まよらなブログ

14章1話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

本日より14章です。いきなり三階層探索から始まってます。
一応、「樹海のどの辺で起きた話なのか」ということを考えてシーン作るんですが、
今回は、地下9階C-6(座標は3,2)の付近、ということでお願いします。
まあ、どうでもいいことなんですけどね。(笑)


では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

14章1話
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「・・・暑いよう・・・」
「でも・・・綺麗だね。」
 洞窟に立ちこめる熱気に汗をかきつつ、アヴィーとカリーナは天井を見上げた。洞窟の天井には、きらきらと光る枝がある。溶岩が大地の切れ目で赤く鈍く光る。暗い洞窟のはずなのに、柔らかな光に溢れている。
 そこは深都の先の洞窟。世界樹の迷宮・第三階層。海底火山の中らしく、どろりとした溶岩が地肌から見える場所もあった。その溶岩の熱のせいで、洞窟内の気温は高くじりじりと体力を奪っていく。クー・シーが子どもらを呼んで、水を飲むように指示した。
 カリーナは水筒の水をゆっくり飲みながら、洞窟の天井を見上げる。汗が自分の顎を滑り落ちていくのを感じた。暑い。けれども。
 けれども、この三階層も美しかった。ほのかに光る岩や枝は幻想的だったし、ゆっくり流れる溶岩は大地に力を運ぶ血液のように雄大だ。
(土の下ってこんな風になってるんだ・・・。)
 カリーナは赤く灯る熱の塊を見つめながら、汗を拭った。自然の熱は時々、脈動するように揺れた。ああ、生きてる、ここも。カリーナはぼんやりとその灯りを見つめるのだ。
「・・・歩いてるだけでも体力使うな・・・。」
「魔物も強いし、どうにのも参ったね。」
 マルカブとディスケが、道の先と地図を見比べる。マルカブは地図を軽く叩いて、
「・・・余力があるうちに戻ろう。帰り道でを歩くだけで消耗するだろうし。」
「だなあ。アヴィーの顔、真っ赤だし。」
 水を飲んでいたアヴィーは、顔を上げて「平気だよう。」と言うのだが、大人たちが一斉に「「「ダメだ。」」」と言った。言葉と継いだのは気功師であるクー・シーだ。
「洞窟内で熱中症にでもなる気かね?」
「・・・僕、先に進みたいのに。」
 アヴィーはぼそっと呟いた。そこにあるのは好奇心だけではないことに、一同は気がついてマルカブを除く3人の目が一斉にギルマスであるマルカブに注がれた。マルカブは汗で湿っぽくなった頭を掻いた。
「・・・いいか、アヴィー。」
 と、マルカブは呼びかけてから、言葉を探して数秒。小手先のことを言ってもアヴィーはそれを見抜くことは分かっていたが、小手先ではないことを言うには場所が悪いような気もした。アヴィーがただの好奇心で動くわけにはいかなくなった理由も知ってはいたが、それをいくら仲間でも他の人間の前で言う気もなかった。だから、嘘くせえな、と思いながら、それらしいことを口にする。
「俺たちは深王のミッションを受けたんだから、とっとと地下10階の【断罪の間】とやらに行くべきだ。けどな、ぶっ倒れちゃ意味ないだろ。階層の様子が掴めるまでは慎重にいくのが、近道だ。」
「・・・分かってるよう。」
 アヴィーは小さく呟いて、水筒の蓋を閉めた。不満げにしている。マルカブは、分かったんなら結構だ、と冷たいふりを装ってまとめる。
「もうちょっと休んで来た道を戻ろう。宿に戻ったら、『ファクト』と情報を合わせて、今後を・・・」
 ふと、マルカブは言葉をとめる。カリーナがじっと道の先を見つめていることに気がついたのだ。見つめていることに違和感を感じたのではない。カリーナは物珍しいものや気に入ったものは凝視する癖がある。ただ、カリーナが眉を寄せ、首を傾げながら「動いた?」と呟いたことに違和感を感じたのだ。
「どうした?カリーナ。」
「・・・う、うん。」
 カリーナはマルカブを見上げてから、もう一度視線を戻し、その視線の先を指で指す。
「あそこ・・・何か、動いた。溶岩が、流れてるのかなって思ったんだけど・・・」
 カリーナが自信なさげに言うのを聞いていたかのように、彼女の指の先でぼこりと土が盛り上がった。
「・・・目!?」
 アヴィーが思わず叫んだのは、土からでてきた魔物が大きな一つ目だったからだ。目玉を持ち上げるようにして、起きあがる体は巨大なミミズ。うねうねと体の縞を寄せるようにして、身を起こす。カリーナが、ひいん、と泣きそうな悲鳴を上げて、マルカブの背中に回ってその上着を掴んだ。
「あの魔物、気持ち悪い・・・!」
「お、カリーナ。ああいうウネウネ系、だめ?」
「可愛らしい反応ですなあ。」
 ディスケとクー・シーが軽口を叩きつつ、向かってくるミミズの魔物の迎撃の準備。
「カリーナ。女の子が女の子らしいことを言うのは嫌いじゃないが、今はそんな場合じゃないぞ。」
 そういうマルカブは、とはいえ彼女を背中に隠すようにしたままで、突剣を抜く。カリーナは、分かってるう・・・、と情けない声を上げながら剣を抜いた。
 彼らに戦闘の意志があることを魔物も知ったためか、魔物の目の下の部分がにゅっと開く。口があるのか、と思った瞬間、魔物はそこから黒い泥のようなものを吐き出した。
 べちゃ!という粘着質な音を立てて、泥はアヴィーの顔に貼り付いた。アヴィーは体を震わせて、泥を拭おうとするのだが、ねっとりとしたそれはアヴィーの顔から剥がれない。アヴィーの目から鼻の頭にかけて貼り付いている黒い泥が、粘り気を保ちながら下へと垂れていくのを見て、
「クー・シー!アヴィーの鼻と口!」
 カリーナはとっさにそう命じた。それだけで、クー・シーは何かに気づき、アヴィーに駆け寄りその鼻と口を己の手で覆う。そのクー・シーの手の上を、泥は垂れ落ちていく。高い粘度の泥が鼻や口を覆ってしまったら、呼吸が困難になるところだった。
 魔物が第二撃を打ち出す前に、マルカブは突剣の先を魔物の目玉に向けて、魔物に向かって踏み込んだ。切っ先は魔物の目をわずかに逸れて、目の下に刺さる。ミミズの体からぐにぐにとした感触が剣先から伝わるかと思ったが、感触は堅い木のようだった。剣も思ったよりも刺さっていない。魔物が再度、汚泥を吐き出す前にマルカブは剣を抜き、地面を蹴って後ろへ二歩ほど間を取った。マルカブの動きは速い。その動きが、剣技の足捌きの型をきちんと習った人のそれであることに、剣を武道として習ったカリーナは気付いた。一方のディスケは同じ足捌きを見ながら、マルカブの脚が完治していることを改めて確認して安堵するのだ。
 と、後方から、ぶん!と低い駆動音がした。クー・シーの協力の元、アヴィーが泥を払って星術の発動機を起動させたようだ。その音をかき消すように、ミミズの魔物は再度泥を吐き出す。今度は一行の足下を狙って、数度。
 しまった、と思ったときにはカリーナ以外の人間の足にねっとりとした泥が絡みついている。ミミズは身動きがとれなくなった人物の中でも最も近くにいるマルカブの首に向かって尾を伸ばし、それをディスケの矢弾が弾く。矢弾が魔物を弾く音は甲高かった。音を近くで聞いたマルカブは、己が刺した魔物の傷を見る。手応えで感じたように、そして甲高い音を立てたように、ミミズの魔物の体は甲殻で覆われているかのように見た目に反して堅い。突剣の一撃も矢弾の一撃も、この魔物にはほとんど効いていないようだ。長期戦は必至。その上、粘り気のある泥で、動きや技を封じられることもある。長期戦覚悟で挑んで、こちらが何も出来ない状態になる可能性は高い。
 マルカブは判断した。
「逃げるぞ!カリーナ、走れ!!」
 脚の自由が利くカリーナに、まず命じる。声を聞いて、それぞれがそれぞれらしい返事を返す。カリーナは剣を収め、魔物の間合いから真っ先に離れる。アヴィーは集めていたエーテルを素早く弱い冷気に変えて、仲間たちの足に向けた。冷えて固まった泥を各々が割るようにして振り払い、魔物に背を向けまっすぐな道を駆け出す。魔物は地面を這いながら、それを追う。先行するカリーナが、道の先の壁から吹き込む風を感じて壁に体をぶつけた。ぼろっと、黒く固まった壁の一部が剥がれて、屈めば通れる穴が出来る。カリーナは、こっち!と仲間たちに叫んで、抜け道になった穴に飛び込んだ。最後に穴に飛び込んだマルカブは、穴からミミズの様子をのぞく。ミミズはぴたりと止まり、来た道を戻っていった。縄張りがあるのだろう。
 彼らが飛び込んだ抜け道の先は、すでに来たことのある場所だった。魔物の気配もしないので野営地にした場所になる。北東の方向に大きく迂回して通路を進んでいたが、抜け道を見つけたことで今後はその迂回路を通らずに先ほどの魔物のいた場所までは行ける。
「・・・・・・、抜け道を見つかったのは収穫だったな。」
 マルカブは帽子を取って汗を拭きながら呟いた。
「・・・ここからなら、深都に戻るのも近いしね。」
 カリーナは頷きながら、顔に泥の跡が残るアヴィーにハンカチを差し出す。アヴィーは白いハンカチをみながら、ふるふると頭を振った。
「ハンカチが汚くなるよ。この泥、なんか臭いんだ。」
 早く顔を洗いたいよう、とアヴィーは泣き出しそうに愚痴る。カリーナはクー・シーから水筒を受け取り、ハンカチを水で湿らせてからアヴィーの顔を少し強い力で拭いだした。
「汚れたら洗えばいいだけでしょ。ほら、じっとしてて。」
「・・・い、いいよう!自分で拭くよう!!」
 恥ずかしいよう!とますます泣き出しそうになるアヴィーに、じっとしててってば!とカリーナは強い口調で言いながら、ごしごしとアヴィーの顔の泥を拭う。
「まるっきり、姉ちゃんと弟だなあ。」
 ディスケがぷぷーっと吹き出す真似をしながら言うと、アヴィーが地団太を踏むようにしながら主張した。
「違うよう!僕、弟じゃないもん!カリーナの方が妹だもん!!」
「なんで!?アヴィーの方が年下だし、背も私より低いのに!」
「いいんだもんッ!」
「よくないッ!!私がお姉さん!!」
 カリーナはそう言って、アヴィーの鼻をぎゅーっとつまみ上げた。アヴィーはばたばた腕を振りながら、僕の方がしっかり者だもん!などと言って、ますます鼻をつまみ上げられた。
「おとーさーん、子どもたちが姉弟喧嘩してるー。」
 ディスケは笑いながらマルカブにそう言うと、マルカブは地図に抜け道を書き込みながら、いい加減な口調で答える。
「そうか、双子ってことにして解決しろ。」
「・・・最近のお前、二人の姉弟扱いも父親呼ばわりも受け入れすぎじゃねえ?」
「あ?」
「・・・自覚ないのか、まあいいけど。ほらー、お子ちゃまたちー、おとーさんがお前らは双子だってさー。」
「「双子でもどっちが上かってあるでしょ!?」」
「双子っぽいねえ。」
 完全なユニゾンにクー・シーが感心したように呟いてから、
「まあ、双子ちゃんたち。あんまりエキサイトしない方がいいよ。ここはただでさえ暑いんだから。」
「そういうことだ。」
 マルカブが地図を丸めて、荷物にしまいながら、
「今日の探索はここまでにしよう。宿に戻って方針立てよう。ほら、つまんねえことで喧嘩してないで行くぞ。」
「「つまんなくない!」」
「あー、はいはい。ところで、今日の夕飯何がいい?」
 子どもの主張を聞き流して歩き出すマルカブの背中と、それを追いながらどちらがより姉(兄)っぽいかを真剣に訴える子どもの背中を見ながら、ディスケは頭を掻いて弩をかつぎ上げる。
「ホントに家族っぽいと、からかい甲斐がないなー。」
「ほのぼの家族だねえ。」
 それを全部見ながら、クー・シーは苦笑した。



(14章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

とりあえず、三階層が書きたかったので。次回以降で「ミッション」の内容を書きますね。

戦闘シーンは、各キャラのAGI(素早さ)踏まえ攻撃順を考えて作り、
「こっちの方がかっこいいから」理論で修正します。
今回の場合、
 ミミズの魔物(泥中より迫る者)の先制攻撃。
  1ターン目で「汚泥吐き」→ゾディの頭縛る。
  2ターン目、赤パイの「インザダーク」(盲目にできず)、
        ゾディ防御、爺ちゃんはゾディ回復、
        ミミズ「ワームクラック」→プリ子以外の脚縛り、
        プリ子が逃走→逃走成功、という基本の流れに
        バリの狙撃(『こっちの方がかっこいいから』理論による修正)を入れてます。

あ、うちの赤パイ、本日から突剣装備ですので攻撃方法が変わってますよ。

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