まよらなブログ

20章5話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

ショーグン、本格的に話に参入ということで
「図説・日本刀大全」(学研)を見ながら、打刀をどう書こうか・・・と考えています。
正直、刀より、鞘の拵とか鐔や三所物の金工技術とか書きたい。
戦闘シーンより手入れのシーンとか書きたい(よく分かんないけど)。
あとアンドロのメンテナンスシーンとかも書きたいし(よく分かんないけど)。
でも、それをやるとやっぱり話が進まなくなるんだよなー。あーあー。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



20章5話
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「・・・・・・・・・あー・・・・・・」
 朝の白い光の中で、ディスケは煙草に火をつけた。
「・・・完成した・・・。」
 薄暗い作業部屋の中、眠るように立っているのは少女型の機兵だ。髪にあたる部分は緑で、頭には帽子を被っているように見えるデザイン。人間の裸体を模した装甲(とはいえ、アヴィーが直視しても赤面しない程度のデフォルメ具合だ。)だが、それは設計図通りに作った結果。オランピアが裸体を通り越して骨格標本のように見えるのは、おそらく装甲が剥がれた結果なのだろう。
 今度、修理を申し出ようかな、とディスケは思いつつ煙草を灰皿に押しつけて、背後に振り返った。
 作業部屋の一角に寝椅子が置いてある。作業中の休憩や仮眠に使うものだが、そこにアヴィーとカリーナが寄り添うように座って眠っていた。カリーナの膝の上には、スハイルが首をすぼめて眠っている。アヴィーは日付が変わる頃まで、カリーナは午前2時頃まで作業を手伝っていたが(スハイルは夜10時には夢の中にいた。フクロウなのに健康的な生活を送っている。)、睡魔に勝てなかったのだ。なお、寝椅子の傍らに置かれたサイドテーブルには、お菓子の袋と飲み物が少し残ったカップが置かれたままである。作業を手伝いにきたのかお泊まり会だったのかは、微妙なところだった。
 こんこん!と窓を叩く音がして、ディスケはそちらに目をやった。コロネが外で手を振っている。窓を開けると、コロネが首を窓から突っ込んできて、
「昨日は夜中まで明かりが点いてたね?」
「作業の追い込みだったんだよ。それと、」
 ディスケは寝ている子どもたちを指しながら、
「お子ちゃまの託児。」
「えーーー!いいな、いいな!呼んでくれれば良かったのに!私もカリーナちゃんたちを託児したい!」
 コロネの大声を聞いて、カリーナが「ん。」と声を漏らして目を開けた。
「あ、ごめん、カリーナちゃん。起こしちゃった?」
「・・・・・・、コロネさん・・・おはよう、ございます・・・」
 カリーナは目をこすりながら、ぺこりと頭を下げて、
「ディスケも、おはよ・・・。」
「おはよう。ほら、見てみろ。アンドロ、完成したぞー。」
「ほ、ほんとう?」
 カリーナは隣のアヴィーを揺すり、
「アヴィー、起きて。アンドロが完成したって。」
 アヴィーは、うー、と声を漏らしゴロンと寝椅子に横になった。
「・・・ねむいよう・・・」
「完成したって!」
 アヴィーの耳元でカリーナが大声で告げると、アヴィーは耳を押さえてからモゾモゾと動き、顔を上げた。
「・・・かんせい?」
「そうだぞー、アンドロ、出来たぞー。」
 ディスケの声にアヴィーはぱっと起き上がり、数度瞬きをした後に、
「うわあ!本当に出来上がってるー!」
 眠るように立っているアンドロの前まで走っていく。騒ぎに、カリーナの膝の上でスハイルが、首を振りながら起きた。
「ディスケ!早く動かしてみようよう!」
 アンドロの周りをぐるぐる回りながらアヴィーは言う。スハイルも一緒になって跳ね回り、カリーナに叱られた。ディスケは笑いながら、
「ダメダメ。『ファクト』がいるところじゃねえと。名前も『ファクト』に付けてもらうんだから。」
「じゃあ、シェリアクさんたちを呼びにいこうよう!」
「いくらなんでも早すぎるだろー。」
「あはは!まず、朝ご飯食べたら?私、作ってあげるから、二人は顔を洗ってきなよ。ディスケ、玄関開けて。」
 コロネが窓から玄関の方へ回っていく。はいよ、とディスケも部屋を出ながら、子ども達を振り返った。
「朝飯食ったら、深都に行って『ファクト』を探してこようぜー。俺も早く、その子を動かしてやりたいし。」
「「うん!」」


*****

 ―― 深都へ『ファクト』を探しにやってきた三人と一匹を待っていたかのように、磁軸の前にオランピアが立っている。彼女は、誰かが何かを口にする前に、そっと手を差し出した。その掌の上に、なんの変哲もない石が載っている。
「・・・これは、【星海の欠片】。・・・あなたたち、受け取って欲しい。」
 彼女は静かに告げ、ディスケを一度見つめた。
「それが、きっと・・・、深王さまのためにもなるはずだから・・・。」
「・・・どういうことだ?」
 ディスケは石を受け取らずに、尋ねる。昨日はクジュラで、今日はオランピア。偶然にしては出来すぎていると、警戒する。・・・実際は、ただの偶然だったのだが。
「あの御方はかつて、【白亜の供物】を探しておられた。大切な人との約束だから手に入れなければ・・・と。」
 オランピアの言葉に、三人は顔を見合わせた。昨日も聞いた、【白亜の供物】の名。
「・・・どういうことなの?私たち、昨日、クジュラから同じ話を・・・」
「同じ、話?」
 無表情なオランピアが、あからさまに驚きを見せた。続いて、彼女は明らかに狼狽した。そして、掌の上の石を見つめ、一度軽く握りしめ、
「・・・・・・もしかしたら・・・海都の誰かも・・・思い出したのかもしれない。」
 私と同じように、と彼女は呟き、掌を開いた。
「これは、何なの?隕石?何で、これを僕らが持っていると深王様のためになるの?」
 アヴィーが尋ねると、オランピアは確信をもって言い切った。
「これはあなたたちが持つべき。あなたたちが、引き寄せた。」
 そう言って、アヴィーの手に押しつける。アヴィーは慌てたが、石は本当にただの石のようだった。
「・・・【白亜の供物】は星の結晶からなるもの。深王さまはフカビトとの戦いの合間、それを集めておられた・・・。」
「それって、もしかして・・・クジュラが話していた、兄のことじゃ・・・?」
「じゃあ、深王様には妹がいるの?」
 アヴィーが、石からオランピアに視線を移した。オランピアは頷くことも首を振ることもせず、淡々と続ける。
「・・・けれど、それは過去の話。深王さまは全てを忘れ戦いに没頭されている。だから、それはもういらない・・・。」
「・・・・・・でも、探してくるっていう約束なんでしょう?」
 アヴィーは石を見つめてから、顔を上げる。
「約束は守らなきゃダメだよ。せめて、守ろうとしなきゃ。」
 アヴィーの言葉に、オランピアは頷きかけたがそれを止めた。このままではその約束が果たせない、と呟いたが、それは人間より聴力のいいスハイルにしか聞こえない。スハイルはカリーナに抱かれたままで、オランピアをじっと見つめる。そして、「だから、受け取れないよ。」と石返そうとしたアヴィーに向かって、
「ぴぴぃー!」
「え!?何!?スハイル。」
「ぴッ!」
 スハイルは石を嘴で小突いて、アヴィーの手に押し付けた。オランピアは、持っていて、と被せるように囁いた。
「・・・けれど、本当はきっと・・・深王さまは、それを渡したかった・・・。だから、持っていって。」
 オランピアは、そしてディスケを見上げた。ごめんなさい、と囁いた。その視線は彼ではなくて、その先の誰かに向いている。ディスケがそう気付いた時には、オランピアは視線を外していた。
「私からの話はそれだけ・・・。」
 そして、オランピアは踵を返して歩いていく。残された一行は、渡された石を見つめるのみだ。
「どうしよう・・・なんか受け取っちゃったけど・・・。何で、石を突いたんだよう、スハイル!」
「ぴーーーッ!!」
 アヴィーとスハイルが口喧嘩(と言っても、スハイルはぴよぴよ鳴いているだけだが)を始めるのを気にも留めず、カリーナはディスケを不安そうに見上げる。
「・・・昨日、渡された碗のことも・・・、持っていてってスハイルは言ったよね?あれと・・・関係あるのかな・・・。」
「そうかもなー。ま、それは海都に帰ってから、確認しようぜー。」
 ディスケは出来るだけ気楽な口調を装いながら、子どもたちの肩を叩いた。
「まずは『ファクト』を探してだ。」


*****

 『ファクト』は、すでに探索に出ているらしかった。【瞬く恒星亭】に伝言を頼み、海都に戻ってきた三人と一匹は、宿に帰ってきて、
「だから、仲間を増やす気はないって昨日も言っただろ・・・」
「私も諦める気はないと申し上げたはずです。」
 宿の入り口で押し問答をしているマルカブと一人の娘の姿を見つけた。
「マルカブ、ただいまー。」
「ぴよーぴん、ぴぴぴよー。」
「ただいま。どうしたの?」
「おう、おかえり。アンドロは出来上がったのか?」
「完成したんだけどさー。『ファクト』がいるところで起動させようと思って、今は『ファクト』待ち。ところで、その子は?」
 スハイルが「ぴよんぴよん!」と娘に寄っていこうとするのを足を掴んで止めながら、ディスケが聞く。振り返った娘の顔を見て、「あ。」とアヴィーが声を出した。
「この前、樹海の入り口で会った人だ。」
 娘の方は覚えていないのか、首を傾げた。アヴィーは「覚えてないならいいんだよう!」とパタパタ手を振った。
「うちのギルドに入りたいんだとさ。」
 マルカブは溜め息混じりに告げ、「・・・・・・・・・マジ?」と心底意外そうに尋ねたディスケに、娘は頭を下げた。
「私、ショーグンのオリヒメと申します。」
「ショーグン!?」
 アヴィーがぱっと顔を上げ、
「クジュラと同じだよね!どんな技が使えるの!?刀を二本持っているけど、二刀流なの!?エトリアのブシドーとどう違うの!?刀、見せてもらってもいい!?」
 オリヒメがたじろぐほど、次々に質問を繰り出すアヴィーの襟をマルカブは掴む。そしてカリーナに視線を向け、
「うちのギルドに入る義務があるが、理由は言えないの一点張りだ。もしかしたら、お前の国に関係する人間なんじゃないかって・・・・・・、」
 マルカブは言葉を止める。カリーナは、目を見開いてオリヒメを見つめ、
「・・・・・・フィデリオの『大好きな人』・・・・・・」
 と、呟いた。マルカブは眉を寄せ、カリーナの肩を揺する。
「カリーナ、どうした?」
「・・・・・・・・・、あ・・・・・・、ううん。」
 カリーナは我に返る。色白の顔を青くさせながら、呟いた。
「・・・・・・、知ってる人を、思い出したの。」
 そう呟くカリーナの一方で、アヴィーがオリヒメをまじまじと見つめながら、
「樹海の入り口で会った時、僕もシルンとレンさんを思い出したんだよなあ・・・。顔がシルン似で雰囲気がレンさん似なんだよなあ・・・。」
 誰だよそれ、とマルカブが聞くと、「エトリアの僕の友達だよ。」とアヴィーは邪気なく答えた後に、
「カリーナの知ってる人って、僕の母さんに似てるのかな。」
 とニコニコと言うのだが。
「・・・・・・、シルン・・・?」
 カリーナはその名を繰り返した。アヴィーの養母の名前だということは何回か聞いている。だが、今になって、何かがパチン!と嵌められた。
 『・・・・・・・・・、シルン!こっちだ!』
 そう、嬉しそうに手を振る人がいた。自分を抱き上げて、『大好きな人』に手を振る人がいた。その人は褐色の肌をしていて、桃の色に近い赤毛で、
 ――そして、自分の名前を「フィデリオ」と教えてくれた。
 カリーナは息を飲み、口を手で覆った。
「・・・カリーナ?どうしたの?」
 無邪気に問いかけるアヴィーを見つめ、そして、ふるふると頭を振った後、
「・・・アヴィー、の、お母様・・・だったんだ・・・。」
 アヴィーの養母も自分の国で騎士をしていたと知っていたのに。どうして気づかなかったんだろう。
「?シルン・・・僕の母さんがどうかした?」
 アヴィーが不思議そうに首を傾げると、カリーナは何か言おうと口を開きかけたが、
「・・・な・・・なんでもない・・・・・・」
 と押し黙った。マルカブとディスケが顔を見合わせる。
 不意に落ちた沈黙の中、マルカブは頭を掻きながら、
「ともかく、オリヒメ。一度、うちのギルドで話すから待ってくれ。」
 とだけ告げた。


(21章に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

うちの黒ゾディにとって、レンは友達のようです。
相手がどう思ってるかは、別の問題です。(笑)
なお、ツスクルのことは苦手に思ってるようです。


うちの眼鏡バリは、元々は技師として修理工をしており
家に作業部屋があるのはその所為です。
(今は休業気味ですがお得意さんからの依頼は引き受けています。
 日常パートにバリの登場率が低いのは、仕事やデートしてるからです。)

なお、やはり技師だった父が取った特許から、特許料が入るらしく
実は一生懸命働かなくても一定の収入はあるのですが
そんなことを口にしようもんなら、モン爺にタカられるだろうし
赤パイは食事代を『アルゴー』のお財布から出してくれなくなるので黙ってます。

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