しの間離ればなれになっていた子どもたちに問いかけた。二人は同時に、うーーーー、と唸り、みるみる涙を浮かべ、泣くのを堪えてくしゃくしゃの顔を作った。左右の手を伸ばして二人の頭をわしわしと強めに撫でると、二人はほとんど同時に涙をこぼして、
「うええええん・・・!」
「うわああああん!!」
 泣き声をあげてマルカブの左右の肩にしがみつく。
「・・・ああ、怖かった。怖かったな。もう大丈夫だ。」
 マルカブは二人の頭を撫でてから、自分の左右の肩にそれぞれの頭を抱き寄せて、
「・・・無事でよかった・・・」
 と呟いた。正直、自分の方が泣きそうだ。
 ディスケはそれを見て安堵の笑みを浮かべ、クー・シーは安堵と後悔の混じったため息をついた。アルゴーの様子をしばらく見ていた重騎士は一息つくと、かちゃりと鎧の金属の音を鳴らして立ち上がった。
「・・・おかげで助かった・・・。」
 マルカブは重騎士を見上げ、心の底から礼を言う。
「本当にありがとう。」
「・・・たまたま弩の発射音が聞こえただけだ。」
 気にするな、と言う重騎士にマルカブは首を振る。
「そういうわけにいかねえよ。アンタだろ?町でカリーナを助けてくれたの。」
 重騎士は何も言わなかったが、アヴィーが泣き顔のまま顔を上げて、重騎士を見上げ、それからマルカブに頷いた。
「そう、だよう・・・!シェリアク、さん、って言うん、だよ・・・!」
 しゃくりあげながら一生懸命説明しようとするアヴィーの頭を撫でて、教えてくれてありがとな、とマルカブが言うと、アヴィーはずずず、と鼻をすすり上げる。もう一度、アヴィーの頭を肩に抱き寄せてから、
「二度も助けてもらって、礼をしないわけにいかない。」
 マルカブはいつになく神妙に言った。
「きちんと礼をさせてくれ。」
 重騎士・シェリアクは、そう言う赤毛の男が泣きじゃくる子どもの背中をさすり続けているのを見る。礼を断るわけにはいくまい。彼の想いを冒涜する、と思った。
「・・・では、お言葉に甘えよう。」
 シェリアクは低い声で答え、
「・・・礼はいつでも構わない。アーマンの宿の『ファクト』を訪ねてくれ。」
「・・・なんだ、俺らと同じ宿か。」
 マルカブは、帰ったらすぐに、と答えた。シェリアクは頷き、それから道の先を指す。
「この道沿いに抜け道がある。青い木が目印だ。そこを通れば古代魚の群に会わずに戻ることが出来る。私も、その先に仲間を待たせているので、先に失礼する。」
 そう言って、歩きだそうとするシェリアクを、カリーナが震える声で呼び止めた。しゃくりあげながらもカリーナが顔をあげ、シェリアクに向かって、ぺこり、と頭を下げる。
シェリアクはそこで初めてわずかな微笑を見せた。
「・・・大切に思われていて何よりだな。」
 優しくそう言って、彼は去っていった。


(六章7話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

新年一発目がこんな話か・・・!

世界樹?、前半の最大の緊迫シーンを越えました。まあ、次回、オランピ(以下規制)。
次回で6章終了で、そのまま7章に続いていくと思います。


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