まよらなブログ

11章2話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

夏コミ、ほぼ一ヶ月前なのでそろそろ広報しようかねえ。
井藤さんのロマン本こと、世界樹の迷宮・個人誌「そらゆめ」に
5ページほどお話を書かせてもらってます。(詳細はこちらのオフラインページ
コミックマーケット80 8月12日(一日目) 西地区「む」-22a 「こずいし」
で置かれるそうなので、ご興味のある方はどうぞ。


ちなみに、うちの眼鏡バリと設定だけ存在するおかっぱファラ子のお話です。
イメージは「ヒューズ中佐と仔リザ」の会話です。(爆)
この際だからついでに、
ファラ子は将来うちの赤パイの嫁になります、と大暴露大会もしておこうと思います。
ほら・・・志水も年の差はロマンだからさ・・・・・・ろりこんにろまんはかんじないけどさ・・・


まあ、ともかく興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


11章2話
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「・・・傷が癒えきっていない中、申し訳ない。」
 シェリアクはベッド脇の椅子に腰掛けるなり、本題から入った。
「君たちは、深都のことを元老院に報告するつもりか?」
「・・・さて、どうすっかな。」
 マルカブは掛け布の上から脚を擦りつつ、
「ミッションを受けた以上、信用ってのはあるからな。でも、深都に対しては義理がある。」
「・・・真面目な理由だ。」
「そうか。お前が言いそうなことを言ってみたんだけどな。」
 マルカブはそう言って、擦っていた脚をぱん!と軽く叩いてから、
「・・・何か気づいたことがあったんだろ。そうじゃなくちゃ、こんなこと俺に確認しない。」
 しかもほかの連中を外に出して、とマルカブは溜め息混じりに苦笑した。アヴィーとカリーナには適当な用事を頼んで、部屋から出した。クー・シーとディスケは何となく察して、適当な用事を口にして部屋から出ていった。
「すまない。まずは君に話しておこうと思ったのだ。・・・仲間の顔を見ていたいとは思うが。」
 シェリアクの言葉に、マルカブは鼻を鳴らしつつ、
「ガキの前じゃ痛いって泣き言も言えねえからな。たまには外に出ていてもらった方が助かる。これ以上、威厳を下げるわけにもいかないみたいだからな。」
 最後に付け加えられた言葉を、シェリアクは少し意外に思う。彼自身がこの手の冗談を発言することは、そうそうない。だから、少し意地悪な冗談で返すことにした。
「・・・気にしているんだな。」
「うるせえよ。」
 マルカブは唇を尖らせるようにして呻いてから、シェリアクに向かって尋ねる。
「で、何かあったのか?俺が寝ている間に。」
「君たちは、ケトスの間までにクジュラの姿を見ているか?」
「見るわけないだろ。あの日、衛兵率いて二層の魔物退治に出てたじゃねえか。磁軸のところで別れ」
 シェリアクは、マルカブの言葉を遮った。
「私は、ケトスの間への扉の前から視線を感じていた。深都に着いた際、気配をより濃く感じて振り返ったが・・・遠目ではあったが・・・あの気配と佇まいは、彼だ。」
「・・・そういえば、ディスケが気にしてたな。深都についたとき、お前が後ろを気にしてたって。」
「・・・あの状況で私の動きを記憶してるか。」
 シェリアクは一瞬驚きを見せた。それから感心したように息を吸い、そして微笑を浮かべた。
「目端が利く。君にとって必要な仲間だ。」
「・・・時々、ものすごく迷惑だけどな。」
 で、何だったんだよ、とマルカブが聞く。シェリアクは表情を張りつめたものに変え、
「・・・我々がケトスの間に入ったときから、視線を感じていた。」
「監視・・・となると、いい気はしねえな。」
「ただの監視・・・なのだろうか。それにしては・・・」
 シェリアクは呟き、しばらく黙る。しかし、マルカブが続きを促す視線に気がついて、顔を上げた。
「いずれにせよ、彼はこの深都の存在を知った。この町に義理を感じても、・・・隠しきれるとは思わない。」
「・・・まあ、そりゃそうだ。」
「・・・何か、おかしいように思うのだ。今更、監視をつける必要があるだろうか?危険性で言えば、オランピアの捜索をしているときにこそ、監視が必要ではないか?彼女は明らかに、樹海を進もうとする者を害してきた。その彼女と我々が手を組んだ場合の方が、実害は大きい。監視をするなら、我々がオランピアの捜索を引き受けた時点から行うべきだ。」
「そりゃあ、あれじゃないか?ケトスは、自分の先に深都が見えるって言っている。だから、それを確かめにきた。」
「ならば、どうして気配を消して潜む必要がある。ケトスは、己の先に深都がある、と言った。それを元老院は知っている。それを確かめに来た、と述べてもおかしくはない。また、その先に深都があるという言葉を信じたならば、手を貸すものだろう?」
 少なくてもクジュラが手助けに来たわけでないことは確実だ、とシェリアクはマルカブが押さえている脚を見て告げた。薄情な話だ、とマルカブは苦笑した。
「まあ、死に掛けの人間放っておいて、帰っちまうような連中は確かに信用出来ないけどな。まるで、冒険者を使い捨て・・・・・・」
 そこまで言って、彼は言葉を止めた。
「・・・そのつもりなのか?」
「そうなのかもしれん。」
 シェリアクは呟いて、のっそりと立ち上がる。
「もっとも、それは冒険者の自己責任の問題だ。危険だと知りつつ樹海に踏み込み命を落としても、誰のことも責められない。だからこそ、」
「・・・俺たちは、よく考えなくてはいけない。」
 『俺たち』が誰と誰を指すかは確認せずとも明白だ。だから、シェリアクは、そうだ、と頷き、
「それを伝えておきたかった。病み上がりに申し訳ないが。」
「ああ、ありがとな。それと・・・」
 マルカブは居住まいを正し、
「俺たちを救ってくれて、ありがとう。」
 深く頭を下げる。今度の『俺たち』が何を指すのかも明白だった。シェリアクは少し困った様子を見せてから、
「・・・君が本当に頭を下げるべき相手はディスケだ。」
「・・・分かってる。けど、だからといってお前に礼を言わない理由にはならない。」
 頭を下げたまま、マルカブは続けた。
「ありがとう。」
 シェリアクが、赤毛の頭を見つめながら何を返すべきか迷っていると、部屋のドアがノックされた。
「あ、あの、マルカブ。ちょっといい?」
 カリーナの声に、マルカブは顔を上げ、おう、と答える。おずおずとドアを開けて、カリーナが顔をのぞかせた。
「・・・オランピアが、今から深都の入り口まで来るようにって・・・。」
 そして彼女は心配そうに、
「・・・でも、起きられる?辛いようなら、私、もう少しここにいさせてもらえるように頼んで・・・」
「ああ、大丈夫だ。肩は貸してもらうことになるけどな。」
 その点はディスケもシェリアクもいるから平気だろ、とマルカブは当然のように言い、
「・・・どっちにせよ海都に早めに戻った方がいい。誤解されても厄介だ。」
「誤解?」
 カリーナは首を傾げるが、シェリアクも「そうだな。」と答える。
「では、私は仲間たちに出発を伝えてこよう。」
「おう。わざわざありがとな。」
 シェリアクは、気にするな、と告げて出ていき、カリーナはそれを不思議そうに見送ったが、マルカブに呼ばれて彼を見る。
「ウチの連中はどうしてる?」
「う、うん、みんな、一応荷物をまとめてる・・・。」
「そうか。」
 マルカブはよっこらせ、とベッドからよろめきながら立ち上がった。
「だ、大丈夫?」
「おう。ちょっと変な感じはするけどな。まあ、歩けないこともないだろ。海都に戻ったら、ゆっくり療養するよ。・・・ほら、着替えるから出てろ。」
 心配そうなカリーナにそんなことを言いながら、畳まれている服を取ったマルカブは、ふと部屋を見回した。
「・・・帽子、知らねえか?」
「マルカブの帽子?」
 カリーナは少し間を開けて、あ!と声を上げた。
「・・・ケトスの部屋に・・・落としたままだ・・・」
「そうか。まあ、帽子なんか構ってる暇なかったしな。」
「わ、私、探してこようか?」
 そう言いながらカリーナは声が震え出すのに気がついた。あの帽子は血溜まりに落ちた。今もそこに落ちているなら、乾いた血の上にあるのだろうか。あの血の跡は見たくない。もう二度と見たくない。
「無茶すんな。」
 マルカブはカリーナに歩み寄って、わしわしと頭を撫でて、
「安物だし、別にいいんだ。」
「・・・大事なものじゃないの?」
「愛着はあるけど、そんなもんじゃねえよ。海に出るヤツらがよく持つやつだから、またどこかで買える。」
「・・・本当?」
「ああ。エラキスだって同じようなの被ってるだろ。」
「・・・・・・おそろい、とか、じゃない?」
 おずおず、と聞かれた言葉に、マルカブはきょとん、としてから、
「そんな恥ずかしいことはしない。」
 と、カリーナの額を指で弾く。きゃん、とカリーナは悲鳴をあげてから額を押さえ、うん、と頷いてから、
「ディスケとクー・シーを呼んでくるね。肩も借りたいでしょう?」
 そう言って、部屋から出ていく。ぱたぱた、というカリーナの足音を聞きながら、マルカブはゆっくりと深呼吸し、それまで伸ばしていた背筋を曲げて、
「・・・・・・・・・、痛くて死にそう・・・」
 脚の付け根のあたりを押さえながら、呻いた。
 

*****


 深都に入ってきたときと同じ場所に、オランピアはいた。彼女は、全員の姿を一瞥してから、穏やかに、そして用件だけを話し始める。
「・・・深王様は仰った。あなたたちの良心に頼り、頼みたいことがあると。」
 そう告げると、彼女は自身が羽織るローブに手をかけ、それを投げるように脱ぎ捨てる。
「見るがいい。これが深都の隠す秘密の一つ。私は人ではないのだ。」
 そういうオランピアの体は、白い陶器を思わせる金属製。背骨(にあたる部位)がむき出しになっており、脚は金属をつないだ細いものだった。そのためか骨格標本を連想してしまい、カリーナは、う、と呻いてマルカブの上着の背中をきゅっと掴んだ。
 明らかに人ではない金属質の体を見せつつ、オランピアはいつも通り平静な声で話を続ける、
「あなたたちには、この深都のこと、私のこと、この深都に関わるすべてを他言せずにいてほしい。」
 彼女は、声のトーンを少し落とし、
「それが・・・人類の為でもある。『アルゴー』に『ファクト』・・・それに、」
 オランピアはクー・シーを見て、
「『ムルジム』よ。我が主の頼み、聞いてくれるか?」
 かつての所属ギルドの名前を出されたクー・シーは、わずかに眉を上げたがそれだけだった。と、クー・シーはマルカブの視線に気がつき、肩を竦め、
「わしは、もう『アルゴー』なんだよ、きっと。だから、返事はギルマスたちにお任せするよ。」
 クー・シーの言葉を受けて、マルカブはシェリアクに視線を移す。シェリアクは、頷いて、
「他言をしない・・・と我々が答えたとしても、すでに海都側はこの街の存在を知ったと思われる。監視のつもりか、我々の後に、海都の人間がいたようだ。」
 オランピアの表情を変えない。どこかでその可能性・・・もしくはあの視線を感じていたのかもしれない。
「だが、我々から、この街の情報を敢えて伝えることはしないと約束しよう。」
 隠し通せるとは思わないが、とシェリアクは一言付け加えた。オランピアは続けてマルカブを見る。彼は己の脚を軽く叩いて、
「・・・恩は仇では返せない。けどな、俺も隠し通せるとは思わない。それに、別に攻め込んでくるわけでもないんなら、何も隠さなくても、」
 そんなことを言うマルカブの上着の背中がぐっと引かれた。振り返ると、カリーナが小さく首を振って、「そんなの、分からないんだよ。」と言った。
「分からないの。・・・だから、警戒しなきゃいけない。その責任があるの。」
 彼女の言葉は、カリーナの、というよりも王女の言葉のようだった。一国の王族ってのは親みたいなもんだな、とマルカブは心の中で呟いて、オランピアに視線を戻す。
「まあ、ともかく。俺らも敢えて、他言はしない。その程度しか約束できない。それでいいか?」
 オランピアは意外にもあっさりと頷いた。
「では・・・ついてきて。あなたたちが海都へと帰る方法を教える。」
 そう言って、街に背を見せて歩きだし、しばらく歩いた後に道の先を示した。光る柱が先にある。
「そこに樹海磁軸がある。それを使えば海都まで瞬時に移動可能だ。」
 オランピアはそう告げると、一行の瞳を見つめて言葉を続ける。
「戻ったら、元老院に伝えて。深都は存在しない幻の街だったと・・・」
 そしてオランピアは言葉を紡ぐ代わりに、磁軸を見つめる。行け、と言うことだろう。伝えたところで元老院は信じないと思うけどな、とマルカブは思いながらため息をつき、そして自分を見上げるアヴィーの視線に気がついた。
「・・・帰るか。みんな、きっと心配してる。」
「うん。」
 アヴィーは頷き、光の柱に触れてみる。急に光が一行を包み込み、周りのものが何も見えなくなり、
 そして次の瞬間には、樹海入り口の近くの磁軸の前にいた。海底の青と砂の白の世界から、空の青と木々の緑の世界へ。アーモロードへ。


(11章3話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

もっと気合入れてオランピアの初脱ぎ(違)シーンを書けばよかったと思ってます。


海都と深都ルートを回収しつつ、真ルートに突入するにはどうするか!?
という命題に立ち向かった結果、『ファクト』というギルドが出来ました。
二つのギルドの情報を総合して、真ルートの方向へ持って行きたいものです。


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