まよらなブログ

15章3話。


先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

15~16章付近は、ゲームのイベントを追っていく内容になります。
いろいろ明らかになるところなので、ゲーム内テキストを出来るだけ引用するようにしてます。
今回は、文章の6、7割がゲーム内テキストの写しです。Wikiにテキスト集あって助かるわあ。
ゲームの文章と志水の文章が入り混じってますので、
「どこが志水の文」で「どこがゲームの文」か、を当てるのも一興かと。(笑)



では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



15章3話
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 それぞれ魔物を倒した『アルゴー』と『ファクト』は戦闘による傷の手当ても後回しにして、その魔物を生み出した小さな存在を見た。人のような・・・、魚のような・・・異形の敵を倒した自分たちを、眼前の子どもは珍しげに見つめている。
 その目は驚きと、そして喜びが浮かんでいる。明らかに彼らの出現を楽しんでいるようだった。しかし、その表情とは裏腹に、その体から流れ出た血肉は蠢き、いつまた魔物を化すか分からない。
 ・・・さあ、どうする?
 剣と槍の先を向けたまま、二人のギルドマスターはわずかに逡巡した。先手必勝で討ち取るか、それとも武器を下ろし敵意がないことを示すか。
「・・・、・・・あ、あのさ!」
 逡巡していたマルカブの背後から、アヴィーが一歩踏み出した。
「・・・あの・・・、待ってよ!僕ら、戦いに来たんじゃないんだ!」
 異形の子どもはじろり、と瞳を動かして、アヴィーを見つめた。アヴィーは身を竦めて思わずマルカブの上着をつかんだが、彼の背中に隠れることはしなかった。
「敵意はない、とでもいうつもりか?」
「な・・・、無いよ!また魔物を呼ばれたら別だけど・・・」
「・・・敵意か。あろうとなかろうと同じことだが・・・まあいい。何用で僕に会いに来たのか?」
 異形の子どもは、流暢に言葉を操る。アヴィーは、あうあう、と呻きながらマルカブを見上げた。マルカブはシェリアクに何か言いながら剣を下ろして、アヴィーに頷いた。励ますようにぎこちなく笑みを浮かべようとして、しかし目は真剣そのものであるマルカブを見て、アヴィーはぐっと喉を鳴らした。ギルマスはアヴィーの判断を後押しする気のようだが、だからこそアヴィー自身が話を進めるように促している。アヴィーは一度深呼吸してからマルカブに頷きを返し、子どもに向き直る。 
「僕らは、深都の人たちに『フカビトに会え』って言われたんだよ。」
「・・・フカビトか。人の仔らが、僕ら眷属に愚劣な名をつけたものよ。」
 嘲るような口調でそう告げつつ、紅い目で一行を凝視する。その紅い目は、先ほど自分の中を覗き見たあの目だ、とカリーナは確信して拳を握りしめた。あの目と目があったらまた睨み返してやろう、とカリーナは思ったが、子どもはカリーナと目を合わせずに続けた。
「ニエになる意思がないなら帰れ。僕はこう見えて忙しいのだ。」
 フカビトと呼ばれた生物は、そういうと目を閉じ動きを止めた。アヴィーがそれでも話をしようと口を開きかけた時だ、
「・・・理解したか?それがフカビト・・・」
 背後から静かな声がかかる。
「人類を恐怖に陥れる最悪の生き物だ。」
 振り返れば、いつの間にか部屋に入ってきたオランピアがそう告げる。彼女は異形の子どもをじっと見つめながら、
「そして、その子どものような者が【真祖】と呼ばれるフカビトの王。その子らはその者から誕生する。」
 それが先ほどの魔物たち、というわけか、とシェリアクが低く呟いた。血肉がまだ蠢いているの見れば、おそらく何体でも連続して生み出せるのだろう。あれだけの力を持つ魔物を何体も生み出されては、持久戦の末、壊滅するのは目に見えている。
 オランピアはシェリアクの呟きを肯定するように頷いた。
「あまりに危険な為、深王様が百年近く前に捕らえ、以後この灼熱の地、【断罪の間】に封じてある。」
 オランピアがそう語る間、フカビトは時折笑みを浮かべつつ、目を閉じて話を伺っている。
「僕はまだ王ではない。人の呼び名を使うなら、王子か王女か・・・まあ、その辺りになるだろう。」
 瞳を閉じたままそう呟く相手をオランピアは一瞬睨んだ後、視線を外して一行に語りかけた。
「これで、あなたたちはフカビトの存在を認識した。深王様の希望はこれで達成された。後は再び天極殿星御座に戻って、深王様にお目通りしてほしい。」
 そう告げるオランピアとフカビトを交互に見つめる。フカビトはぴくりとも動かない。
「・・・私たち、手当も必要よ。」
 エラキスがシェリアクに囁くように、促した。
「ともかく、この場から出ましょう。」
 シェリアクは頷き、いいな?とマルカブに確認。マルカブが頷いて、一行はその場から出ることにした。他の全員が部屋から出てから、カリーナは一度振り返りフカビトに問い掛ける。
「・・・あなたが私を覗いたんでしょう?」
 答えは返ってこなかった。ただ、フカビトはひらひらと手を振った。その行為にオランピアが驚きの様子で目を微かに開く。
「・・・・・・今度、同じことをしたらひっぱたく。」
 カリーナはそう言って踵を返して部屋から出ていった。そして、オランピアも部屋から出ようとして、
「・・・お転婆な姫か。」
 感慨を持ってフカビトがそう呟いたのを聞いたのだった。

******


「・・・ディスケ!」
 手当を終えてから天極殿にやってきた一行だが、そこの衛兵にディスケは呼び止められて振り返る。顔まで隠れたフルアーマーの衛兵に、ディスケはうん?と首を捻り、
「えーっと、その声、もしかしてアミディス?」
「ああ。」
 衛兵は兜のバイザーを上げた。顔を防御するバイザーが上がったことで、衛兵の顔が現れる。兜を被ると邪魔になるためか眼鏡は掛けていなかったが、ディスケにそっくりの顔がそこにある。ミラが、あ!と声を上げてアミディスを指さした。
「ディスケさんのそっくりさん!」
 きょとん、とした顔でミラを見るアミディスだが、「あ、前に町でぶつかった方ですね。」とツィーが言うのを聞き、納得した様子で頷いた。
「ああ。そういえば、そんなこともあったような・・・。君たち、知り合いだったのか。」
「おうよ。冒険者の世界は狭いぞー。それより、お前は何してんの?」
「・・・何って・・・深都兵としての天極殿の警備を・・・」
 そういえば深都兵だったな、とディスケは手を打った。そんなディスケのことは無視して、
「・・・【断罪の間】に向かったと聞いていたけど・・・よかった、無事だったか・・・」
 アミディスはアヴィーとカリーナにそう声をかけた。ほっとしたアミディスの表情に、子ども等は笑いかけ、
「ちゃんとフカビトに会ってきましたよ。」
「大怪我は誰もしてないですよ。」
 と、それぞれ、安心してください、と答える。アミディスは笑みとともに頷いて、それからまじめな表情を作った。
「フカビトとは会っただけだったのかい?戦うことは・・・」
「フカビト・・・というか、フカビトの真祖が生んだ魔物とは戦いましたけど・・・」
 アヴィーが答えると、アミディスは感心しきって一行を見回す。
「さすが深王様とオランピア様が見込まれただけのことはあるな。フカビトと戦い、全員無事に戻るなんて・・・」
 ケトス殿を倒すわけだ、とアミディスが言うのに、カリーナが眉を少し寄せたことにマルカブは気がついた。ケトスが深都の人間とどんな関係だったかは知らないが、ケトスが倒されたことに対してアミディスは特別な感慨を抱いてはいないようだった。
(深王もオランピアもそうなんだよな・・・)
 だからこそ、警戒心が解けない。ケトスを倒したことに恨みや憎しみを向けてこないから、『アルゴー』は深都にいれるのではあるが・・・、長年深都への入り口を守ってきた盟友に対して淡泊であるのなら、深王にとって冒険者などただの捨て駒でしかない、と考えざる得ない。
 表情を固くしたカリーナとマルカブにアミディスは気がついた。敏さは遺伝なのか、ディスケの血縁だけあって目端が利く。しかし、アミディスは『アルゴー』の一員ではないので、ディスケなら絶対にしない誤解をした。つまり、その表情の固さはミッションの報告をしにきた責任と緊張からくるものだと。
「ミッションの報告にきたのに、呼び止めて悪かった。深王様が奥にいらっしゃる。」
 アミディスはバイザーを下げ、まじめな衛兵の声でそう告げた。そして半歩横にずれ、一行に道を譲る。
「深王様のお話を聞き、君たちが深都の義務に理解を示してくれることを願っているよ。」
 そう言って、一行を送り出す。アミディスが言った『義務』という言葉が、カリーナの頭の片隅にこびりついたが、それがなぜかは分からなかった。

*****

「戻ったか、冒険者たちよ。」
 天極殿の奥、天文時計が回る間で、深王は静かに待っていた。その傍らにいるオランピアから、報告は既に受けているようだ。
「諸君らが会ったアレがフカビトの真祖。古くより深海に住み、フカビトの仔を産んで人を襲う恐ろしいバケモノだ。」
 深王はゆっくりと間を歩き、天文時計が星空を写す天井を見上げた。天井よりもさらなる上を見上げているのかもしれなかった。
「我はその脅威を知り、人類を救う為立ち上がった。海都アーモロードの最後の王としての役割を成すために。」
 うん?と不思議そうな声を上げたのは、生まれも育ちもアーモロードであるディスケだ。しかし、生まれも育ちもアーモロードであるディスケは他の仲間たちよりも早く、可能性にも気づく。だから、まあ待て、と鷹揚に手を振る深王の所作にも従った。深王は再び天井を見上げた。
「アーモロードには古くから王家に伝わる伝承があった。深海に潜む間の存在を伝えるものだ。」
 そして深王は息を吐き、ゆっくりと一行に向き直る。
「・・・それを王家に伝えたのは世界樹。」
 ぱちくり、と瞬きをする一行に深王は気がついたようだが、訂正もしなければ慌てもしなかった。ただ、言い聞かせるように、言い含めるように、ゆっくりと告げる。
「人を超えた神秘にして叡智、今もこの深都の中心にそびえる大木だ。」



(15章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

あと『フカビトの体液は透明』って前回書いたけど、
今回『血肉』という表現があるので、赤いのか、ということに今更気付きました。
いや、でも、透明で。ヘモグロビンが体内にない方がまったく別の生き物っぽい。


それにしてもフカビトと深王様の台詞が文語調すぎてポメラさんの変換が追いつきません。


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