まよらなブログ

15章1話。

メリクリメリクリ。
先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」で
「クリスマスもカンケーねえ!!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


以前、メイン5人のイメージっていうのをどっかで書いた気がしますが、
「動物」だったらこんなイメージ、と思いついたので書いておく。

黒ゾディ:生後3ヶ月ぐらいの黒柴
プリ子 :生後4ヶ月ぐらいのラフ・コリー(セーブル)
赤パイ :狩りが下手なはぐれライオン
眼鏡バリ:猟犬をおちょくるキツネ
モン爺 :千年ぐらい同じ場所にいそうなゾウガメ

お子ちゃまーズが尻尾を振りながらオトンに寄って行く姿を
志水は常々幻視しているので、彼らについては犬一択で。



では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


15章1話
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「・・・あー、これ、うちにもあるぞ。」
 ディスケは庭木を見上げた。頭に乗せているサイミンフクロウの雛・スハイルが落ちないように手を添えながらだ。スハイルはぴよぴよと元気に鳴いた。
「曾祖父が植えたものらしいよ。」
 庭に面した部屋で茶を用意しながら、ディスケにそっくりの深都兵・・・アミディスは説明した。
「きっと、海都の家と同じものを植えたんだな。」
「そー言われてみれば、この家の間取りとか、なんとなく家に雰囲気似てるんだよなー、曾々じいさんもホームシックだったんかね。」
 ディスケは気楽な口調だが、アミディスは複雑そうに眉を寄せている。茶を淹れる手伝いをしていたカリーナは、当然だろうな、と思いながらアミディスの眉間の皺を眺めた。ディスケの曾々祖父とアミディスの曾祖父が同一人物、という家系図を描けば気づくことだが、曾々祖父にして曾祖父であるアスピス・トゥレイス・イオタスには、二人の妻がいたことになる。離縁や死別によって新たな妻を娶った・・・わけではない、ということは詳しい事情を知らないカリーナにも察せられた。おそらく、アミディスはディスケにその辺りの事情を尋ねたのだろう。そしてディスケは答えたのだ。ディスケは込み入った事情をわざわざ語る真似はしないが、尋ねられて誤魔化す真似もしないだろうから。
 実際、アミディスはディスケから聞いている。自分の曾祖父が、ディスケの曾々祖母を置いて深都へ向かったらしいことを。もっとも、その曾々祖母が身重だったことまではディスケは口にしなかった。そんなことをアミディスに伝えたところで何にもならないし、曾々祖母は苦労したかもしれないが無事に自分まで血脈は保っているのだ。何の問題もない、とディスケは思っているのだ、・・・が。
 アミディスはそうではないらしい。自分の曾祖父が海都にいる家族を置いて・・・置いてきたこと自体はともかくとして、深都で新たな家族を作ったことが、どうにも納得出来ないようだ。真面目な奴、とディスケは庭からアミディスの眉間の皺をぼんやり眺めた。容姿は瓜二つでも性格は似てないんだな、と思いながら、ディスケは部屋に戻ることにした。もっとも、性格まで似ていたら生理的にアミディスを避けるだろうが。
 テラスから居間に入ると、応接用のテーブルに4つの茶器。茶を用意するのは家主であるアミディスで、茶器を並べるのはカリーナだ。そのテーブルの端で、灯りが点いたり消えたりしている。アヴィーがランプを不思議そうにいじっていて、ディスケが戻ってきたのに気がつき、
「ディスケ!これ、見て!ここのでっぱりを押すとね、灯りがつくんだよ!」
 と言いながら、ランプの土台にあるボタンを押す。ぱっと灯りがついた。
「おー。」
 アヴィーは感心した声を出し、再度ボタンを押す。灯りがぱっと消えた。
「おおおー。」
 アヴィーはボタンを連打して、灯りを点けたり消したりさせる。マルカブがいたら小言が飛んでくる場面だが、ギルドの『お父さん』はこの場にいない。ここにいるのは、ディスケとアヴィーとカリーナ(とディスケの頭の上のスハイル)、そして家主のアミディスだ。
 クー・シーがアミディスを恒星邸に連れて来て一週間。なんとなく仲良くなってしまった彼らは、探索の合間に互いに暮らす町の話などを教え合っていた。そんな中、「深都の生活って海都と違うの?」というアヴィーの疑問を受けてアミディスは自宅に彼らを招いたのだった。
「アヴィー、いたずらしたらダメでしょ。」
 結局、小言は、アヴィーの『姉』だと自負しているカリーナが口にした。アヴィーは「いたずらじゃないもん。」と言いながら、ランプの傘の中をのぞき込む。洋梨をさらに丸くしたような形のガラスが、傘の中に収まっていてそれが灯りを発生させていた。
「火がつくんじゃないんですね。」
 アヴィーはボタンを連打しながら、ガラスが淡いオレンジに光るのを確かめつつ、アミディスに問いかける。彼はアヴィーの様子を不思議そうに見つめて、それから納得したように頷いた。
「そうか。海都には『電気』はないんだね。」
「でんき?」
「・・・ええっと、雷のようなもの、といえばいいかな。それを使って、機械を動作させる。」
 アミディスはアヴィーからランプ(というより『電気スタンド』と表現すべきものだが)を受け取り、土台の裏側についている小さな板を外す。その中には小さく太い円筒が二列並んで収まっていた。
「これは電池。ここに、電流を起こす仕組み・・・分かりやすく言えば・・・エネルギーの発声装置が収まっている。」
 我ながら端折った上に曲解した説明だ、とアミディスは心の中で苦笑したが、アヴィーは・・・アヴィーだけではくディスケとカリーナは興味津々と言った様子でその『でんち』なるものを食い入るように見つめる。
「外すと、電気・・・灯りはつかなくなるんだ。」
 と、アミディスは『電池』を外して、ボタンを押す。当然・・・と思っているのはアミディスだけだが、灯りはつかなかった。アヴィーは、おおおお、と声を出して、アミディスの持っている電池を彼の手ごと掴んだ。アミディスは電池をアヴィーに手渡した。
「すごいなあ、こんな小さいのに灯りをつけるんだ。中にエーテルでも入ってるのかなあ。」
「割ってみてもいいか?」
 ディスケが電池を指しながらアミディスに問うと、アミディスは苦笑を浮かべながら首を振り、
「中身に興味があるなら、書物で調べられるよ。図書館にいけば、電池に関する本もあるだろうし。」
「図書館!」
 反応したのはアヴィーの方だ。
「僕も!僕も、深都の本、読みたいです!」
 はいはい!と手をあげて主張するアヴィーに、アミディスは苦笑を微笑に変えて頷いた。
「オランピア様に確認し、了承をもらえたら案内するよ。」
 答えにアヴィーは、わーい!と両手を上げ、ディスケもそれの真似をしながら、
「おもしろいなあ、深都の技術は。海都に持って帰ったら、便利になるだろうなあ。なあ、図書館に行ってもいいか聞くついでに、オランピアの構造について教えてほしいって頼んでくれよ。」
 そんな頼みを口にする。さすがにアミディスは眉をしかめた。
「オランピア様は確かに人じゃない、けれど・・・『電池』と一緒にしないでほしい。」
「分かってるよ。」
 ディスケは肩を竦めてから、
「けれど、なんらかの技術で誰かが作り上げた存在なんだろ?彼女の意識や脳はどうなのかしらないが、手足は間違いなく機械だろ?」
「ディスケ、それは失礼な・・・」
 カリーナがディスケを窘めようとしたが、ディスケは、
「何が?だって、人間だって義肢を使うだろ?その義肢が俺の知っている技術以上のもので出来てたら、その仕組みを知りたくなるだろ?すげえ技術で出来た義足を使っている人間に、技師が『お前の脚を見せてよ』って言うのは確かに不躾かもしれないが、失礼な話じゃないと思うけど?」
 軽い口調だがきっぱりと述べる。カリーナは少し考えて、そうだけど・・・とだけ呟いたてから、
「・・・でも、オランピアにとっては生身の体なのかもしれない。女の人に、体の仕組みを教えてって言うのはよくないよ。」
「おっとー!そっちかー。それはそうだなー、おにーさんちょっとデリカシー足りなかったー。」
 ディスケは笑い、アヴィーは何を連想したのか、あうあう、と狼狽えた声をあげながら赤くなった。アミディスは呆れたような感心したようなどっちともつかない表情で、カリーナを見つめた。
「・・・アミディスさん?どうかしましたか?」
 アミディスの視線に気づいたカリーナが問いかけると、彼は頭を掻いてから、
「なんというか・・・面白いなと思って。」
「面白い?」
「その、深都の者はオランピア様を『人』だと思っているけど、『女性』とは思っていないんだ。」
「?」
 カリーナが疑問符を浮かべるのを見て、アミディスは自分の中に答えを探す。改めて探してみて、見つけたものを口にした。
「・・・今まで考えもしなかったけど・・・そうだなあ・・・私たちはオランピア様を『戦士』と思っている。私たちと同じ『戦士』の一人だと思っているんだ。その一つの考えが、当然で我々は疑ってもいない。けれど深都以外から来た人は、『女性』と考えるも『機械の一種』と考えるも様々なんだろう、と思ったんだよ。」
 そしてアミディスは、ふと庭を見た。先ほどディスケが見上げていた庭木。
「私たちの先祖が、都の一部とともにここに来たとき。深都も海都も、さほど変わらなかったんだろうね。けれど、今ではきっと、・・・別の町なんだろうな。」
「100年の断絶は長いよなあ。」
 ディスケはソファの背もたれに寄りかかった。軽い揺れを感じて、スハイルがぴよぴよと声を上げた。悪い悪い、とディスケはスハイルを撫で、カリーナが「こっちにおいで」とスハイルに手を伸ばし自分の膝の上に乗せた。スハイルは少女の太ももの柔らかい感触がすぐに気に入ったらしく、首を体にうずめて丸くなった。
「うーん・・・。でも、どうして、」
 アヴィーは茶の入ったカップを取りながら、
「深都は海都の人たちと100年も会わないでいたんですか?」
 質問の後に、茶を飲もうとして、熱、と小さな声をあげた。アヴィーは茶に息を吹きかける。
「海都と深都は迷宮でつながってるのに、行き来したりしなかったんですか?家に帰りたい人もいたと思うけど・・・」
「・・・その理由を深王様かオランピア様は、まだ君たちに話していない?」
「聞いてませんけど・・・。」
 アヴィーはディスケとカリーナを見上げた。二人とも首を振る。アミディスはそれを見て、
「だったら・・・私から、その理由を話すことは出来ない。聞いた話だと、フカビトに会うように命じられてるそうだから・・・その後にお話してくださるのだろう。」
「深都が海都と断絶していた理由はフカビトにあるってことか?」
 ディスケの質問に、アミディスは頷いた。そして彼は少しだけ不安げに、
「・・・ケトス殿を倒した君たちに、心配は必要ないかもしれない。けれど、気をつけてほしい。フカビトに会ったときに、戦わないことも選択だよ。」
「・・・戦わざるえないってことか。」
 ディスケは苦笑して頭を掻いた。一方、カリーナは膝の上のスハイルを撫でながら、
「・・・あの・・・アミディスさん。ケトスを倒した私たちのこと・・・恨んだりしてないんですか?」
 ケトスは深王様の友人で深都を守ってきた、と聞いてます。そうカリーナが伏し目がちに尋ねると、アミディスは腕を組んで少し思案した後で、
「もし、ケトス殿が健在で君たちも深都にいるなら、戦力は格段に上がっていた。私たちにとって、深都と深王様が守られていることが重要だから、深都を守ってきた同志・ケトス殿の死は惜しいね。」
 アミディスの答えは、単純な戦力の話。戦力としてのケトスの不在を嘆いている。しかし、とアミディスは続けた。
「ケトス殿も深都と深王様の為に、戦い、散った。そして、今も深都は守られている。なにも問題はないよ。」
 アミディスは穏やかに微笑んだ。その淡々とした答えに、カリーナの背中に違和感が走る。スハイルは顔を上げて、ぴよぴよ、とカリーナに向かって鳴いた。カリーナは慌ててスハイルに微笑んだ。
「カリーナ?」
 ディスケが訝しげにカリーナを見つめる。カリーナは、何でもない、と言って、カップを手にした。何でもない、わけでもない。アミディスの言ったことは、つまり、
 目的さえ達していれば生き死は重要視しない、深都の人間の価値観だ。
(・・・誰かが戦って死んでも、この町の人は泣いたりしないのかもしれないな。)
 カリーナはそんなことを思いながら、茶を口にした。100年の断絶は深そうだ。


(15章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

深都の文明って相当なもののはずですが、
あまり文明の利器すぎるものがあっても世界観ぶち壊しなので、
電気スタンド(電池式)を登場させるだけにしました。
それにしても、電池の話題にどれだけ行数を割いているのでしょうか。

途中の義肢の話は伏線となります・・・が、
その伏線が回収されるのは・・・このペースだと数年後なのではないか・・・。


次回、いよいよフカビト登場です。

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