まよらなブログ

16章4話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

先週、お休みした分も含めて、今週は二話更新します。
この下に16章3話を更新されてます。

さて、
新作・世界樹の迷宮Ⅳが7月に発売決定だそうです。
まあ、どうしましょう、3の話、終わる気配が無いというのに。
・・・というのが第一の感想でしたが楽しみです。気球にのってどこまでもいけるのだろうか。

4の記事が載ってるファミ通を見せてもらったのですが、
フォートレスの子が、この3の話の25年後の話として考えてた設定に使えるデザインでして
「これは、その25年後の設定で4をやりなさい、というひむかいさんの思し召しに違いない」
と思い込むこととして、フォト子(仮名)!君に決めた!!



では、5が発売するころまで終わらないかもしれない世界樹3の妄想話、
興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




16章4話
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「・・・君たちの探索は順調なのか?」
 カウンター席に座っているシェリアクが不意に聞いてきた。同じくカウンター席で、調理場のアヴィーが試作した揚げ肉団子の味見をしていたマルカブは「まあ、そこそこな。」と返事をした。
「ただ、厄介なんだよな。海都と深都のゴタゴタに巻き込まれるかもしれない。気をつけないと。」
「それは、冒険者にとって一番面倒なことだな。・・・冒険者なぞロクでもないが、しがらみがないことだけは、・・・楽だ。」
 後半は独り言のようだった。妙な重さを感じて、マルカブはシェリアクを盗み見た。シェリアクは、ちょっと前まで座っていたテーブル席を眺めている。そこではクー・シーとディスケと常連客数名で宴会が行われている。二人のギルマスは、どういうわけだかテーブル席から追い出されて、カウンター席でちびちび飲んでいるわけだ。
 しがらみ云々で何かあったんだろうな、と思ったのだが、ここで聞くことでもないだろう、とマルカブは聞き流すことにした。
 カウンターの中のアヴィーが、揚げ肉団子の皿を、シェリアクさんもどうぞ、と差し出してきた。そしてマルカブに感想を聞く。
「ん。うまいぞ。一緒に野菜練りこんで揚げてもうまそうだな。」
「うん、残り野菜を刻んでいれれば材料費もかからないしね。あ、ママさんにも食べてもらおう!」
 アヴィーは皿を持って、宴会テーブルに酒を運んでいる女主人に声をかけた。シェリアクは揚げ肉団子を食べながら感心しきって、
「・・・アヴィーはしっかり生きていけそうだ。」
「俺もぜんぜん心配してない。うちのガキどもはどこに出しても恥ずかしくない。」
 マルカブはぱたぱた手を振って応える。軽く酔っているようだ。シェリアクが苦笑すると、マルカブは顔を上げて、
「お前等はどうなんだよ?魔物の調査。深都近くまで出没してる魔物がいるんだろ?蟻の魔物じゃないかって話はアミディスから聞いたけど。」
「ああ。その調査中にあのポモナの実を見つけてな。依頼が出ていたので採ってきたんだが・・・そこで蟻の魔物に遭遇した。大量発生し、深都付近まで餌を求めてやってくるのかもしれないな。今度、実のあった付近を調査をし、巣を探すことになっている。」
「ふうん。大変そうだな。」
「お互い様だ。」
 シェリアクは笑い混じりに答えてから、ふと押し黙った。あからさまに様子が変わった。
「・・・何かあったのか?」
「・・・いや、探索や調査とは関係のないことだが、」
「じゃ、エラキスのことだ。」
「・・・その中途半端な勘の鋭さはどうかと思うぞ。特にカリーナが可哀想だ。」
「・・・・・・ディスケやクー爺やマリアさんも同じことを言うんだが、何でだろうな。」
 アヴィーも同じことを言っていたのを思い出して、シェリアクはため息をついた。どうしてマルカブとアヴィーは似なくていいところまで似るんだろうか、と思いつつ、質問は無視して、逆に質問をする。
「『ワグテイル』という単語に覚えはないか?」
 代わりにした質問に、マルカブは露骨に反応を見せた。覚えがあるどころじゃないな、とシェリアクはもう一度ため息をついた。そして、じろり、とマルカブを見下ろした。聞かせろ、と無言で訴えている。
 マルカブは頭を掻いた。
「・・・異国の言葉で『セキレイ』のことだ。」
「それは答えではない。誤魔化すな。」
「・・・・・・、俺が昔、使ってた船の名前。」
 ボソっとマルカブは呟いた。シェリアクは眉を寄せた。
「その船をエラキスも知っているのか?」
「『ガーネット』は乗ってた。」
 わざわざマルカブは言い直して、ああもうイヤになるな、と頭を掻いた。
「・・・『彼女』、何か思い出したのか?」
「思い出したわけじゃない。寝言だ。あまりはっきりしない夢を見たらしい。」
「どうせ寝言なら、いっそ俺の名前を呼べばいいのに。」
 マルカブはカウンターに突っ伏した。そして呪詛のように「・・・そして、それを聞いてお前は悶絶すればいい。」と唸った。
「・・・・・・・・・想像するだけで腹立たしいな・・・」
 一方のシェリアクは低い声を更に低くして唸り、とりあえず女主人に酒のおかわりを注文した。マルカブは顔は突っ伏したままで、空のグラスを振りながら「俺もー」とおかわりを注文した。数秒の沈黙の後に、突っ伏したままのマルカブが声をかけた。
「・・・・・・、なあ、」
「ああ。」
「『彼女』が思い出したら、お前は『彼女』を諦めるの?」
「そんな訳なかろう。」
「・・・だよなあ。」
「・・・君はどうなんだ。」
「『ガーネット』を今度こそちゃんと口説きたい。なんつーか・・・、勢いみたいなところもあったからな。」
「・・・む。それは・・・なんというか、記憶が戻ったら、困る。」
「何だそれ。自信がないのか?」
「・・・・・・そんな訳なかろう。」
 突っ伏したままのマルカブが、吹き出したのが聞こえた。マルカブは顔を上げ顎をカウンターに乗せて、彼女が魔性の女なのか、と呟いた。
「・・・それとも、たかが船の名前一つで振り回される俺らが阿呆なのか?」
「・・・まあ、確かに。だが、それが、」
「・・・あ?」
「男女の醍醐味でもあるだろうに。」
 しれっと言ったシェリアクを目だけで見上げてから、
「・・・実は遊び慣れてるだろ、お前。」
 マルカブは非難がましく呻いた。


*****

 翌日、『アルゴー』は深都に向かい深王に元老院での話を伝えた。海都側はフカビトと【魔】を討つ意志があることを聞いた深王は、予想通り一笑して「無理だ。」と答えた。
 【魔】は感情を餌とするため【魔】を知るものは少ないほど良く、【魔】と戦うものは【魔】を恐怖せぬ強い勇気と力が必要になる、というのが深王の理由だ。それを一方的に説明され、理解したなら連中を止めろ、と半ば追い出されるようにして天極殿から出された。

*****

「・・・というわけで、聞く耳もたせらねーの、お前んとこの王様に。」
「・・・・・・いや、その、申し訳ない。けれど深王様は間違ってはいない。」
 天極殿から追い出され、アヴィーが「ちゃんと話を聞いてくださいよう!」と乱暴に扉を叩いていたところを調査報告帰りのアミディスが見つけ、一行を家に招いた。事情をディスケから聞き、アヴィーが「人の話は最後まで聞かなきゃいけないのに!」とぷんぷん怒っているのを見て、アミディスは謝ったものの、やはり深都兵なので考えは深王寄りらしい。
「まあ、海都も深都もどっちもどっちだ。」
 マルカブがソファにだるそうに寄りかかりながら、頬を膨らましているアヴィーをじろりと見下ろして、
「・・・あと、追い出す方も、追い出されて扉を乱暴に叩く方も、どっちもどっちだ。」
「僕、悪くないよう!」
「通りかかったアミディスを焦らせるほど大きな音を立てておいて、どの口が言うんだ、この口か。」
 マルカブはアヴィーの口の端をぐーーーい!と引っ張った。ひゃめてよう!とアヴィーは手を振り払い、今度はマルカブに対してぷんぷん怒りだした。
 アミディスは苦笑を浮かべながら、ポカポカ叩いてくるアヴィーの拳を掌で受けているマルカブに、
「それでどうするんだ?海都を止めにいくのか?それとも海都とともに【魔】を討つのか?」
「あとは、正直めんどくさいので冒険者やめて魚でも取って暮らすかっていう選択肢もあるな。」
 ええ!?とアヴィーが拳を止めて声を上げる。
「冗談でしょう!?」
「冗談だよ。取ってきた魚をお前が調理して店をやれば、と思うと悪くない冗談だけどな。」
 おとーさん、半分ぐらい本気だね。とクー・シーが言うと、6割ぐらいはな、とマルカブは答えた。カリーナが不安そうに「そしたら私はどうすればいい?」と聞くので、冗談に本気になるなよ、と思いながらマルカブは彼女の頭を撫でてやった。
「そしたら店員になればいいだろ。にこにこしながら接客してれば看板娘だ。」
「あー、いいなー、それー。おにーさん、毎日通っちゃうー。」
 なんで他人事なんだお前もなんかやれよ、とか、ちょっと楽しそうだね、とか、おじいちゃんはご隠居さんね、とか、そんなやり取りをアミディスはぼんやりを聞きながら、
「・・・ああ。そうか。」
 と彼は呟いた。5人の視線が自分に集まったのに気が付いて、アミディスはこめかみを軽く掻いた。
「・・・その・・・君たちと、深都の人間は違うなと思っていた。それは100年の断絶のせいだと思っていた。でも、君たちと他の冒険者でも少し違う。私たちに無いものを、君たちは知っている。」
 そして、アミディスは溜息をついた。肩を落とす。
「・・・多分、それは。平穏な、日常だ。」
「で、でも、アミディスさん、家にいるときは平穏な日常ってあるんじゃないですか?」
 アヴィーがあわてて尋ねると、アミディスは少し考えてから言葉を紡いだ。
「深都は安全だ。けれど、常に【魔】やフカビトと戦うために機能している。戦いがあるからこそ、深都の中は平穏に保たれているんだよ。他のことに余力を避けないから。」
 アヴィーは、分からない、という表情を見せたが、カリーナは逆に、分かった、という顔を見せた。国民をまとめるために敵を作る、という方法をカリーナは知っている。
「私は、冗談でも『もしも』の話は出来ない。深都兵をやめたら、という想像が出来ない。他を知らない。兵士であることが全てで、人間でもない・・・のかもしれない。それが正しいことなのかどうかも、よく分からない。」
「で、でも、恒星邸の人は兵士じゃ・・・」
 アヴィーの言葉を、彼の前に腕を出すことでマルカブは遮った。そういう話じゃないし、恒星邸で働いている人々は後方支援をしているのだから、【魔】と戦う兵士であることは変わらない。
 アミディスは情けなく笑って、顔をあげた。
「けれど、君たちのやり取りは微笑ましいなって思うんだよ。だから、きっとどこかで知ってはいるんだろう。平穏な日常というものや、それの暖かさとか、そういうものを。」
「あー、じゃあさー、簡単な話じゃねえの。」
 ディスケがソファの背もたれにどっかりと背中を預けて、
「深都にせよ海都にせよ、【魔】ってやつを退治すりゃいい。お前は深都兵だから、深都側の作戦で【魔】を倒せばいい。俺らは海都でも深都でもどっちでもいいから協力して、【魔】ってやつを倒せるように頑張ってみる。きっと『ファクト』も協力してくれるだろうし、海都も言ったからにはやるだろうさ。とにかく、誰かが【魔】を倒せば、それで大団円さ。そしたら、その時に噛み締めればいいんだよ。」
 ディスケはそこまで語っておいて我に返り、それからマルカブの方を向いて、「・・・こんなの、俺のキャラじゃないから、残りはおとーさん頼むよ。」と言った。マルカブはおとーさん呼ばわりされたことを逆手にとって、「言い出したことは最後まで責任を持つように。」と父親っぽく切り返した。最近のおとーさんはやりにくいったらありゃしない、とディスケはぼやいて、あー、と天井を見上げてから、
「何だっけ?ええっと、そう、【魔】が退治できたらそのときに噛み締めればいいんだ。平穏とかはさ。大体、無いものを実感なんか出来ないし、でも実感できたら兵士じゃない生き方も見つかるかもしれないし。」
 ディスケは頭を掻いた。
「そのための『今』なら、今やることをやるしかねえよ。・・・・・・ああ、そうだ。ぜーんぶ終わったら、深都も隠れてる必要ないんだし、お前、海都の家に遊びに来いよ。曾祖父さんの家なんだしさ。」
「・・・・・・・・・、ああ。」
 アミディスは微笑した。
「・・・ありがとう。」
 ディスケは、よし、と頷いた。クー・シーが茶を飲みながら「ディスケも結構照れ屋だよね。おとーさんのこと、とやかく言えないよね。」と茶々をいれ、残りの三人がうんうん、と頷くので、
「違うだろーよー、おとーさんに似てきたんだよー、そのうちアヴィーも照れ屋になるから覚悟しとけよー。」
 と、いつもの調子で笑いとばした。


(16章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

アミディスをもうちょっと掘り下げたいんですが、ちょっと時間が足りないようです。
なのに何故、冒頭の男二人の若干酔ってる会話などに字数をかけてしまうのか。

後半で「冗談」として話されている「冒険者をやめて魚でもとって~」の部分ですが、
本当にそういう生活が似合うだろうに、なんで冒険者をやってるんだろうな、と時々思います。


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