まよらなブログ

18章1話。


世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。
最近、更新日が変則的で申し訳ありません。

さて、世界樹の迷宮Ⅳが出るわけで、
ギルド名と使うだろうキャラクターは大体決まっているんですが、
使うだろうキャラクター9名のうち、4人はいわゆる二世キャラという
まあ、あれだ、この世界樹3話が終わらないことには
絶対に文章化できない、そんな縛りがある設定でいきたいと思っております。


それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

18章1話
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 『アルゴー』は海都の元老院へとやってきた。海都に協力し樹海を進み、いずれ【魔】を討つ・・・その返事をするためだ。
 『アルゴー』を迎えた元老院の老婆・フローディアは重々しく頷いた後に、姫君を呼びに一度席を外した。そのわずかな合間、カリーナは心の準備をするように胸を押さえて深呼吸をし、アヴィーは椅子に座って足をぶらぶらと揺らしていた。逆に大人たちは落ち着き払って・・・というよりも無言でいて、それがかえって子どもたちを落ち着かせないでいる。ディスケの頭に乗ったスハイルがキョロキョロと5人を見まわしたが、音を発してはいけない、と理解はしているらしく首をすぼめて丸くなった。
 すぐに姫君は現れた。血の気を感じさせない白い頬を、わずかに紅潮させている。
「皆さま、たった今報告を聞きました。私たちの希望にご助力して頂きありがとうございます。」
 声は弾んでいる。俺たちの助力でなんとかなるとは思わないけどな、とマルカブは思いながら姫の様子をぼんやりと眺めた。この姫は考えていたよりも無邪気なのかもしれないし、他に頼る術もないほどに孤独なのかもしれない。そう思い直す。
 姫は喜びを見せた後に、すぐに顔を曇らせた。
「けれど…、事は単純ではありません。これからやろうとしていることは、とても難しい話なのです。それでは、改めて今回のミッションの説明を致します。」
 姫は一呼吸。
「フカビトたちや魔が存在するのは現在探索をしている地底洞窟よりさらに奥の深層部です。」
「あの溶岩の迷宮の、更に奥があると?」
 彼らが今進んでいる第三階層は、まるで大地の底だ。その『奥』があるのだろうか?と思いながら口にされたクー・シーの言葉に、姫は「おそらくは」と答えた。
「ですがそこに行くためには… 深都の配備した兵がいて、その通行を阻んでいるらしいのです。クジュラの報告では、その兵は深都の技術が作り出した【ゲートキーパー】 という名の人造兵らしいのです。 」
「【ゲートキーパー】・・・?」
 アヴィーは首を傾げてから、オランピアみたいな機械の体なのかな、と呟いた。ならば厄介だな、とマルカブは口にはしなかった。オランピアと直接戦ったことは『まだ』無いが、彼女が大木を切り裂く様は見ている。人ならざる彼女は、人では持ち得ない戦闘能力を持っているということだ。【ゲートキーパー】が、その名の通りフカビトの侵入を防ぐ『門番』であるのなら、やはり人では持ち得ない力でその侵入を阻んでいるのだろう。
 姫はすっと瞳をあげた。そして口調を改める。ここから先こそが、彼女の結論だ。
「皆さまにはその人造の兵を倒して洞窟の奥、フカビトの住む海底神殿へ繋がる扉を開いて欲しいのです。もちろん簡単ではありませんが…もう私たちに取れる手段はそれしかないのです。」
 そうなのだろうか。と、大人たちは考える。本当に、それしかとれる手段はないのだろうか?もしかしたら、何かボタンを掛け違えてはいないかと、そう考えるのだが・・・、しかし代替案も思いつかないのだ。何かが一歩遅かった。そんな気さえする。
 大人がなにも言わないので、アヴィーは狼狽えてカリーナを見上げた。カリーナは、わかりました、と頷いた。姫は頷きを返し、「皆さまどうか宜しくお願いします。そして…、どうかご無事に海都へ帰ってきて下さい。 」
 そして深々と礼をした。 

*****


「じゃあ、スハイルのこと、よろしく頼むよー。」
 フィニック家にいるアル・ジルにスハイルを手渡しながら、ディスケは軽い口調で告げた。探索前に、スハイルを預けに来たのだ。
 元老院で姫から直接ミッションを受けてから数日間、『アルゴー』は探索を続け、地下12階を進んでいた。12階もほとんど歩き、そろそろその最奥へと至ろうという日だった。
「いい子にしてるんだよ、スハイル。」
「ちゃんとお留守番しててね。」
 アヴィーとカリーナに口々に言われ、スハイルはきょろきょろと見まわした後に、
「ぴよー!!」
 アル・ジルの腕の中でばさばさと翼を羽ばたかせ、無理やり彼女の腕から抜け出る。だが、そのまま、ぼてっと地面に落ちた。スハイルはまだ飛べないのだ。
「スハイルも一緒に行きたいの?」
 アル・ジルがスハイルを抱き上げながら問いかけると、「ぴよッ!」とスハイルは返事をした…ようだった。
「だーめ。スハイルはいい子でお留守番していなさい。お土産もって帰ってくるから。」
 ディスケが屈んでスハイルに言い聞かせた後に、くるっとアヴィーとカリーナの方を振り返った。
「なあ。今の、超おとーさんっぽくね?」
「「威厳が足りないと思う。」」
 子どもらに同時にそう言われ、ディスケは大笑いしながら、
「うちのおとーさんにも威厳なんかないのに、なに言ってんだよー。とにかくスハイルはお留守番。分かった?」
「ぴよ!ぴよぴよ!!」
「まずは飛べるようになろうな?」
「…ぴよー」
 うな垂れるスハイルをアル・ジルは慰めるように撫で、彼女の肩に止まっているギェナーが顔をスハイルに寄せて喉の奥で「クックッ」と鳴いた。どうやら飛ぶ練習に誘っているようだ。
「んじゃ、そろそろ行くかー。おとーさんと爺さん、樹海の入り口で待ってるだろうし。」
「行ってくるね、スハイル。」
「アル・ジル、よろしくね。」
「うん。いってらっしゃい、気をつけてね。」
 アル・ジルは腕の中のスハイルの翼を持って、手を振る真似をさせて応える。スハイルは、納得できない、という様子だが、翼を振られるままでいた。
「・・・あ、ジルちゃん、みんなもう出発しちゃった?」
 家の奥から、マリアが包みを持ってパタパタとやってきた。
「いなり寿司作ったから、持って行ってもらおうと思ったんだけど…」
「今、出たばっかりだから、わたしが追いかける!」
 アル・ジルはスハイルを床に下ろして包みを受け取り、玄関を出て駆けだした。ギェナーがそれを追って飛ぶ。マリアはスハイルを連れて家の奥に戻ろうとしたが、奥からドルチェの火が付いたような泣き声とフェイデンが大慌てでマリアを呼ぶ声を聞き、慌てて家の奥へと駆けて行った。
 マリアの後を、ちょんちょん、と跳ねながら追おうとしたスハイルは、玄関の扉がぎ…っと軋んだ音に振り返る。アル・ジルが急いで出て行ったためか、玄関の戸は完全に閉まっておらず風によって微かに動いた。その細い隙間から、緑が見える。
 スハイルは素早く意を決して、玄関の扉の隙間に体をねじ込ませた。ぎゅぎゅっと体で扉を押しながら隙間を広げ、外へと出る。玄関と前庭を繋ぐ数段の階段を、ぴっよーー!という気合いの声と共に羽ばたいて飛び降りた。かすかに体が浮いて、階段を全段飛び越えた。飛べる、と思った時には、地面にべちゃん!と不時着していた。
「…ぴッ…ぴッ!」
 庭に水を撒いたばかりだったらしく、地面は柔らかく湿っていた。だから、思っていたほどの不時着の痛みはなかったが、嘴の中に土が入りこんできた。ぺぺっと土を吐きだしてから、スハイルは羽ばたきつつ飛び跳ねながら庭を進む。門と地面には少し隙間があったので、その間を身を低くして這い、細い路地へと出た。世界樹が見えないほどに細い道。ここを進むだけでも、飛べないスハイルには大冒険だ。
 だが、少し進んだところで小さな荷車が見えた。どうやらどこかの店が配達に来たらしく、玄関先で家の主人に「また、ごひいきにー」と挨拶している。スハイルは荷車に素早く乗りこんで、荷物を覆う布の中に隠れた。荷車はすぐに動きだし、ゴトゴト進んでいく。その途中で、「間に合ってよかったー。」と安心した表情で戻ってくるアル・ジルとギェナーにすれ違った。さすがにスハイルにも申し訳なさが湧くのだが、「今日こそ冒険についていく」と決めたスハイルは育ての親を見なかったことにした。
 布の隙間から町をのぞき、タイミングを見計らって飛び出すつもりのスハイルの目は真剣そのものだのだが。
 ―― 荷車は精肉店のものだったので、見る人がいれば『ある晴れた昼下がり、世界樹に向かう道。荷車はゴトゴト、仔フクロウを乗せていく。』の一文ぐらい、連想したかもしれなかった。


*****

「お待たせー。」
 ディスケが、樹海入り口で待っていたマルカブとクー・シーに手を振った。アヴィーも一緒になって手を振って、
「あのねえ!マリアさんがいなり寿司作ってくれたんだよ!お昼に食べてって!」
 持っている包みを掲げる。それはお昼が楽しみだねえ、とクー・シーが笑った。この探索で【ゲートキーパー】ってやつのとこまでたどり着くかもしれないってのに暢気だな、とマルカブは思ったが口には出さなかった。
 そのマルカブは肩に担ぐかのように、白い花束を持っている。カリーナを手招きして呼び、その花束を手渡した。
「お前が持っていけ。」
「私よりディスケがいいんじゃないかな・・・?」
 カリーナは花束を大切そうに抱えながらもディスケを見上げる。ディスケはパタパタ手を振って、
「弩を抱えて、花束は持てないだろー?それに、お花は女の子が持った方が絵になるもんなー。ところで、この花、おとーさんチョイス?」
「あ?そうだけど。」
「ぷー、かわいい趣味ー。」
「うるせえな。冒険者が白百合もって樹海に向かってみろ。・・・洒落にならんだろうが。」
 カリーナとアヴィーは目を伏せ、ディスケは「確かになあ。」と軽い口調で答えた。だが、そこにからかいの色は無かった。クー・シーは「マーガレットっていうんだよ、この花。」と小さな花に触れながら言った。
「あ、あのね!」
 アヴィーが顔を上げた。
「僕、アミディスさんはこの花、好きだと思うよ!カリーナもそう思うでしょう!?」
「・・・う、うん。」
 聞かれて、カリーナは頷き、花束を抱えなおしながら、
「・・・可愛いねって言ってくれると思う。」
「だから、これでいいんだよう!」
「別に俺はダメだって言ってないだろーよー。」
 ディスケは苦笑して、わざとらしく唇を尖らせてから、
「悪いなあ、俺の思いつきに付き合ってもらって、花束まで買いに行ってもらってさ。」
「思い付きでも、悪くない思い付きならいいんだよ。」
 マルカブはそう言って、帽子を被り直し、
「じゃあ、いくぞ。まずは9階の・・・蟻の巣の入り口からな。」
「入り口は塞いだそうだねえ。本当は、その先に花を添えられるといいんだけどねえ。」
 クー・シーが髭を撫でながらぼやくと、ディスケは苦笑して
「その先に花を供えようとして、蟻に襲われるようなことになったら、それこそアミディスは死んでも死にきれないだろうさ。」
 と言いながら弩を担ぎ上げた。
 地下12階の探索もほとんど進み、その最奥に辿り着くだろうという今日。その12階の探索を始める前に、アミディスが命を落とした場所に花を供えにいくのだ。それは思い付きのようであったが、必ず通らなくてはならない儀式のようでもあり、
 ・・・・・・それをしないで深都の人造兵に挑むには、少々心残りがすぎる気がしたのだ。


(18章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

志水の世界樹界では、「ドナドナ」も歌い継がれているようだ。(笑)

志水の世界樹界は
「はるか古代には『ニホン』とか『ジャパン』とか呼ばれていた場所」
で展開しているので、米と箸の文化圏であり、いなりずしもおにぎりもあるんです。
文化と人種が多種多様なのは、海外から人が沢山来た時期があるからです。
その事情については、そのうち書きます。


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