まよらなブログ

九章6話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

今になってDQ6(DS版)を始めて夢中になっている志水なので
世界樹話を打つ時間がなくなりました。(そもそも鋼話は?という話ですが。)
今回の話の後から、全く書けていません!プロットすら出来てません!!
さあどうする、来週は休みもないし!!


そんなこんなですが、
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



九章6話
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 夜、扉を閉めて廊下に出てきたツィーと廊下の壁に寄りかかっていたマルカブの視線がぶつかった。ツィーは一つ頷いて、
「丁度よかった。お話をしたいと思っておりました。」
「・・・おう、俺もだ。」
 マルカブは扉を見やった。そこはカリーナの借りている部屋だ。ツィーは大丈夫です、と告げる。
「姫様はお休みになられました。鎮静剤も打っております。」
「・・・用意がいいな。」
 皮肉のようなマルカブの言葉に、ツィーは反応せずに廊下を歩きだす。
「ここではなんです。外に行きましょうか。」
「おう。・・・ああ、夜は冷えるぞ。上着あるなら持って行け。」
 そんな声をかけたマルカブに、ツィーは振り返り、にこっと笑った。
「爺様の手紙の通り、親切な紳士ですね。」
「・・・クー爺はそんな気色悪い手紙を書いてるのか?」
「さあ、どうでしょうか。(その言い方はクー爺そっくりだな、とマルカブは思った)けれども、皆様が姫様にとても良くしてくださっていることは文面から分かりました。」
 そう言いつつ階段を降り、彼女はすっと背を伸ばす。宿の廊下・・・治療院に繋がる廊下からトボトボとアヴィーが歩いてきたのだ。
「アヴィー。お前、どこ行ってた?」
 マルカブの声に、アヴィーはあう!と声を上げて、おろおろと周囲を見回す。
「・・・、隠れるところはないぞ。」
「わ、分かってるよう!」
 アヴィーはムキになって主張した。その様子から、本当に隠れるつもりだったらしいことを悟る。
「で、どこに行ってた?こんな夜に。」
「マ、マルカブこそどこに行くの?ツィーも一緒だし・・・」
「以前から、お話をしたいと思っておりましたのでお誘いしました。デートというわけではありませんのでご安心を。」
 ツィーはさらりとそんなことを言ってから、廊下の先を見る。
「治療院へ行かれたのですか?」
「・・・・・・」
「お前、どっか怪我してんのか?」
「違うけど・・・」
 アヴィーは唇を尖らせるようにして、一瞬俯き、それからツィーを見た。
「・・・ツィーは、あの人の腕の火傷をどう思う?」
「リョウガンの火傷のことですか?」
 アヴィーは頷き、それを見たマルカブは子どもたちの行動を理解した。アヴィーが夜に治療院に行った理由も、カリーナがあの刺客を死なすまい、とした理由も。
「痕が残る、と言う点では完治は難しいかと思います。傷も完全に癒えてない中で動いておりますので。」
「・・・あの傷で死んだりしない?」
「死ぬならとっくに死んでます。」
 ツィーの言葉は辛辣なまでに簡潔だった。彼女は腰に手を当てて、
「姫様に何度も何度も、リョウガンの火傷を治してほしいとお願いされましたが、貴方のためですね?」
「・・・・・・たぶん、そうだと思う。」
「そして、貴方は治療院の治療師にもお願いをしてきたと。」
「・・・。」
 俯くアヴィーにマルカブが声を掛ける。
「・・・アヴィー。気にすんな、というのは無理だって分かってるけどな、あれはお前のせいじゃない。俺が命じたことだ。」
「でも、僕の星術だよ。」
「そのおかげでカリーナは無事だった。」
「・・・・・分かってるよ!」
 アヴィーはぐっと拳で瞼を拭い、
「分かってるよ、僕だって、カリーナに死んでほしくないもの!そのためなら、全然知らない人が死ぬ方がいいと思うもの!」
 その一言に、マルカブは心の中で舌打ちした。今の一言は言わせてはいけなかった。正しいか正しくないか、という問題ではない。命を天秤にかけられるほど、アヴィーの心は固くない。己の言葉にいつか傷つくのは、彼自身だ。
「でも・・・気になるんだよ。僕のせいであの人が死んでしまったかもしれない。そしたらカリーナだってきっと悲しむ。それに、あの人にも家族がいて、故郷を守りたいから、全部教えてくれたんだよね?あの人が死んで悲しむ人がいるんだよね?」
 そう考えると怖いんだよ、とアヴィーは言って、ずずずずと鼻をすすり上げた。ツィーがいなかったら泣き出していただろうな、とマルカブは思う。だから頭ではなく肩に手を置くことにする。慰めではなく励ましであれ、と。
「・・・姫様は幸せな方です。」
 そして爺様も、とツィーは呟いた。そして視線を上げ、マルカブとアヴィーを見る。
「国王陛下は仰いました。この国で、姫様に生まれ変わってほしいのだと。そして姫様は変わりました。刺客を生かしてでも傷つけたくない人がいたことも、姫という立場を恐れたことも、今まで一度もなかったのでしょうから。」
 全ては貴方方のおかげなのでしょう、とツィーは微笑を浮かべる。それを見るマルカブは笑わなかった。
「・・・それだ、ツィー。国王はどうしてカリーナに生まれ変わってほしい、と言った?どうしてカリーナに王位を譲るつもりだ?カリーナの兄ちゃんっていうんだから、まだ若いだろ?」
「お年は37になられます。」
「・・・年、離れてんだな。それにしたって、王位を譲る年でもないだろ。それに、王子や姫はいないのか?いないにしたって、諦める年でもないだろ。・・・まあ、諦めざる得ない理由があるのかもしれないが。」
「・・・。」
 ツィーは困った様子でマルカブを見上げたままで、
「爺様に怒られると思いますが、貴方方にはお伝えしましょう。」
 静かに言った。
「国王陛下のお命は、長くありません。」
 アヴィーがずずず、と鼻をすすり上げ、
「・・・病気なの?」
「はい。激務と策謀の半生を送られた結果です。」
 ツィーは胸を押さえた。表情を変えないようにしているようだが、滲みだしている。国王の苦痛に、我が事のように心を痛める少女がいる。
「・・・詳しいお話をするつもりはありません。ですが、遠くない将来、姫様は国に戻るように命じられます。姫様を次期女王とすると公表できる状況が整ったら、私たちは姫様を国にお連れすることになっています。」
「・・・私たち・・・ってことは、クー爺もか。」
「はい。」
 ツィーは躊躇いなく頷いた。だが、すぐに深々と頭を下げる。
「勝手なお願いという事は重々承知しております。ですが、どうかその日まで、姫様と爺様を仲間と思っていただきたいのです。己が独りでないことを知ることが王には必要なのだと、セイリアス様は仰いました。ですから、」
「・・・ツィー、それは、」
「違うよ!!」
 アヴィーがいつになく語気を荒くして、マルカブの言葉も遮って反論した。
「カリーナが女王になるから独りじゃないんじゃないよ!僕たち、一緒に冒険したいから独りじゃないんだよ!!」
 王様になるとかどうでもいいんだよ、とアヴィーは今度こそ泣き出しそうだった。
「僕たちはカリーナと一緒にいたいんだよ!それだけなのに、なんでそれをカリーナが王様になることの理由にするんだよ!?」
 ツィーの目が少しだけ開いた。マルカブは、ごしごしと瞼をこするアヴィーの頭をぽんぽんと叩きながら、
「・・・まあ、そういうことだから、カリーナのこともクー爺のことも心配すんな。お前に頼まれるまでもなく、俺はアイツ等を仲間だと思ってる。」
「僕もだよう・・・!!」
 アヴィーが必死に主張しようとし、無理すんな、とマルカブに頭を撫でられた。ツィーは、じっと二人を見つめた後に、ありがとうございます、と頭を下げた。


*****

 階段の前で壁に手をついて体を支えながら、カリーナは立っている。鎮静剤のせいだろう、体が重くてふらふらする。
 そんな中、階下からのやりとりを聞いて、カリーナはずるずるとその場にしゃがみ込んだ。衝撃があった。
 ・・・私、いつか国に帰ることになるの・・・?
 カリーナの肩に残る衝撃の重さ。王位継承のことも兄王が余命幾ばくもないことも、二の次だった。ただ、いつか国に帰ることになる、それがとても重い現実としてのし掛かる。
「・・・・・・イヤだ・・・」
 カリーナは呟いた。そして顔を両手で覆う。
「・・・イヤだ、帰りたくない・・・」
 声も掠れる。泣く力もない。この下にいる仲間たちに気づいてもらうだけの声が出せない。あそこまで言ってくれた人たちに、伝えられない。
「・・・・・・私も一緒にいたい・・・」
 カリーナは呟いて、そのまま廊下に倒れ込む。体を支えていられない。それが鎮静剤の効果なのか、衝撃の結果なのか、現実の重さなのか、それも分からない。床に体が着く直前、
「知ってるって。」
 腕が自分の体をすくい上げた。カリーナは声に、うん、とだけ答えた。腕はそのままカリーナの体をお越し、肩に寄りかからせる。カリーナは落ちてくる瞼を必死に持ち上げた。家に帰らず宿に泊まることにしたディスケが、いつもの陽気な笑みを少し柔らかくしてそこにいた。
「大丈夫。知ってる。マルカブもアヴィーもちゃんと知ってる。だから大丈夫。」
 カリーナはうん、と小さく答えて、ディスケにもたれ掛かってそのまま気を失うように眠りに落ちた。ディスケはカリーナを抱き上げた。カリーナの部屋の扉は、クー・シーが開けていた。
「・・・お姫様じゃなかったら良かったのにな。」
 ディスケはそう呟いて、カリーナの部屋に入り彼女をベッドに寝かせる。肩まで掛け布をかけてやり、足音を立てないように部屋から出た。クー・シーが扉を閉めた。
「・・・なあ。爺さんもカリーナを国に連れて帰るつもりなの?」
 ディスケはポケットから煙草のパッケージを取り出して尋ねる。クー・シーは視線を逸らして、
「・・・・・・哀れだとは思うよ。」
「はぐらかすなよ。」
 ディスケは煙草を取り出さず、
「聞こえてただろ。アイツらはカリーナのことも爺さんのことも仲間だと思ってるから、仲間なんだよ。俺も同じだよ。」
 ディスケは煙草をくわえて、パッケージをクー・シーに差し出した。クー・シーはそれをじっと見つめる。
「だから、はぐらかすなよ。それだけだよ。」
 クー・シーは、しばし黙り込んだ後、パッケージから煙草を一本抜き取った。ディスケはそのパッケージをしまい、マッチを取り出し、片手で器用に火をつける。そして自分の煙草とクー・シーが口にくわえた煙草に火をつけた。
 クー・シーはゆっくりと紫煙を吐き出してから、
「・・・・・・・・・何があっても、連れて帰るつもりだよ。」
「そうか。」
「だから、姫にはこの町でたくさん楽しんでほしいんだよ。同じ年頃の友達と遊んだり、食べ歩きをしたり、町を散歩したり、冒険をしたり、恋をしたりね。」
 王宮に戻ったらそんなこと出来なくなるんだから、とクー・シーは呟いた。なるほどね、とディスケは煙草をくわえたままで呟いて、
「・・・全部してんじゃん。」
「そうなんだよ。」
 二人は紫煙をくゆらせながら、苦笑した。それから少し黙り込んで、
「・・・俺は、国のことも分かんないし、カリーナが一緒に居たい相手はマルカブとアヴィーだから、とやかく言うつもりもねえけど。」
「うむ。」
「カリーナが考えて決めたことなら、背中を押してやりたいと思うよ。」
「・・・姫は、なにを選ぶと思うかね?」
「それは分かんないな。国を選ぶかもしれないし、仲間を選ぶかもしれない。」
 たださー、とディスケは煙草をつまみ、ゆっくり煙を吐いた。
「どっちを選ぶからって、カリーナにしてやりたいことは変わんないだろ。俺はカリーナが王宮に帰らなくても、この町で楽しいことを沢山してほしいよ。」
「・・・・・・・・・、まあ、それはそうだね。」
「爺さんがカリーナを連れてくにしたって連れてかないとしたって、仲間なのも同じだよ。」
 クー・シーは煙草の先に灰が連なっていくのをぼんやりと見つめた。
「・・・もうちょっと疑ってくれるギルドなら、わしはきっぱり裏切っていけるのにねえ。」
「そりゃ、残念だなあ。そういうギルドじゃねえもんなあ、おとーさんの方針からしてそうだからさあ。」
 ディスケはあっはっはっは、と笑ったが、それは少し乾いている。クー・シーは困ったねえ、と呟いた。
「『ムルジム』も『アルゴー』も、いい子たちばかりだよ。幸せなのに困ってしまう。」
 わしが選べないよ、と悲しそうに呟くのだ。


(十章に続く)

---------------あとがきのようなもの------------------- 

プリ子に王位が譲られる予定だ、とか、もっと後に明かされる予定だったんですが、
深王と姫が出てくる前に書いといた方がいいだろう、と思って、ここに入れました。
自分を無くし(規制)王と、自分の願いだ(規制)姫を見るからこそ、
選ぶ道もあるんじゃないかと。

ちなみに海都寄りの真ルートなんですけどね、この話。

次回から10章です。そろそろケトス戦も近くなってきました。
「オーシャンレイヴ」とかどういう技なのか考えねばなりますまい。



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