まよらなブログ

16章1話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

早いもんで、もう16章です。
そろそろルート選択があるので、それに向けていろいろ詰め込みたいのですが
・・・・・・・・・いろいろ詰め込もうとしたのに、相変わらず呑気なことをやっている
うちのギルドの連中はどうにかならないのか、と書きながら思ってました。


では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


16章1話
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 海都からの侵入者を探してらいよいよ11階に挑もうと樹海に向かっていた『アルゴー』を、アミディスが見つけた。
「『アルゴー』!探索か?」
「あ、アミディスさんだ。こんにちは。」
「なんだー。お前、暇なの?」
 ぺこり、とお辞儀とともに挨拶をしてくれるアヴィーと、いきなりなご挨拶をしてくるディスケ。後者は無視して、こんにちは、とアミディスはアヴィーに挨拶を返した。
「アミディスさん、鎧を着てるよ。暇なわけないじゃない。失礼でしょ。」
 カリーナがディスケを叱る。悪い悪い、とディスケはカリーナに謝った。謝る相手が違うだろう、とアミディスが口を開きかけたとき、
「・・・深都の警備ってわけじゃなさそうだな?」
 マルカブが、アミディスが肩から下げた皮袋を見ながら聞く。アミディスは頷いた。
「深都近くまで魔物が出現している、という話は聞いていないか?その調査と、可能なら討伐、ということで、深都兵が交代で9階を探索している。どうも蟻の魔物のようなんだが・・・、深都兵は冒険者ほど迷宮探索に慣れてなくて、手がかりがつかめない。」
 そしてアミディスは申し訳なさそうに頬を掻いた。
「『ファクト』にも協力してもらっているよ。彼らはすごいな。・・・けれど、深都の安全を保つのは、深都兵の仕事だ。冒険者の手を煩わせているのは申し訳ないな。」
「あー、気にすんな気にすんな。『ファクト』はそういうの好きだから。」
 ディスケがぱたぱた手を振ると、「お前が言うことじゃないだろう。」とアミディスは呆れる。それから改まって、
「三階層に進入した海都の人間を止めるように深王様が『アルゴー』に依頼した、と聞いている。君たちの実力を信じての依頼なんだろうけど・・・海都と『アルゴー』が敵対するようなことにならなければいいんだが・・・」
「そんな風に深都の人間が言ってくれると安心するな。」
 マルカブが肩を竦めた。少々の皮肉が混ざっていることに、アヴィー以外の人間は気がついた。(素直すぎるアヴィーは皮肉に気がつかず「そうだよね!」と無邪気に同意した。)深王がまさにそうだが、深都は己の目的と手段を当然と考えている者が多く、それ故に協力を受けることも当然と考えている節がある。深王は、海都と『アルゴー』の関係など考えてもいない様子だった。
 アミディスは困った様子で眉を寄せた。
「・・・まあ、深都の人間では上手く行かないとは思う。よろしく頼むよ。」
「マルカブー、俺の親戚にイヤミ言うなよー。」
 アミディスの様子を見つつ、ディスケが笑うと、「え?アミディスさんに嫌味を言ったの?」とアヴィーがマルカブを非難がましい目で見上げた。分かってないのにそんな目で見るな、とマルカブはアヴィーの額を指で弾いた。アヴィーは額を押さえて、「なんでデコピンするんだよう!マルカブが悪いのに!」と文句を言った。
 アミディスはそれを苦笑混じりで眺めつつ、確かに他の深都の人間はこんな心配をしないだろう、とは思うのだ。では、何故、自分は海都と『アルゴー』の関係を心配したか、と言えば。
 もちろん、この目の前の冒険者たちが海都から来て、この海都にこの冒険者たちの友人や恋人がいるのを知ったからだった。

*****


 『アルゴー』は地下10階から11階へ向かう坂道を降りていく。地下に進むほど溶岩に近づくのか、道を下るごとに灼けるような熱が伝わってくる。
「・・・・・・こんな、暑い、中で、アミディスさん、鎧で探索して、暑くないのかな。」
 アヴィーが途切れ途切れにあまり重要ではない疑問を口にした。シェリアクさんもそうだよ、とカリーナは汗を拭いながら相づちを打つ。クー・シーがいつも通りの様子で、
「薄着ならいいってもんじゃないよー。現におじいちゃんは半裸だけど、直接熱を浴びて暑いっていうか熱いよー。」
「・・・おじいちゃんは元気そうだけど。」
「っていうか上着を着ればいいのに・・・」
 子どもたちに指摘され、足の裏が灼けそうなんだよ!とクー・シーは主張した。とりあえず靴を履け、とマルカブは思いながら、あまりの暑さに伸ばした髪を一つに括る。そして、
「・・・暑さに倒れちまうから、街にマメに戻りながら進もう。今回は、進入者を探すことが目的だ。迷宮を進むことが目的じゃない。」
「そうだなー。どこで会うか分かんねえもんなあ。・・・・・・、と、ちょっとタンマ。弩の弦がヘンだな・・・。熱にやられたかも・・・」
「直せるか?」
「・・・んー・・・弦自体に傷はないから・・・・・・、ああ、大丈夫そうだ。ちょっとネジの巻き数を変えてテンション変えて・・・・・・。」
 と、ぶつぶついいながら、ディスケは弩の弦の留め具であるペグを回す。弦を軽く引っ張って、その強さを確認する。アヴィーとカリーナが興味津々といった様子で、その作業を見つめている。
「張りの強度が変わるから、慣れるまで二・三回弩をはずすかもしれない。そしたら・・・、ごっめーん!」
「・・・外しても仕方がないと思ってたのに、そういう謝り方をされると、どうにも許せなくなりそうだな。」
「だから、ごっめーんって。」
 ディスケは笑い飛ばして、弩を担ぎ上げなおした。暑さでめんどくさくなっているマルカブはもう無視した。カリーナが坂道の先を見て、あ、と声を上げたので、一行は一斉に先を見た。
「もうすぐ11階だよ。」
 カリーナが坂の終着点を指す。クー・シーが「おじいちゃんが一番乗りー!」と駆けだした。クー爺が11階に突っんで魔物に襲われるなり罠にかかる分には別にいいか、だってクー爺だし、とマルカブは思って止めもしなかったが、
「あ!ずるい、おじいちゃん!僕も一番乗りしたい!!」
「アヴィー!新しい階に突っ込む真似すんな!」
 クー・シーを追って駆けだしたアヴィーのことは止めようとしたが、平気だよう!とアヴィーは坂道を駆け降りていく。何がだよ、とマルカブは頭を押さえ、ディスケが笑い、カリーナは剣をいつでも抜けるようにしながら急いで坂を降りていく。坂道の先で、クー・シーが「着いたー!」と声を上げるのが聞こえる。
「おじいちゃん、一番ノ・・・・・・」
 声は途中で絶句する。慌ててマルカブとディスケは、カリーナを後ろに下げて道を駆け降りた。地下11階に降りていこうとしたアヴィーの肩を掴んで自分たちの背中に押し込んでから、男二人が先に11階に駆けつける。
「クー爺、どうした!?」
「・・・・・・、あ、ああ。慌てさせてすまなかったね。」
 クー・シーは髭を撫で、気持ちを落ち着かせるようにしながら、
「いやね、その、・・・あれ、どう思うかね?」
 と、クー・シーは先を指す。階段を降りた先は妙に広い空間に感じたのだが。
「・・・・・・・・・、あー・・・」
ディスケは納得したような間の抜けたような声を出す。
「・・・こりゃあ、絶句するわ。」
 地下11階に降り立った先は、例えて言うなら船着場。但し、溶岩の河につきだした船着場。彼らが降り立った先には道はなかった。彼らのいる小さな岸の前には、赤く光りながら流れる溶岩の河がある。むしろ、それしかない。
「うわあ!すごい!」
 坂から11階にやってきたアヴィーが歓声を上げた。
「本当に溶岩ってドロドロ流れるんだね!」
 アヴィーは足取りも軽く溶岩が流れるぎりぎりの位置まで走っていって、その河をそうっと見下ろす。おーー!と一人で歓声を上げるアヴィーを見ながら、マルカブは頭を押さえた。
「・・・・・・ここで行き止まりか?道はねえぞ。」
「・・・うむう・・・。10階に別の階段があるのかもしれないね。」
 クー・シーが首を捻る。カリーナはマルカブの隣までやってきて、地下10階の地図を広げた。
「・・・でも、地図は隙間なく埋まってるよ。10階はもっと広くて、この外に隠し部屋があるのかな・・・」
「一度、戻って見て回るしかねえかな・・・。」
「そりゃ、骨が折れそうだなー。」
 そんな話を後方で4人がしていることもどこ吹く風で、アヴィーは持ち前の好奇心だけを発揮させていた。流れる溶岩をよく見ようと、その溶岩の河につきだした岩に乗る。と、その岩がいきなり、すーっと動きだした。
「・・・・・・・・・え?」
 アヴィーが疑問を感じた時には、岩は溶岩の河の上を滑るように前方へ動き出す。
「う・・・・・・・・・、うわあああん!!助けてええ!!」
 アヴィーが後方の仲間に手を伸ばし、仲間たちがアヴィーの声を聞いて慌てて彼に駆け寄ろうとしたときには、岩はすでに岸を離れていた。アヴィーを乗せた岩は、かなりのスピードで溶岩の河の向こうへと消えていく。アヴィーの悲鳴が洞窟にこだまする。
「アヴィー!!」
 アヴィーの悲鳴に重なるように、マルカブのアヴィーを呼ぶ声が辺りに響く。二つの声はしばらく反響して、そして消えた。
「ど、どうしよう・・・!」
 カリーナが泣き出しそうになりながら、岸辺ぎりぎりのところで立って、
「アヴィー!アヴィーーー!返事してええ!」
 アヴィーの消えた方向に叫ぶ。しばらく、その声が反響した後に、
「ーーーおーーーー・・・い・・・」
 と、遠くからアヴィーの声が反響して聞こえてきた。
「アヴィー!!無事かーーッ!?」
 マルカブが叫ぶと、「今から戻るよー」とアヴィーの声がやはり反響して聞こえてきた。少しの間の後、溶岩の川の向こうから、岩に乗ったアヴィーが手を振って戻ってくるのが見えた。
「アヴィー!」
 岩は、先ほどあった場所に着くと自然に止まる。アヴィーは岩から岸に降りて、
「びっくりしたあ・・・。」
 そう言って胸を押さえる。それはこっちの台詞だ!とマルカブは怒鳴りつけてやろうかと思ったが、
「・・・アヴィー!よかった!」
 カリーナが鼻をすすり上げながらアヴィーにしがみついたので、そんなタイミングは逃してしまった。心配させてごめんね、とアヴィーは応える。
「なんだね、あの岩は。魔法の岩かねえ?」
 クー・シーがのんびりした口調で聞くと、アヴィーは首を傾げながらも頷いて、
「あの岩ね、向こう岸に着いたら自然に止まったんだ。また乗ったら、こっちに戻ってこられた。なんでそんな岩があるのかは分からないけど、迷宮の仕掛けなんだと思うよ。」
「へえ、溶岩の上の渡し船かー。・・・・・・洒落になんねえな。」
 さすがにディスケもうんざりした様子で独りごちた。アヴィーは、揺れなかったし安全運転だったよ、と岩の乗り心地を口にして、それからマルカブを見上げた。
「向こう岸の先に道があったよ、マルカブ。きっと先に進む道だよ。」
 早く行こうよう、とアヴィーは言う。マルカブは深いため息をついてから、アヴィーの額を三本の指を使って思いっきり弾いた。
「あうッ!?」
 アヴィーは額を押さえ、それから、
「何でデコピンするんだよう!?しかも、さっきより強いよう!!」
 額を赤くさせて、そう抗議する。マルカブはそんなアヴィーに指を突きつけ、
「お前はああああ!!どうしてそう、チョロチョロするんだ!じっとしてろ警戒心ってものを持て!!」
「だって溶岩を見たかったから!」
「見たかったから、じゃねえよ!無事ですんだから良かったけどな、何かあったらどうす・・・・・・・・・、カリーナ!何で岩に乗ろうとしてるんだ!?」
「私が乗っても沈まないか試そうと思って・・・」
「何でだ!?」
「だって、何キロまで乗せられるか、確かめないと。いきなりマルカブやディスケが乗るより、徐々に乗る人の体重を上げていった方がいいと思うの。・・・・・・・・・、あ!べ、別にアヴィーより私の方が重いとかそういうわけじゃ・・・」
「あ、僕の体重、教えた方がいい?4・・・・・」
「言わなくていいッ!私より軽かったらイヤだもの!」
 カリーナはきっ!とアヴィーを睨みつけた。アヴィーは、そんなことないと思うけどな、と呟いたが、アヴィーの方が背も低いし二次性徴も始まってないので実際のところはどうかな、とクー・シーは思ったが、もちろん口にはしなかった。じゃあさー、とディスケが提案する。
「俺が弩と一緒に乗って沈まなければ、全員乗れるよな?」
「ディスケ・・・何でガキの話に付き合ってんだ・・・」
「あー、おとーさんはアヴィーにお説教を続けてていいぞー。その間に、俺たちであの岩の最大積載量を確認しておくから。」
「え!それ楽しそう!僕もやりたい!!」
 アヴィーがぱっと顔を輝かせると、再度デコピンが飛んできた。
「お前はまずは反省しろ!!そして、カリーナ!ディスケ!何で、その岩に乗ること前提で話進めてんだ!クー爺!余計なものを岩に乗せようとするな!どこから持ってきた、その石!」
 マルカブが全員に小言を飛ばすと、カリーナとディスケは顔を見合わせて、
「だって、向こう岸に道があったんでしょう?」
「じゃあ、行くしかないよなあ?」
 と言った。マルカブは、ぐう、と喉の奥で声を漏らし、分かったよ!と喚いた。
「おとーさん、イライラするもんじゃないよ。」
 と、言いながらクー・シーが岩の上に大きめの石を積む。石の高さはクー・シーの腰の高さになっていた。クー・シーは何をしてるの?とカリーナが尋ねると、
「折角だから、どこまでがこの岩の限界か確かめようと思いまして。さー、出来た!じゃあ、ディスケ!乗ってみようか!?」
「あっはっはっは!爺さん、この前から俺の寿命を縮める気マンマンじゃねえ?」
 遊びと悪ふざけの域になってきた仲間たちを見て、マルカブはアヴィーへの小言は放り出して、クー・シーが積んだ石を溶岩の河にぶちまけた。


(16章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

お・・・おかしいな!11階に降りたらすぐに、
クジュラさんの「おれを信じろ」のシーンに入るはずだったのに・・・!
なんで溶岩を渡るシーンでこんな文字数食ってんだ・・・!?

9階の蟻のアレも含めつつ展開しようと思ってます。
蝶亭のママさんとポモナと蟻とクジュラさんと姫と深王様書かなきゃいけないのに
だからなんで溶岩を渡るだけでこんなに字数を喰ってんだ・・・・・・・・・!!!


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