まよらなブログ

13章2話


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

先週更新できず、すみません。本日二話分更新します。



では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


13章2話
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 『アルゴー』が姫の親書を深都へ届け、戻ってきた日から、二週間と3日ほどが過ぎたある日の夕方。
「良かった!直って!」
 アヴィーがにこにこしながら【ネイピア商会】から出てくる。その肩と背中には、星詠みたちが使う機械が乗っている。修理に出していた星術の発動器が直って戻ってきたのだ。そのアヴィーに続いて、ミモザも出てきた。彼女は、アヴィーが身につけている発動器を見ながら、
「・・・今、つけることないのに・・・」
 と、呆れる。修理された発動器を受け取りに来ただけなのだ。装備する必要はない。
 アヴィーは満面の笑みのままミモザを振り返り、
「この方が持っていくのも楽だし。それに、直って嬉しいからね!」
 と、無邪気に言う。ミモザは「まあ、いいけど。」と呟いた。早く探索に行きたいなあ、とアヴィーは世界樹を見上げながら楽しそうに独りごちてから、
「ミモザは樹海に行ったことないんだよね?」
「う、うん。」
「行ってみたい?」
「・・・・・・うん。」
 ミモザは両手をこすりながら、小さく頷いた。
「でも、パパが、危険だからダメだって・・・」
「先生は心配性だもんね。」
 アヴィーは苦笑してから、少し考えて、
「じゃあ、今度、内緒で樹海の一階に行ってみようよ!」
「・・・・・・え・・・ッ!?」
「一階なら、僕も道分かるし。魔物も僕一人でも倒せるし。あ、でも、カリーナにも来てもらえば安全かな。」
「で、でも、パパにバレたら・・・、アヴィーも叱られちゃう・・・もしかしたら、破門・・・とか・・・」
「だから『内緒】なんだよ!」
 アヴィーはにこにこしながら、ミモザの両手をぎゅっと握った。ミモザは、はう!?と声を上げて耳まで真っ赤にするが、てんで鈍いアヴィーはそんなことはお構いなしで、
「ミモザ、前にも樹海に行ってみたいって言ってたよね。僕、ミモザに占星術のこと、いろいろ教えてもらってるし、本も貸してもらったし、いつもお茶も淹れてくれるし、お礼に樹海に連れていってあげる!樹海はすごく綺麗だよ!」
「・・・・・・い、いいの?」
「うん!あ・・・でも、地下一階だけだよ。絶対に安全なところしか行かせられないもん。ミモザに何かあったら先生も悲しむし、僕も嫌だもん。」
 最後の一言に、ミモザは再度真っ赤になって俯いた。どうしたの?とアヴィーはミモザを覗き込み、彼女は俯いたままふるふると頭を振った。アヴィーは首を傾げて、
「ミモザは、樹海に行きたくない?」
「そ、そんなことない!」
 ミモザは慌てて顔をあげ、そしてアヴィーを見るとまた俯いて、それでも小さな声で一言。
「・・・行ってみたい。」
「うん!」
 アヴィーは満面の笑みで頷いた。
「じゃあ、カリーナにも一緒に来てもらえるか聞いてみるね!」
「・・・カリーナも、呼ぶの?」
「だって、もう一人いた方が安全だよ?マルカブは怪我もしてるし内緒でミモザを連れてきたって知ったら樹海に入ってくれないだろうし、ディスケは口が軽いし、おじいちゃんは先生に言いつけそうだし・・・」
「・・・・・・」
「ミモザとカリーナ、仲いいよね?」
「そうだけど・・・」
「だけど?」
 まさか、アヴィーと二人きりがいい、などとミモザは口には出来ず、唇をへの字にした。アヴィーは彼女の機嫌を損ねたらしいことに気がつきながらも、その原因には思い至らない。
「どうしたの?」
「なんでもない!!」
 ミモザは、ぷん!とそっぽを向いてから、アヴィーの手を振り払ってずんずん歩きだした。待ってよう、とアヴィーはそれを追いかけていき、
「あ・・・!もしかして、ミモザ、嫌だった?・・・もしかしなくても嫌だよね、手を掴まれるの・・・」
「そうじゃな・・・」
 と、ミモザが言いかけたときだ。二人の前を塞ぐように、知らない人物がやってきた。
「・・・『アルゴー』の占星術士かな?」
 そう聞いてきたのは、一人の衛士だった。包帯を巻いた腕を首から釣っている。アヴィーはその腕をちらりと見てから、頷いた。それを見て、衛士は安心したような複雑そうな声で、
「・・・元老院から、頼みごとがある。」

*****

「・・・あ、雨だ。」
 カリーナが窓を見て、呟いた。帽子にブラシをかけていたマルカブも顔を上げ、本降りの雨に気づく。
「アヴィー、傘持って行ってないよね。」
 カリーナは窓を開けて雨の様子を確認してから、振り返りつつ、
「マルカブ、私、アヴィーを迎えに」
 と、言いかけて、マルカブがブーツを履き直したのを見た。彼は靴紐を締めながら、
「もう暗くなってるだろ。俺が行ってくる。」
「じゃあ、一緒に行こうよ。」
 カリーナは窓を締めて、宿に傘を借りてくるね、と廊下に出ていく。と、そこで階段を駆け上がってきたミモザと出会った。ミモザは、カリーナの姿を見つけて、一瞬、ほっとした表情を見せたが、すぐに泣き出しそうな顔になる。
「ミモザ?アヴィーと一緒じゃないの?」
 カリーナが聞くと、ミモザは両手を胸に抱くようにしながら、
「あ、あの、・・・一緒だったの!ネイピア商会で・・・発動器受け取って・・・そしたら、衛士さんがアヴィーに声をかけてきて・・・」
「衛士?」
「元老院の人みたいなんだけど・・・アヴィーに手伝ってほしいことがあるって・・・。アヴィーは宿に戻ってからって言ったんだけど・・・、夕方しか出ない魔物退治を手伝ってほしいって・・・怪我もしてる衛士だったから・・・。アヴィー、いいよって答えてしまって・・・。」
 ミモザはぎゅっと両手を握る。マルカブも部屋から出てきて、ミモザの話と様子を知った。
「で・・・でも、あたし、後からおかしいなって思って!あの人、あたしのことも『アルゴー』の人だと思ってて、来てほしいって言ってきたの。あたし、今、発動器持ってないし、冒険者じゃないから断ったけど・・・本当に元老院から来た人なら・・・『アルゴー』に誰がいるか、知ってるはずだと思ったの・・・!」
 マルカブは一度部屋に入り、すぐに出てきた。突剣を持っている。
「ミモザ、そいつはどこの魔物を退治するって言ってたか?」
「・・・地下7階って言ってました。」
「カリーナ、三分で支度しろ。」
「分かった。」
 マルカブの言葉にカリーナは部屋に戻る。マルカブは、アヴィーを心配するミモザに出来るだけ穏やかに声をかけた。
「ありがとうな、ミモザ。お前の機転のおかげで、アヴィーに何かある前にアイツを迎えに行ける。」
 マルカブの言葉に、ミモザは彼を見上げて、小さく頷いた。ミモザの顔は蒼白だ。その様子を見たマルカブは、年下の、しかも自分に惚れてくれてる女の子を心配させんじゃねよ、と心の中でアヴィーを叱りながら、続ける。
「悪いけど、ちょっとしばらくここにいてくれ。それで、クー爺か・・・シェリアクっていう重騎士が帰ってきたら事情を話してくれ。どいつがシェリアクなのかは、宿の人間に聞いてほしい。」
 ミモザは、小さく頷いた。ちゃんとアヴィーを連れてくるから、とマルカブは言い、自分も支度を整えるべく部屋に戻った。

*****

「・・・この先、【襲来する鱗竜】の縄張りですよね。」
 地下7階まで半ば強引に連れてこられたアヴィーは問いかける。彼に声を掛け、ここまで連れてきた衛士は頷いた。
「この先に仲間の衛士の遺品がある。それを回収させてほしい。」
「・・・あの・・・、魔物退治に来たんじゃ・・・」
 アヴィーが聞き返すのと同時に、彼の背中はどん!と押された。アヴィーは、ととっとたたらを踏んで体勢を持ち直す。同時に、道の奥で獣が吠える声を聞いた。縄張りに踏み込んだことを、魔物が気がついたのだ。
「・・・なにを・・・!?」
 と、アヴィーが衛士を振り返るが、彼はその場から消えていた。やっとアヴィーは理解した。騙されていた。
「・・・何だよ・・・!」
 奥から聞こえる足音に、アヴィーはくるりときびすを返す。仲間たちがいれば迎撃するところだが、今は一人だ。
(・・・一人じゃ勝てるか分からないな・・・!)
 【襲来する鱗竜】の追撃から逃れるべく走り出す。縄張りさえ抜ければ、鱗竜は追撃を止める。そこそこ足の速いアヴィーは、鱗竜から逃げきる方に勝算を見た・・・のだが、
「・・・!」
 足に何かが引っかかり、大きく転ぶ。転んだままで足下を見て、そこにロープが張られていることに気がついた。先ほどの衛士(ではないかもしれない、とさすがのアヴィーも気付きだしたが。)の仕業だろう。どうやら彼は、鱗竜と自分を戦わせたいらしい。鱗竜はもう背後に迫っている。
 アヴィーは起きあがるよりも速く、肩と背中の発動器を展開。久方ぶりに響く駆動音を聞きながら、素早くエーテルを集めだした。修理のおかげか、エーテルの精製が速い。
 目の前まで迫る鱗竜に、アヴィーは慌てず雷を落とした。鱗竜は数度痙攣し、ばたん!と腹から青い石の地面に倒れ込む。とはいえ、それは一時的に気を失っただけであることをアヴィーは経験上知っている。だから、ロープから足を抜いて、鱗竜から間合いを取りながら再び発動器を駆動させる。
(・・・ヴィッタちゃんも盗賊に騙されたことがあるって言ってたな・・・。)
 養母とともに毎年バカンスに行っていたハイ・ラガード。そこの世界樹を踏破した剣士の話を思い出す。ハイ・ラガードの英雄であり、養母の妹でもあるその人も、衛士のふりをした盗賊に騙されて魔物の足止めをさせられたらしい。あの『衛士』も、おそらくこの鱗竜を足止めさせるためにアヴィーをここに連れてきたのだろう。そうでなくては戦わせる意味はない。
(そういえば、ヴィッタちゃん、何度かその盗賊に騙されたって言ってたな・・・) 
 彼女を利用して手に入れた魔物を操る笛を使って、盗賊は街を襲おうとしたらしい。もし、そのまま街が襲われていたら、街の壊滅に間接的に協力してしまっていた、と彼女は話していた。騙した人が悪いんだよ、と言った幼いアヴィーの慰めに、その剣士は首を振り、言ったのだ。
 ――、ええ。でも、騙された責任ってありますから。
 アヴィーはくっと唇を噛んだ。ヴィッタ・・・とみんなから呼ばれていた女剣士は、涙もろくて後先も考えずにお節介を繰り返す、暴走する善意の塊だった。だからこそ自分にも他人にも甘かったし、失敗にも寛大だった。それでも、彼女がそう言った意味を考える。その重さを感じる。
 僕は馬鹿だ、とアヴィーが呟いたのと同時に、鱗竜は身を起こした。



(13章3話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

この話、世界樹2の盗賊関連クエストのパクリです。
1・2の設定で書きたかった話を再現したっていいんじゃん?と思って開き直りました。

志水の世界樹2の主人公はデコソド子で、
後には、ハイラガの英雄でアヴィーの立場上の叔母になり、
プロローグ第三話で既にうちの赤パイをぶん殴っていた女剣士になるわけです。
うちのデコソド・ヴィッタちゃん、ちゃんと書きたいんだけど機会がないんですよね。

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