まよらなブログ

12章1話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


夏コミが近いので広報活動ー。

井藤さんのロマン本こと、世界樹の迷宮3・個人誌「そらゆめ」に
5ページほどお話を書かせてもらってます。
(詳細はこちら。ですが、大人向けの本の紹介もあるのでビックリしないでねー。)
うちの眼鏡バリと設定だけ存在するおかっぱファラ子のお話です。
大人が「あるあるー」と言ってくれたら本望ッ!!と思って書いた地味な話です。
コミックマーケット80 8月12日(一日目) 西地区「む」-22a 「こずいし」
で置かれるそうなので、ご興味のある方はどうぞ。

春コミ中止で頒布できなかった「週刊少年パラディン」も置かれるそうです。
こちらもご興味のある方は是非どうぞ~。こっちはスゴイぞー。



で、妄想話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



12章1話
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 腰帯に差しておいた細身の剣を鞘ごと抜いて、ベンチの端に置く。そして自分の体も反転させて、ベンチに腰を下ろす。宿の庭に置いてあるベンチに座って、マルカブはやれやれとため息をついた。松葉杖を自分の隣に置いてから、先に置いておいた剣を取った。
 深都から帰ってきて、既に5日ほど経っている。脚の痛みも傷から来る微熱も引いてきた。とはいえ、大怪我人であったことは違いなく、5日前に姫の親書をもって深都に行ったことを知った治療士(宿の少年の姉だ)には、無理をするな、そもそも安静にしてろと言ったはずだ、とこっぴどく叱られ二日ほど病室に監禁された。(ちなみに、彼を止めなかったクー・シーも同じ治療者として説教され、「おじいちゃんを正座させてる・・・!」と治療士はアヴィーから尊敬の眼差しを向けられていた。)
 やっと、宿の庭ぐらい歩いていい、と許可も出てリハビリも兼ねて散歩をしている。今後のことも考えれば、出来るだけ体は動かした方がいい。冒険者である以上、体がナマっては死活問題だ。
 そして、死活問題、という点では、今の時点での最良の方法を選ばないことも死活問題なのだ。
 マルカブはゆっくりと鞘から刃を抜いていく。いつも腰帯には差してあって、ロープを断ったり蛇を追い払ったりする程度には使ってきたが、戦闘では使っていない突剣。ほとんど汚れていない突剣。使う予定もないのに、手入れを欠かしたこともない突剣。
「・・・・・・。」
 鞘と刃が擦れる高い金属音をたてて、剣を抜き切る。切っ先を真っ直ぐ前に向けて、その剣の先・・・の先を見つめる。かつてはその切っ先が自分の左目を潰した。何度も己に刺さる場面を幻視した。だから戦闘では使わないことに決めていた。
 ・・・でも、死活問題なんだよな。
 マルカブは静かに息を吐く。町のどこからでも見える世界樹に向かって、素早く突きを繰り出した。座った状態であるため、純粋に腕の動作のみの重さと速さ。・・・悪くはない、と切っ先を見つめながら確認をする。重心の移動が加われば、実戦で使える。使い込めば、“苦手な”銃よりも戦力になる。冒険者が自分が持てる最大の攻撃を使わないでいるなんて、それは死活問題以外の何物でもない。
「・・・・・・、意外だな。」
 不意に低い声が背後からした。
「君は剣も使えるのか。」
「どっちかっていうと、剣の方が得意なんだ。銃は実は苦手だしな。」
「・・・何故、剣を使わなかった?」
「ヤなこと、思い出すからな。」
 マルカブは切っ先を下ろし、振り返る。
「なんか用か?シェリアク。」
 少し離れた場所に、シェリアクがいる。今日は探索は休みなのか、普段着のシャツ姿だ。シェリアクは頷く。
「昨日、我々も深都に行った。」
「ああ。」
「深王に、頼まれ事を一つされている。」
「じゃあ、俺らは受けなくていいな。『ファクト』の方が信頼度高いしさ。」
「深王は『アルゴー』にも同じ依頼をするつもりでいる。」
 シェリアクは腕を組み、
「・・・・・・私は、受けるつもりでいる。」
「へえ。」
「・・・『ムロツミ』が何故、あんな最期を迎えねばならなかったのか、本当の理由はこの先にあるようだからな。」
「・・・そうか。」
「一応、伝えておこうと思ったのだ。その依頼は、我々と君たちにしか伝えられないようだから。」
「何かあったときに、互いのフォローをするってことでいいか?」
「うむ。」
 シェリアクは頷いて、少しの間の後に続ける。
「・・・三階層を少しだけ探索したが、」
「やっぱり魔物は強かった?」
「今までと比にならない。」
「参ったな。じゃあ、俺らはお前らの三倍苦労する。」
「・・・魔物は強力になり、この先、何と遭遇するか分からない。」
 だが、とシェリアクは強めに言い、しかし続きを言いよどむ。マルカブは視線を上げて続きを促した。
「・・・・・・、私は仲間たちだけは絶対に帰還させる。」
「・・・。おう。」
「だから、その時は、頼む。」
「・・・・・・。」
 マルカブは何かを言いたげにしたが、口を堅く結び前を見た。一拍の間を置いてから静かに告げる。
「・・・別にあんたの覚悟を否定する気はない。身を挺して仲間守るのも、自分にもしものことがあった後を託しておくのも、全く正しい。」
 でも、とマルカブは声を低くして、
「俺は、死なないことに決めた。だって、ウチのガキども泣くから。」
「・・・うむ。」
「だから俺は、あんたにもしものときのことは頼まない。『もしも』なんか起こさない。でも、あんたの覚悟は、俺の覚悟と重さは変わらないだろうから、」
 とそこまで言って、ガラでもねえな、と呟いてから、
「・・・だから、心配するな。」
「・・・ありがとう。」
 シェリアクは静かに礼を告げ、マルカブはどっかりと背もたれに背を預ける。
「でも、俺にそんなこと頼んでいいのかよ?慰めついでに、エラキスを口説くぞ。」
「君は哀しんでいる女性に自分の下心を押しつけないだろうから、安心はしている。」
 シェリアクは全く動揺を見せずに答えた。それも込みで頼んでるのかよ、とマルカブは頭を掻いて、
「・・・あー。そうだ、頼まれついでに頼むけど、俺の脚が治りきってからだけどよ、ちょっと剣の練習に付き合ってくれよ。」
 久しぶりだから感覚取り戻しておかないと、とか、うちの連中には頼めないしな、とかマルカブはいろいろ付け加えるが、どれも言い訳のようにシェリアクは感じられるのだ。要するに、彼が言いたいのは。
「ああ、構わない。」
 シェリアクは頷いて、
「君は、死なないために、自分の出来る最大の攻撃を手にするつもりなのだろう?万全の状態にしておくのは当然のことだ。」
 それは全く正しい、と先ほど言われた言葉をシェリアクはそのまま返した。マルカブは頭を掻いて、頼むよ、とだけ答えた。

*****

「・・・・・・うー・・・、先生に怒られちゃったよう・・・」
「と、当然なのよ!星詠みの道具を壊したりしたら!」
 アヴィーが肩を落としてとぼとぼ歩き、その横で彼の師匠の娘であるミモザが一生懸命小言を言おうとしている。
「大事にしないといけないんだから!」
「分かってるよう。」
 アヴィーが両手で抱えているものは、星詠みが背中に背負うエーテルを集める機械だ。ケトスの一撃からアヴィーを守ったそれには、大きなヒビが入っている。そのヒビを見た師匠のベクルックスは、弟子が無事であったことに安堵はしながらも、その道具は盾として使うものではない、とアヴィーにみっちり小言を聞かせてから、ネイピア商会で修理を依頼するように指示をした。ミモザもそれに付いてきた。
「ところで、ミモザは買い物に行くの?」
 アヴィーが聞くと、ミモザは、はう!?と声をあげ、
「ち、違うわよ!アヴィーが大変そうだから手伝ってあげようって思っただけ!」
「?僕、一人でも平気だよ?」
「いいの!ありがとうって言いなさいよ!」
 ぷんぷん!とミモザが怒りだし、アヴィーは首を傾げたが、しかし気持ちは受け取ろうと思ったらしく、
「うん。ありがとう、ミモザ。」
 と、素直に礼を言う、途端にミモザは真っ赤になって、
「いいのよ!別に!」
 と、言って、とっとと先に進んでいく。待ってよう!とアヴィーはそれを追い、
「あ、そうだ!ミモザ、ネイピア商会で修理頼んだら、僕たちの宿に来る?」
「・・・え・・・!?・・・えっと・・・、・・・・・・いいの?」
「うん。カリーナがね、ツィーにミモザやアル・ジルのこと紹介したいって言ってたよ。あ、ツィーってカリーナの友達で、」
「・・・・・・。カリーナが呼んでるから来いってこと?」
「?そうだけど・・・」
「・・・・・・もう知らない!」
 ミモザは速度をあげてズンズン進んでいく。アヴィーが、待ってよう!と慌てて追って、
「何で怒るの、ミモザ。カリーナと喧嘩したの?」
「してない!!」
「じゃあ、何なの?遊びに来たくないの?」
「違うもん!・・・いいわよ、行くもん!遊びに行く!!」
「なんでムキになるんだよう・・・。」
 女心というものをさっぱり理解できないアヴィーが、ぐったりしながら首を傾げると、
「おう!アヴィー!デート中!?」
 その首にぐっと腕を回されて、声がかけられた。首を絞められる形になったアヴィーは、ぐっと声を上げてから、声だけで誰かを判断する。
「離してよう!ディスケ!!」
「あっはっはっは!小さいくせにデートなんて生意気だぞーコイツー。」
「違うよう!そんなんじゃないよう!」
 アヴィーが否定すると、ミモザはアヴィーをぐっと睨みつけた。なんで怒ってるの?とアヴィーが泣きそうになりながら聞き、それを見ながらディスケが「そういうところだけ、うちのおとーさんに似てもしょうがないだろ。」と呆れるが、やっぱり鈍いアヴィーは首を捻るばかりだ。
 アヴィーはディスケの腕から抜けだし、彼と向き直ると、ディスケの後ろにはけらけら笑うコロネがいた。二人とも探索の帰りのような格好で、ディスケは弩を担いでいたしコロネは鎚を腰のベルトに下げていた。
「あれ・・・?樹海に行ってきたの?」
 アヴィーが瞬きをしながら聞くと、おうよ、とディスケが答え、
「ちょっと深都回りでケトスのいた広間までな。」
「・・・え・・・、ディスケとコロネさんだけで!?危ないよ!!」
「平気だよ。深都までは磁軸で行けるようになったし、深都からケトスの間までは距離ないし魔物も少ないし。」
「でも、・・・コロネさんに何かあったらどうするんだよう。」
 アヴィーは唇を尖らせて、そんなことを言った。ディスケが「何をいっちょ前に。」と笑い、コロネは「やだー!アヴィーくん、優しいー!可愛いーー!!!」とアヴィーをぎゅーっと抱きしめる。アヴィーは「ぼ、僕は可愛くないですよ!」と言いながら慌ててコロネの腕から抜け出た。ミモザが真っ赤になってアヴィーを睨みつけるのにコロネの方が気がついて、
「もしかして、アヴィーくんの彼女?ごめんごめん!彼女の前で、男の子をぎゅー!ってしちゃダメだよね!」
「違います。僕の先生の娘で、僕の・・・うーんと、姉弟子・・・になるのかな。」
「ねえねえ、アヴィーくんの彼女ちゃん、お名前は?」
 アヴィーの説明は全く聞かずに、コロネはミモザに声をかけている。ミモザはコロネに気圧されつつも、質問に答えだした。人の話は聞いてくださいよう、とアヴィーが呟き、ディスケはひとしきり笑った。そんなディスケをアヴィーが見上げた。
「でも、なんでケトスのいたところまで行ってきたの?」
「あ、マルカブから聞いてねえの?元老院が二層の地図が欲しいらしくてさ。でも、ケトスの間から深都までの間はバタバタしてて地図にしてなかったろ?埋めてきたんだよ。」
 そう言いながら、ディスケは荷物から地図を取り出して広げる。8階の地図が出来上がっていた。アヴィーは地図を見ながら、頬を膨らませて、
「言ってくれれば、僕も行ったのに。」
「星術の道具壊れてるお前を連れてくわけにいかないだろー、それこそ、何かあったらどうすんだよーおとーさんにぶん殴られちゃうだろー」
 ディスケは笑いながらそんなことを言うが、アヴィーはじっとディスケが描き足した道を見て、
「・・・・・・この道は、ディスケがマルカブを支えて歩いた道だよね。」
「ん?」
「・・・・・・あ、あのね、ディスケ。ちゃんと謝ろうと思ってたんだよ。」
「お前、俺に謝らないといけないようなことしたの?」
「・・・もし、・・・深都が無くてマルカブが助からなかったら、・・・・・・ディスケのこと許さないって言ったこと。・・・あの時、先に進むって決めたディスケが一番辛いのに、」
 アヴィーは消えそうな声で、
「・・・ごめんなさい。」
「・・・・・・・・・、あー・・・」
 俯くアヴィーの頭の上で、躊躇うようなディスケの声がした。それから、アヴィーの体がいきなり締めつけられる。
「お前は、ホンッットに可愛いなあ!おにーさんも、ぎゅーってしちゃう!ぎゅーーーーッ!!」
「や、やめてよう!!それに、苦しいよう!?」
「そりゃあ、本気のぎゅー!!だもんよ!」
 アヴィーを抱きしめながら、あっはっは!と笑うディスケに声に、コロネが振り返り、
「ああッ!ズルい!ディスケ!!何よー!あたしはミモザちゃんをぎゅーってしちゃうんだからー!ぎゅー!!」
 突然抱きしめられたミモザは、きゃん!と声を上げる。「ミモザがビックリするから止めてくださいよう!」と言いながらアヴィーはディスケの腕からよじよじと抜け出ようとする。ディスケは笑いながら腕を解き、
「いやー、お前もカリーナもいい子で、おにーさん嬉しいわー。だからさー、」
 ディスケはアヴィーの肩を叩き、明るく笑った。
「気にすんな!済んだことだ!」 


(12章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

せっかく休養中なので、ゲームシステムに沿ってスキルを振り直してみた。(笑)
パイレーツの運用方法って前半と後半で変わりますよねー。


あ、死亡フラグのようですが、
うちのおっさんファラ・シェリアクさんは死にませんのでご安心ください。
っていうか、引退はあっても誰も死にませんからご安心ください。


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