まよらなブログ

20章1話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

しばらくお休みが続き、申し訳ありません。
本日から20章です。今回は二話アップします。

ところで、世界樹4は第6階層も結構進み、
そろそろレベル70に達するので、赤竜を倒してこようかと考えてはいるんですが、
何となくダラダラと、ホラー臭漂う6階層を歩き回ってます。
赤いぶよぶよってなんだよ何だよ・・・・・・・・・



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

20章1話
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 第四階層の魔物は、それまでよりも格段に強かった。元老院でミッションを受けて一週間ほどたつが、『アルゴー』は第四階層の最初の階である13階を半分程度しか進めていない。
 フカビトを模した壁画や石像に囲まれた、青い神殿である第四階層。巨大なライギョや剣魚の他に、三つ叉の槍を構えたフカビトも存在していて、遭遇すれば戦いになる。それなのに、その階層は耳鳴りがするほど静かだった。
 あまりの静かさに不安になったらしいカリーナが、歩きながら歌っている。奮い立たせるように、四拍子の行進曲だ。ほとんど強引に探索についてきたスハイルが一緒になって歌い、たまにアドリブで合いの手を入れている。一曲歌ったカリーナは、ディスケの弩に停まっているスハイルを見上げて、
「スハイルは歌が好きなんだね。今度、他の歌も教えてあげる。」
「ぴよッ!」
 スハイルは何故か得意げに胸を張り、それから前を見て、
「ぴよ!」
 何かを示した。
「・・・ああ、スイッチがあったか。」
 マルカブが前方に、フカビトを模した石像を見つけて頷くと、
「今度は僕がスイッチ押すからね!」
「いいや!今度もおじいちゃんが押すよ!!」
「ぴよ!ぴよぴよ!」
 アヴィーとクー・シーが、石像についているスイッチをどちらが先に押すか争いながら、スイッチに向かって駆けていく。スハイルも押したいらしく、アヴィーの帽子の上に飛び降りながらねだった。
「元気だなあ。」
「・・・なんで緊張感がないんだウチのギルドは・・・」
「もう!二人とも一度は押してるでしょう!今度はスハイルに譲ってあげて!」
 わはは、と笑うディスケと頭を抱えるマルカブと一番大人らしいことをいうカリーナだが、全員が素早く周囲を見回した。スイッチを押すと、鉄格子が開くギミックがこの階の特徴だ。格子の奥に閉じこめられた、オットセイのような姿をした凶暴な獣が解き放たれる場所もあった。
 この周辺には、魔物が閉じこめられた格子はない。すぐさま逃走状態に入らなくても大丈夫だ。そう判断して、相手がスイッチを押すのを邪魔しあっているアヴィーとクー・シーを呆れながらも見ていられる。
「ぴっよーーー!」
 隙をついて、スハイルがアヴィーの頭から飛び降り、スイッチの上に着地した。がらがらん!という音が響いてきた。どこかで格子が開き、道ができたのだろう。スハイルは、得意げに仲間たちに振り返った。
「ず・・・ずるいよスハイル!」
「そうだよ、不意打ちすぎるよ!」
「そういうの漁夫の利っていうんだよ!」
「そうだそうだ!ハイエナっていうんだよ!」
 アヴィーとクー・シーに文句を言われたが、スハイルは勝利の声を上げる。カリーナが、スハイルを責めないでよ!といいながら駆け寄って、スハイルを抱き上げた。
「カリーナはスハイルに甘いよ!」
「ぴッ!?ぴっぴッ!!」
「そうですぞ!そんなところでおとーさんに似てどうしますか!?」
「・・・俺はスハイルに甘くないぞ・・・」
「うわ。おとーさん、普通に反応した。」
「マルカブはカリーナに甘いし!不公平だよ!」
「そんなことない!マルカブはアヴィーに甘すぎるの!」
「あのなあ、俺は別にどっちがどうとか・・・・・・、・・・・・・って、何で俺が責められるんだ。そういう話じゃなかっただろ。」
「・・・そ、そうだった!今度は僕がスイッチを押すからね!」
「いいや!今度はおじいちゃんだもん!」
「ぴーーーーッ!!」
「いやいや!今度はおにーさんの番だろーよー!負けないぞー!」
「何で、いちいち話をややこしくするんだお前は!」
「もう!誰が押してもいいけど、ちゃんと周りを見てから押してよね!」
 スイッチ一つできゃんきゃん騒いでいる『アルゴー』に、
「・・・・・・・・・、何をやっているんだ、君たちは・・・」
「相変わらず、ふざけたギルドですわね・・・」
 呆れた様子のシェリアクとミラの声がかかった。その後ろでは、「賑やかねえ。」とエラキスが笑い、「私も先ほどスイッチを押しましたよ!」と何故か得意げなツィーとアヴィーにちらちら視線を送っているミモザがいた。マルカブは、アヴィーとクー・シーを指しながら、
「アイツらに、もっと言ってやってくれ。・・・『ファクト』も探索中か。」
「ああ。・・・しかし、ここは面倒な仕掛けが多いな。」
 シェリアクが辺りを見回している間に、スハイルがカリーナの腕から飛び降りて、ぴょんぴょん飛びながら(スハイルはまだ上手に飛べない)エラキスに駆け寄った。エラキスが抱き上げると、彼女の豊かな胸にスハイルはすり寄るので、シェリアクはむんずっとスハイルの頭を掴みスハイルをマルカブに突き出した。不機嫌さを隠さないまま、言葉は冷静に、
「・・・私たちは下への階段まで進むつもりだが、君たちは?」
「そろそろ戻ることも考えてる。この先に抜け道が見つかればいいんだけどな。」
 マルカブはスハイルを受け取っり、スハイルの頭を掴む手にぎぎぎぎ・・・!と力を込める。ぴーーー!とスハイルはカリーナに助けを求め、カリーナはスハイルを奪い取り「スハイルを責めないで!」とマルカブに文句を言った。マルカブはそれを完全に無視しつつ、
「檻の中の魔物とまた追いかけっこするようなら、帰っておきたいところなんだよ。さっきも逃げる途中で剣魚に遭遇して、相手してる間に追いつかれてな。」
「あの凶獣か。檻が開かなければいいものを。」
 どうせまた檻に閉じこめるのだし、とシェリアクは苦笑した。通り抜けると鉄格子が降りてくる仕掛けを使って、凶獣をかわしながら進むのがこの階の特徴だ。
「それじゃあ、ミラ。先に凶獣がいるか、ちょっと探ってくれる?」
 話を聞いていたエラキスが、スハイルを餌付けしようとしているミラに声をかけた。
 ミラは頷き、鉄格子の上がった先の通路をのぞき込みながら、少しの間、耳をすます。そして断言した。
「・・・この先の通路の奥・・・、格子に囚われた凶獣がいます。凶獣の檻は開いています。多分、先ほど押したスイッチで開きましたわね。」
「そんなこと、分かるの?」
 アヴィーが不思議そうに聞くと、ミラは頷いた。『ファクト』の地図を預かっているミモザは、ミラの言葉を疑うことなく地図にメモを入れる。
「あの凶獣、牙のせいで呼吸音が変わっているんですのよ。口が閉じられないせいか、シューっという音が呼吸に混じるんですの。」
「檻が開いてるかどうかはどうして分かるの?」
「簡単です。どれだけ大人しくしていても、あんな狭い場所に巨体を押し込んでいるんですから、動けば格子に当たります。その音がしませんもの。」
 ミラの説明に、ほえーとアヴィーは間抜けた声を出して感心した。ミラは澄ましながらも得意そうに鼻を膨らました。
「・・・確かか?」
 マルカブはシェリアクにそれだけを聞くと、シェリアクは心外そうに眉を寄せて、
「ミラの探知能力は信頼できる。」
 断言した。マルカブはそれだけで、ミラからの情報を確かなものだと判断し、思考に組み入れる。
「・・・帰った方がいいな。あの凶獣に追われる中でライギョと遭遇するのは厳しい。」
 堅実すぎる結論をだしたマルカブに対して、エラキスはおっとりと相づちをうった。
「ライギョ、固いものねえ。ミモザの星術がなかったら・・・と思うとぞっとするわよねえ。」
「こっちもアヴィーがいなかったら、と思うとな。でも、そろそろアイツも限界だろうから。」
「あんなに元気なのに?」
「アヴィーは疲れてくるとテンション上がって、その後に集中力を切らすんだよ。なのに、クー爺はさらにテンション上げるようなことやりやがって。」
 止める俺の身になれよ・・・とぶつぶつ言いながらマルカブは、仲間たちに今日の探索を終了にすることを告げる。総ブーイングの中、「うるさい!帰ったらアモロアイス食っていいから!!」と言うと、アイスに釣られてブーイングは収まった。
「・・・わ、私も!私も一緒に帰っていいですか!?」
 アイスに釣られたツィーが、はいはい!と手を上げるが、シェリアクか自分の爺さんにねだれ、と一蹴された。ツィーは祖父をじーーっと見つめたが、祖父は「パパにおねだりしなさい、おじいちゃんは年金暮らしだからね。」とシェリアクを指さして、シェリアクはさっと目を逸らした。どうも誰もアイスを奢ってくれないらしい、と分かってがっくり項垂れるツィーを、「後で一緒にお菓子食べようね。」とカリーナは励ました。


*****

 海都に帰ってきて、仲間たちを先に蝶亭に向かわせてから、マルカブはスハイルとともに元老院にやってきた。(スハイルは蝶亭の女主人に引っ付いて離れないので、常連たちによって出禁になった。)描けた分の地図や魔物の情報を渡すためで、それらは衛士が迷宮を探索する際の有力な情報になる。
 元老院で、地図を描き写すまでには少し時間がかかる。その間、廊下に置かれたイスで待っていると、傍らのスハイルが「ぴぴよぴよ!」と何か意味のある言葉を発した。
「ご苦労様です、『アルゴー』」
 可愛らしい声がかかって、マルカブは立ち上がった。廊下を歩いてきたのは、グートルーネ姫でその背後にはクジュラが控えている。ぱたぱた羽ばたきながら姫に近寄っていこうとするスハイルの頭を掴んで止めつつ、姫君の顔に相変わらず血の気がないのを見る。
「・・・申し訳ない。アマラントスはまだ見つけられない。」
 何よりも先に謝罪を口にしたマルカブに、グートルーネ姫は少しの驚きを見せてから微笑んだ。
「第四階層は今まで以上に危険だと聞いています。慎重に探索を進めてください。」
 それに、と姫は続けた。
「ここ数日、体の調子がいいのです。それで元老院に来たのですが、おかげで『アルゴー』にお会いできました。」
 たおやかな笑みを浮かべる姫君に、マルカブは鼻の頭を掻いた。姫は周囲を見回し、
「今日はお一人ですか?」
「ぴーーッ!?」
「ごめんなさい、お二人ですね。」
 スハイルの抗議に、姫はくすくす笑いながら言葉を訂正する。スハイルはそれでいいのだ、と言わんばかりに「ぴよッ!」と鳴く。マルカブはスハイルの頭を掴む手に、力を込めつつ、
「ああ、今日は地図と魔物の報告に来たんだ。5人で来る必要もないかと思って。」
「そうなのですか。少し残念です。貴方方はいつも楽しそうだと、衛士も言っていますし。」
 ・・・それはただ単に緊張感がないだけだ、とマルカブは思ったが、肩を竦めるだけにした。そんなマルカブをじーっと姫は見つめる。
「・・・・・・何か?」
「以前からお尋ねしようと思っていたのですが、カリーナ様とアヴィー様でしたか?あのお二人と貴方のご関係は、ご兄弟でしょうか?」
「・・・なんでそうなるんだ・・・?」
「仲が良さそうですし、お友達にしては年が違いますし、まさか本当に親子というわけではないでしょうし。」
「ぴよーぴん、ぴよぴよ!」
 スハイルが何か言っているが、ろくでもないことだと判断しマルカブは無視した。
「兄弟でも友達でも、まして親子でもない。ただのギルドの仲間だよ。」
「・・・そう、なのですか。」
 何故か、姫は落胆した。
「・・・羨ましいです。」
「・・・・・・、どういう意味だ?」
「ただの仲間でも、あなたはあの二人の傍にいる。まるで父親か、・・・兄のように。」
 私はあの二人が羨ましい、と口にする姫をみて、スハイルは尾羽の先まで震わせて、マルカブの背後に隠れた。マルカブのこめかみにも汗が浮かぶ。姫の周囲に、冷気のような夜の闇のような濃厚な毒花の匂いのような、息を詰まらせる空気が漂って、まるで、そこにいるのはー。
 マルカブの脳裏に、溶岩の洞窟の風景がよぎる。続いて連想するのは、怖かったことを思い出した、というカリーナだった。そして、姫の姿と溶岩の洞窟に捕らえられていたフカビトの子どもの姿が重なる。
 姫は、どうして、と呟いた。
「・・・私は失ってしまったのに。」
 この身も兄様のために捧げたのに。そう、呟く声は、果たして声だったのか。姫が、見せつけるように手を伸ばす。白い、手袋の下で、ごぷり、と音をたて、腕が波打った。
 マルカブは、剣に手をかけた。
「――、姫。」
 クジュラが声を発した。姫はびくり、と肩を揺らし固まった。振り返らない。クジュラの声には、刃を喉に突き立てるような、そんな有無を言わさぬ力があった。
「・・・フローディア殿が待っています。」
「・・・・・・・・・、ええ。そう、そうでした。」
 姫は胸を押さえて、溜息をつき、そして「ありがとう。」とクジュラに告げてから、マルカブに軽くお辞儀をする。
「申し訳ございません。昔を思いだし、取り乱してしまいました。どうか、忘れてください。」
 忘れられるか、とマルカブは心の中で叫んだが、姫は返事などは聞かずに歩き出し、剣に手をかけたままのマルカブと無警戒にすれ違った。続くクジュラが、
「・・・すまなかった。どうか、忘れてくれ。」
 小さな声でそう言って、すれ違っていく。
「・・・・・・・・・、なんだよ。」
 マルカブは二人の背中を見つめながら呻き、剣から手を離す。背中で、スハイルがぴーぴー泣き出したので、その手でスハイルの頭を撫でてやった。


(20章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

「ぴよーぴん、ぴよぴよ!」は「おとーさんはお父さん!」と主張してますね。

姫との会話は捏造です。こんなイベントはないですが、
真ルートに行く為のアイテムゲットフラグを立てるためのフラグを立てるために捏造しました
志水は「姫はヤンデレ」だと思っているので、うちのグートルーネ姫はこんな感じでお願いします。

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