まよらなブログ

番外編・2。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話・・・ですが、
本日から三週分、番外編に入ります。

今日は、世界樹1の街であるエトリアのその頃の話です。
志水の設定では、エトリアの樹海でシナリオのラスボスが倒されたのは11年前です。
ゲームやってない方もいると思うので、詳しく書いたほうがいいかな、と思ったんですが、
これからゲームやる方がいたらネタバレになるので、ゲームで起きたことは詳しく書きません。
詳細を知りたい方は、世界樹Wikiのテキスト集を読んでください。(超不親切仕様)
もしくは「世界樹の迷宮」をお買い求めください。(超ドSゲームバランス仕様)




では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

番外編・「その頃のエトリア2」
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 ―― 10年以上前の話になるのだろうか。
 エトリアの樹海で、【世界樹の王】と呼ばれる存在が倒されたのは。『アンシシ』というギルドが、この世界樹の成り立ちを明かしたのは。そして、このエトリアの町から・・・いや、世界から、一人の男が消えたのも。
 その後の10年間こそ、『アンシシ』にとっての苦難だったと思う。ギルドマスターである女性騎士は執政院に入り執政院長無き後のエトリアを守ってきた。その結果、彼女は今でも傷だらけだ。植物学者でもあった弓手と錬金術師は、【世界樹の王】が守ってきた大地の調査に旅立った。その結果、彼らは故郷を出て行った。そして赤毛の少年剣士と眼鏡の治療士はモリビトとの交渉に赴いた。その結果、彼らは常に傷ついてきた。
 モリビトとの交渉の内容は、和平協定も含んでいた。世界樹の成り立ちを知った、長なき後の執政院は、モリビトを排除するよりも彼らと共生・・・少なくとも敵対しない方がエトリアの今後に益がある、と考えたのだろう。古代の知識と歴史を知る彼らと友好を結んでいれば、その古代の魔法のような術を得られるかもしれない。
 交渉役を買って出たのが、『アンシシ』の当時まだ15歳だった剣士だった。仲間の治療士は、バカ正直な剣士では交渉役は無理だろう、と呆れながらも付いていった。仕組まれ避けられない状況で起きたとはいえ、『モリビト殲滅戦』の当事者である二人だ。モリビトには何度も何度も拒まれて、敵意を、殺意も向けられてきた。
 剣士が受けた数多の傷。その傷を手当てしながら、私もあなたと一緒に行く、と言えば、剣士は本気になって、そんなことは許さない、と怒ったものだ。
 剣士は、町や種族の思惑など全く意に介さない。その少年剣士の目的はただ一つ。いくら仕組まれ避けられない状況だったとしても、己たちが起こした出来事を、あのモリビトの少女に謝ること。それだけだった。それだけで、数多の傷を受けながらまた樹海に向かうのだ。おれたちはヒドいことをしたんだから謝るのは当然だ、と彼は言った。単純な人なのだ。
 そんな彼を、大好きな人ながら本当に馬鹿だと思う。大好きな人だからというわけでもなく、本当に強いと思う。だから、何が何でも一緒に行くことにした。従順と諦観しか知らなかった自分に、強い炎を与えてくれた人の力になるのだ。要らないと嘆き続けてきた自分の呪い師の力を、彼の役に立てるのだ。彼の方が、折れた。ごめんな、と言って、それでも、と言って、「やっぱりルサルカがいないと困る。」と、そう言って。―― あのときは嬉しかった。
 それから、11年。11年の年月の中で、執政院とモリビトは友好的といかずとも新しい関係を模索し始めている。その間の11年。一度も己の目的からブレなかった剣士の姿を見てきた人たちの変化の結果・・・と思っているのは自分だけだろうか。・・・自分さえ知っていれば構わない。だって、彼がずっと頑張ってきたことを一番近くで見てきたのだから。

 ――、11年の出来事を夢に見ていたルサルカは、階下から聞こえた物音に目を覚ました。むくり、と体を起こす。子どもたちを寝かしつけているうちに、うたた寝をしてしまったようだった。ルサルカの傍らには、三人の男の子がすでに熟睡している。彼らの母であるルサルカは我が子の寝顔に微笑んでから、広げたままの絵本を閉じて階下へと降りていった。
 階下の台所では、子どもたちの父親で彼女の夫である男が床に落としたらしい鍋の蓋を拾い上げていた。
「おかえりなさい。」
 ルサルカが声をかけると、彼は「ただいま!」といつもの通りに上機嫌な返事を返す。彼女の夫はいつも楽しそうだ。ルサルカは微笑んで、
「ごめんなさい・・・。寝ちゃってて、帰ってきたのに気がつけなくて。」
「おう!みんな、ぐっすり寝てたな!」
 どうやら既に寝室に来ていたらしい彼は、歯を見せて笑い、
「今日は天気も良かったし、外で遊んでたんだろ?ルサルカも付き合うと疲れるだろ?じゃあ、しょうがねえ!あ、飯、勝手に温めて食っちゃったけど、全部食ってよかったか?」
「構わないけど・・・全部食べたの?結構、量があったと思うんだけど・・・」
「おう!おれも今日は腹ぺこだったからな!」
「ハル、何か、いいことがあったみたい。」
 ルサルカの言葉に、ハル、と呼ばれた男は「わかるか!?」と聞き返し、
「あのな、今日な、シルンに言われたんだ!モリビトに出してた手紙の返事が来たんだって!でな、今度、いろんなことを決めるのに、モリビトと会うんだって!」
「・・・返事が?」
「おう!今までは無視だったのに、返事が来たんだ!」
 ハルは拳を握り、宙を見上げて一度深呼吸をしてから、満面の笑みでルサルカを見つめた。
「・・・やっと、返ってきたんだ!」
 ルサルカは何かを言う前に、ハルに飛びつくように抱きついた。ハルは、少しの驚きを見せた後、うしし!と笑い、
「ルサルカに抱きつかれるの、久しぶりだな!」
 と言って、抱きしめ返す。ルサルカは彼の肩に頬を擦り寄せてから、その肩に顎を乗せて、
「・・・お、・・・おめでとう、ハル・・・!」
 しゃくり上げた。泣くなよう、とハルは言いながらルサルカの頭を撫でる。ルサルカは首を小さく振りながら、ハルにしがみつく。
「だ、だって・・・!ハルがずっと・・・頑張ってたの知ってるから・・・!怪我も、辛い思いも、いっぱいしたの、知ってるから・・・!」
「おう!ルサルカが知っててくれるの、知ってたから、おれは平気なんだ!」
 ありがとな!とハルは言ってから、ルサルカを少し離す。彼女を見つめて少し真顔になってから、
「あのな、きっとこれからも、たくさん大変なことがあると思うんだ。」
「・・・うん。」
「まだ、・・・『あの子』に謝れてないし。」
 『あの子』と呼ぶのは、『アンシシ』と最初に出会ったモリビトの少女だ。6階層まで踏み行って少女を探したが、その少女の姿はどこにもない。モリビトたちもその行方を知らないようだった。しかしハルは間違いなく、少女に謝罪出来る日まで樹海に潜り続けるだろう。そのために、今までも樹海に潜ってきたのだから。
「だから、おれ、きっと、これからも怪我や辛い思いもたくさんする。」
「・・・うん。」
 ルサルカは瞼を拭いながら頷いた。そんな思いはしてほしくないが、そんなことは口にはできない。ハルは、ごめんな、と言ってから、
「それでも、ルサルカは、また、知っていてくれるか?」
「うん。」
 ルサルカは小さくだがはっきりと頷いた。
「それで、ハルが平気なら、私はいくらでも知っておく。」
「・・・うん、ありがとう。・・・ごめんな、ルサルカも辛くなるのに。」
 言葉にルサルカは首を振った。ハルは人の思惑は全く理解できないが、相手の気持ちには抜群に聡い。辛い思いをする彼を見て辛くなるけれど、ハルはそんな自分の辛さも知っている。ルサルカはハルの頬を両手で包んで、大丈夫、と囁いた。ハルは頷いてルサルカの額に額を合わせ、あのな、と囁く。
「あのな、おれ、モリビトの子どもと、こっそり仲良くなったんだ。」
「本当?」
「うん。でも、こっそりなんだ。他のモリビトには内緒にしてるって言ってたから。でも、いい子なんだ。うちのチビたちと友達になれたらいいなって思うんだ。」
 だから、おれ、頑張るよ。そうハルは囁くのだ。ルサルカは、きっとその日は来るわ、と囁き返す。二人は、そして微笑み合った。ハルは、あ!と声を上げて、ルサルカの額から離れ、
「あとな、あとな!」
「うん?」
「アヴィーから手紙が届いたんだって!シルンがすっげえ自慢してくるんだ。今日だけで20回ぐらい手紙を読まされたんだぞ!」
「アヴィーくん、元気にしてるの?」
「おう!アヴィーも樹海に潜ってるんだって!えーっとな、えーっと・・・なんだっけ?なんとかっていうギルドにいて、とっても楽しいみたいだ!アーモロードの樹海も綺麗なんだって!」
 ハルは、ここの樹海と同じくらい綺麗なのかなあ、と笑う。そして、
「アーモロードにも、モリビトみたいなヒトたちがいるのかなあ。」
「・・・ハイ・ラガードの樹海には翼人がいたんだものね。アーモロードにもいるかも・・・」
「アヴィーはいい奴だから、そいつらともきっと仲良くなれるよな!」
 ハルは笑顔でそんなことを言う。ムダに前向きなハルが思うのは、新しい可能性についてだけだ。けれど、ルサルカの頭によぎるのは、このエトリアで起きたモリビトと人との確執だ。同じ人間だっていざこざが耐えないというのに、異種間で上手くやっていくことの方が稀有なのだ。それこそ、ハイ・ラガードのような人間と翼人が共生は奇跡なのだ。
 けれど、その奇跡を起こそうとしているのは目の前の人だ。
「・・・うん。」
 だったら、アーモロードで奇跡が起こらないなんて言えるはずもない。アヴィーのことは5歳の頃から知っているが、もしヒトのようでヒトと異なる存在を知った場合、きっと同じ奇跡を起こそうと努力するに違いない。
「きっと、仲良く出来るの・・・。」
「おう!そうだな!きっとそうだ!」
 ハルはそして機嫌よく笑い、あとでシルンからアヴィーの手紙読ませてもらえよ!と言いながら、いつでも自分を支えてくれる妻を軽く抱きしめた。

 

---------------あとがきのようなもの-------------------

ハルは赤いソードマン、ルサルカはおさげのカースメーカーです。
冒険者当時はハルが14歳(後に15)とルサルカが16歳ですが、この話では26と28です。
彼らの昔の姿については、この辺で書いてますよ。

志水の「モリビト殲滅戦」は「第三者が作り出した避けられない事情」で起きてます。
うちの緑レン・フェイデンが療養中で不在のために起きた事件ということになってます。
本人がいつか語るかもね。なお、イメージは「ワンピのアラバスタ編」です。(爆)


次回は、「その頃のハイ・ラガード(世界樹2)」です。
桃色髪のパラディンと翼人長の話になる・・・と思われます。あとワンコ。




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