まよらなブログ

17章4話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

世界樹Ⅳの初期職業グラフィックが、(ファミ通などで)明らかになったようですが、
フォートレス、ダンサーを入れて、
Ⅰ・ⅡのダークハンターとかⅢのシノビとか
状態異常付与可能な職業を全く使ってこなかったので、
Ⅳではナイトシーかー使ってみようと考えていて、
原点回帰ならばこっちも原点回帰でソードマンとメディック入れようかな、
と考えているわけです。

ダンサーが回復できるならメディ外してルンマスでもいいんだけど・・・ぶつぶつ・・・



それはともかく、世界樹Ⅲの話の方に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


17章4話
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 アヴィーは【瞬く恒星邸】をウロウロと歩き回り、共有スペースを全て見て回っていた。【恒星邸】に備えられている治療院まで見て回り、怪我でもしたのかと医師に声をかけられた。慌てて否定したアヴィーは冒険者たちの宿になっているスペースに戻ってきて、静かな階段にちょこんと座り、肩を落とした。
「どうかしましたの?アヴィー。」
 声は上からしたので振り返ると、ミラとミモザが階段を降りてくる。アヴィーは立ち上がり、
「ねえ、二人とも。マルカブたち、見なかった?」
「いいえ。・・・私たちもシェリアクさんを探してるんですけど。」
「シェリアクさんもいないの?エラキスさんが行き先を知ってるんじゃない?」
「エラキスさんはツィーを探しに行っていて、ご不在です。」
「・・・うちもディスケもおじいちゃんもいないんだよね・・・。」
 アヴィーは心配そうに窓から深都の世界樹を見上げた。
「・・・大人たちだけで樹海に行っていなければいいけど・・・」
「そ、それはないと・・・思う。」
 ミモザがおずおずと口を挟んだ。
「・・・シェリアクさんの盾と鎧はお部屋にあったから。・・・ディスケさんの弩もお部屋にあるんじゃないの?」
「・・・、あ、そうか。そういえば。」
 アヴィーはほっとした様子で頷いた。しかし、すぐに顔を曇らせて、
「探索の支度はしてないみたいだけど・・・マルカブの剣は無かった・・・」
「・・・剣ぐらいなら、念のため持ち歩いてもおかしくないと思いますけど。」
 ミラが、呆れた、と言わんばかりに口にして、ミモザが慌てる。アヴィーは唇を尖らせた。
「だって、心配なんだよ。・・・あ・・・あんなことがあったばかりだし・・・、・・・ディスケが女王蟻の魔物を倒しに行きたいって思っててもおかしくないし・・・、ディスケに頼まれたらマルカブはきっと断れないもん。」
「・・・そう、かな・・・?」
 ミモザは自信がない様子で首を傾げた。ミラは鼻を鳴らした。
「それを言ったらシェリアクさんだって、女王蟻の魔物を倒しに行きたいと思ってますわ。」
 ツィーだって、と彼女は視線を落として呟く。ミモザは心配そうにミラを見た。『ファクト』の少女たちは、この数日ツィーが夜中に何度も飛び起きていることを知っている。
「でも、女王蟻退治には行かないって決めたんです。私たちではまだ無理だと。『アルゴー』が向かったところで同じです。それは、シェリアクさんがマルカブさんに伝えてます。」
「・・・退治に行かないの?」
「はい。そう、シェリアクさんは決めましたの。」
「でも、そうしたらまた誰かが巣の中に・・・」
「抜け道をふさぐように深王様にお願いしています。」
「そうだけど、」
「・・・、私は言いましたわよ!私たちでは、まだ無理だと!」
 ミラは突然激高した。ぽかん、と見つめるアヴィーと、身を竦めるミモザがいた。ただ、ミモザは何故ミラが激高したのか分かっていた。
「本当に女王蟻退治に向かいたいのはシェリアクさんとツィーなんです!でも、今は無理だと判断されたんです!だから、二人以外の人が、でも、とか、どうして、とか言うのは、私は許しませんわよ!」
 ぽかん、とミラを見つめていたアヴィーだが、みるみる泣き出しそうな顔になって、ごめん、と囁いた。「女王蟻退治に行かない」と決めたシェリアク本人が、その判断を一番悔しく思っている。その判断について、死体を運んできてもいない人間がつべこべ言うな。ミラが言いたいことは、そういうことだ。
 ミラは、ぷいっとそっぽを向いて、謝るならシェリアクさんたちになさってください、と言う。アヴィーはそれでも、ごめん、としか繰り返せず、場はますます硬直していく。何か言わなきゃ、と思いながらも、ミモザはどうしていいか分からずにやはり固まるのみだった。
「・・・あら。珍しい組み合わせ。」
 まさに助けのように、エラキスとツィーが丁度宿に帰ってきて、階段の前の三人を見つけた。
「エ、エラキスさん・・・!」
 ミモザが縋るようにエラキスに駆け寄っていく。ただいま、とエラキスは告げてから、
「喧嘩してるの?」
 とミラとアヴィーを見て、首を傾げた。違います!とミラは答えたが、エラキスと一緒にいるツィーを見て少し表情をゆるめた。
「あら、そう?アヴィーくん、ミラは言い方が少しキツいの。でも、ヒドいことを思ってるわけじゃないのよ。だから、気にしないでね。」
「は、はい。大丈夫です。」
 僕、気にしてません、と答えるが、その言葉は「何かあった」と言っているようなものだった。とはいえ、アヴィーが言外に意味を含ませる物言いを出来ないことは、エラキスも分かっているので、そう、と相づちを打つだけにする。アヴィーは、そうだ、話題を移した。
「エラキスさん。マルカブもディスケもおじいちゃんも【恒星邸】にいないんですけど、何か知りませんか?」
「クーおじいさんもいないの?」
 気功術を教わるつもりだったのに、とエラキスは呟いてから、アヴィーが何を心配してるかは分かったので、
「行き先は知らないけど、すぐに帰ってくると思うわよ?だって、私が宿に帰ったら気功術を教えてくれるって約束してくれたもの。クーおじいさんはホラは吹くけど、約束は破らないんじゃないかしら?」
 エラキスの言葉にツィーは同意を示し、アヴィーはちょっと考えてから笑顔で頷いた。
「はい!それにエラキスさんに教えるんだったら、おじいちゃんは楽しみにしてると思います!」
「あら、そう?」
「だって、おじいちゃんも綺麗な人が好きだから。」
 「おじいちゃん『も』」ってどういう意味だ、とミラとミモザがアヴィーを睨んだが(ミラはエラキスに横恋慕する人間がこれ以上増えるのが気に入らず、ミモザはアヴィーが女性の容姿を誉めるのが気に入らないのだが)、アヴィーは「じゃあ、走って帰ってくるかなあ。」と暢気に自分を納得させていた。そうね、とエラキスは相づちを打ち、やっぱり睨んだままのミラとミモザに声をかけた。
「シェリアクはいる?」
「・・・そ、そうだ。シェリアクさんも見あたらなくて・・・」
 ミモザが我に返り、オロオロし始めた。エラキスは、そうなんだ、と落ち着いた口調で口にしてから、
「アヴィーくん、カリーナちゃんは?」
「カリーナはスハイルと一緒に海都に行ってます。スハイルのご飯を貰いに。もうすぐ帰ってくると思うんですけど・・・」
 そうアヴィーが答えたのと同時に、【恒星邸】のドアが開いて、頭にスハイルを乗せ、手にはお重らしきものの包みを持ったカリーナが入ってきた。知り合いばかりが揃っている様に、カリーナはびくっと身を竦めた。アヴィーが走り寄って出迎えてくれたので、ただいま、とぎこちない笑顔で答える。頭の上で、スハイルがぴよぴよ!と元気に声を出した。
「・・・あの、どうしたの?みんな揃って。」
「ううん、何でもないんだよう。」
「・・・?・・・、あ、でも丁度よかった、かな。マリアさんがキッシュを焼いてくれて、いっぱい貰ってきたの。・・・その・・・元気だしてってことだと思う。」
 カリーナはお重の包みを軽くたたいてから、エラキスに尋ねた。
「よかったら、召し上がりませんか?・・・・・・ね、ツィーも。マリアさんは料理上手だから、おいしいよ?」
 エラキスは頷いた。心遣いならば、受け取るべきだ。それに悲しい出来事があったからこそ、いつも通りに出来ることはいつも通りにするべきだ。少なくともシェリアクとマルカブは、子ども達にそうさせるだろう。
「そうね、いただきましょう。せっかくだしお茶にしましょうよ。」
 エラキスはツィーの背を押し、ミモザとミラに促しながら、安心させるかのように、
「出かけてるのは、いい年した男ばっかりだもの。帰ってこないことに慌てるのは、夜になってからでも遅くはないわ。」
 みんないないの?とカリーナがアヴィーに聞くが、もうすぐ帰ってくるよ、とアヴィーが安請け合いをした。エラキスは【恒星邸】に誰がいないかをカリーナに伝えてから、
「みんなで秘密の会議でもしてるのよ。」
 と冗談めかして告げるのだ。

*****

 実際、秘密の会議ではあった。
 【恒星邸】にいない男たちとリョウガンは、海都の港に停泊中の『アルゴー』の船・ミアプラキドゥス号の中にいた。クー・シーの予告通り、マルカブに二発殴られた(カリーナとアヴィーの分だ)リョウガンは、己が得た情報を『アルゴー』と『ファクト』に伝える。
「以前、私が殺した男(と言うリョウガンをマルカブは睨んだ。)が言っていた通り、海都には不老不死の薬とされるものがあるらしく、この100年間・・・今でも精製されているらしい。海都の元老院の関係者からの情報だ。」
 そして、と彼は続けた。
「その原料となるものは、海都の神殿にあったらしい。その神殿は、大異変後に海底に沈んだとされている。深都では、三階層の奥にある、と言われている。」
「・・・・・・・・・ん?」
 ディスケが組んでいた手を解き、
「三階層の奥にある神殿にある原料を使って、海都が不老不死の薬を精製してるってことか?」
「情報を繋ぎあわせるとそうなってしまう。」
「海都の人間は、三階層の奥にある神殿で薬の原料を得ていたのに、深都の存在を探すふりをしていたってことかね。」
 クー・シーが髭を撫でながらまとめ、マルカブは露骨に眉をしかめながら、
「・・・・・・、その薬を使っているのって・・・」
「そこまでは口を割らなかったが、元老院が危険を冒してまで動く相手はそうはいまい。」
 リョウガンは、それが答えだと言わんばかりに、その話から話題を変えた。
「・・・これは確かな話ではないのだが・・・深王は周期的に記憶を無くしている可能性がある。」
 本人が望んでのことなのかは分からないが、とリョウガンは差し挟んでから、ディスケに向かって、
「深王自身が戦場に出ることもある。そのとき、深都兵もともに行動する。そこで当然、兵士個々を覚えることもある。それがある日突然、忘れるらしいのだ。深都兵たちも特別な戦いでない限り、深王とともに行動することもないため、忘れられた経験を持つ兵士は多くない。だが、確かに存在するのだ。先日まで覚えられていたのに、ある日を境に忘れ去られてしまった兵士が。」
「・・・・・・つまり、」
 ディスケは苦笑すら浮かべた。
「深王は俺の曾祖父さんのことも、アミディスのことも、生前を知っているはずなのに、何故か忘れてしまい、その死の記録だけを記憶している可能性があるってこと?」
「可能性でしかないが。」
 そして、とリョウガンは続けた。
「深王が兵士を忘れる数日前には、深王は三階層の奥へ向かっていることが多い。」
「・・・神殿か。」
 それまで黙って聞いていたシェリアクは低い声で呟いた。リョウガンは頷いた。
「海都が不老不死の薬の材料を探しに行く神殿・・・ね。」
 と、クー・シーがため息混じりに述べる。いずれにせよ三階層の奥には、二つの都の秘密があるということらしい。
「それと、もう一つ。・・・フカビトはいつ捕らえられたと考えている?」
 リョウガンは話題を仕切直した。質問にディスケが答える。
「100年ぐらい前ってオランピアが言ってたから・・・、大異変の直後・・・深都が出来てすぐじゃねえの?」
「・・・海都側にも、フカビトを捕らえたという記録を発見した。」
 リョウガンは懐から、小さく折り畳んだ紙片を取り出し、広げた。記録の写しらしい。内容は、日付と捕らえたフカビトの容姿の記録。大地震以後、海都にフカビトが出現することが増えているという記録がある。容姿の記載に、大人程度の背丈、とあったため、地下10階の【断罪の間】で会ったフカビトとは異なる個体だろう。
 その思考を、リョウガンは予測していたのだろう。記録の写しの二枚目を見せてきた。
「ここに写してきたものは、そのフカビトを子どもの姿にして、力を削ぐ方法についてだ。」
 二枚目の文章を読んで、マルカブは顔をあげた。
「おい、・・・これって、」
「・・・フカビトの力の一部を、何らかの形で人に移植する。与えられた人間は異形のものへと化していくが、フカビトの力は押さえられる。」
「しかも、子どもであれば移植がしやすいってあるぞ・・・」
「・・・随分と下衆な方法を考えるものだな。」
 怒りを滲ませて呻くのはマルカブとシェリアクだ。お父さんだなあ本当に、とクー・シーは一人ズレた感想を抱く。
 船内禁煙の決まりを忘れて煙草をくわえてマッチを擦ろうとしたディスケに、リョウガンがその記録の写しを渡した。それも燃やしてくれと示されて(そしてマルカブには「船の中は禁煙だ」と指摘されて)、ディスケはキッチンの流しの上で、紙に火をつけた。
「・・・10階に捕らえられているフカビトが、このとき捕らえられ、力を削がれたものだとしたら、」
 リョウガンは僅かな間を空け、吟味するように口にした。
「力を移された子どもはどこにいるのか、まだ生きているのか、深都がそれに触れない理由も考えなければならない。」
「・・・めんどくせえな。」
 マルカブは頭を掻き、シェリアクは目を閉じて腕を組んだ。少しの沈黙の後に、
「・・・我々は、深都の依頼を受ける形で迷宮を進むつもりだ。」
 シェリアクは目を開けて、マルカブに視線をやった。マルカブは、分かってる、と頷いた。
「俺らは海都の依頼を受ける形で進もうと考えている。まあ、まだガキどもには話してないけど。」
「だめって言わないと思うけどね。深王の言い分を聞いた後では。」
「むしろ、もう怖いから冒険しないって言ってくれたら安心だよなー。」
 クー・シーとディスケが軽い口調で相づちを打ったが、冗談ではないことは明白だった。
「おそらく、それぞれの都はそれぞれの正義があるのだろう。・・・少なくとも、それは信じていたい。しかし、それでは全貌は絶対に見えてこない。」
 冒険者が全貌など知らなくてもいいことなのかもしれないが、とシェリアクは呟いた。マルカブは首を振った。
「いいや。むしろ、冒険者じゃなくちゃ、全貌が分からないだろうさ。海都も深都も話し合う気はまるで無い。自分の正義があったとしても、独りよがりの正義ばっか膨らましてる。それじゃ、今のやり方に執着するばかりだろう。きっと何にも変わらない。」
 ふと、マルカブは言葉を区切り、「ああ、そうか。」と呟いた。
「・・・、俺はディスケの曾々じいさんみたいな人間は増やしたくねえし、アミディスがディスケん家に遊びに来るのだって見たかった。それと【魔】はもう別の問題だよな。行き来できないのは【魔】のせいじゃなくて、・・・二つの都が自分の言い分しか口にしてないからだ。俺は【魔】じゃなくてそっちをどうにかしたいんだな、きっと。」
 ガキどもにもちゃんと人の話は聞くように教えたいし、とマルカブは呟いた。おとーさんだなあ本当に、とその場にいる人間はズレたようで適当な感想を抱いた。
「だから、どっちの言い分も知りたい。ただ、海都に協力したら深王は俺たちとは会わなくなるだろうから、『ファクト』が得た深都からの情報を教えてほしい。」
「そうだな。フローディア殿も我々とは口を聞かなくなるだろうから、私も逆にお願いしたい。」
 シェリアクは苦笑混じりに答えた。一つのギルドでは全貌は分からない。だからこそ、「二つ」のギルドで協力すればいい。簡単なことだ。
「・・・簡単なことなのに・・・」
 クー・シーは一人でぼんやりと呟いた。
「・・・それが出来ない人間が、どうして多いんだろうねえ?」


(17章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

こうして、海都ルートと深都ルートを書きつつ真ルートにたどり着く、
この話のルートが出来ました。

このあたりから、
ゲーム上の設定、
ゲームとは関係のないこの話のための設定、
ゲームには関係あるけどゲームでは語られてないため考察もかねて作ったマイ設定、が
入り交じりますので、ゲームプレイ済みの方は混乱するかもしれませんがご了承ください。
志水も大混乱中です。

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