まよらなブログ

22章4話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

今日は、ゲーム内テキストも交えての話です。
相変わらず、自分の文章とゲーム内テキストが乖離していて
なんか笑える、と思ってます。


それでは、話に興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。

22章4話
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 眠気を誘うような甘い香りのする花を持ち、『アルゴー』(オリヒメもいる)は元老院を訪れた。カリーナとマリアが話しカリーナとアヴィーが泣き出した日から、一週間ほど経っていた。その一週間の間、オリヒメも交えて地下15階を探索し、そして【アマラントス】を見つけたのだ。
 強い芳香に、カリーナに抱かれているスハイルは顔を背けている。たまに羽ばたいて、匂いを振り払おうとしている。香りは悪くないが、まとわりつくように甘い匂い。マルカブは、姫の腕が波打ったその時に、姫から感じた匂いを思いだした。
「ご苦労さん、無事お帰りのようだね!」
 元老院の老婆・フローディアが『アルゴー』の来訪を聞き、足早にやってきた。新参のオリヒメにも気づかずに、
「さあさあ、肝心のブツはどうだったんだい? 」
 と詰め寄ってくる。マルカブは芳香の強い花を渡した。
「・・・そうそう、これだよ、これ!」
 受け取ったフローディアは、花の匂いを吸うのだ。その甘ったるい香りを、抵抗なく。
「・・・アマラントスとは、不死を意味する決して滅ぶことのない花・・・。よくやってくれたね。」
 彼女は銀の盆に花を乗せ、それを持って足早に部屋の奥へと移動しながら、『アルゴー』に向かって指を向けた。
「話の続きがしたい。ちょっと待ってな、今から姫さまを呼んでくるよ! 」
 そう言って、部屋の奥のカーテンに消えていったフローディアを見送りつつ、
「・・・あれが、元老院第一人者の方ですか。」
 初対面だったオリヒメが、口を開いた。
「強引なおばあさんだろう!?おじいちゃんと全然違うよね!」
 クー・シーがそんなことを言い、鏡を見ろよー、とディスケに爆笑されている。芳香の残る部屋で、「なんか気持ち悪くなってきたよう。」とアヴィーが鼻を押さえる。スハイルも真似をして、翼で嘴を覆った。マルカブは溜め息混じりに、
「香水をぶちまけたみたいな残り香だよな・・・。」
「どうしよう!このままじゃ、この匂いが俺に移ってコロネに誤解されるかも!」
 ディスケが心配などしてない様子でそんなことを言う。アヴィーが首を傾げた。
「???何を誤解されるの?」
「それはだね、アヴィー。女物の香りが移るほど近くにいるような行為・・・・・・・・・痛い痛いよ!おとーさん!お髭を引っ張らないで!子どもの前でしちゃいけない話だって分かったから!!」
 マルカブに髭をひねりあげられているクー・シーを見ながら、
「・・・少し過保護すぎると思いますが。」
「私もそう思う。」
「ぴよ!」
 オリヒメが感想を述べ、カリーナが同意し、スハイルが形だけ同意した。
 いつも通りのやり取りになっている『アルゴー』を諫めるように、カーテンの向こうから咳払いが一つ。スハイルが背筋を伸ばしたかと思うと、カリーナの腕から飛びおりた。お気に入りの場所から降りたスハイルは、カリーナとオリヒメの前に立って「ぴッ!」と羽を広げている。
「どうしたー?スハイルー。」
 ディスケがおかしそうにスハイルに尋ねる一方で、マルカブはスハイルの行動を理解した。どうやら仔フクロウは、いっちょ前に少女たちを守る気らしい。スハイルがそこまでする、ということは、カーテンの向こうには仔フクロウが警戒を強める相手がいるということだ。そして、その相手にスハイルがそこまで警戒する理由を知っているのは、その相手の腕が波打ったのを共に見たマルカブだけだ。
 カーテンがめくられ、海都の姫が現れた。相変わらず、色は病的なまでに白い。だが、その目は生き生きと輝いていた。・・・顔色と比較して不自然に、輝いていた。
「皆さま、この度は私どもにご助力頂き、誠にありがとうございました。」
 グートルーネ姫はスカートをつまみ上げて、優雅に一礼した。ゆっくりと顔を上げて、微笑みながら一同を見回す。(低い位置にいるスハイルのことも視野にいれた。)全員を見た後に、姫は表情を引き締める。
「ここまで懸命に尽くして下さる皆さまには、今度こそ本当にすべてを話そうと思います。」
 そして、半歩後ろに控えるフローディアに振り返り、彼女が恭しく持っている銀の盆・・・その上の花を指し示した。
「このアマラントスを調合し、とある薬を作ることで私は寿命を伸ばしているのです。」
 ふと、マルカブの脳裏に今までの出来事が繋がりを持って見えだした。アヴィーを騙しカリーナに毒を与えた男が、解毒剤と引き替えに元老院から盗んで来いと言ったもの。―― 不老不死の薬。リョウガンは、その薬は三階層にある原料で100年に渡り精製されている、との情報を掴んできた。
 ディスケとクー・シーに目をやると、同じことを思い出したらしく苦々しく眉を寄せている。リョウガンの話を聞いている二人も気がついたのだ。『不老不死の薬』の材料は、自分たちが摘んできた花だ。
 あの甘ったるい匂いのする花のせいで、アヴィーが騙された上に傷ついて、カリーナも苦しい思いをしたのか。そうマルカブは考え出し、盆の上から掴み取って踏みにじりたい衝動に駆られた。カリーナも、あの花が自分に毒を与えた男の交換条件の品物であることに気がついたらしく、ちらり、とアヴィーを見た。一行の心配を余所に、鈍いアヴィーは、突拍子のないことを言い出した姫を、ぽかんと口を開けて見つめているだけだ。不思議そうに自分を見つめるアヴィーを見て姫はおかしそうに笑い、それから羽毛を膨らませて威嚇しているスハイルを見て、やっぱりおかしそうに笑った。そして、己の胸に手を置き、
「そう・・・、百年前の大異変のときから今に至るまで・・・、様々な方法で寿命を延ばし生きているのです。 」
「・・・お姫様は、おばあちゃんと同い年なんですか?」
 アヴィーが完全に場違いな質問をし、姫はコロコロと笑って頷いた。(フローディアはアヴィーを睨みつけた。)幼い頃からの一番の親友です、と姫が言ったのを見て、ディスケはあることに気がついた。・・・フローディアは自分の曾々祖父母を知っていた。そのフローディアと同じだけの時間を生きているなら、姫も曾々祖父母を知っているずだ。初めて会ったときに「知り合いに似ている」と言われたが、あれは曾々祖父のことだったのか。ならばアミディスをここに連れてきていたら、どうなっていたのだろう・・・と、取り留めのないことを考えだしたが、すぐに止めた。
 それぞれの思惑や思考には、グートルーネ姫はまったく気がつかず、きゅっと両手を組んで祈るように声を張った。
「自然の法則を無視し生きる訳はただ一つ・・・、百年前に姿を消した兄を助けたいからなのです!」
 姫に漂っていたふわりふわりと捉えどころのない雰囲気が、急に地に足をつける。これが、おそらく、姫の真実だ。たった一つの願い。このために彼女は存在している。
「兄は・・・、百年前に海都を支配する王の使命だと考え、魔を封じ戦うため海底に消えました。」
「それは・・・、深王様のこと・・・ですか・・・?」
 カリーナが問いかけると、姫は頷いた。
「しかし、それから百年が過ぎても魔もフカビトも健在です。 そして兄は、世界樹に魅入られたまま記憶を消され、支配され、私のことも忘れて海底にいるのです。」
 確かに、深王は妹のことを口にしたことはない。 そして周期的に記憶を消している。深王やオランピアの話と、今、姫が話す内容が重なっていく。
「私はそんな兄を救いたいのです・・・。」
 姫は組んだ手を強く握りしめ、祈りながら、その視線をアヴィー、マルカブ、カリーナと巡らせた。視線に込められた意味は祈りではない、懇願じゃない。羨望と憎悪が混ざりあっていて、視線が重なったカリーナは身を振るわせた。何故、あなたたちは共に居られるのか、とその視線は訴える。
「私は・・・、あの優しかった兄ともう一度会いたいだけなのです!」
 言葉の背後に存在する叫びが聞こえる気がする。
 ――、私は、共に居られなかったのに!
 カリーナは、地下10階で会ったフカビトの子どものことを思い出した。正確には、あのときに自分の内側を覗き込んだ『目』を思い出した。あの目とグートルーネの赤い目が重なる。背中が泡立つ。
 思わず身震いしたカリーナの前で、スハイルが「ぴーーーッ!!」と声を上げてぴょんぴょん跳ね出した。
「ぴぴーぴ!ぴぴ、ぴよぴよ!」
「・・・『カリーナは、ぼくが守るピヨ!』と。」
 クー・シーがカリーナだけに聞こえる声で囁いた。なんでクー・シーはスハイルの言葉が分かるのかな、と思いながらも、カリーナはスハイルを抱き上げた。スハイルはカリーナにしがみつくが、スハイルは彼女に胸を貸しているつもりなのだ。仲間もいるのに、何を怖がる必要がある。そう思えば、冷静にもなれた。そして、カリーナは姫を見つめ返した。
「・・・グートルーネ様は、」
 両足をしっかりと地につけて、カリーナは問いかけた。
「・・・そのために、深都を目指し、冒険者を向かわせていたのですか?」
「ええ。そうです。」
「・・・海都のためでは、なかったのですか?」
 カリーナの言葉に怒りや失望がにじみ出ていることに真っ先に気がついたのは、彼女の事情をよく知らないオリヒメだった。わずかに低くなった声は、明らかにいつものカリーナとは違う。当然だった。一人の少女ではなく、無意識ながらも姫としてカリーナは問いかけていた。
 グートルーネが口を開きかけたときだ、扉がノックされる。部屋の主であるフローディアの返答も聞かずに、その扉は開かれた。
「・・・取り込み中のようだが、失礼する。 緊急事態が発生したようだ。」
 入ってきたのはクジュラだった。彼は『アルゴー』にオリヒメの姿を見つけて、少し驚いたようにも見えた。フローディアが続けるように命じ、クジュラは頷いた。
「深都の王とその側近の二人が、幾多の衛兵を引き連れて海底神殿へ向かっていった。探りを入れた所、海底神殿の奥に隠されている転移装置とやらを探しているようだが・・・。」
 転移装置・・・、と姫は呟く。
「転移装置?」
 技師として興味があるらしいディスケが繰り返す。姫は顔を上げ、
「それもまた昔、海都に存在した技術の一つです。 海底深くに万が一、まだ起動する転移装置があると、色々と面倒なことが起こるかもしれません・・・。」
「・・・とにかく深都の動きがあまりに尋常ではなかったため報告に来た、後は任せる。」
 クジュラは姫の言葉に頷きつつ、フローディアに判断を委ねた。フローディアは姫の従者から、執政を行う一人としての顔になる。背筋がわずかに伸びたようにも見えた。
「・・・すまないね、『アルゴー』。話の途中だが、そういうわけだよ。今から、ちょっと対応を検討するさね。今日は帰ってもらえるかい?まあ、実際に動いてもらうのはあんたたちに頼むことになると思うけど・・・。」
 そうしたらミッションを出すから受けとくれ、とフローディアは言い、クジュラにアマントラスを盆ごと渡し、姫を任せて、カーテンの奥へ消えていった。姫は、またご協力頂けるならばお話を聞きに来て下さい、と告げてクジュラと共にカーテンの奥に消えていく。
 主のいなくなった部屋で、誰ともなく溜息をついた。答えをもらえなかったカリーナが唇を噛みしめた。
「・・・なんだか突拍子のない話だったねえ・・・」
 アヴィーがカーテンを見つめながら感想を言い、
「でも・・・、深王様にこの話をすればいいんじゃないかな?」
「どうだろうなあ。妹がいたことを忘れてるんじゃ、難しいんじゃねえ?」
 まあ、それも姫の言ってることが本当のことならだけど、とディスケが答えてから、
「ともかくここから出ようぜ?ほら、俺としてはコロネに誤解されたくないし?」
「・・・まあ、そうだな。・・・深都の方でも動きがあったみたいだし、『ファクト』と連絡を取ってみよう。」
 マルカブがそう言い、一行は部屋から出る。スハイルをきゅっと抱きしめたまま、仲間たちから少し離れてとぼとぼ歩くカリーナの隣で、
「・・・怒りが相手に理解されないのは虚しいですね。」
 囁き声が聞こえ、カリーナは顔を上げる。オリヒメが前を向きながら、
「私は、そう思いました。」
 と再び囁いた。カリーナはオリヒメを見つめてから、目を伏せて、
「・・・私、怒ってた・・・?」
「そのように見えました。」
「うん・・・。でも・・・そんな資格・・・あるのかな・・・。」
 カリーナはぼそぼそと続ける。
「・・・もしも、私がマルカブやアヴィーと離ればなれになったら、会いたくて、グートルーネ様と同じことをするかもしれないし・・・」
「ぴぴーぴ!?ぴぴ!?ぴぴ!」
「もちろんスハイルとも会いたいって思うよ。」
「ぴよ!」
 スハイルは満足そうに頷いて、カリーナの腕の中に収まった。オリヒメは更に問いかけた。
「でも、それは間違ってると思ったのでしょう。」
「・・・・・・だって、」
 カリーナはより一層の小声になって、
「・・・そんなの、二人が怒ると思う。だって、自分の願いのために、冒険者を危険な目に会わせたり、街の人に嘘をついてる・・・。マルカブとアヴィーは、そんなことより冒険者や街の人たちのためになることを考えろって言うと思うんだ・・・。」
 カリーナの言葉を聞きながら、オリヒメは前を行くその二人の背を見た。彼らと同行するようになって日の浅い彼女には、カリーナの言葉が正確なのかは分からない。だが、分かったことがあるのでそれを口にする。
「・・・カリーナにとって二人は特別なのですね。」
「う、うん。だって、二人と出会って、私いろんなことを知ったし、二人とも優しいし・・・。私ね、二人が私にしてくれたみたいに私が他の人に優しくしたら、きっと二人は喜ぶと思うんだ。そのためなら、私も頑張れるんじゃないかって・・・」
 カリーナはそこまで言って、ふと立ち止まった。
「・・・あ、そうか。」
「?」
「そうか・・・私にとっての『幸せ』って・・・」
 カリーナは呟いて、「僕、お腹すいたよう!」「飯にでも行くか。」と話しているアヴィーとマルカブの背中を見つめた。
「・・・あそこにあるんだ。」
 オリヒメは二人の背中を見てから、再びカリーナに目を移す。カリーナは何故か、泣き出しそうな顔で背中を見つめている。アヴィーがくるりと振り返り、
「ねえ、カリーナ!この前、マリアさんに教えて貰ったお店に行ってみようよう!」
 にこにこしながら、カリーナに提案する。カリーナは、すぐに微笑みを返して頷いて、二人のところに駆けていくが、
 何故か、カリーナが悲壮な決意をしたように、オリヒメには見えた。


(22章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

ゲームのシナリオ的には佳境に入りました。
妄想話としても第一部の最終話に向けて動き出してます。
夏休みは終わるんです、アモロでもローマでも休日は終わるんです。
コツコツ張ってた伏線を回収してますが、なんか忘れてることも多いわー


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