まよらなブログ

15章4話。

先走った志水の「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

2009年12月12日の日記に、世界樹3発売前(この時点ではグラフィック未発表)
の設定妄想を書いてたことに気がつき、今、改めて載せてみます。

「『少年ファランクスがいたらエトリアから来た騎士見習いで、
  事情があって国にいられない姫と、それを誘拐したけど尻に敷かれた海賊と、
  姫のお付きのモンク、あと一人はバランスとグラフィックで考えたいけど魔法系がいいな、
  あとモンスターもパーティにいれられるっぽいことも書いてあるっぽいので
  出来れば鳥型のモンスターも入れて、
  樹海踏破後には海の上を飛んで姫を迎えに来た船を追うんだいやっほー!』
 そんな妄想がすでに頭の中で繰り広げられているなんてイタタタ過ぎて言えないよ。」


・・・・・・・・・本質はそんなに変わってないんですが、海賊の設定に捜索願を出したい。



ともあれ、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

15章4話
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「世界樹は我らに優れた技術を伝え、その代わり、魔が目覚めた際にそれと戦い人類を護る使命をゆだねた。我はそれを受け、海都の一部を海に沈め、今もって魔との戦いを繰り広げているのだ。」
 『アルゴー』も『ファクト』も、深王の言葉自体は理解できるのだが、内容に付いて行けずにいる。それを見て、深王は寛大さを見せるかのように頷いた。
「少し性急に話しすぎたか?我が話、理解できぬのも困る。卿らが疑問に思うことがあらば、遠慮なく我に問いかけるが良い。」
「・・・では、」
 ミラが軽く手を上げて、
「木が話す、というのは、自然や農業に夢を見ている都会人の幻想だと思うのですがいかがでしょうか?」
 不躾にもほどがあるだろう、というミラの一言だが、シェリアクもエラキスも窘められるほど余裕はなかった。深王は真面目そのもので、
「信じられぬ話であろうが、我は世界樹と会話ができるのだ。」
「・・・王様が嘘をついているようには見えませんわね。」
「無論だ。我ら海都の王家の者だけが古くから世界樹と対話が出来た。海都の高い技術力をもたらしたのは、その世界樹から得た知識なのだ。」
「・・・嘘をついていないからこそ、信じてはいけないこともありますわよね。」
 例えば幻聴とか。そう、ミラが口走るだろう、と容易に予測できたらしいエラキスがミラの腕を素早く引っ張って止めようとしたのだが、
「そうですねえ。例えば、幻聴をお聞きになっているとか。」
 とツィーが口走った。シェリアクが頭を押さえ、クー・シーは「さすがわしの孫、歯に衣着せないよね!」と小さく喝采を送っている。
 深王は気分を害した様子もなく、
「まあ、信じずとも構わぬ。これは我と世界樹だけが分かっていればいい話だ。」
 と、流してしまった。その後ろに控えているオランピアの様子を見るに、どうも幻聴でもなさそうだとマルカブは思うのだが、世界樹と会話が出来るのが深王だけというならば何も証明は出来ない。出来る・出来ないの話をしても仕方がない。
「んー、じゃあ、オランピアもその世界樹から得た知識で作り出されたってこと?」
 ディスケは深王の話を(表向きは)信じた上で話を進めることにしたらしい。深王は頷き、オランピアに視線を送り、
「彼女は、世界樹の禁断の叡智を受け、生み出した人外の存在だ。」
 そして、誇らしさも感じさせる口調で、
「我が忠実な僕にて友。フカビトと戦う我を支えてくれる力強い存在だ。」
 そう言われたときのオランピアの瞳に、微かに熱がこもり深王を見つめ返した・・・ように見えた。カリーナは数度瞬きをし、エラキスがふうん、と小さな相づちをうち、・・・クー・シーが一度唇を曲げた。深王は改めて一行に向き直った。
「彼女のことは、人として扱ってやってくれたまえ。」
 慇懃だが丁寧な口調だった。あれも一種のおとーさんなのかね、とディスケがマルカブに耳打ちする。俺だったら娘代わりに冒険者を罠にはめる仕事はさせないけどな、とマルカブはつまらなそうに小声で返した。
「あの、深王様。もう一つ質問をお許しください。先ほど仰っていた、海都の最後の王とはどういう意味でしょうか?」
 カリーナがおずおずと、しかし無礼すぎる一連の流れの中では礼儀正しく質問をした。カリーナの所作が気に入ったらしい深王は、満足そうに頷いて、
「言葉通りの意味だ。我は海都にうまれた唯一の男子であり、王家の血を受け継ぐ最後の一人だ。」
「・・・ですが、海都には姫君が・・・」
「我が海都から去った後に、王となったものの末裔であろう。我に代わり、海都を治めているならば感謝をせねばな。」
 深王がそう言い浮かべた微笑は、己の代わりとして働いた者への賞賛だった。感謝というよりも、誉めるような思いでいるのだろう。それを見て、カリーナは判断した。事実はどうかは別にして、この人は『海都の最後の王』として生きている。
 しかし、オランピアがそっと目を伏せたことに、カリーナは気が付かなかった。気が付いたのはクー・シーだった。オランピアには因縁はあっても深王には興味がないクー・シーは、その意味を問いつめるつもりはなかった。
「何も起こらねば、我も普通に結婚し、普通に暮らしてたのであろうが・・・。」
 そして、我の子孫が今の王であったのだろうが、と王は呟く。そして、表情を厳しいものに変えた。
「・・・百年前の大異変。あれが我の運命を変えたのだ。」
「・・・“アレ”で国が変わったって、アモロっ子は聞かされて育つよなあ?」
 と、ディスケはミモザに視線を送る。ディスケと同じくアーモロードで生まれ育っているミモザは、遠慮がちに頷いた。
「大きな地震があって・・・街の一部が消えたって・・・」
「そう。大地震があった。」
 深王は、海都育ちの二人を眺めて頷いた。視線が柔らかくなったのは、二人が己の治めていた民の子孫だと思えばこそだろう。
「世界樹の語るところ、あの大地震の影響か、地中深くで眠る【魔】が目覚め、活発に活動を始めたらしい。同時に【魔】の眷属たるフカビトが海都近辺に出没し、人を襲う事件も多発し始めていた・・・。」
 深王は息を吐き、それから口調を強めた。篭手をはめているのだろうか、竜の爪のような指の手で拳を作りながら、
「世界樹は告げた。【魔】の目覚めを防ぎ、人類を護る方法は、世界樹とともに深海に沈み、押さえ込むのだと。我はその言葉に従い、海都の一部と志を共にする兵士たちと一緒に、海に沈み【魔】と戦い続ける道を選んだのだ。」
 少し熱くなったのか、深王は早口だ。だが、己が熱くなっていることに気が付いたのだろう、深王は敢えて厳かな口調を装った。
「海都にいた多くの民衆を救う為。それが王たる者の役目だからな。」
 ずいぶん大きな話になっちまったな、とマルカブは思いつつ、カリーナの表情を盗み見た。王の役目とやらを聞いたが、カリーナの表情が大きく変わることはなかった。それにマルカブは安堵した。とはいえ、カリーナが顔に出さなかっただけで胸中に何を抱いたかまで、マルカブには判別できない。
「・・・あの、王様。【魔】ってなんですか?」
 アヴィーが恐る恐る尋ねた。怪談の類だと思っているのかもしれない。
「卿らに会わせたフカビトたちの、王。いや、神というべきか。・・・あくまであのモノたちにとってのだがな。」
 人類からすれば悪魔にも等しい、と深王は吐き捨てるかのように続ける。
「フカビトの信仰を受け、海底の奥、地中に眠り続けているのだ。そして、その悪魔が目覚め暴れぬよう、抑え封じているのが世界樹。この深都の中心に立つ大樹だ。」
「大異変があったのが100年前・・・だよね?」
 アヴィーはディスケに確認する。ディスケは頷いた。頷きを見て、アヴィーは深王に問いかけた。
「王様は、100年もフカビトや【魔】と戦っているんですか?」
「そうだ。百年の歳月に耐えられるよう体を作り替えながら。」
 篭手かと思った手は、本当に手なのかもしれない。オランピアの体に使われている技術を、深王は自分自身にも施したのかもしれない。しかし、そこまでしても、
「・・・100年戦っても、決着はついていない・・・。」
「そうだ。」
「・・・あの、僕、不思議だったんです。どうして、深都の人は海都に戻ったりしなかったんですか?なんでケトスは深都の入り口を守ってたんですか?オランピアはどうして・・・、古代魚の巣に僕らを向かわせたの?海都や冒険者の力を借りれば、もしかしたら、」
 アヴィーの疑問を遮るように、深王は手をかざした。
「深都のみで【魔】に相対する本当の訳・・・、卿らには教えておこう。」
 重要なことだというように、深王は一行を見回した。全員の意識がこちらに向いていることを確認し、語り出す。
「・・・海底の底に位置する【魔】は人が認識し理解し、恐怖するといった『感情』、それを餌として成長するのだ。」
 カリーナはふと思い出した。自分の中の恐怖の記憶が引きずり出されたあの感触。その恐怖を眺める目。そしてフカビトの真祖の、甘露を含んだかのような満足そうな笑み。
「世界樹によると、海都の全市民が【魔】の存在を知ったとき、世界樹ですら【魔】を止められぬという・・・。故に、【魔】の存在を知るものは少なければ少ないほどいい。それが深都を隠した理由だ。」
 このミッションを受けたとき、シェリアクが『深王は、我々を諦めさせるために【断罪の間】に向かわせているのでは。』と言っていたことを、不意にマルカブは思い出した。もし【魔】を討つための協力者が恐怖を抱くならば、いっそ協力など諦めてくれた方がよい。フカビトと会い、恐怖を抱いて先に進むことを諦めるならば、それこそ最良の『協力』なのだ。
 ・・・しかし、このミッションは、一行は真の意味での『協力者』にふさわしい人材かもしれない、と深王に期待を抱かせる結果となったようだ。彼らが無事に【断罪の間】から戻ってきたこと、人外との遭遇に恐慌に陥らなかったこと。カリーナの恐怖をフカビトの真祖が覗き、それをカリーナが退けたであろうこと。いずれもオランピアは深王に報告していた。その最後の理由が、深王に歓喜にも似た期待を一行に抱かせる。
 深王は、笑った。満足げに、勝ち誇ったように。しかし、その笑みにカリーナの背中が粟立つ。違う、と彼女の中の何かが告げた。何が違うのかは、カリーナ自身も『まだ』分かっていなかった。
「…さて、この事実を知った卿らは、フカビトと我らの戦いに協力する義務ができたぞ。」
 絡めとるように、深王は告げた。そう来たか、とマルカブは心の中で舌打ちをし、アヴィーをちらりと見下ろした。責任を果たすために先に進む、と言った少年を見下ろした。アヴィーは、ぎゅっと唇を結んで深王を見つめている。
 マルカブは続けてシェリアクへ視線を投げた。シェリアクは厄介ごとに巻き込まれた、という表情を隠しもしなかった。だが、彼と『ファクト』の既に選択は決まっているようにも思われた。決まっていないのは俺だけか、とマルカブは嘆息した。
 緊張を高めた一行に、深王は、楽にするようにと手を振った。そして、オランピアに報酬を持ってくるように命じる。
「しかし、その前にまず我が命を受け、断罪の間に行った働きに答えよう。」
 すぐに用意された報酬が、それぞれのギルマスの前に差し出される。それを見つめながら聞く深王の声はずいぶんと遠くから響くように感じられた。
「受け取るが良い。働きに報いるが王の務めだ。」
 ・・・『王』の務め。
 カリーナは深王を見つめながら、彼の言葉を反芻した。彼女自身がどんなに否定しても、彼女もまた『王族』だ。王命を果たした人間に賞賛を与え、王命に反した者には罰を与える。民が王命に従うことは当然、という前提の上での応酬を彼女は本能的に知っている。今の深王の言葉に、反論する気はない。むしろ、問いただしたいのだ。この人の王の在り方を。目指すものを支えているはずの意志と願いを。貴方は『王』を何と考える、と。
 ・・・・・・この人は、『王』というより――
 カリーナは、ちらりとオランピアを盗み見た。
 ―― 『王』という機械みたいだ、とそんなことを思いながら。


(15章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

四章あたりから、
プリ子の話は「王様論」というものに辿り着くだろうなあ、と思って書いてきたんですが、
詰まる所、『書きましょう志水の聖〇問答』ってことになっちゃうなあ、どうすっかなあ、と
Fate/z〇roを読んで考えております。征服王の臣下になりてえ、と萌え転がっております。

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