まよらなブログ

八章1話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。
本日から八章ですよ。
「そのやりきれなさと唐突さこそセカイジュッ!」なイベント付近の話です。


ところで、編集作業に大詰めを迎えているっぽい
ショタパラ合同誌「週刊少年パラディン」の編集部員のI藤さんに、
「入稿祝いに、カピバラさんおめかしセットを買ってやる」と約束しました。
公式サイトで写真を見てもらうと、アレなんですけどー、しょーもなさすぎるー。(笑)
夏?冬のお出かけセットも出るらしいので、
夏のお出かけセットは夏コミ入稿祝いになるんでしょうか。


まあともあれ、
超豪華執筆陣による鉄壁の少年漫画誌「週刊少年パラディン」はこちらから、
志水の妄想話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。





8章1話
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「・・・本当にいいんだな?」
 元老院の廊下でマルカブが問いかけると、アヴィーとカリーナは頷いた。
「進むって決めた以上、何が起きても自分等の責任だぞ。」
「「分かってる。」」
 子どもたちの返事はきっぱりしている。マルカブはため息をついてから、二人の後ろにいる大人たちを見るのだが、
「あー、また始まったよー。おとーさんの心配性。」
「しょうがないよねー、おとーさんって心配性だから。」
「おとーさんが心配性なのか、心配性がおとーさんなのかって話だよなー。」
「しょーがないよねー、おとーさんは心・・・・・・」
「お前等がお気楽すぎるんだ!!」
 マルカブは二人を怒鳴りつけてから、あーもー、と頭を乱暴に掻いて、
「じゃあ、もう、婆さんとこ行くぞ!」
「「うん!」」
「やっとかねー。」
「やっとかよー。」
 そんなやりとりをして元老院の第一人者の部屋へ向かう「アルゴー」の姿は元老院では見慣れたものだったので、
 周囲の人間は苦笑混じりにそれを眺めるのだ。


*****

 今日は、アヴィーが師匠と話し、マルカブがエラキスと会い、カリーナのアイスがすべて溶けきった日の翌日だ。
 昨日、カリーナとマルカブは宿でアヴィーとクー・シーに合流し、ディスケの家に押し掛けて今後のことを決めることにしたのだった。コロネと夕食の準備をしていたディスケは心底嫌そうな顔を見せたが、だからこそマルカブとクー・シーは「いや、ホント、申し訳ないんだけど。」と意地悪く謝りつつ上がり込んだ。カリーナは頬を染めつつ「気の利かないことをしてすみません。」とコロネに謝り、アヴィーだけがにこにこと「今日はディスケの家に泊まるんだね!」と全く空気を読まずに発言し、コロネに爆笑されディスケにはこめかみの両側から拳をぐりぐりと押し込まれた。
 結局、『アルゴー』(コロネも同席していた。)は一晩かけて、ミッションを受けるか・樹海を進むかを話し合い、決めて元老院にやってきた。
 そして、オランピアを見つけて捕まえてこい、というミッションを受けるのだ。
 すでに樹海にはクジュラの指揮の下、一個中隊が派遣されているらしい。老婆から一通りの話を聞いて、急かされるように部屋から出された一行は、そこの廊下に巨漢の重騎士がいることに気がついた。シェリアクだ。
「「・・・・・・あ。」」
 間抜けた声を出したのは、マルカブとカリーナだった。シェリアクは軽く一礼をした後に、
「昨日はすまなかった。」
 低い声でそう言った。マルカブは頭を掻き、
「・・・いや。・・・ガーネ・・・えーっと『エラキス』はどうしてる?」
「今は落ち着いている。取り乱してすまなかった、と伝えてほしいと。知らない記憶が急に見えたような気がして、怖くなったのだと。」
 事情を知らないアヴィーがきょろきょろとシェリアクとマルカブを交互に見る。カリーナはアヴィーの袖を引っ張って、不躾な真似は止めるように示した。
「・・・、ミッションを受けたのか。」
 シェリアクは老婆の部屋に至る扉を見つめ、
「・・・我々も、オランピアの捜索に協力することになった。」
「・・・まあ、あんたもあの場所で何があったか、知ってるもんな。」
「ただ、一つだけ、フローディア殿に頼んでいる。」
 元老院の老婆を律儀に名前で呼んで、シェリアクはその頼みごとを口にした。
「捜索の前に、あの古代魚の巣をもう一度調べたい、と。」
 カリーナがぴくっと肩を揺らす。ディスケがカリーナの肩に手を置いて、一歩踏み出して彼女の隣に立った。マルカブはそれを見たわけではなかったが、カリーナのことは誰かが必ず見守っていることは分かっていたので、シェリアクとの話を続けることにする。
「どうしてだよ。あんなとこ、もう行かない方がいいぞ。」
「・・・エラキスが覚えていたことがある。」
 シェリアクが一瞬、瞳を泳がせた。言わなくてはいけないことだが、口にしたくはないようだった。だが、彼は、ひたり、とマルカブを見つめ直し、
「『アーモロード』という地名と、ここの樹海の6階の地形だ。」
 マルカブは、左胸を押さえた。それを見て、シェリアクは何かを確信したらしい。苦虫を噛み潰したような表情を作り、頷いた。
「6階の探索中、彼女は出来上がっていく地図を見て、『見たことがある』と言った。そして、先の道を予告した。まるで、何度も何度も地図を見て予習してきたかのように、だ。」
 その理由を知っているんだろう?とシェリアクの視線が問いかけてくる。マルカブはそれに気がつかない振りをした。シェリアクはため息をついた。
「そして、彼女は言ったんだ。・・・あの奥に、印があった。」
 仲間の視線が集まるのをマルカブは感じた。次のシェリアクの一言は、そんなマルカブにトドメの一撃になった。
「・・・赤い印をつけた、と。」
 マルカブはただ静かにシェリアクを見つめ返した。それしか出来ない、というのが正直なところだった。
「・・・それってマルカブの地・・・・・・」
 言いかけたアヴィーの腕を、カリーナが引いて言葉を止めさせる。シェリアクは、マルカブが上着の左胸の部位を握りしめたのを見て、
「・・・持っているんだな。」
「・・・・・・・・・、持っているよ。」
 何を、とは言わなかった。マルカブは牽制するように言葉を発した。
「だが、渡せない。昨日の『彼女』を見たら渡せない。何を思い出すか分からない。・・・あんなところは、俺は見たくない。」
「・・・同感だ。」
 だが、とシェリアクは続ける。
「彼女は思い出せなくて苦しんでいる。」
「思い出して苦しむかもしれない。」
「彼女は思い出したい、と願っている。」
「『彼女』は忘れたいと願ったかもしれない。」
 いつになく必死なマルカブを見て、カリーナは耐えられなくなって、ぱっと彼の前に飛び出した。飛び出してから、何を言うか逡巡してしまう。くっと喉を鳴らしてから、カリーナは小さく、
「・・・マ・・・マルカブはガーネットさんが心配なんです。シェリアクさんがエラキスさんを心配してるのと同じくらい。」
 震える声でそう言った。私もマルカブが心配です、と心の中で付け加えながら。
 アヴィーはそんなカリーナとマルカブの背中を見つめながら、背後でディスケとクー・シーがため息をついたのを聞く。「・・・あー、そういうこと。」「むう、そういうことかね。」と呟くディスケとクー・シーを、アヴィーは不思議そうに見上げた。
 シェリアクはカリーナを見つめ、そして息を吐いた。
「・・・そうだな、すまない。」
 そして彼は小さく頭を振り、改めて一行を見た。
「今の話は、保留にさせてくれ。今日、私が『アルゴー』を待っていた理由は別にある。」
「待っていた・・・?」
 カリーナの問いかけに、シェリアクは頷いた。 
「私とともに、もう一度古代魚の巣を調べてはくれないか。」
「・・・・・・じょ・・・冗談じゃねえぞ!」
 マルカブは自分の前にいるカリーナの肩をつかみ、彼女を自分の後ろに下がらせながら、
「俺は、あの場所にカリーナとアヴィーを二度と行かせるつもりはない!」
「分かっている。その子たちに来てほしい、と言っているわけじゃない。私とミラ・・・う一人の仲間で探索をするには心許ないのだ。」
「ミラ・・・ってあのファーマーの子か?あんなところに女の子を連れていく気か?」
「私も古代魚の巣にあの子を入れるつもりはない。手前で待っていてもらう。・・・エラキスを連れていけない以上、彼女の探索技術は私に必要なのだ。」
 エラキスを連れていかない、と言った言葉にマルカブの肩の力が微かに抜けたのにカリーナは気がついた。そして、ディスケとクー・シーもそれに気がついた。状況は分からないなりに、事情は察したらしい二人は、
「ああ、じゃあ、わしが行こう。わしもあの場所を調べたいし、もし古代魚がいなくなっていたらピックの弔いをしたい。」
「重騎士と気功師と農民かー。ちょっと苦労しそうだな。俺も行こうか?」
 それぞれが名乗りをあげる。マルカブは振り返り、ぎっと二人を睨みつけたが、二人はしれっとしたっままで、
「マルカブも一緒にどうかね?」
「そうだよなあ、あと一人枠が空いてるし。一人素早いのがいると助かる。」
「お前もあの場所で確かめたいことがあると思うんだがね?」
「そうそう。」
 確かにそうなのだ。しかも、シェリアクが頼んできたことは、マルカブがシェリアクに頼もうとしていたことなのだ。その考えを昨日聞いていたカリーナは、瞬きをしてマルカブを見上げる。後ろから見上げているので、マルカブの顔はわずかな角度からしか覗けない。しかも眼帯をしている側なので、その目は見えない。
 彼はもしかしたらシェリアクに対して意地を張っているのかもしれない。カリーナは、マルカブの引き結んだ口元を見ながら思う。古代魚の巣が危険だからとか、『彼女』の記憶が『彼女』を傷つけるかもしれないとかではなく、別の何かがシェリアクの頼みを聞くことを良しとさせないでいる。その何かは薄々分かる。嫉妬にも似た、微妙な何かだ。
 ・・・・・・馬鹿だなあ。
 カリーナはため息をつき、マルカブの上着を引っ張った。マルカブはイライラしながら振り返り、
「・・・何だよ!?」
「シェリアクさんと一緒に、古代魚の巣に行ってきて。」
 カリーナは淡々とマルカブに伝える。
「・・・何でだ!?大体、クー爺はともかく俺があの場所にいく理由・・・・・・!」
「マルカブも地図を確かめたいって言ってたでしょう、昨日。」
 言うか言うべきでないか、カリーナは迷ったが口にした。怒るだろうな嫌われるかもしれないな、と思いながら、しかし彼に怒られるとか嫌われるとか、そんなことが重要じゃないんだと、自分に言い聞かせながら。彼に後悔させないために、言うべきことを。
「・・・地図にあった赤い印を確かめたいんでしょう?」
 シェリアクが唸るように息を吐く。マルカブは呆然とカリーナを見つめてから、ぎりぎりと奥歯を噛みしめ、
「カリーナ!それを言うのは・・・・・・!」
「行きなさい。」
 カリーナは持てるだけの威厳を総動員しようとした。自分にもし王族の威厳というものが宿っているのなら、今全てを使い切ろう。とにかくこの人を前へ進めさせるために、どんな命令だって下すのだ。
「・・・・・・何で命令形なんだ・・・。」
 王女の威厳というよりも己の恋心すら踏みつけて相手の背中を押そうとする少女の勇敢さに、大人げない抵抗と意地を示していた臆病な男は従う他なかった。


(八章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

ポイントはあれですね、「おとーさん「は」心配性」はNGワードらしい冒頭。(笑)


さて、ミッションを受けた上で古代魚の巣・・・ということはだ、ムロ(強制終了)

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