まよらなブログ

八章2話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮?」妄想話です。

ショタパラ合同誌「週刊少年パラディン」、無事に入稿したそうで、
編集部員のI藤さんに、約束どおりホワイトさんにおめかしセットを買ってあげました。
あれを是非とも春コミ会場に持っていってほしいものです。
まあ、連れて行くことになったら、ホワイトさんのポシェットの中に
カピバラさんとリーゼント君の腐女子向け本をこっそりと仕込んでおきますけどね。

そんなこんなで、
春コミにて無事に出そうな鉄壁の少年漫画誌「週刊少年パラディン」はこちらから、
志水の妄想話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




8章2話
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 元老院でシェリアクを会った翌日。宿の玄関で、アヴィーとカリーナは樹海に向かう仲間たちを見送っている。結局、シェリアクの頼みは引き受けたのだ。昨日はとりあえず地下7階まで降り、捜索隊を仕切っているクジュラに捜索の様子などを聞き、同時に古代魚の巣を探索することも伝えている。オランピアの行方も気になるが古代魚も放っておけないと判断したのか、彼は短い返事を返しただけだった。
 宿の玄関で、アヴィーが「気をつけてね。」と言いながら、宿の厨房を借りて作った弁当をマルカブに手渡した。おうよ、と彼は短く答え、弁当を狙うクー・シーの手をさっとかわす。
「弁当の中身、何だ?」
 ディスケが楽しそうに聞くと、アヴィーは、開けてのお楽しみだよ、と言ってから、
「カリーナも一緒に作ったんだよ?ね?」
 カリーナを見上げて(彼の方が視線が低い)、笑う。カリーナはうん、と頷いて、
「卵焼きつくったの。」
「ほっほーう!出汁巻き卵ですか、姫!?くるくると巻いておられますか!?」
「・・・炒り卵になったんだけど。」
 ぼそっと言ったカリーナの言葉に、マルカブとディスケがクー・シーの左右の足を踏みつけた。ぎゃ、と叫んだクー・シーのことは無視して、
「いいじゃんいいじゃん!俺、炒り卵、好きだしー。」
 ディスケがわはははは、と笑う。カリーナはにっこり微笑んで頷いた。マルカブは弁当を手にしながら、気がついた事を口にする。
「・・・もしかして、お前、料理すんの初めて?」
「う、うん。マリアさんの手伝いはしたことあるけど・・・盛りつけとかだし。焼いたり味をつけたのは初めて。」
 カリーナは戸惑いながら答える。野営の際の料理もアヴィーの仕事だ。火を使うのは初めてだった。
「そうか。じゃあ、味わって食べないとだな。」
 マルカブが荷物の中に弁当がひっくり返らないように入れながらそう言うと、カリーナは恥ずかしそうにしながら頷いた。彼女が「美味しいといいな。」と呟く様を見て、「いやはや初々しいですな。」と足の痛みにケンケンしていたクー・シーが呟いた。
「・・・遅くなった。すまない。」
 そこへシェリアクがやってくる。彼の背後には小柄な少女が一人。シェリアクはエプロンドレスを着た15歳ほどの少女の背中をそっと押して、紹介する。
「この子は私の仲間のミラだ。この子は魔物の足跡などに気がつくことができ、魔物に会わずに探索を進められる。」
 頼りになる仲間だ、とシェリアクが言うとミラは彼を見上げてにっこりと微笑んだ。シェリアクは彼女に、挨拶をするように促す。それを見て、「あ、あそこにもおとーさんが。」「む!うちのおとーさんも子自慢を仕返せばいいよ!」とディスケとクー・シーが余計なことを口にしたが、マルカブは無視をした。
 ミラと呼ばれた少女はスカートを少し摘み上げ、
「ミラと言います。本日はよろしくお願いいたします。」
 と一礼した。カリーナよりもお姫様みたいだねえ、とアヴィーが呟き、カリーナは彼の腕をぎゅ!とつねった。眉をしかめたアヴィーには気づかずに、シェリアクが続ける。
「ミラの技術を使えば、戦闘を避けて進むことができる。古代魚の巣までは、可能な限り温存したい。魔物の遭遇を避けながら進むが、いいだろうか?」
「勿論だ。古代魚の巣にその子は入れないんだろう?」
 マルカブの確認に、ミラはシェリアクを見上げる。そんな話は聞いていない、という様子だ。シェリアクは、当然だ、と答えてからミラを見て身を屈める。それを見て、「あ、やっぱりあそこにもおとーさんが!」「うちのおとーさんより威厳のありそうなおとーさんが!」とディスケとクー・シーが余計なことを言いつつ、その仕草が誰かに似てることに気がついた。そして、安堵した。よく知らない相手と共に探索をすることは危険なことだが、少なくともこの男は少女を見捨てるような男ではないようだ。
 古代魚の巣が危険であることを、シェリアクはミラに朴訥と言い聞かせている。しかしミラは納得せずに、巣の中の捜索も自分がいた方がいいはずだ、と言い張っている。ディスケは素早く助け船を出した。
「じゃあさ、こうしようぜ、ミラちゃん。おにーさんと一緒に巣の外で待ってんだ。」
「・・・私、知らない方と一緒に樹海にいたくありませんの。」
「あっはっはっは!可愛い口調で厳しいなあ!」
 ミラの丁寧ながら辛辣な言葉をディスケは笑い飛ばして、
「もし巣の中に古代魚がいたらさ、俺は巣の外から古代魚を狙う。大弓の発射にはちょっと手間がかかるから手伝ってよ。それが一番、キミんとこのおとーさんが安全な方法だと思うんだけどな?」
 ミラは少し考え込んだ。それからシェリアクをちらりと見上げて、頷いた。
「分かりました。そのようにいたしましょう。シェリアクさんは私のお父さんではありませんけれど。」
「例えの話だよー。」
「そうだったらいいなとは思いますけれど。」
 ぽそり、と呟いたミラの肩にシェリアクは手を置いた。何か事情があるようだが、そこまで聞く義理もなければ必要もない。少女が信頼している人に伝わっていれば十分なことだ。
 よろしく頼むよ、とディスケは笑い、それでいいかな?とシェリアクを見上げる。シェリアクは感謝するように頷いた。
「じゃあ、そろそろ行こうかね。」
 クー・シーがやれやれと腰を叩きながら軽く背伸びをして、
「おじいちゃんは老体に鞭を打って頑張ってこようかね。ああ、やだやだ。頑張りたくないよー。」
「爺さん、心を入れ替えて探索に励むんだろー。」
 ディスケが大弓を担ぎ上げて、
「忘れ物はないな?糸も弁当も持ったし。あ、糸はミラちゃんが持っててな。」
 ディスケが荷物からアリアドネの糸を取り出してミラに渡すと、シェリアクがすまない、と礼を言った。糸を渡す、ということは、彼女に逃げ道を与えるということだ。何かあったら自分たちを置いてすぐに街に帰れ、とそういうことだ。ディスケは、まあ気にすんな、と手を振った。
 そんな様子を見ながら、やっぱり私の仲間は優しい人たちだな、とカリーナはちょっと得意になって誰に対してでもなく胸を張る。上げた視線の先で、マルカブが階段の上に目をやったことに気がついた。まるで、誰かが降りてこないかと確認するかのように、一度だけちらりと視線が動いたことに気づく。
「・・・マルカブ。」
 カリーナは小さな声とともにマルカブの服を掴んで引き、
「・・・心配?」
 何が、とはカリーナは聞かない。だが、十分だった。マルカブは少女に心配されている自分に苦笑して、彼女の頭をくしゃくしゃに撫でた。
「ま、気にはなるけどさ。」
「・・・・・・うん。」
「・・・ありがとな。」
「何が?」
「気持ち、切り替えられた。」
 マルカブは笑い、最後に彼女の頭を一撫でする。そして荷物を持ち上げた。
「・・・気をつけてね?」
「おう、お前らもちゃんと留守番してろよ。アヴィー、こっそり付いていこうとか考えんなよ。」
「お、思ってないよう!そんなこと!!」
 と言うが、心のどこかでそれも考えていたらしい。アヴィーは無駄に慌てた様子で、
「思ってないよ!ホントだよう!!」
「・・・お前、そのつもりだったんだろ・・・」
 マルカブは呆れた様子でうめき、アヴィーの額を指で弾いてから、
「留守番しながら勉強でもしてろ。次の探索で役に立つように。」
「・・・うん。分かった。」
 アヴィーは額を押さえながら頷いた。じゃあ、行ってくるわ、とマルカブは言い、宿の扉を開ける。ディスケとクー・シーが気楽な様子で、「お土産楽しみにしてろよー。」「おじいちゃん、頑張ってくるよー。」といって出ていく。ミラも続いて、最後に出ようとしたシェリアクをカリーナが呼び止めた。彼女はぺこり、とお辞儀をして
「・・・みんなのこと、守ってください。」
 スカートをぎゅうっと掴んでそう頼む。アヴィーも慌ててカリーナの隣に並び、同じようにお辞儀をした。
 シェリアクは複雑な表情を浮かべたが、約束しよう、とはっきりと答えた。

*****


 そうして『アルゴー』と『ファクト』の合同ギルドは、地下5階を進み、地下6階への階段を下りきる。魔物に遭遇しないよう慎重に歩みを進めるミラが、ぴたり、と立ち止まった。
「誰かいます。」
 と彼女が呟く。シェリアクは「人間か。」と聞き、ミラは頷きながら「少なくても、オランピアではありません。」と答えた。
 よく目を凝らして見ると、青い樹林の中に少女が一人立っていた。少女の顔色は悪かった。一階層の大ナマズ・ナルメルの行動を教えてくれた『ムロツミ』のギルドの一人・・・星詠みの少女だ。少女は一行に気がついて、少し驚いた様子を見せてからぺこり、と頭を下げるのだ。
「一人かね?カナエちゃん。」
 クー・シーが気安く声を掛けると、少女・・・カナエは頷いた。そして「『アルゴー』と『ファクト』で探索ですか?」と聞いてきた。どうやら彼女も『ファクト』と面識があるらしい。その証拠にシェリアクが「・・・アガタはどうしたんだ?」と聞く。
 少女は顔を一層曇らせて、そのことでお願いが、と口にした。
「みなさまが先日、古代魚の巣を発見されたと聞きました。」
 カナエは顔を一層青くさせて、悲痛な面もちで彼らに訴えた。
「アガタにはその巣の場所は教えないでほしいんです!」
 少女は俯き、「なんだかとても嫌な予感がするんです・・・」と呟いた。
 一体どうして?と誰かが問いかけるよりも先に、カナエは「どうかお願いします!」と頭を下げて、返事も聞かずに駆けていってしまう。
「・・・一体どうしたんだ?」
 一方的なカナエの頼みにディスケが首をひねった。相手のことをよく知ってるわけでもないが、礼儀正しいカナエにしては不躾な頼みだと思う。
「・・・あれじゃないかな、」
 クー・シーがカナエが走っていった先を見つめながら、
「あの子の父君も二階層から帰ってこなかった・・・もしかして、古代魚の巣で・・・と考えているのかもしれないね。」
 あの子も同じことを起こしたくはないだろうからね、とクー・シーが呟く。クー・シーだから、呟いた。
「・・・いずれにせよ、」
 シェリアクが低い声で、
「古代魚の巣は危険な場所だ。彼女があんな状態の『ムロツミ』に向かわせるべきではないと思うが・・・。」
「それを言ったら。俺らも危険だけどなー。」
 あっはっはっは、とディスケが笑うと、ミラが「不謹慎です。」と眉をひそめる。ディスケは肩をすくめて、
「まあ、シェリアクの言うとおりだ。それに俺は女の子のお願いをお断りしたくないね、紳士だから。」
「ああ、わしも紳士だからね。」
 マルカブもこう見えて完全な紳士だしね、とクー・シーがからかうように言うが、マルカブは考え事をしていた様子で、
「・・・あ?」
「なにをぼんやりしてるんだね!おじいちゃん、せっかく誉めたのに!」
「『こう見えて』は余計だったけどなー、まあ、紳士って言うかおとーさんだから。」
「そうそう、姫と同じ年頃の女の子の頼み断れないからね。」
「あ、でもアヴィーと同じ年頃の男の子の頼みも断れないだろうから、アガタが頼んできても巣の場所を教えんなよー。」
 からかいの方向に盛り上がっていく『アルゴー』の様子に、ミラがあきれた様子で
「・・・皆さんはいつもこんな緊迫感のない探索をなさっていますの?6階まで来られたのですから、どれほどの方々かと思っていましたのに・・・」
 冷たいミラの視線を受けながら、マルカブはクー・シーとディスケの方へ腕を振る。
「・・・もっと言ってやってくれ。効果はないと思うけどな。・・・まあ、どっちにせよ、俺もシェリアクと同意見だ。」
「・・・何か考えることがあるようだが・・・。」
 シェリアクがマルカブに尋ねた。気がかりなことは今のうちに言っておけ、ということなのだろう。マルカブは軽く手を振り、
「いや、『ムロツミ』のことじゃない。個人的な話だ。」
 そう言って、もう一度だけ、考えていたことを意識する。
 古代魚の巣、そこで悲劇を見た老人と同じものを見たかもしれない少女、記憶のない少女と女。
 まるで同じことが、ぐるりぐるりと呼び込まれている。海流が空気を吸い込むように、あの巣が冒険者の運命を呼び込んでいる。自分たちは少しだけ、そこから外れただけなのだ。今度も外れられるとは限らない。
 ・・・それでもそんな運命からは外れないとな。
 マルカブは荷物の中の弁当の重さを感じながら、静かに覚悟した。


(八章3話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

あー・・・ムロツミイベントですよー・・・
話しかけちゃったよー、こいつらアガタに教えないつもりだよー、
だって女の子が頼んでくるからさ、頼み聞いちゃうじゃん、
そしたらそっちが(規制)なのかよ・・・!と凹むわあ。


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