まよらなブログ

22章3話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


来週の更新は、一週休むかもしれません。
ちょっと被災者支援的なあれやこれやに首をつっ込んでまして
そっちの準備があれやこれやで、しばらく休めないのです。
申し訳ありません。でも、復興のためやで。



この世界樹話の更新を初期から支えてきた志水のポメラDM5ですが、
反応しないキーが続出している上に、キーボードにヒビも見つかり
修理に出すのを考えていたところ、店頭で最上位機種DM100を使ってみました。
・キー打ちしやすい
・フォルダが作成できる
・重さがそんなに変わらない。
・私の、テンション上がると「打つ」というより「叩く」キータッチでは
 折り畳みタイプよりストレートタイプの方が負荷に耐えられるだろう。
・32%引きか・・・・・・この値段なら買えるな・・・・・・
と、いうあたりを総合して、DM100に買い換えました。

通信関係には要らない機能も沢山あるし
可愛くないデザイン(今まで買わなかったのは、このため)なんですが
・フォルダが作れる(「鋼」と「世界樹」フォルダを作成)
・二画面表示できる(前回の流れを確認しながら話を打てる。)
・憧れの縦書き(オフ活動をしないテキストサイトの永遠の憧れ)
・行間サイズも変更可能(テキストサイトの唯一のデザイン面こだわり)
など、「文字を打つ!」だけの人間の痒いところに手が届く仕様で感動する。

あ、DM5とDM10は5~6千円まで値段が落ちてました。


それでは、話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

22章3話
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「アヴィーが怒ったあ・・・!」
「カリーナ、泣かないでよう・・・!!」
 子ども二人が向き合って、うええんうわあん、と泣いている。スハイルがぴーぴー喚きながら、アヴィーをツツいてはカリーナに飛びつくのを繰り返している。マリアは「あらやだ、この子たち可愛いわあ。」という顔を隠しもせずに立ち上がり、
「じゃあ、あとはマルカブさんが慰めてあげてね。私、ドルチェが心配だから帰るわ。」
「・・・・・・、無責任じゃないか?」
「そんなことないわよー。マルカブさんは、そもそもカリーナちゃんがアヴィーくんを気にしてるってことで、ウチに相談にきたのよね?そこに、シルンさんやフィデリオのことが入ってたから、ちょっと面倒だっただけで、カリーナちゃんとアヴィーくんがいつも通りに戻ればマルカブさんとしては万事解決じゃない?」
「・・・・・・・・・・・・」
 マルカブは腕を組み、
「・・・・・・、ん・・・?そう言われてみれば、そうなのか・・・・・・?」
 自信なさげに首を捻った。マリアはおかしそうに笑いつつ、マルカブとすれ違いながらその肩を叩き、
「本当の目的を見失っちゃだめよ。樹海ではといろいろ起こるから、余計なものが欲しくなったり目的がすり替わったりするけど・・・」
 マリアは眉を下げ、困ったように笑った。どの口が言うのだ、と自嘲するかのように。
「自分にとって一番大事なものだけは、いつもちゃんと覚えておかないとね。」
 そう言って、じゃあね、と手を振り去っていくマリアを見送りながら、自分はあの人を何かしか誤解してたのかもしれないな、とマルカブは思い、
「ぴよーぴーーん!」
 足下にスハイルがやってきたのに気がついた。スハイルは泣いているカリーナとアヴィーをオロオロと見つめ、それから、
「ぴーーーー!」
 マルカブの足に飛びついて、泣き出した。二人が全く泣きやまないのを見て、自分まで泣きたくなったらしい。マルカブはスハイルを抱き上げて肩に停めてやってから、
「お前らも、もう泣き止めよ。」
 子どもたちに歩み寄って少し身を屈める。カリーナはしゃくり上げながら、
「だって・・・、だって・・・アヴィーが怒った・・・!」
「アヴィーが怒っても怖くないだろ。」
「だって・・・だって・・・!」
 カリーナはうええん、とまた声を上げて泣き出し、
「アヴィー、私のこと、嫌いになった・・・?」
「ならないよう!」
 アヴィーは泣きながら腕を振り上げたが、すぐに下ろし
「でも僕・・・カリーナが昔のことを気にして・・・僕と、仲が悪くなるのは・・・嫌だよう!」
 そう言って、また大声で泣き出した。マルカブは頭を掻いた後に完全に屈み込んで、子ども等を見上げるようにしながら、
「ほら、分かったろ、カリーナ。お前はアヴィーに対して、気を揉むことはないんだ。それに、アヴィーの母ちゃんは元気でやってて、息子はこんなに母ちゃん大好きでお前のことも大好きだ。それは喜ぶことだろう?」
「そうだよう・・・!」
 アヴィーはずずずず・・・!と鼻をすすり上げた。
「何でカリーナがシルンを知ってるのか・・・知らないけど・・・、シルンは元気だよう・・・。昔、大事な人が死んだって言ってたけど・・・でも、その人のためにも頑張るんだって言ってたよう・・・」
「いい女じゃんか、お前の母ちゃん。」
 マルカブの感想に、アヴィーは「ん。」と頷いて、
「きっと・・・その人が、カリーナが死なせてしまったって言ってる人なんでしょう・・・?でも、シルンはそう思ってないよ・・・だって、その大事な人は・・・」
 アヴィーはごしごしと顔を袖で擦り、
「・・・自分のせいで死んだって言ってたもん・・・」
「・・・・・・え。」
 カリーナが目を見開く。アヴィーは伏し目がちに続けた。
「・・・僕もシルンから聞いたんじゃなくて・・・・・・、その・・・シルンの今の恋人・・・みたいな人がいるんだけど・・・その人から聞いたんだよ。シルンの大事な人は・・・、昔、シルンと一緒にいるために戦場に行って・・・死んでしまったって。」
「で、でも、」
「・・・僕も直接聞いた訳じゃないから、分からないけど・・・、でも、シルンはそう思ってる。カリーナはカリーナで自分のせいだって思ってる。」
 アヴィーは、ずずず、と鼻をすすり上げる。
「でも・・・本当にその人が、誰のために何を考えて死んだのか、・・・その人しか分からないよね・・・」
 その人が何を考えてたのかはその人のものだよ、とアヴィーは呟いてから、
「・・・でも、その人が死ぬ前に何を考えていたか推測して、これから自分達はどうしていくかを考えるのは、僕らの仕事なんだよね。」
 と続けた。アヴィーは、自分の想像外のことに狼狽えているカリーナの手をとって、
「シルンは、その人がシルンのことが好きだったからシルンのままでいようって思ったんだよ。だから、いつも自分と誰かのために一生懸命で、そうしていることが幸せなシルンのままなんだ。カリーナはどうするの?」
「・・・私?」
「もし、カリーナのせいでその人が死んだのなら・・・、その人の代わりにカリーナは生きなきゃいけない。・・・カリーナのせいで死んだんじゃなくても、その人がカリーナにとって特別な人だったら、その人の分も生きなきゃいけない。・・・自分のこれからをどうするか、きっと考えなきゃいけないんだよ。」
「・・・・・・、私、そんなこと・・・考えたことない・・・。」
 カリーナはアヴィーに手を掴まれたままで、呆然と呟いた。
「・・・母様やお祖父様・・・誰かが死ぬと・・・いつも泣いてるだけだ・・・。」
「・・・アヴィー、」
 マルカブが何かを言おうとしたのを、アヴィーは首を振って遮った。
「僕もちゃんと考えなきゃ。僕のお父さんやカナエや僕のせいで死んだ人・・・その代わりに、どう生きるか。」
 だからね、とアヴィーはカリーナの手を軽く握った。
「カリーナ。」
「う、うん。」
「僕と一緒に考えよう。」
 カリーナは瞬いて、アヴィーを見つめる。
「泣いてばかりいないで考えよう。」
「・・・・・・・・・、」
「マルカブも手伝ってくれるでしょう?」
 アヴィーが視線をマルカブに向ける。マルカブは、まいったな、と呻いてから、二人に向かって手を伸ばし、頭を撫でた。
「・・・当たり前だ。」
 アヴィーは、うん、と頷いて、
「だから、カリーナ。平気だよ。」
 何が平気なのか、アヴィーにも分かっていない。だが、これでいいのだ、と確信する。何故なら、自分は樹海を進む、と告げたとき、「俺もお前と先に進む。」と言ってもらえて嬉しかったからだ。今、頭を撫でてくれる男が言ってくれた一言に、『先に進む』という決意を支えてもらっているからだ。だから、同じようなことを言う。そして、言ったことは忘れないでいようと思う。
 カリーナは再び涙をぽろぽろとこぼし始めたが、うん、と大きく頷いた。
「そ、それが・・・!きっと、フィデリオも・・・母様も、喜ぶこと・・・なんだよね・・・!?」
「僕はそう思う。」
「じゃあ・・・、私、頑張る・・・!頑張らなきゃ・・・!二人が一緒なら頑張れる・・・!」
「うん。だから・・・カリーナ、泣きやんでよう・・・」
 アヴィーは頷いてから、ずずずず、と鼻水をすすりあげ、
「・・・・・・僕、また悲しくなってきたよう・・・」
 そうして、ぐずぐずと再び泣き出した。マルカブは二人の頭を撫でる手に少し力を込めて、
「カリーナはともかく・・・アヴィー、男がほいほい泣くな。」
「何だよう!マルカブだって涙脆いくせに!」
「ぴーーーー!!」
「・・・なんでわざわざ同意したんだ、スハイル・・・。」
 マルカブは肩のスハイルの頭をわし!と掴んでから、スハイルをカリーナに渡した。カリーナに抱き上げられて、スハイルは途端にご機嫌になった。カリーナはスハイルを抱きながら、瞼を拭う。
 アヴィーは顔を袖でゴシゴシとこすり、顔をを上げた。そしてカリーナとマルカブに、
「ねえ。樹海の冒険が一段落したら、エトリアに行こうよ。シルンに会ってほしいな。シルンがどう考えてるのかとか知ってほしいし、シルンもカリーナに会いたいと思うよ。」
「・・・そう、かな・・・。」
 不安そうなカリーナに、アヴィーは主張した。
「そうだよう!」
「そうだな、会ってみないと分からないだろ。箱を開けなきゃ猫の生死が分からないのと同じだ。」
 マルカブがカリーナを安心させるように言い、カリーナは首を傾げた。
「・・・マリアさんも、そんな話してたけど・・・何の話・・・?」
 後で説明する、とマルカブは言ってから、アヴィーに対して、
「俺もお前の故郷を見てみたいし・・・、こっちが一段落したら、みんなでエトリアに行くのも悪くねえな。」
「でしょう!?」
 アヴィーはぱあ!と顔を輝かせた。
「シルンだけじゃなくて、僕の友達も紹介してあげる!エトリアの世界樹は地下にあるからね、アーモロードと違うんだよ!エトリアの樹海も、みんなで冒険できたら、僕、嬉しい!」
 ね!?とアヴィーはカリーナに聞いた。カリーナも顔を明るくして頷いた。すっかりいつも通りの様子に、マルカブは安堵して、
「そうだな。それも悪くねえな。・・・さて、それじゃあ、まずは今、出来ることを考えよう。泣いてばかりいないで、な。」
 そう言いつつマルカブは立ち上がり、軽く伸びをしてから、扉の方を見る。オリヒメが、どうしたものかと思案気に立っている。マルカブはオリヒメを手招きしつつ、
「カリーナ。話をしてもいいか?」
「・・・、うん。」
 カリーナは鼻をすすってから、頷いた。
「しばらく、オリヒメにも探索を手伝ってもらおうと思っている。それで、信頼できると思えたら、仲間になってもらうつもりだ。」
 カリーナはぱちくり、と瞬きをしてオリヒメを見つめた。オリヒメは一礼をし、カリーナも慌てて礼を返した。
「どうだろう。お前の国と本当に関係がないのか分からないし・・・危険がないとも言えない。それに、オリヒメがアヴィーの母ちゃんに似てるなら・・・気になるかもしれないんだが・・・」
「うん、いいよ。」
 カリーナはマルカブを見上げ、あっさりと頷いた。
「何か、オリヒメは大丈夫だって思えることがあったんでしょう?」
「・・・出来事があったわけでもないんだけどな。」
「でも、マルカブはそう思ったんでしょう?じゃあ、多分・・・大丈夫・・・と思う。」
「・・・そうか?無理すんなよ。」
「うん。」
 カリーナはあっさりと頷き、オリヒメに向かって
「え・・・ええっと・・・あの、よろしく。」
 おずおずとそう言って、もう一度頭を下げた。こちらこそ、とオリヒメも頭を下げる。スハイルがご機嫌に鳴き、アヴィーが「カリーナ、女の子の仲間が増えてよかったね!」と言う。まだ仲間じゃない、とマルカブは思ったが、それを指摘するのは無粋だと分かっていた。だから、頭を一掻きして、
「まあ、今日は飯でも食ってけってことになってる。カリーナ、お前、昼飯も食ってないだろ?少し早いけど、飯にするか?」
 多分、それが今『出来ること』だろう、とマルカブは言い、カリーナは微笑を浮かべて頷いた。



(22章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

「パラほん。」をお持ちの方は、シルンの恋人のような人について、
もしかしたらピンとくるかもしれない。

実は、フィデリオの死については、「パラほん。」で語られている内容も含め、
彼の死に関わる全員がちょっとずつ違うことを言っています。
彼が本当に何のために戦場で死んだかは、彼にしか分からないようにしておきたい。
『藪の中』っぽいのが理想です。

マリアさんも目的と手段を取り違えた経験があり、
それを正したのがフェイデン(本人には自覚はない)で、
これが夫婦の馴れ初め・・・というエピソードがあるんですが、
話が進まないので(以下略)。

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