まよらなブログ

十章1話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

とうとう深都につかないうちに10章になってしまいました・・・。
まあ、今後もだらだらと続けていきたいです。

さて、本日は『アルゴー』と・・・というよりうちの赤パイと微妙な関係のギルド、
『ファクト』の皆さんの名前の由来でも書いてみましょうかね。
『ファクト』のメンバーは変光星(明るさが変化する星)から取ってます。

ギルド『ファクト』:鳩座のこと。星座的には、アルゴ船から放たれた鳩です。
          アルゴ座をノアの箱舟と見たてた場合は、箱舟から放たれた鳩になります。
          あとから知ったのですが、ノアの箱舟のランプはガーネットらしく、
          すごい偶然がきたものだ、と思っております。

シェリアク:こと座β星のこと。「琴」の意味です。
      琴の持ち主・オルフェウスはアルゴ船に乗ってます。

エラキス:ケフェウス座μ星。別名「ガーネット・スター」です。
     ちなみに、『ガーネット』も実は偽名です。本名はそのうち。

ミラ:くじら座ο星。「不思議なもの」とかそんな意味。
   ミラは明るさが大きく変化する星なので、裏表の激しいイメージです。

ツィー:カシオペア座γ星の中国名で「鞭」のこと。
    肉体派モンクなので、蹴りが鞭のようにしなるようです。

『ファクト』は、後に二人メンバーが増えますかね。
ギルマス以外は女の子なハーレムパーティなんですが、
キャラが誰もツッコまないのは、ギルマスの人徳の所以ということになっています。


まあ、そんなこんなで、話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


十章1話
-------------------------------------

 ・・・死、だ。
 普段と変わらぬ毎日を送っていても、背中に貼り付くように死の臭いは付いて回っている。野営地で手当てを受ける衞士たちからも、死神の臭いは付いて回っていた。実際、道の途中で衞士の死体も見つけた。せめて、とその記章を持ち帰り、縁のある人に届けたいと思った。
 死、だ。
 樹海を進んで、オランピアと再度会った。あの時のクー・シーの表情を忘れることはないだろう。以前のようにオランピアに向かうことはなかったが、それは今の自分たちを置いていけないからなのだ。憤怒と悔恨を押し隠して、オランピアが呼び寄せた深海の殺戮者と戦う老人は頼もしいようでいて寂しそうだった。あの背中にも、かつての死がのし掛かっている。
 そして、死だ。
 深海の殺戮者を退けたあと、脳裏に響く不思議な声とともに青い珠が現れた。海王ケトスを名乗るその声は、その珠を用いて進み自分の元まで来るよう告げた。己の屍の先に深都がある、そう告げて。
 ああ、どこまでも死。
 その青い海珠とそれを手に入れたときの状況を元老院に報告し、同時に衞士の亡骸から持ち帰った記章も渡した。その記章の持ち主について元老院の老婆は何も言わなかったが、届けられるべき人に届けられるのだろう。それがどうしようもなく悲しい。
 繰り返される死だ。
 記章が運ばれていくのを見つめながら、カリーナは実感した。己の肩にかかる己の国民の命。己の国の騎士たちも、家紋を刻んだ金属片を鎧の肩につけている。それは騎士の認識票で、帰らぬ彼らの代わりに家族や友人や恋人に届けられることもある。他国の衞士の記章を見つめながら、カリーナは『己の国民』をはっきりと認識した。国の人口も国の歴史も文化も風俗も知っていても、国に生きる人々のことは遠くの世界のことだった。そうではない。『国民』は、一人一人が息をしている存在なのだ。そう、カリーナは認識した。
 樹海で起きた悲劇は私の国でも起きていて、そしてこれから起きるかもしれない。そう思うと身震いしか出来ない。せめてリョウガンの持つ情報によって、負けるための戦を回避することを祈る。国外追放の身ではそれしか出来ない。
 ・・・もうこれ以上の死はいらない。
 『アルゴー』は更なるミッションを受けている。海珠を使い、深都に続く道を探すのだ。元老院の思惑に共感してるわけでも、冒険者としての矜持があるわけでもない彼らだが、このまま捨て置けないという点では一致した。
 そう、もうこれ以上の死は要らない。この樹海でも私の国でも、もう要らない。
 ・・・・・・でも、私に何が出来るというの。
 元老院の廊下に置かれたベンチに座って、カリーナは顔を覆った。新たなミッションを受けた『アルゴー』は、ともにオランピアの捜索をした『ファクト』や衛士たちと打ち合わせを行っている。海珠を使ったことで、通路にあった海流がなくなり進める方向が増えたのだ。すべての海流が消えたことを手分けして確認し、新たな階段を見つけた報告の中、カリーナは席を外して廊下に出てきた。
 そのカリーナの隣に、誰かが座る気配がした。海の匂い。カリーナは、マルカブ、と名を呼んだ。気配は少し戸惑ったようだった。
「・・・ごめんね。」
 声は女性のものだった。カリーナは慌てて顔をあげる。隣にいたのはエラキスだった。彼女はバツの悪そうな顔で、
「・・・がっかりさせちゃったわね。」
「い、いえ。私が勝手に思いこんでいただけですから。」
 カリーナは頬を染めた。よりによって、どうしてこの人とマルカブを間違えてしまったんだろうと思う。どうして同じような匂いを感じてしまったんだろう、と自分に怒りすら覚えるのだ。それは、ただの嫉妬の反転でしかないことも自覚した。
「具合悪いの?」
 エラキスに尋ねられて、カリーナは少し躊躇った後に「いろいろあったので。」とだけ答えた。エラキスは、そう、と答えてから、
「『アルゴー』は、いい人たちばっかだけど男所帯だから。彼らに話しにくいことがあったら言ってちょうだい。」
「・・・はい。ありがとうございます。」
 仲間たちに何も言わずに出てきた様子を見て、エラキスは推測したのだろう。そういうことでもなのだけど、と思いながらも、カリーナは素直に礼を言う。カリーナの返事に、エラキスは微笑んだ。綺麗だな、と思った。・・・マルカブが好きになるよね、とも思った。
 少し表情に陰りが出たのだろう。エラキスは心配そうにカリーナを見つめ返す。だからカリーナは話題を変えることにした。
「・・・あの、ツィーはお役に立っているでしょうか?」
「モチロン!」
 エラキスは明るく答える。
「私たちには回復出来る人がいなかったから、ツィーが仲間になってくれて助かってるわ!」
「なら・・・良かったです。」
 リョウガンの護送は騎士たちに任せて、ツィーはアーモロードに残っている。「姫様の護衛と監視が私たちの役割ですから。」と彼女は言いながら、『アルゴー』の一員にはならなかった。護衛の役は『アルゴー』たちに任せると判断したのか、他の思惑があるのか、ツィー自身は『ファクト』の一員に加わった。そのツィーも部屋で打ち合わせに参加している。
 でもね、とエラキスは小さな声で、
「ツィーはあまり自分のことを話さない子みたいだけど・・・カリーナちゃんに嫌われたんじゃないかって心配してるみたい。」
「・・・・・・そうなんですか?」
「私は、そうじゃないかなって思うけどね。」
 年頃の女の子らしくていいわね、とエラキスは気楽に笑った。そういうことでもないんだけど、とカリーナは思った。そもそもツィーは王の部下だし、王の命令に応じるのは当然だ。だから、彼女のことも疑って逃げだしたのだ。友達だけれども、それだけでもないのがツィーとの関係だ。そこは割り切っている。
「・・・なんだか面倒なことになってるみたいだけど、」
 とエラキスが突然言った。
「ツィーもカリーナちゃんが心配なら、自分でそう言えばいいのにね。わざわざマルカブに確認しないでさ。」
「・・・どういうことですか?」
 カリーナの問いかけにエラキスはおかしそうに笑いながら、脚を組み、
「カリーナちゃんが元気かどうか、毎日毎日聞いてるのよ。私、見ちゃったんだから。マルカブも、それによく付き合ってると思うけどね。」
「・・・それは私が心配だからじゃないと思います。」
 王位継承者が心配だからだ、とカリーナは心の中だけで付け加える。私はそうは思わないけどね、とエラキスは言ってから、少し考えて、
「・・・ううん、違うな。マルカブはそう思ってないと思うけど。」
「・・・どういう、意味ですか?」
 少し険のある口調でカリーナは問い返し、それに気がついたエラキスは困った様子で微笑した。
「さっきも言ったけど、毎日毎日カリーナちゃんの様子を聞いてくるツィーに、マルカブは毎日毎日ちゃんと答えてる。普通、自分で聞けばいいだろ、ってなるし、もしツィーがカリーナちゃん自身を心配してないって感じたら、彼は怒ると思うのよね。」
 そういうの感じ取るだろうからね、とエラキスは言い、カリーナは少し躊躇いを見せてから、
「・・・エラキスさんは、マルカブのことを思い出したんですか?」
「ううん。全然。」
 本人が聞いたらこっそり落ち込みそうなことを、エラキスはあっさり答えた。
「でも、見てれば、そういう人だって思うけど。彼は、あなたやアヴィーくんに本当に必死だから。」
「・・・・・・エラキスさんにもですよ。」
「・・・エラキスにじゃなくて、『ガーネット』に、よね?」
 皮肉には自嘲で返された。だからカリーナはそれ以上言えなくなって、きゅっと唇を結ぶ。その様子を見たエラキスは一瞬躊躇った後に、これはシェリアクには内緒にしてね、と前置きをして口を開いた。
「・・・あなたたちを見てると、『ガーネット』が彼に大切に思われていたのならいいな、と正直思うわ。」
 そう言うエラキスの口調は苦かった。もう少しなのに届かないもどかしさも、そこに届かない罪悪感も悔しさもあるのだろう。
 贅沢だ、とカリーナは思った。そして勝手だ、とも。しかしエラキスは言うのだ。
「私は、あなたたちが羨ましいのよ、きっと。」
「・・・どういう、ことですか?」
「もしかしたら、私も大切に思われていたのかもしれない。目の前で大切にされているあなたたちがいる。あなたたちは仲がいいし、幸せそう。思い出せない私が悪いし、シェリアクやミラが私のことを大切に思ってくれてるけど、でも、あなたたちを羨ましく思う私がいる。例え、私が思いだしてどんなに幸せな記憶であっても、望んでも、元には戻れないでしょうから。」
 元には戻れない。その言葉がずん、と響いた。もしエラキスが思い出しても、わだかまりを抱えていくことになる。彼女は一つの関係を既になくしてしまっているのだ。
「・・・・・・私は、」
 カリーナは組んだ手をきゅっと握りしめながら、
「エラキスさんが羨ましいです。」
「じゃあ、変わる?」
 エラキスは頬杖をつきながら聞いてきた。その問いかけに、カリーナは少し考えてから表情を緩めた。自分でも彼女でも、諦めがついて回るらしい。だったら、
「いえ。私のままの方がいいです。・・・少し切ないこともあるけど、頭撫でてもらえるし。」
「そうね。」
 エラキスも笑った。
「私も、私のままでいいわ。記憶なくしてるからこそ、シェリアクに『エラキス』って名前をもらったんだしね。」
 二人が笑うと、部屋の扉が開いた。部屋から出てきた話題の主がカリーナを探して、見つける。カリーナがエラキスと一緒にいるのを見て、一瞬たじろいだようだったが、
「カリーナ。お前、具合悪いのか?」
 歩み寄ってきて問いかけた。カリーナは、ううん、と笑って首を振る。
「平気、マルカブ。ちょっと疲れたから休んでたの。」
「・・・探索は休むか?」
 ツィーとリョウガンの話を聞いてから、カリーナが落ち込んでいることを知っているマルカブはそう尋ねた。カリーナは、平気、と繰り返し、そして廊下の先で心配そうにこちらを見つめるツィーの姿も発見した。カリーナはエラキスを見上げた。エラキスは微笑して、ほらね、と言った。カリーナは頷いて、マルカブを見上げる。
「平気だよ。でも、ちょっと待ってて。ツィーと話してくるから。」
 カリーナは立ち上がり、ツィーに駆け寄っていく。ツィーは一瞬驚いた様子を見せたが、駆け寄ってきたカリーナから逃げ出すことはしなかった。その様子を見ながら、マルカブが腕を組み、
「・・・仲直りみたいなもんか。」
「素直な子たちねえ。」
 エラキスの声に、マルカブは彼女をちらりと見る。エラキスはため息を吐き、それから彼を上目遣いで見上げて提案した。
「・・・私たちも、肩の力を抜いていきましょうよ。」
 例え以前のようにはいかなくても、と言うエラキスをマルカブはしばし見やり、
「・・・・・・段々とな。」
 と、ため息混じりに答えるのだ。


(十章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

うちの赤パイ、いつか幸運のハンマーでぶったたかれても文句言えないんじゃなかろうか、
小銭ぐらいしかドロップできないんだろうけど。

そんな関連の会話がやたらと長くなってしまいました。
相変わらず、「話数使ってる割には話が進まない」妄想話です。
次回ぐらいからケトス戦に入りたいものです。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する