まよらなブログ

六章7話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話ですが、
「なんでこんなに世界樹カンケーねえ。」なのか考えてみたところ、
原作のあるシーンとあるシーンの間に「あったかもしれないシーン」というものを
妄想するのが、私の二次創作の方法なんですよ。シーンとシーンの隙間を縫うわけだ。
ところがどっこい、
「世界樹?」は探索メインのゲームなので、シーンとシーンの間の隙間が広い。
そこをてくてく縫っていったら、「・・・カンケーねえ?」というシーン続出なわけですよ。

・・・しかし、そう考えていった結果、この話のクライマックスは
「世界樹計画」と「天空の城」と「星海の来訪者」の隙間を、
私なりに縫った結果を書けばいいんじゃね?とも。


まあ、今回の話はわりとシナリオに関係あるんですが、
次回からはまたしばらく「カンケーねえ!」な展開になるかと。
というわけで、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


6章7話
-----------------------------------------

 古代魚の群から逃れ、アヴィーとカリーナが心細さと恐怖からどうにか落ち着きだした『アルゴー』は、ひとまず街か野営地に戻ることにした。そこでクー・シーが隠していたことを洗いざらい話すことも約束させる。クー・シーは、分かっている、と頷いたものの、
「・・・その前に、オランピアに確かめたいことがあるんだがいいだろうか?」
 と言った。その口調はいつものクー・シーとは違う。道の先に隠し階段があると言ったオランピアの真意は確かに気になるところだったので、それを確かめるために一行は彼女に会った場所まで戻るのだ。
 そしてそこには、会ったときのままの姿で立っているオランピアがいた。
 少女は一行に気がつくと、驚いた様子で口を開き「みなさん、無事だったんですね。」とアルゴーを見ずに呟いた。そして、どこかそれまでと違う雰囲気で呟き直す。
「あの数の古代魚相手に無事戻るとは計算外・・・」
 近寄り難いオーラを醸し出す彼女に、クー・シーが口を開いた。
「・・・20年前もそこにいたね、オランピア。全く同じ姿で。」
 静かだが固い声で問うクー・シーを仲間たちが見つめる。
「そして、この先に深都へ至る道がある、と言ったのも変わらない。」
 オランピアがそこで視線を向けた。クー・シーは拳を握りしめ、
「・・・貴様かね?わしの仲間を死なせ、諦めさせ、後悔させ続けているのは。」
 オランピアは答えない。ただ一言、口にした。「・・・照会完了。『ムルジム』」と。クー・シーは、彼女がその単語を呟くと予想していなかったらしい。驚いたように眉を上げ、そして、だからこそ激高した。
「・・・・・・ッ・・・ああ、そうだとも!『ムルジム』だ!ピックを死なせ、セイリアスの記憶を奪ったのは貴様か!?」
 オランピアは答えない。クー・シーではなく一味全体を見た。「・・・アルゴー、あなたたちは本当に邪魔な存在・・・」と呟きながら、氷の様に光る目で見つめる。
「おとなしく深都探索を止めるか、・・・さもなくば。」
 彼女がすっと背後の木を撫でた。ほぼ同時に、一本の大木が二つに裂け、オランピアを中心にして左右対称に倒れていく。「あなたたちもこうなる。」と少女は「アルゴー」を見つめて告げた。
「命惜しくば、深都を目指すな。元老院にもそう伝えろ。」
 オランピアはそこまで言うと、倒した木々の陰、背後へと走り去る。
「待て!!」
 追おうとしたのはクー・シーだ。その前に回り込んで、マルカブがその両肩を押さえて止める。彼も殴り飛ばして先に進もうとしたクー・シーの腕を、ディスケが掴んだ。
「退かんか、マルカブ!離せ、ディスケ!あの娘がわしの仲間を殺したのだ!」
 クー・シーが噛みつくように叫んだ。大人二人で押さえているものの、老人の力は強かった。そこに20年溜め込んだものを感じたが、だかこそ、この老人にあの少女を追わせるわけにはいかなかった。
「今はダメだ!追わせない!」
 マルカブはぐっと踏ん張る足に力を込めて、クー・シーを後方へ下がらせる。クー・シーは抵抗し、マルカブの顎を頭突きでかち上げた。マルカブの力が一瞬緩んだが、とっさにディスケがクー・シーを羽交い締めにする。
「わしの仲間の仇だぞ!あの娘が、わしの仲間の人生を狂わせおったのだ!」
 羽交い締めにされながら、クー・シーは足をばたつかせた。マルカブは痺れる顎を押さえる暇も自分に与えず、怒鳴りつける。
「だから何だ!?追ってどうする!?お前だってあの娘に勝てると思ってないだろう!?刺し違える気か!?」
「ああ、そのつもりだ!せめて一矢報いてやる!アヴィーや姫が殺されたら、お前はどうする!?死ぬことになっても追うはずだ!それと何が違うと言うんだ!」
 問いかけに、マルカブは怯まなかった。
「だからって、お前が死ぬことは俺たちは許さない!もちろん、お前の「仲間」たちもだ!」
 クー・シーが、一度すべての動きを止めた。マルカブは畳みかけた。
「お前が死んでほしくなかったと思う相手なら、ソイツもお前に死んでほしくないに決まってる!ソイツがウチのガキどもと同じなら、俺はソイツを悲しませるわけにはいかない!」
 クー・シーは、その一言に固まった。そして、ゆっくりとアヴィーとカリーナを振り返り、その後、マルカブを見た。そして、低く唸り声をあげた。呻き声にも聞こえた。耐えてくれ、とマルカブは言った。
「耐えてくれ。頼むから。お前の「仲間」のために。」
 しばらくの沈黙の後、クー・シーは「ああ」と低い息を吐いた。
「・・・すまない、・・・すまない、・・・そうだ、そうだ、また後悔させてしまう。」
 謝罪の言葉は今、ここにいる人間に対してではなかった。だが、彼の「仲間」に対しての謝罪である以上、クー・シーはオランピアを無理に追うことはないだろう。
 マルカブはディスケに目で合図をして、クー・シーを押さえる手を離した。ディスケも腕を離す。クー・シーが力なく立ち尽くす背後で、アヴィーが泣きそうになりながらカリーナを背中に庇っていることにマルカブは気がついた。庇われているカリーナは、また泣き出しそうに唇を震わせている。それを見て、余計な慰めより何をすべきか示そう、とマルカブは思うのだ。
「・・・まずは元老院に報告しよう。これ以上、被害者を出すわけにいかないからな。」
 オランピアが去った後を眺め、彼はそう提案した。

*****

 樹海から町に戻り元老院に事の顛末を報告すると、元老院の老婆がミッションを立ち上げた。起きた出来事を知っている『アルゴー』が受領するのが当然、といった風の老婆の言葉だが、マルカブは、少し考えさせてくれ、と答えるのだ。老婆は不満げに鼻に皺を寄せたものの、『アルゴー』に時間を与えることを了承した。カリーナが瞳に涙を溜めて必死に起きた出来事を話す様を見てしまったら、無理強いなどは誰も出来ない。
 とにかく今日は休むように、と老婆に言われ、元老院からでると日がすっかり落ちていた。歩きながら鼻をすすっているカリーナの頭をわしわしと撫で続けていたマルカブは、シェリアクに礼に行くこともクー・シーからすべての事情を聞くことも、ガーネットの地図の赤い印の意味を考えることも、明日にすることにした。今はカリーナとアヴィーを安心させることが最優先だ。
 そうだな、と彼は一人呟いて、足を止める。カリーナとアヴィーも立ち止まる。
「お前ら、今日は船に泊まろう。」
 そして、彼はそんな提案をした。


*****


「更に上がって、御者の黄星。そこから下がってきて、牛の赤星。大三角と双子星をつなげて、大六角。」
 アルゴーの船・ミアプラキドゥス号の甲板に座り込んで、マルカブはカリーナに冬の星を教える。カリーナはぱちくりと瞬きをしてから頷いた。
 元老院への報告のあと、カリーナ、アヴィー、マルカブの三人は港に停泊中のミアプラキドゥス号にいる。マルカブが何よりも心配したのは、子どもらが悪夢に飛び起きてもじっと我慢して朝まで過ごすのではないか、ということだった。他の客に気兼ねする必要もない船の上なら、二人が落ち着くまで付き合える気がしたし、怖い夢に飛び起きても自分を叩き起こしにくるように思えたのだ。だから今日は船に泊まることにした。
 彼らは甲板に座り込み、冬の空を眺めている。アヴィーは少し元気になって、船の一室から双眼鏡を持ちだして甲板の先に立って天体観測を始めている。ディスケは「おとーさんと水入らずに過ごせよ!」と言いつつも、ちょっと前に菓子と茶の入ったポットを持って様子を見に来た。クー・シーは、明日全てを話すことを約束し、かつての仲間の墓参りに出かけていった。
 カリーナは毛布にくるまって、マルカブの隣で空を見上げている。暖かな日の続く南のアーモロードだったが、季節は冬。気温は低くないのに、北風が吹くと肌寒く感じられる。それでも、カリーナの顔に少しずつ血の気がさしてきた。
「・・・大犬の青星の下、赤く見える星があって、異国の古い伝説じゃあ、その星を見ると長生きできるって・・・」
 と言いかけて、マルカブはカリーナが欠伸をしたことに気がついた。頭を掻いて、
「つまんねえか、こんな話。」
「そんなことない。」
 カリーナはふるふると首を振り、
「あのね、私、ここに来るまでこんなに星を見たことないの。星の話も聞いたこと、ない。だから、・・・うれしい。」
「ならアヴィーに聞くか?俺より詳しいだろうし。」
「いいよ。アヴィー、楽しそうだもの。」
 カリーナは、双眼鏡で夜空を見上げているアヴィーの背中を見ながら呟くように答える。アヴィーの天体観測を邪魔したくないのも本心だったが、何となくそれは言い訳のようにも感じるのだ。
 最近の私、変だなあ。
 そう思いながら、カリーナは胸を手で押さえた。胸の内は暖かいのに不思議にざわついている。今、弱く吹いている風のようだった。カリーナはきゅっと服の胸元をつかみながら、マルカブを見上げた。
「・・・マルカブも星に詳しいの?」
「星ぐらい読めないと、夜に船は出せねえからな。」
「・・・じゃあ、プレアデスって知ってる?」
「昴星のことだろ。見えるぞ、牡牛の赤星の上に。」
「・・・私のティアラ、『プレアデス』って言うの。」
 カリーナは髪飾りを外し、膝の上に置いた。マルカブはそのティアラの宝石の数を確認し、
「ああ、宝石が7つあるからだな。」
「?」
「昴星・・・プレアデスは7つの星が集まってるんだよ。宝石を星に例えるなんて、いい趣味してんな。」
「・・・あのね、この7つの宝石、星が落ちてきたときに出来た石だっていう言い伝えがあるの。」
「そりゃあ壮大な話だな。」
「でも、ガラス玉に銀メッキなんだよね?」
 カリーナが微笑を浮かべると、マルカブは彼女と会ったときにその髪飾りを取り上げたことを思い出してバツが悪そうにした。カリーナはくすりと声を出して笑ってから、目を伏せた。
「・・・これが本当の宝石なら良かったのにな。」
「何でだよ。」
「・・・だって、足りてないもの。」
「何に?」
「マルカブが私にしてくれてることに、私は全然返せていないんだもの。」
「ガキがそんなこと気にすんな。」
「・・・ガキじゃないもの。」
 カリーナは抗議をしつつ目をこする。それを見てマルカブが、
「・・・お前、眠くなってんだろ。寝ちまえ寝ちまえ。疲れてるんだから。」
「・・・でも、ガキじゃないもの・・・。」
「分かった分かった。とにかく寝ろ。寝て休むのが一番だ。そして起きたくなったら起きりゃいい。」
 マルカブに宥めるように頭を撫でられて、カリーナはうん、と頷いた。そして目を閉じて、彼にコトンと寄りかかる。マルカブが呆れたようにため息をついたのは聞こえた。でも子どもだから、聞こえないフリをする。でもガキでもないから、聞こえないフリもする。寄りかかって感じる呼吸の動きに合わせて、自分もゆっくり呼吸をし、繰り返すうちに安心して眠りに落ちた。
 カリーナが眠った頃に、アヴィーが「あ!」と声を上げて、双眼鏡から瞳を外しカリーナの方へ振り返った。
「流れ星だよ、カリー・・・・・・」
 カリーナを呼ぼうとして、マルカブが唇に人差し指を立てたのを見て慌てて口を押さえた。そっと二人の方へ歩み寄ってきて、
「・・・カリーナ、寝ちゃったの?」
「・・・おう。寝れれば大丈夫だな。」
「・・・でも、せっかく流れ星だったのに。」
 アヴィーがぷう、と膨れるのを見て、マルカブは、いいんだよ、と言った。
「よくないよう。お願いしようって言ってたのに。」
「いいんだよ。」
 マルカブが、小さな声で囁くように、
「俺が『カリーナの願いが全部叶うように』って祈っといたからいいんだよ。カリーナとは、明日でも明後日でもまた見ればいいんだよ。」
 マルカブがそういうと、アヴィーはにっこりと笑って、また甲板の先へ走っていき夜空を見上げ始める。その背を見送り、そして空を見上げてマルカブはゆっくりと息を吐いた。もし流れ星を見つけたら、この二人が二度と今日のような思いをしないように、と祈ろうと思うのだ。
 
 
(7章へ続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

後半、はずい。がふ。(口から砂を吐く音)
前に書いた気もするけど、プリ子のティアラ、真ん中に白い宝石があると思ってください。
そうすれば宝石が7つになるんで。一個、分かりにくいものがあるっていうあたりも「プレアデス」っぽい。


オランピアの台詞と前後の文章はゲーム内と出来るだけ合わせました。
私の文章の中にあると、ものすごい違和感。

次回から七章ですが、またしばらく樹海に潜らない予感です。(笑)
がふがふと砂を吐き続ける予感です。


スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する