まよらなブログ

11章1話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

とうとう深都についてしまいました・・・。
そろそろ深王書かなきゃならねえよ・・・姫も書かなきゃならねえよ・・・
可能な限り避けてきた婆ちゃんとクジュラさんも書かなきゃならねえよ・・・
と、NPC書くのに何となく気が乗らないんですが、何でなんでしょうかねえ・・・
ゲームのテキストをそのままなぞらざるえないので、正直つまらないんだとは思うんですが。

あ、ゲーム内イベントとは全く関係ない話にはなりますが、
近々、蝶亭のママさんは書く予定です。ママさんはノリで書ける・・・気がする。


まあ、ともかく興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




11章1話
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 マルカブは目を開けた。
 最初に見たのは、枕元で自分を覗き込むように見つめる子供らの顔だ。右にアヴィー、左にカリーナ。目を赤くした子どもらの顔。
 ああ、無事だったか。そう、安堵した。
「・・・・・・、あ、」
 二人に何か声をかけようとする。そのうちに二人の大きな目にみるみる涙が溜まり、すぐに決壊した。二人は、一斉に「うー!」と唸り、
「「・・・・・・マルカブッ!!」」
 マルカブの左右から彼に抱きついた。大泣きしはじめるアヴィーが右肩に、声を噛み殺すようにして泣き出すカリーナが左肩にしがみつく。マルカブの体に激痛が走ったが、彼らを引き離すことなど出来なかった。出来るはずもなかった。する気もない。
「・・・・・・あー・・・」
 マルカブは軋むような両腕を曲げ、自分の肩にしがみつく二人の頭を撫でる。
「・・・悪い、心配かけた・・・」
 声に、アヴィーはますます声を上げて泣き出し、カリーナはますます彼にしがみついて泣き出す。アヴィーの声は頭痛を酷くさせたし、カリーナのしがみつきは呼吸も圧迫する。けれどもやっぱり、二人を引き離すつもりも、頭を撫でる手を止めるつもりもなかった。そうすることで、救われているのは自分なのだから。
「・・・・・・良かった・・・」
 この痛みも温もりも、生きてるからこそなのだから。
「無事で、よかった・・・」
 掠れた声で呟く。二つの頭が、うん、と頷く。それを撫でているうちに、アヴィーの声はすすり泣きになり、カリーナは彼のシャツを掴んで泣き始めた。
 少し静かになった室内に、扉が開く音がして、
「いいご身分だなあ、おとーさん。目覚めるなり、カワイコちゃん二人も侍らせて。」
「両手に花だねえ。」
 視線を寄越すまでもなく、ディスケとクー・シーだ。全員無事だったことを確認して、マルカブは息を吐き、
「・・・お陰様で。」
 とだけ答えた。ディスケとクー・シーは肩を竦めて笑ってから、
「ほらほら。おとーさんから少し離れてやれ。それじゃ苦しいぞ。」
「そうだよ、抱きつきたいならおじいちゃんの胸に飛び込んでおいで!」
 とクー・シーが腕を広げたが、子どもたちは無視をして、
「・・・マルカブ、痛いところある?起きられる?」
「喉乾いてない?お腹空いてない?何かしてほしいことある?」
 身を起こして鼻を啜りながら問いかける。マルカブは一気に聞くな、と苦笑して、それから真剣な表情を作った。
「・・・確認させてくれ。ここはどこだ?あの後、どうなった。・・・それから、」
 マルカブは掛け布の上から自分の足に触れ、
「・・・どうして、俺の脚はくっついてる?」
「そりゃあ、わしが頑張ったからだよ!」
 クー・シーが腕を広げた格好のまま言うが、マルカブは信じなかった。ケトスの巨体から逃れるために、脚一本を切り捨てるつもりだったのは彼自身だ。とっさに火薬で脚にまとわりつく氷を爆破して、その反動でケトスの落下地点から体の重心を移動させたことまでは覚えている。とはいえ、凍り付いた脚までは抜けきれず、そこにあの鯨が落ちてきたとしてもおかしくはないし、実際そうだったんだろうと思う。その状態で受けた傷は、いくらクー・シーでも治せない。
 クー・シーは、頑張ったのは事実なんだけどね、と言いながら、広げたままの腕を下ろし、
「まあ、ここは深都の治療院。で、その技術は、もげかけてブラブラしてた毛深い脚も、くっつけちゃうぐらいの技術だっていうことだよ。」
「・・・深都。」
 なるほど、知らない天井なわけだ、とマルカブは呟いた。そんな彼をのぞき込むようにしてディスケが枕元までやってきて、
「ちょっと聞いてくれよ、マルカブ。アーモロードに戻るより先に進んで深都を見つけた方が早いって、俺が言ったらさ、アヴィーのやつ、何て言ったと思うよ?」
「い、・・・いいんだよう!そんなこと言わなくても!!」
 アヴィーがばっと立ち上がり、ディスケの口を塞ごうとして両手を振り上げる。ディスケはぷぷーと笑いながら、
「もし深都がなくておとーさんが死んだら、俺のこと絶対に許さないんだってさ!」
「わーーーーーーー!!!」
 アヴィーはディスケの言葉をかき消そうと声を出したが、それは全く効果もなく、真っ赤になって、
「僕、お医者さんとシェリアクさんたちに、マルカブが目を覚ましたって言ってくるッ!!」
 その場から逃げるように出ていった。カリーナが、ディスケに「からっかったらダメでしょ。」と注意して、アヴィーを追っていく。ディスケは苦笑を浮かべて子どもらを見送ってから、真剣な表情でマルカブを見下ろした。
 ・・・わざと子どもたちを外に出したか。
 マルカブはため息をつき、身を起こそうとする。クー・シーがそれを支え、彼の背中にクッションを差し込んだ。
「ケトスを倒して、三日だ。」
 ディスケが唐突に口を開く。
「お前の治療のために、今は深都にいることを許されてる。いられる場所は、この治療院の中だけ。お前が起きたら、オランピアがこの街と今後のことを話にくる。で、大人しく海都に帰れってさ。」
「・・・そりゃ、面倒掛けさせたな。」
「全くだよ。お前に治療を受けさせるために、爺さんは仇のオランピアに頭下げたんだから。」
「・・・ディスケ、そんなことは言わなくていい。」
 クー・シーは静かに制した。ディスケは、そういうわけにいかねえよ、とだけ答える。マルカブは眉を下げ、溜め息をついた。
「・・・・・・すまなかったな。」
 マルカブの言葉に、クー・シーは困惑気味に髭を撫で、
「まあ、どうだろうねえ。わしとしては、アヴィーに許さないって言われたディスケの方が結構キツかったんじゃないかって思うけどね。あと、『ファクト』の皆さんもいろいろ手伝ってくれてるから、後でちゃんとお礼を言うんだよ?」
「・・・おう。」
「マルカブ。俺は説教なんかする立場じゃないけど、言わせてもらうぞ。お前さ、もうちょっと自分を大事にしないと。あの子たちが今回どれだけ不安な思いをしたか・・・」
「・・・ああ。」
 マルカブは息を吐くように頷いて、
「分かってる・・・いや、分かった。」
 ゆっくりと手を握って、覚悟を決めた。
「俺は、死ねないんだな。」
 たった一言に、いつもと違う響きを感じてディスケとクー・シーは顔を見合わせる。ディスケは火をつけずに煙草だけをくわえて、
「・・・そういうことだよ。」
 とだけ言った。

*****

「シェリアクさーん!マルカブが起きました!」
 アヴィーは階段の上から、一階の廊下・・・ロビーのようになっている場所で窓の外をみているシェリアクに声をかける。深都の世界樹を見ていたシェリアクは、顔を上げ、
「それは良かった。」
 階段を降りてくるアヴィーに微笑を浮かべて答える。アヴィーは、はい!と頷いて、廊下の奥へと消えていく。アヴィーと一緒に降りてきたカリーナは、シェリアクの前に立ち止まり、彼を見上げた。
 彼女が何を言ってくるか、薄々気がついているシェリアクだが、彼女に最初に何を言ってやったらいいかは決まっている。シェリアクは少し身を屈めて、
「・・・良かったな。」
 とカリーナに声をかけると、カリーナはみるみる目を潤ませた。彼女は慌てて目をこすって、頷いた。シェリアクは、ミラに時々してやる癖でカリーナの頭を撫でそうになったが、伸ばしかけた手を止めた。それを彼女にしてもいいのは、たった一人のようだから。
「あの、シェリアクさん、お願いが、」
 カリーナが一生懸命な様子で何かを頼もうとする。シェリアクは頷いた。
「彼に顔を見せにいってやてほしい、とエラキスに伝えればいいか?」
「・・・・・・」
 カリーナは、うっと言葉を詰めたが、その後で遠慮がちに頷いた。そして、ごめんなさい、と頭を下げる。
「・・・シェ・・・シェリアクさんは・・・イヤ、ですよね・・・?」
「・・・正直、愉快ではないが、」
 シェリアクは思わず苦笑する。
「・・・しかし、君ほどではないだろう。」
 そう言うと、カリーナはみるみる頬を染めて俯いた。なるほど、エラキスが彼女と話して過去を聞きに行こうと思ったわけだ、とシェリアクは納得した。この必死さは応えてやりたい、と思う。 
「エラキスには伝えておく。まあ、ツィーと一緒に行かせるから、君も安心するといい。」
「わ、私は、その、そういうわけじゃ、」
「・・・・・・私も、彼に会えるか?出来れば、早いうちに。」
 シェリアクの声は少し固い。何か緊急の用件だろう、と感じたカリーナは、急いだ方がいいと思うのと同時に、回復したばかりのマルカブにそんな用件を伝えたくないと思うのだ。けれども、事実だけは伝えなくてはいけない。
「は、はい。今も意識はしっかりしてます。お医者さまの許可がでたら、お伝えします。」
「ああ、頼む。」
 シェリアクはそして身を起こし、窓の外の世界樹を見つめる。
「・・・・・・?」
 カリーナが首を傾げていると、アヴィーが奥から医者と一緒にやってきて、
「カリーナ!先生、呼んできたよ!」
「お呼びした、でしょう、アヴィー。」
 カリーナは年上っぽくアヴィーの言葉使いを直し、医師に「よろしくお願いします」と頭を下げる。アヴィーも慌ててそれに習ってぺこりと頭を下げて、医師の微笑を引き出していた。
 その様子を微笑ましく見送ったシェリアクは、もう一度世界樹を見上げる。もう微笑みはない。
「・・・・・・元老院の情報は、どこまでが真実か。」
 深都にたどり着いたときに、シェリアクは視線を感じて来た道を振り返った。ともかくマルカブの治療を急いでいたから、その視線の主を確かめることはしなかったが・・・、樹海の出口から見つめるその気配に覚えがあった。あれは、樹海でオランピア捜索の指揮にあたっていた将軍のもの。
(我々の監視・・・と考えるのが妥当だが・・・)
 シェリアクは腕を組む。
(視線は、ケトスの間の扉が見え始めた辺りから感じていた・・・。我々が磁軸をつかって二階層にきたときには、彼は樹海の入り口で兵士たちを率いていた・・・道なりに追いかけたにしては早すぎるし・・・視線は道の前方から感じられていた・・・)
 シェリアクは頭の中で地図を描きつつ、低い声で唸る。
(抜け道を使い我々よりも先に進んだとして・・・彼は抜け道の存在を知っていることになる。つまりそれは、既に何度か地下8階に来ている、ということになるが・・・)
 それ自体不思議な点はない。手練れならば一人で8階の探索も行えるだろう。
(ならば、何故、それを隠す・・・)
 「アルゴー」が海珠を用いて海流を止めたあと、衛兵たちと海流の確認をした。その時に、先に進んだことや道の情報を伝えられたとしてもおかしくはない。深都を目指している元老院としては、その情報を与えることに損はないはずだ。抜け道の先に無遠慮に進んだ冒険者が、突然強さを増した魔物にやられても、彼らはそれを気にはしないし、する必要もない。
(・・・隠すことに意味がある、と考えざるえない・・・)
 シェリアクはため息をついた。どうもこの深都と海都、どちらも欺瞞に満ちていると考えた方がいいようだ。警戒しておくに越したことはない。自分には仲間を護る義務がある。
 そして、それは目を覚ましたという『アルゴー』のギルマスもきっと同じはずなのだ。


(11章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

オランピアを脱がすのは次回以降でもいいですか?

後を追っていたクジュラさんがバレバレですが、
うちのおっさんファラ・シェリアクさんは、
歴戦のツワモノで、この時点でレベル60のファランクスなんだけど
クエストのご指名依頼が多く、探索に時間が割けなくて迷宮を進んでいない、
という裏設定があるので、クジュラさんの気配にも気付けると思っていただきたい。

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