まよらなブログ

16章3話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

先週、お休みして申し訳ありません。
忙しかったのもそうなのですが、「レイトン教授と奇跡の仮面」が面白くて・・・!!
つい・・・!!つい、ポメラじゃなくて3DSを起動させてしまい、つい・・・・・・!!
今週、二話掲載します。


では興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


16章3話
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「・・・まあ、海都の言い分も分からなくないんだけどな。」
 海都の酒場【羽ばたく蝶亭】のテーブル席でマルカブは頬杖をついてぼやいた。
「深都の言い分も分からなくないけどね。」
 クー・シーが、酒の肴にしているイカのワタ焼きをもぐもぐ食べながら相づちを打つ。
「どっちにせよ、【魔】と世界樹の存在の信憑性が増したってことだろーなー。二つの場所で同じような話を聞いたってことはさ。」
 ディスケが野菜の素揚げをかじりながらビールのジョッキを空けて、
「おーい!カリーナ、おかわりー!」
 と、蝶亭のホールで注文をとって回っているカリーナに告げる。カリーナは「はーい!」と返事をして、蝶亭の主人に注文を伝えた。
 元老院で話を聞いた後、一行は今後のことを考えるために・・・というよりも旨いもんでも食べて気を取り直そう、と久々に蝶亭に寄ったのだ。常連の久々の来訪に女主人は喜び、「元気にしてたカ!ガキンチョども!またバイトしないカ!?」と半ば強引にアヴィーとカリーナをカウンター内に連れ込んだ。気のいい女主人に熱烈歓迎され、知り合いの常連には特別にチップももらって、二人はせっせっと働いている。
「・・・本当に働き者だな、うちのガキども。」
 マルカブはよく働く子どもたちを見ながら、感心しきって呟いた。
「おとーさんが無精だから、しっかりするんじゃないかね。」
「あー、そうかもなー。おじーさんとおにーさんも無精だしなー」
「わしら、ダメ大人だね!」
「全然ダメだなー!」
「・・・俺もそこに一緒にするな。・・・ところで、」
 マルカブは呻きながらも、子ども等が他の客の注文をとったり料理を作っているうちに、とダメな大人たちに話題を向ける。
「姫さんが言った、100年前の王っていうのは深王のことだろう?」
「そうだろうねえ。」
「で、元老院の婆さんが言うには、その深王の行動を海都は水臭く感じている。人類の危険となる敵がいるなら、みんなで戦えばいい。そう考えて、海底への道を探している。フカビトや【魔】を倒せば、深都が沈む必要はなかった、と。」
「それも一理あるな、と思うわけよ、俺はさ。そうすりゃ、俺の曾々爺さんだって家族をおいていく必要はなかったわけだし。」
 ディスケはゴボウの素揚げをたばこのようにくわえ、その先を揺らしつつ、
「みんなで、の中に深都が入ってるのかは分かんないけど、そうなら歩み寄ってないよなあ、海都は。それこそカリーナの言ったとおりだよ。ちゃんと正規のルートで共闘を申し込めばいいのにそうじゃない。そりゃ、信用もされないよな。」
「共闘を申し込んで、あの王様が協力しようと答えるとは思わないけどな。」
「あー、わしもそう思うー。深王様はこう・・・背負い込んでるよね。背負い込んでる自分に酔っぱらってるよね。」
 酔うなら美酒で酔うべきだね、とクー・シーは冷酒を煽った。一息ついてから、
「で、きれいな女性には溺れるべきだね。」
「おー、言うねえ、爺さんもー」
「ふふん。わしだって若い頃はそこそこブイブイ言わせていたもんだよ!」
 そこそこって微妙だな、とマルカブは思いながら、
「なあ。・・・でも、それって俺らがあの深王を知ってるから予測出来るんだよな?」
「「ん?」」
「あの100以上生きてるらしい婆さんは、深王を知ってるのかもしれない。だから、深王が協力を拒む可能性を知っているのかもしれないが・・・、姫さんは深王を知らないはずだ。なのに、何だろうな・・・」
 マルカブは自分の掌を見つめた。あの時、カリーナが縋るように腕を掴んだから、思わずあの子の手に重ねた掌。それを見つめた姫の視線。懐かしいものを見るように暖かく、自分には与えられないものを見るように憎々しげに、二度と取り返せないと諦めているようで、もう一度と期待もしている視線で見つめられた手。
「・・・あの姫さんは、100年前のことを自分のことのように話していて・・・痛々しい。」
 クー・シーとディスケは顔を見合わせ、半ば呆れた口調で、
「・・・おとーさん、ここのお姫様にまでその壮大な父性を発揮することはないと思うよ?」
「そうそう。おとーさんがおとーさんなのはうちの子たちだけで十分だぞー?」
「・・・別に同情じゃない。」
 マルカブはじろり、と仲間を見て、
「たぶん、姫さんの話は嘘はない。そうじゃなければ、あんなに悲しく話せない。でも、何であんなに悲しく話せるのか、そこを姫さんも婆さんも話してない。」
 だから信用は出来ない、とマルカブは溜息をつく。クー・シーは、うーん、と腕を組み、
「わしは深都も信用できないね。・・・まあ、オランピアと因縁があるから、そう思ってしまうのかもしれないけどね。」
「俺も深都を信用してるわけでもないんだけどな。」
「ただねえ、マルカブ。怒られるのを覚悟で言うけど、」
 クー・シーは片方の眉をあげて、うかがうように・・・むしろ試すかのように、
「わしはさ、剣と茨の紋の国の王に命じられてここにいるわけだからね、最終的にはかの国に利益があるように動くわけだ。アーモロードと交易を結べたら、かの国に利益があると思うんだよね。ここは交易の中継もしているから、アーモロードと繋がるってことはその先の都市とも繋がるってことだし。」
 クー・シーはそこまで告げて、一瞬口を噤んだ。心の準備をするかのように、一口、酒を舐めるようにして続ける。
「でも、深都は非公式すぎて異国と交易なんか結ばないだろうから、国交を結ぶなら海都だ。だったら海都に恩を売っておきたいし、恩を売るのが姫様であるなら交易の強力なアドバンテージにはなるんだよね。」
 クー・シーは、そして苦笑した。
「おとーさんとしては、かわいいかわいい娘を利用されるようなことは気に入らないだろうけど。」
「・・・お前だって、そう言う自分が気に入らないんだろうが。」
 クー・シーの苦笑が自嘲にも見えたマルカブは、面白くなさそうに唇を尖らせて呟いた。拗ねたときのアヴィーに似てきたな、とディスケはその様子を見ながら思うのだ。
「・・・大体、俺が気を悪くする以前に、」
 マルカブはジョッキの持ち手を掴んで、
「・・・カリーナだって、それくらいのことは考えてるだろうよ。」
 そう呟いてから、ビールを煽った。彼の不満はカリーナの運命そのものに対してらしい、とディスケは理解した。王族として生きていかざるえない、カリーナの運命そのものだ。だが、本人を差し置いて憤るコトも出来ず、唇を尖らせて拗ねることが精一杯らしい。クー・シーは、そうだね、と囁いた。そして、カリーナを国に戻す仕事を任されているクー・シーは、マルカブの怒りを心地よく思いながらも、その怒りには応えられないのだ。後々めんどくさいことになるんだろうなあ、とディスケはどこか他人事のようにそれを眺めた。
「・・・私がどうかした?」
 声がした。視線を向けると、ビールの注がれたジョッキを持ったカリーナが不思議そうにマルカブを見つめている。
「おー、カリーナ、ありがとうなー。」
 ディスケは彼女からジョッキを受け取り、
「カリーナは可愛いなあって話をしてたんだよ。」
「嘘つき。」
「嘘ではないんだけどな。」
 なあ?とディスケはマルカブに振り、マルカブは肩を竦めて「おまけに働き者だっていう話もな。」と答え、3割ほど残っていたジョッキの中身を煽ってから、
「働き者ついでに、カリーナ。悪いけど、俺にもビールおかわり頼むよ。」
 空になったジョッキを振って注文する。カリーナは腰に手を当てて、
「みんな、昼間から飲み過ぎだよ。それで最後にしてよね。」
「バイトの子が売り上げを止めるようなことを言ったらだめだぞー。爺さん、何か飲む?」
「あまり強くないのをダラダラいこうかね。じゃあ、おじいちゃんはアンラ酒のロックでー!」
「人の話、聞いてるの?」
 カリーナが呆れると、丁度蝶亭の扉が開いた。いらっしゃいませ、とカリーナは声をだしかけ、言い淀む。屈むようにして中に入ってきたのは、見知った巨漢。シェリアクだった。
「シェリアクさん、こんにちは。」
「・・・ああ、君たちも来ていたのか。・・・カリーナは店の手伝いを?」
「はい。私とアヴィーは『ばいと』してるんです。シェリアクさんはお一人ですか?」
「ああ。依頼された仕事の報告に。」
 シェリアクは手にもった袋を軽く掲げた。袋の中には丸いものがいくつか入っているようだ。「女将はいるか?」と聞かれて、カリーナは頷いた。
「はい、呼んできますね。」
「ああ、それと。」
「はい?」
 シェリアクはちらっと『アルゴー』の大人たちのテーブルを見てから、
「私にもビールを。」
「・・・シェリアクさん、飲まれるんですか?」
「シェリアクは大ザルだぞー。」
 ディスケが苦笑し、テーブルに余っている席をシェリアクに勧めた。カリーナはくりっと首を傾げて、
「『おおざる』って?」
「大酒飲みだってこと!いやー、この前、蝶亭で一緒になったけど、ホント半端ないもんなあ。いきなり火酒とかいけば?」
「昼間から飲まんよ。」
 といいながらビールを注文してるのだから、本当に飲む人なのだろう。意外だなあ、と思いながら、カリーナは注文とシェリアクが来たことを女主人に告げる。女主人は手早くビールを用意して、ジョッキををカリーナに持たせてテーブルに向かった。「いらっしゃいマシー。」とシェリアクに声をかけてから、
「マボロシの木の実は採れたカ?」
「ああ。ここに。」
 シェリアクから袋を渡され、女主人は「オァー!」と驚きの声を出した。
「ズイブンいっぱい持ってきたナー!」
「いくつかは女将さんにお土産だ。」
 もらっちゃっテいいのかナー?と笑う女主人を見て、ディスケが呆れたように、
「うわ、シェリアクもママさんの胸にやられてる系?」
「なんて悪い男だね!あんなキレイでグラマラスな恋人とカワイイお嬢さんたちがすぐ近くにいて!マルカブ!おとーさん仲間として、びしっと言っておやりよ!」
「・・・・・・・・・、まあ、気持ちは分からなくもない。」
 微妙な振りを受けて答えたマルカブの前に、ドンっ!!とカリーナはジョッキを置いた。頬を膨らませたままでシェリアクの前にも乱暴にジョッキを置く。怒るなよ、とマルカブが言うが、当然火に油を注ぐ行為だった。一方、女主人は全くそれを気にする様子なく、袋の中から実を一つ取り出した。
「へー。コレがポムッ・・・ポモモ!・・・ポメッ・・・エエイ!モウッ!!」」
 女主人は何度も言葉に詰まって癇癪を起こした。シェリアクが助け船を出した。
「ポモナの実。」
「ポ・・・ポフッ・・・、・・・とにかく!ソノ木の実デスカ。ナンだか匂いもしないシ硬いシ、ホントにおいしいのカナ?」
 くんくん、と実の匂いを嗅ぎながら女主人は首を傾げ、カリーナにも差し出した。カリーナも匂いを嗅ぎながら、どうやって割るのかな、と一緒になって首を傾げる。姉妹の様な雰囲気で微笑ましい、と周囲は和む。
「・・・とにかくコレは、確かにエスピョルに届けておくカラナ!カリーナ、奥から報酬をとってきてくださイ!マドラを三つデス!」
 はーい、とカリーナは答えてカウンターの奥へと消えていく。それを女主人はにこにこ見送ってから、マルカブに笑顔を向けた。
「オタクのお子サンたちは、スナオな働き者で助かルヨ!」
「ママさんに迷惑かけてなきゃいいんだけど。」
「そんなコト、ありまセン!スナオでカワイイ子たちで売り上げモ伸びルし、助かるネ!アヴィーがメイド服着れバ、モットお客が来ルと思うけどナ!」
「・・・・・・それは許してやってよ、ママさん・・・ホントにそれで客が増えたら、アイツ立ち直れないだろうから・・・」
「・・・・・・可愛すぎて悪い大人に攫われちゃうかもしれないから・・・」
 マルカブとディスケが懇願すると、ソウカナー?と腕を組む。腕を組んだ結果、必要以上に目立つ胸の谷間がますます強調されるので、目をやっていいものか、しかし見ないのは勿体無い、と大人たちは思うのだ。女主人は首を傾げて、
「どこ見てる?これカ?このネックレスをアナタ方は気にするカ?」
 と、可愛らしい花のネックレスを摘むようにして見せた。そして懐かしそうに微笑みながら、
「コレはアタシのパパが買ってくれたのダ。優しいパパでしたヨ。」
 過去形であることに、悪いことを話させてしまったな、と一行が思っていると、シンミリするナ!と女主人は笑い飛ばし、
「アナタ方もパパになったら娘にネックレスを買ってヤレ!きっと喜ぶヨ!」
 と、言ってから、報酬のマドラを持ってやってきたカリーナの胸に鮫の歯のペンダントがかかっているのに気がついて、ばんばん!とマルカブの背中を叩いた。
「ソウダ!もうアゲてたナ!さすガ、おとーサンでス!!」
「・・・・・・ママさん・・・・・・、本当に俺のこと、ガキどもの父親だと誤解してない?」
 可愛らしい女主人に下心がないとは言い切れないマルカブは呻くのだ。


(16章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

トーマにおごる酒の数々が気になって気になってしょうがないです。

ママさんのネックレスの話は11階に到達したら絶対に使ってやると決めていました。
11階に入ったので、会話発生です。
ついでに11階に入ったので、「血雨降りしきる揺監地」クエストも発生するわけで、
その前に「我侭美食家の飽くなき食欲」達成させておきます。

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