まよらなブログ

21章3話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

先週お休みしてすみません。
イベント参加とか鋼の方の更新準備をしておりました。

本日、またしても回想から始まってますが、
今までの流れがあるので、そんなに唐突でもないかなあ。

子どもの台詞は大体ひらがなで書いてますが、
精神年齢が上がっていくと、漢字が増えているようにしています。
プロローグ1話の5歳の頃の黒ゾディの台詞が完全に平仮名で
20章1話の7歳の黒ゾディの台詞に漢字が混ざってるのはそんな理由です。
今回、4歳のプリ子の台詞に漢字が混ざってますが、
5歳の黒ゾディよりも精神年齢が上だったということです。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

21章3話
---------------------------------------


「姫がお探しの花はこちらか!?」
 女性騎士がびしっと道端のタンポポを指して、生き生きと問いかける。褐色の肌の騎士に肩車されたカリーナは首を振った。女性騎士は、うむ、と腕を組み、前を向いてから、
「では!次はこちらを探しましょう!」
 びしっと道の先を指し、ずんずん!と進み出す。褐色の騎士が溜め息をついた。
「・・・フィデリオ・・・」
 頭の上からカリーナがおずおずと声をかける。
「ごめんなさい。」
「何が?」
「・・・お花さがし、いや、でしょう?」
「いえ?」
「でも、いま、『はー・・・』って言った・・・」
「ああ、」
 フィデリオは笑い、
「あれは、シルンに呆れたんですよ。本当に強引でごめんなさい。」
「??ごーいん?」
 カリーナがもう首を傾げていると、先を進んでいたシルンが振り返り、
「何をモタモタしているのだ、フィデリオ!とっとと姫をお連れせんか!!」
 だんだん!!と足を踏みならして、急かした。慣れているらしいフィデリオが、はいはい、と答えて歩き出すと、「よし!付いてこい!」とシルンも歩きだした。カリーナは不思議そうにシルンの背中を見つめ、
「・・・フィデリオ。」
「はい?」
「・・・ほんとにシルンは、だいすきなひと なの?」
「・・・・・・。」
 フィデリオは一瞬立ち止まり、それからは弾けるように笑いだした。前方を歩いていたシルンが、髪を揺らして振り返る。
「む!?どうした、フィデリオ!」
「い、いや、何でもないよ。」
「・・・む・・・。貴様、私のことで笑ったな!そういう笑い方をしているぞ!」
「そうだなあ。」
 やはりフィデリオは慣れているらしく、
「俺がシルンのことを好きって話を、ね。」
 さらりとそう言ってしまえば、シルンはさっと頬を染めて、
「ば、馬鹿者!無駄話をせずにとっとと来い!」
 と、またズンズン歩き出す。フィデリオは「ほら、可愛いでしょう?」と4歳のカリーナに小さく告げた。カリーナは頷いたが、フィデリオの言葉の本当の意味を理解はしていなかった。
「うん。シルンは、きれいね。」
「ええ。あれで実は心の方もね。」
「こころ?」
「優しいんです、あれでね。それに・・・」
「それに?」
「・・・俺は、こんな肌の色をしてるから、いろんな人にいろんなことを言われてしまうんです。」
「そうなの?」
「・・・、ええ。」
 フィデリオは静かに頷いた。何かを言おうと口を開き掛けたが、止める。
「・・・、シルンはね、それは間違っている、と俺以上に言い切れる人間なんです。でも、言い切るだけじゃなくて。目の前の誰のことも放り出さない。・・・俺のことも放り出さなかった。」
「・・・?」
「そういうところを尊敬してるし、大好きなんです。・・・でも、それで彼女を縛りたくはないんだけど。」
「???」
 疑問符ばかりを浮かべるカリーナに気が付いて、フィデリオは笑った。
「ちょっとつまらない話ですよね。シルンに叱られる前に、進みますか。」
「つまらなくないよ。」
「そうですか。」
「うん。だって、フィデリオはシルンがすきなんでしょう?」
 つまらなくないよ、とカリーナはもう一度囁いた。
「母さまは、お父さまのことがすきなんだって。母さまのお父さまのおはなしは、つまらなくないもの。」
「そう、ですか。」
「うん。母さまは、お父さまにいろんなキレイなものをみせてもらったんだって。お花も、ゆうやけも。」
 フィデリオときれいなものを見てくれるのはシルンなんでしょう?とカリーナは問いかけた。フィデリオは、はい、と頷いたが、共に見るのは綺麗なものだけではない、とは幼い姫君には伝えなかった。綺麗なものも共に見た。辛いこともともに体験した。悲しみを共有することもあった。だから、今見ているものは、限りなく同じ目標。
 肌の色で何が違うのか、と叫ぶこと。そんな国を少しでも変えること。
「・・・・・・わたしにも、いつか、キレイなものをいっしょにみてくれる人ができるって、母さまはいってたけど・・・、そうなのかな。」
 幼い姫君は、不安そうにつぶやいた。母の言ったことを無邪気に信じていればいいのに、不安げに呟いたのだ。
「姫のお母様が言ったのなら、そうですよ。」
「・・・うん・・・、でも・・・、わたしとキレイなものをいっしょにみてくれる人って・・・?母さましかいないとおもうの・・・。」
 カリーナは小さな声でそう言った。フィデリオは少し悲しくなる。幼い姫は母君には愛されているが、果たして他の人間にはどうなのか。騎士見習いのフィデリオにも、王宮に存在する歪みは聞こえてくる。姫の実の祖父が娘と孫娘を後宮に閉じこめていること、王の改革の行く手を阻んでいること。その中で、王族(真の意味で、王族と呼べる血統はこの幼い姫と国王しかいないが)は蔑ろにされている。この姫も祖父の傀儡となるためだけに育てられているのかもしれず、それを幼いなりに察しているのかもしれない。
 フィデリオはシルンを呼んだ。シルンは振り返り、小走りに戻ってきた。
「どうした?フィデリオ。姫の御身に何かあったか?」
「うん。だから、それでさ、」
 フィデリオは、きょとん、としているカリーナを肩から下ろし、片腕で抱き上げる。その小さな姫を覗き込むように見つめながら、
「折角だし、お探しの花だけじゃなく、いろいろとキレイなものや楽しいものを探していこうよ。」
「・・・・・・・・・、」
 カリーナはぱちくりと瞬きをした。シルンは、おお、と頷き、
「うむ!そうだな!それはいい考えだ!・・・では、・・・そうだな・・・・・・、うむ!姫は動物はお好きか!?馬の目を見たことは!?あれは綺麗なものですよ!」
「ウマ・・・は、とおくからしか見たことない・・・」
「では、ウマを見に行きましょう!行くぞ、フィデリオ!しっかり姫をお連れしろ!」
「はいはい。本当に強引なんだから・・・。」
「何だと!?貴様が提案したのではないか!」
「はいはい。分かってるし、馬の目が綺麗だってことは認めるよ。姫、馬を見に行きますか?」
「・・・う、うん。でも・・・いいのかな・・・」
 カリーナがおずおずと問いかけると、シルンはきっぱりと言い切った。
「騎士が馬に近寄ってはいけない理由など、ありません!それに、騎士が姫君を喜ばせるのは当然です!」
 えへん!と胸を張るシルンに、フィデリオは一言、
「騎士見習いだけど。」
 と言ってしまい、シルンに思いっきり足を踏まれた。


*****


 ―― 僕の母さんが言ってたよう。綺麗なものを綺麗だって言えるのは、心が綺麗な人だって。
 いつだったか、アヴィーはそう言った。言いそうだ、とカリーナはぼんやり考える。シルンもそういう人だった。馬の目は澄んでいた。
 カリーナはため息をついた。アヴィーの養母があの騎士だったとして、アヴィーが何か変わるとは思わない。むしろ、ぱっと笑って「すごい偶然だね!」と言い出しそうだ。なんとなくそんな気がする。
 でも、自分はその笑顔を直視はできない。
 結局、やましい気持ちになるのは自分なのだ。そして、そういう気持ちになる自分が耐えられないだけなのだ。それで、アヴィーにこの話が出来ない。宿にも先に帰ってきた。誰のせいでもない。自分のせいですらない。でも、自分がシルンの名前を忘れてアヴィーたちと楽しく過ごしていたのも事実なのだ。
 それが許せない、多分。だから、こうやって独りでいるのは、自分に対する罰なのだ。でも、こうやって独りでいるのは逃げなのだ。アヴィーを直視できない、その事実からの逃避。マルカブに甘えないことは罰だけど、彼に甘えた後に襲ってくるだろう罪悪感からの逃避。
 どうにも動けない感じ。これしか選べない感じ。カリーナは少しだけ窓を開けて、ぼんやりと外を見る。
「・・・恐れながら、申し上げます。」
 声は屋根の上からした。カリーナは別段驚かない。近くにリョウガンが控えていることは知っている。声の主であるリョウガンも、姿は現さない。姿を見せろ、と命じられないから現れない。
「姫、お一人で行動されるのは危険です。」
「・・・あなたが付いているのは知っています。」
 カリーナは前だけを見て、そう告げた。リョウガンは姿を表さないままで続ける。
「・・・いかがされたのですか。」
「あなたに話す必要はありません。」
「では、せめてマルカブに話すべきではないのですか。」
「あなたに指示される必要もありません。」
 リョウガンは一瞬の間を空けて、
「ですが、」
 声を少しだけ潜めて告げた。
「心の準備をしておいた方がよろしいかと。」
「・・・・・・どういうこと?」
 つっけんどんを装っていたカリーナは、素の口調に戻り問いかけた。リョウガンの声は小さいが、幾分緩んだ。
「相手は、姫のお考えとは別に動きます。あなたが、来るな、と言っても、相手が、あなたの傍にいたいと思えば、」
 カリーナは慌てて、視線を下に下ろした。赤い頭が宿の玄関に入っていくのが見える。
「来てしまうのですから。」
 ・・・幸せなことに、とリョウガンは囁いた。カリーナはきゅっと唇を噛んでから、
「・・・知らない!」
 そう言って、窓を閉め、カーテンも閉めた。

*****

 ノックを数回繰り返しても、返事はない。カリーナが帰ってきていることは、宿の少年から聞いている。出ていったことも聞いていない。
 俺相手に居留守なんか使いやがってナマイキな・・・とマルカブは思いつつ、
「カリーナ。また後で来る。」
 そう言って、少し待って、出てこないのを確認してから、扉から離れた。どうすっかな、と呟きながら、少し時間を潰そうと階段に向かう。ふと背中に視線を感じて振り返ると、カリーナが薄く扉を開けて、こちらが去っていくのを確認している。
 マルカブは大股で歩み寄り、カリーナが閉めようとする扉に足を差し入れた。しかし、それ以上広げる気はない。強引に閉めさせるつもりもなかったが、強引にこじ開けるつもりもなかった。半開きの状態を保ったままにして、呆れる。
「・・・・・・・・・、お前なあ、」
「・・・・・・・・・、な・・・何で気づくの・・・?」
 カリーナは涙目になりながら、マルカブを見上げる。マルカブは大真面目に言い切った。
「お前とアヴィーのことなら、俺は背中に目も付けられるんだ。」
「・・・・・・。」
「アヴィーとなんかあったのか?」
「・・・・・・・・・、アヴィーとじゃない。」
「じゃあ、なんだ?アヴィーのこと、意識してるだろ。」
「・・・・・・・・・、思い出したって言ったでしょう?」
「・・・フィデリオとアヴィーは何か関係があるのか?」
「・・・・・・・・・・・・、アヴィーのお母様とも、私、会ったことがある。」
「・・・・・・・・・、」
 今まで聞いてきたことから、マルカブは気が付いた。フィデリオは恋人と一緒にいた。一緒にいた恋人は騎士見習いだ。アヴィーの養母はカリーナの国の出身で、騎士だった。そして、この流れで「会ったことがある」ということは。
「・・・フィデリオの恋人が、アヴィーの母ちゃんだっていうのか?」
 カリーナは視線を落とす。実際に確かめることはできない。だから、答える。
「・・・多分。」
「・・・そうだとしても、お前が引きこもる理由には、」
「分かってる!けど、・・・」
 カリーナは続きを口にしなかった。むしろ、出来なかった。彼女も、どうして引きこもっているのか分からない。カリーナは視線を落としながら、不意にマルカブの足を固いヒールで踏みつけた。
「・・・・・・っ!!!?」
「・・・ごめん!でも、今、お話したくないの!」
 悶絶するマルカブの足を蹴り払い、カリーナは扉を閉めた。しまった、とマルカブは思ったときは、もう廊下に閉め出されている。彼は頭を掻いてから、
「・・・じゃあ、扉を開け直すなよ・・・」
 だからガキだって言うんだよ・・・と呻くのだ。



(21章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

なんか上手く話が組めなかったなあ・・・

フィデリオの設定のおかげで、近々エトリア表ボス戦のヒトコマも書けそうです。
しかし、問題は、世界樹1のソフトを持ってないことです。
(世界樹1は借りてプレイした。)
Wikiのテキスト集を漁るしかないか・・・・・・・・・

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する