まよらなブログ

九章5話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

今になってドラクエ6(DS版)を始めた志水ですが、
何だか勝手に
「後列はダメージ半減(ドラクエに後列システムはない)」
「戦闘後、ダメージ回復(ドラクエに「王者の凱歌」スキルはない)」
と思い込んでおり、自分のRPG脳が世界樹システムに染まっています。


まあ、それはともかく、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




九章5話
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「貴方の雇い主の目的は、剣と茨の紋の国の実権を握ることだと思われます。」
 そよそよと南国の風が窓から吹き込む中、ツィーは淡々と話し出す。リョウガンと名乗った刺客・・・黒髪を短く刈り込み、額に大きな傷のある二十後半の男に話す形を取りながら、その場にいる全員に聞かせている。
「その方法には様々なものがあると思われます。姫の首を王に差し出すことで、王に取り入る・・・我々が考えた可能性はまずはそんなことでした。」
「・・・私もそうではないかとは思っていたが。・・・雇い主の意図などは聞かぬから推測でしかないがな。」
「ちょっと待ってくれよ、ツィーちゃん。」
 ディスケがそよぐカーテンをまとめながら、
「まず、ここから確認させてくれ、カリーナの命を狙っているのはカリーナの兄貴じゃないんだな?」
「勿論です。」
 ツィーの答えは即答だった。アヴィーが「良かったね、カリーナ!」と声を弾ませたが、カリーナは何が良かったのかよく分からなかった。一度しか話したことのない兄妹だ。そこに兄妹の情がある方が不思議だと思う。とはいえ、アヴィーが自分のことのように喜んでいるので、うん、と頷いては見せた。
「では、誰か。名をあげることは、ここでは意味がないでしょう。立場としては保守派貴族の者で、姫の祖父君の立場と同じくする者です。」
 そうですね、とツィーは刺客・・・リョウガンに確認した。
「雇い主のことは私から話すことは出来ない。だが・・・違う場合は違うと答えよう。」
 よろしいか?とリョウガンが聞くのはカリーナだ。彼女は勝者の余裕で頷いた。
「それは貴方の仕事に対する最後の義理なのでしょう?それくらいは許しましょう。」
 感謝する、とリョウガンは一礼する。ツィーは改めて、
「貴方の雇い主は保守派貴族です。違いますか?」
「・・・・・・。」
 違う、とはリョウガンは答えなかった。だからツィーはそのまま話を続けようとして、
「・・・おかしくねえか?」
 マルカブが遮った。
「保守派貴族ってカリーナの爺さんたちの一派なんだろ?で、今の国王は改革派なんだよな?だったら、カリーナを担ぎだして傀儡にする・・・っていうのが妥当じゃねえか。」
 言いながらマルカブの顔が苦虫を噛みつぶしたように歪む。可能性の問題であっても、誰かがカリーナを利用するようなことを口にすること自体が気に入らないらしい。ツィーはそれを嬉しそうに眺めつつ、解説を加える。
「ええ。王もそれを恐れて姫様をひとまず国外追放とされました。そして保守派の力を削いだ上で姫様を国に戻すおつもりでした。」
 その言葉にカリーナが反応する。
「どうして?」
「姫様が姫様だからです。」
「ツィー。それは答えになっていない。どうして私を国に戻す必要があるの?国外追放だって、私を処罰したら貴族たちが反発するからだと思っていたの。貴族の力が無い中であるなら、私を殺しても反対する者がいない・・・。」
「姫様が第一王位継承者だから、と言えば納得してくださいますか?」
 ツィーの言葉にカリーナは瞬き、そして、あ、と声を出した。ディスケが眼鏡を掛け直し、マルカブが腕を組み直す。
「え?どういうこと?」
 アヴィーが素直に首を傾げてツィーに問いかけた。
「王は姫様に王位を譲るおつもりです。」
「・・・ちょっと喋り過ぎじゃないかね、ツィー。」
 ツィーの言葉に、クー・シーが静かだが重く告げる。
「おじいちゃま、ずっと黙ってたのに。」
「ええ、申し訳ありません。ですが、ここにいる誰も、このことを黙っているでしょうから。」
「まあ、そうなんだけどねえ。セイリアスは、いいって言ったの?」
「ええ、私の独断です。」
 さらりと言ってのけるツィーの言葉に、クー・シーは絶句したようだった。
「クー爺を黙らせるなんて大した孫娘だな・・・。薄々分かってきたぞ、ツィー。ソイツの雇い主もこのことを知った、違うか?」
「そうです。」
 マルカブの言葉にツィーは満足げに頷いた。
「彼らが一番恐れたことは、姫様と王が手を組むことです。王が改革を断行し多くの民はそれを支持する中で、貴族達の既得利権を失いつつあります。そんな中、長く続く階級制度の鬱積から革命が起こる日も遠くなく、その時に断頭台に送られるのは己らだと気づき始めたのです。・・・その革命を起こさないために、王は改革を行っておりますのにね。」
 ツィーは苛立たしげに腕を組み、続けた。
「彼らにとって、姫様はその利権を守ってくれる希望だったのでしょうが・・・、姫様は国外追放の身。姫様が王に対抗できる力をつけるよりも先に、自分たちが処罰される日が来ると恐れだし・・・その中で、王が姫様に王位を譲るつもりだという噂を聞く。王は己の改革に反対する者に王位は譲らない。もはや妄想の域ですが、彼らは王と姫様が極秘に結託したのだと考えたのでしょう。ならば、と過激な方法を選びました。」
 ツィーはため息を一つ。そしてリョウガンを見つめ直し、
「さて、ここで話が変わります。貴方の里の人間は各国の有力者の間者として雇われていますね?」
 その一言に、リョウガンは表情を堅くした。
「剣と茨の紋の国の第一の敵国となりうる、星を紋に持つ国に雇われている忍もいるようですが。」
 ツィーの話に付いていけなくなったアヴィーが「どういうこと?」とカリーナに問いかける。カリーナは表情を堅くして
「私の国と仲が悪い隣の国が、『星を紋に持つ国』と呼ばれてるの。彼の里の人は、私たちの国にも隣国にも雇われてる。・・・それが雇い主にとって危険なことだって分かる?」
「・・・あ、二重スパイってやつになるかもしれないんだ。」
「そう。雇われている国でつかんだ情報を、敵国に雇われている仲間に流すことも出来る。」
「実際、貴方方はそうやって生き残ってきたのでしょうし、二重スパイをとやかく言うつもりもありません。」
 ツィーはカリーナの説明を受けて、リョウガンへ。リョウガンも頷いて、
「そこまで分かっているならば隠すまい。我らの里は、剣と茨の紋の国と星を紋に持つ国の間に横たわる山脈の中にある。両国からの依頼を受けて、他国へ間者に行くことで生き残ってきた一部族だ。」
 両国ともに被支配民には厳しいからな、と皮肉そのものでリョウガンは言った。間者という形で支配者層の情報を得ることによって、どうにか部族の命脈を保っているのだろう。しかしツィーは同情など見せる様子もなく、事実を述べていく。
「二重スパイ行為について、剣と茨を紋の国の王家は薄々気づいております。おそらく星を紋に持つ国も気づいているでしょう。しかし、それを明らかにすることはしないでしょう。それは己の手の内を一つ見せることになりますから。貴方方の存在には、牽制の意味しか与えられていないのです。」
 ところが、とツィーは語気を強め、
「それを利用しようとしたものが、貴方の雇い主です。」
「・・・どういうことだ?」
「いろいろ調べさせてもらいましたが、貴方の妹君は星の紋を持つ国に雇われているようですね?」
「・・・・・・、まさか。」
「貴方が姫様を殺す。貴方の雇い主は貴方を捕らえる。貴方の一族が隣国とも繋がりがある、という事実をもってして、姫の殺害を隣国と貴方の一族の仕業と押しつけることも可能です。」
 それに何の得があるのか、とマルカブは問いかけようとしたが、リョウガンとカリーナの顔から血の気が引いたのを見て言葉を飲み込み、カリーナの頭に手を置いた。カリーナはマルカブの上着を掴んだ。唇を噛みしめている。
「事実と虚構の中の扇動により、国同士の戦争を起こすことが貴方の雇い主と・・・隣国のある軍人の目的です。」
「な、何で?」
 アヴィーがおろおろしながら問いかける。
「なんで戦争することが目的なの?その人にだって、得があるとは思えないよう?」
「・・・戦争が起きれば、私の国は負ける。」
 カリーナがぽつり、と言った。その言葉にアヴィーがびっくりして、
「そ、そうなの?でもカリーナの国って騎士の国でしょう?シルン・・・僕の母さんも騎士だったって言ってたけど、強いよ?」
「騎士一人一人の技量、それをまとめる騎士団は強いかもしれない。他国との親善試合では私の国の騎士は負け知らずかもしれない。・・・でも、戦争は違うの。騎士の力で勝てることじゃない。人の数も物量も生産量も技術力も隣国の方がずっと上なの。」
 カリーナはそしてマルカブの上着を掴む手を振るわせて、
「・・・そう・・・そうか・・・王が王位についている間に、私の国を負けさせることが目的なんだ・・・そうすれば、王族は殺されるか捕らえられ・・・私の国は隣国の属国になる・・・。隣国に取り入っているなら・・・その貴族が国を間接的に治めることになる・・・」
「場合によっては、その者が国を治めるかもしれませんな、総督閣下として。」
 クー・シーが髭を撫でながら呟いた。静かだが怒りを孕んでいることは分かった。
 ツィーはリョウガンを見つめる。彼は掛け布を握りしめ、その拳を振るわせていた。
「・・・もし、戦争になった場合・・・いや、姫を殺し、私の一族が二国の間で間者となっていたことが公表された場合、」
「貴方の里は真っ先に滅ぼされます。貴方の里も、二国のバランスの上に成り立っているのです。お互いの情報を得、ひとまずの対応を練るために。そのバランスが崩れたときには必要のない存在となります。いえ、それぞれの国の情報を持っている分、危険な存在となります。」
 ツィーは冷淡に言い切った。リョウガンは呻くようなため息を吐き、うなだれてから、
「・・・・・・・・・分かった。私の雇い主の名を吐こう。私を剣と茨の紋の国に連行してくれ。だから、頼む。そのような結果だけは、なんとしても避けてほしい。」
「ええ、そのつもりです。」
 そしてツィーはカリーナに向き直り、
「港に、私をここまで連れてきてくれた商船があります。船には騎士も数名乗っております。彼らに彼を国に護送するよう頼みますが、よろしいでしょうか?」
「・・・ええ。お願い。騎士たちに急ぐように伝えて・・・。」
 カリーナは辛うじて頷き、ツィーは「かしこまりました。」と答えた。そしてツィーは、必要なことは話した、と口を噤む。カリーナも息を吐き、そしてマルカブにしがみついた。
「・・・カリーナ、」
「やだ・・・」
 カリーナはしゃくり上げだした。
「やだよお・・・・・・わたし、国から出ても、姫で王族なの・・・?」
 カリーナの足下に水玉が落ちたことにアヴィーは気がついた。
「・・・私が生きてても死んでても、私のせいで、戦争になったり、誰かが死んだりするの・・・?」
 もうやだよお、と泣き出すカリーナの頭をマルカブは撫で、アヴィーがおろおろしながらもカリーナに近づく。それを見てられずに外を見て煙草をくわえるディスケと静かに一味を見つめるクー・シー。全員の様子をツィーは見回しながら、
 それでも、ここには希望しかないように思うのだ。


(九章6話に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------- 

説明くさくてなー。世界樹カンケーなさすぎるしなー。

「星を紋に持つ国」の王子様はショタプリで、
シノビの妹っていうのはシノ姉です。
二部に登場するよーとだけ書いておこうと思います。

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