まよらなブログ

11章4話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

志水に「気が乗らない」と散々言われてしまった深王様、本日登場します。
本当に気が乗らなくて自分でもびっくりしました。(爆)
深王様は絶対にネタキャラだと思ってるんだけど
ゲーム内テキストをなぞる以上、ネタキャラ化するわけにもいかない、という
そんなビミョーでアンビバレントな感情が、志水の筆にブレーキをかけているようです。

あ、ちなみに姫はヤンデレキャラだと思ってますが、
世界樹プレイヤーじゃない人の方が圧倒的に多い当ブログのお客さんに
「世界樹の迷宮」というゲームを誤解されそうなので、この辺にしておきます。



ともかく興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



11章4話
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 白い姫・グートルーネはゆっくりとソファに座り、深都について私の知っていることをお伝えしましょう、と一行を見て告げた。語り出そうとして、彼女はふと口を閉じた。その視線は、ディスケに向けられている。
「・・・えーっと、」
 ディスケは頭を掻いて、
「俺に何か?」
 グートルーネは微笑を浮かべて、首を振った。
「いえ。知り合いに似ていましたので。」
 失礼しました、とグートルーネは顔色を変えずに微笑み続ける。ほんの少しだけ顔色を変えたのは、元老院の老婆・フローディアの方だった。だが、姫に視線を向けている一行の誰もそれには気がつかなかった。
 話を元に戻しましょう、とグートルーネは言い、歌うように語り出す。
「深都とは、かつて海都から切り離され、海底に沈み消えた同胞の住む土地、と王家の伝承で伝えられています。如何なる訳で海都から離れ、如何なる力で深海の底で今も存在できているのか解りませんが・・・」
 と、姫はそこで一息つき、
「・・・かつては共に海都で暮らした民の末裔が今深い海の底で苦労していないか心配なのです。」
 ・・・変なの。と、カリーナは感じて、きゅっとスカートを握りしめた。
 何かがおかしい、とカリーナは勘だけで判断する。しかし勘でしかないので、異論を唱えるには十分ではなかった。だから、ただ黙って聞く。
「・・・ですので、まずは海都を代表して私の親書と数々の進物を、深都に進呈したいと思います。」
 すでにネイピア商会に進物を用意させ、宰領も任せたことを姫は伝え、その宰領を呼び一行に紹介する。宰領が挨拶を終えて、準備に戻っていくと、グートルーネは少し神妙な表情を作った。
「・・・とはいえ、あの者だけを向かわせても警戒されるでしょう。」
 ああ、なるほど。自分が眠っていた数日間にこれだけの準備を海都をしていたのか、とマルカブは理解した。すべてが整ったから、呼び出されたのだ。だから次に来る言葉は、
「・・・是非、皆さまがあの者を連れて、もう一度深都に赴いてください。」
 当然、その準備を実行に移す言葉だ。フローディアは、既に姫の親書を持ってきている。姫は当然断られるはずもない、という風に返事を待っている。マルカブとシェリアクは一度目配せをした。それに気がついたフローディアが、
「オランピアの捜索と深都発見の依頼は『ファクト』にも頼んだけどね、この役目は『アルゴー』に頼むよ。」
「・・・・・・何でですの。」
 真っ先に反応したのはミラだ。彼女は納得できない、と
「シェリアクさんの方が、失礼なく深都の方に進物をお届け出来ます!」
「・・・・・・、ミラ。」
 シェリアクが低い声でミラを咎め、その横のエラキスは吹き出しそうなのを必死で堪えている。『ファクト』も『ファクト』でガキの扱いには手を焼くな、とマルカブは思いながら、
「・・・まあ、失礼な話だとは思うが、ミラの意見はもっともだ。『ファクト』も深都に行っている。どうして俺らに依頼する?」
 フローディアは、つまらなそうに、
「あまり多くの人間が押し掛けても、相手を警戒させるだけだろうさ。あんたたちを選んだのは、あんたたちがケトスを倒したからだよ。それを深都の連中が恨みに思うかもしれないが、逆に抑えになるかもしれないしね。」
「それって俺らが危険じゃねえ?」
 ディスケが肩をすくめて問いかける。フローディアは、いくらなんでも海都の公式な遣いをいきなり襲うことはないと思うけどね、と答えた。
「それに、あんたたちが殺されるなり捕らえられるなりしたら、それに抗議しにいく連中も必要だろう?」
 とフローディアは、視線をシェリアクたちに移す。グートルーネが、咎めるようにフローディアの名を呼んだ。そして、海都の姫は、申し訳ございません、と謝罪する。
「決して安全とは言えないことは分かっております。ですが、どうかお引き受けいただけないでしょうか?海都と深都が手を取ることは、必ず意味があるはずです。」
 確かに反対する要素は何もない。アヴィーは椅子の後ろからくいくい、とマルカブの髪を引っ張って、
「・・・おばあちゃんとお姫様は、深都と仲良くしたいってことだよね?・・・お願いされてもいいんじゃないのかな?」
 と、小さな声で言う。だれが「おばあちゃん」だ、とフローディアは耳聡くそれを聞いて文句を言ったが、それだけだった。
 ディスケとクー・シーは、構わない、と視線だけで答える。ディスケの目的は海の底に沈んだと言われるかつての技術だし、クー・シーとしてもオランピアにまだまだ聞きたいこともあるはずだ。カリーナは少し考えてから、一歩踏み出した。
「・・・よろしいでしょうか、グートルーネ様。」
 グートルーネが頷いて、カリーナを見つめる。初めて話をする相手にはおずおずした様子を見せるカリーナだが、今回ばかりはそれは見せない。カリーナじゃない、とマルカブは感じた。今の彼女は、カリーナエ姫として立っている。
「深都と交流を持つことで、海都にどのような影響があるとお考えでしょうか?」
 グートルーネは無邪気に瞬きをした。フローディアが、「海の底に沈んだというかつての技術を、」と言いかけたが、カリーナ・・・というかカリーナエ姫は短い言葉でそれを遮った。
「私はグートルーネ様に聞いています。」
 フローディアは思わず口を噤んでから、「しまった」と眉をしかめた。一度、噤んでしまった以上、再度口を開くことは難しかった。グートルーネは微笑みを浮かべたままで、
「もともとは、同じ都の民です。幾年もの年月を超えた邂逅に喜び、海都も活気づくでしょう。」
 と悠然と答える。そうではないのだ、とカリーナは拳を握りしめた。カリーナが何に拳を握りしめたのか、それに感づいたのは、ツィーとクー・シーだ。国を治めるということは、正義や友愛や真実だけではどうにもならない。国民の実際の生活を考える必要がある。彼女はそれが聞きたかったのだ。ツィーは心配そうにカリーナを見つめ、クー・シーは何故か得意げに鼻を鳴らした。
「・・・・・・分かりました。」
 国外追放の身で今は一冒険者に過ぎない者が、一国の姫に議論をふっ掛けるわけにいかないこともカリーナは分かっている。彼女は、ご回答ありがとうございます、と頭を下げて引き下がり、マルカブに小さな声で伝える。
「・・・姫様のお願い、お引き受けしよう。」
 マルカブは意外そうにカリーナを見つめたが、じっと床を見つめている彼女に何も声はかけられない。分かった、とだけ答えて、よろめきながら立ち上がった。
「・・・引き受けましょう、姫様。けれど、俺はこんな脚だし、どんな危険があるか分からない街にガキどもを長く置いておく気はない。だから、今回は進物を届けるだけだ。」
 それから、と彼はフローディアへ、
「・・・三日たって俺らが帰ってこなかったら、『ファクト』を深都へ寄越すと約束しろ。」
 フローディアは、軽く請け負った。それを聞いて、マルカブはシェリアクに向かって「頼むわ。」と言った。これを直接『ファクト』が聞くことで、『ファクト』は動く理由が出来る。たとえ、口約束であってもあるのとないのとでは大違いだ。シェリアクは、仲間たちから異論が出ないことを確認して、了解した。
 グートルーネは、深都発見の報酬を渡すようにフローディアに指示した。そして、よろしくお願いいたします、と軽く一礼してその場を後にする。白い蝶のようにふわりふわりとした姫だとアヴィーは感じて、その感想を口にした。マルカブは肩をすくめて、
「・・・俺にはクラゲみたいに思えたけどな。」
 と言って、フローディアに睨まれた。

*****


 宰領を伴って、深都に再度やってきた一行はオランピアの案内の元、深都の統治者・深王のいる天極殿星御座へとやってきた。
 少し薄暗い広間に通されて、アヴィーが「わあ!」と歓声をあげる。昼間なのに、その天井には満天の夜空が写されていて、その夜空の下には大がかりな機械が回っている。
「すごい!天井に星空を写してる!こんな大きい天文時計、始めてみた!」
 アヴィーが、わーい!と機械まで駆け寄っていく。警戒心も礼儀の欠片もないアヴィーの行動に、松葉杖で軽く床を小突きながらマルカブが
「アヴィー!じっとしてろ!」
「だってすごいんだよう!こんなの始めて見た!」
 アヴィーは頬を紅潮させて、機械をまじまじと見上げ、
「あ!この時計が星空を写してるんだ!今の時間の星だ!」
 仕組みを知りたいらしく、アヴィーはぐるぐると天文時計の周囲を回り、それから爪先立ちで機械を上を見ようとしたが、当然上の方までは見えない。アヴィーはキョロキョロと周囲を見渡してから(おそらく台になるものを探している)、ディスケの身長に目をつけた。
「・・・ねえ、ディスケ、お願いがあるんだけど。」
「なんだよー、おにーさんに肩車のおねだりかよー?いいぞー、アヴィーは小さい上に可愛いからなー。」
「・・・僕は可愛くないッ!!!」
 アヴィーはぷっ!と膨れてから、もういい!とそっぽを向いた。本当に緊張感の欠片もないギルドだ、とマルカブはぐったりした。
 そこへ、カッと固い足音をたてて、オランピアが「深王様をお連れした。」と戻ってくる。アヴィーは慌てて天文時計からマルカブの後ろまで走って戻ってきた。
「・・・卿らが海都よりきた冒険者か?」
 そのオランピアの背後から、男の声がする。そして、仄かな灯りの下にゆっくりと黒い王がやってきた。
 海都の姫に反して、深都の王は黒かった。身につけているマントも艶のある黒髪も。肌はわずかに浅黒い。そして、この王からも血の気が感じられなかった。
 しかし、それでも、この王からじりじりとした圧力を感じる。殺意でも憎しみでもない。威厳とも異なる。それは、強者の力が滲み出たものだ。
 緊張した空気に、王は慣れているらしい。わずかに微笑を浮かべ、王は一行を見回した。
「海都の姫からの親書と進物を持ってきたと聞いている。」
 ベルベットのような、と形容したくなる深く滑らかだが、よく通る声で用件を促していく。
「我はこの深都を統べる深王である。」
 王は、海都の姫の言葉をまずは見せてもらおうと深い夜の匂いを漂わせながら、遠い朝に想うように命じるのだ。



(11章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

深王様を書くことにものすごく抵抗があり、ダラダラしてました。

さて、この妄想話、
今まではうちの赤パイの話だったんだと思いますが
この辺りから、プリ子の話になっていきます。
第一部の折り返し地点です。つまり、第一部完までにあと一年半かかるのか。(爆)

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