まよらなブログ

23章1話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。

【アマラントス】を【アマントラス】と表記していたことに気がつきました。
これから過去更新分の表記も直そうと思いますが、
直しきれなかったら心の目でお読みください。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


23章1話
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「カリーナ!待ってたよ!!」
 次なるミッションが伝えられる間に、と、フィニック家を訪れた『アルゴー』(といっても、ディスケとクー・シーはいない。)を、アル・ジルが大歓迎で出迎えた。
「マリアさんが作ったワンピース、着てみよう!」
 そう言って、アル・ジルはカリーナの手を引いた。そして、戸惑うカリーナを引っ張りながら、マルカブに向かって、
「きっと可愛いから、ちゃんと誉めてね!」
と、言った。はいはい、とマルカブは生返事をする。
「あらー、いらっしゃい。」
 マリアがドルチェを抱きながら顔を出す。
「急に押し掛けて悪いな、マリアさん。この前はありがとうな。」
 マルカブは礼を言いながら、これ良かったら、と袋いっぱいの姫リンゴをマリアに見せた。地下15階で採取したんですよ!とアヴィーがえへん!と胸を張る。お礼の品だということは明白だったので、
「あらあら!お土産なんていいのに!かえって悪かったわねえ。それじゃあ、みんなで食べましょ。悪いけど、中まで持って行ってもらえる?」
 ドルチェを抱いているマリアは、姫リンゴを受け取れないのでそう言い、それからカリーナを見つめた。
「カリーナちゃん、この前はキビシイこといっぱい言って、ごめんなさいねえ。」
 カリーナは慌てて首を振る。
「い、いえ!こちらこそ、ごめんなさい、私・・・」
「元気になった?」
「は、はい!」
「それなら良かった。じゃ、早速ワンピース着てね。さ!ジルちゃん、つれてっちゃって!ジルちゃんも一緒にお揃いのワンピース着てきて!」
「了解!」
 びしっ!とアル・ジルは敬礼し、自分が使っている部屋にカリーナを連れて行く。スハイルが当然のように付いていった。マリアはそれを見送った後に、一行に混ざっているオリヒメに気づいて
「あらあら!また可愛い子が増えたわね!もう一着、お洋服作らなきゃ!なんならアヴィーくんにもスカート縫うけど、どう?」
「『どう?』じゃないです!僕は男ですよ!」
「あら、関係ないわよ。可愛いんだから。」
「僕は可愛くないですッ!!」
 アヴィーはだんだん!!と足を踏みならして抗議したが、マリアは全く気にせずにオリヒメに名前を聞いている。僕は可愛くないのに・・・!と頬を膨らませるアヴィーの肩を叩いて、マルカブはそれを宥めた。
「おお、賑やかだと思ったら。いらっしゃい。」
 階段の上からフェイデンが顔を出して、挨拶し、
「アヴィーは何を怒ってるんだ?頬を膨らませても、ますます可愛くなるだけだぞ?」
「だから!僕は!可愛くないッ!!」
 アヴィーは地団駄を踏みつつ両手を振り回して抗議した。おお?とフェイデンは驚きつつも流して、
「マリア。お客さんをお通ししないと。」
「あらやだ!ごめんなさいね。じゃ、奥へどうぞ。お茶も淹れるわね。お茶を出したら、オリヒメちゃん、採寸しましょうね。」
 どう返事をしたらいいか戸惑うオリヒメはマルカブを見上げたが、諦めろ、とマルカブは視線だけで返事をした。

*****

 人数分の茶を淹れ終わる頃に、ぱたぱたと階段を駆け下りてくる音がして、
「着替え終わったよ!」
 アル・ジルがリビングにやってきた。彼女も赤いワンピースに着替えていて、ふわりとしたスカートの裾には大きく花の刺繍がしてあった。
「わあ!お店で売ってる服みたいだ!マリアさん、すごい!」
 アヴィーが、服の出来・・・というか、マリアの器用さの方に反応する。まずは似合うよって誉めないとなー、とフェイデンがそれを窘めた。アル・ジルは一度廊下に出て、カリーナを引っ張ってくる。
「見て見て!カリーナ、すっごく可愛いよ!」
「は・・・恥ずかしいよ、アル・ジル・・・」
 元気なアル・ジルに反して、カリーナはおずおずとリビングに入ってくる。その足下で、「ぴぴーぴ!ぴよぴよ!!」とスハイルがぐるぐる飛び跳ねている。カリーナの着ているワンピースは、ゆったりとしたサマードレスだ。ふわりとした裾にはぐるりと一周、青の刺繍が縫いつけられている。
「わあ!カリーナの服も、すごい!これ、マリアさんが全部作ったんですよね!?」
 やっぱりアヴィーは服の出来に感心するが、カリーナは得意げに、
「そう!すごいんだよ!服の裾にビーズ刺繍が付いてるの。」
 と、スカートをつまみ上げて、裾に縫いつけてある青と白のビーズ刺繍を見せる。アヴィーは、おお!と声を上げた。そのままカリーナのスカートをつまみ上げて裾をよく観察しそうな勢いだったので、マルカブはその襟をつかんで止めた。
「この刺繍、一度レースみたいに編んでから、縫いつけたんですよね?」
 カリーナがマリアに聞く。マリアは頷いて、
「妊娠中ね、動けなかった時期があるのよー。その時にね、赤ちゃんのお洋服や小物に付けてもいいか、と思って、いくつもブレード編みを編んでたの。」
「あの時のマリアは、何かに憑かれたように編み物してたなー。」
「そうねー。変なところに集中してねー。しかたないわねー妊娠期は不安定になるのよー。」
「・・・じゃ、じゃあ、ドルチェのために編んだんじゃ・・・。いいんですか・・・?」
 カリーナは手をこすり合わせながら尋ねる。マリアは、いいのいいの、と手を振った。
「ジルちゃんはうちの子みたいなもんだし、カリーナちゃんはジルちゃんと仲良くしてくれてるし、いいのよー。」
 アル・ジルが満面の笑顔で頷いた。丁度、その時、玄関から「ただいまー。」とサビクの声がして、
「おかえり、サビク!見て見て!マリアさんが作ってくれたワンピース、着たの!」
 アル・ジルはサビクに服を見せに行く。カリーナはそれを見て、思い出したように、もじもじしながら尋ねた。
「・・・えっと・・・、・・・似合うかな。」
「ぴよッ!!ぴぴーぴ!ぴよぴよ!!」
 即答は、スハイルがした。ありがと、とカリーナはスハイルを抱き上げた。
「うん!似合うよ、カリーナ!」
「ええ、とても可愛いです。」
「おう。似合う似合う。」
「ホント!?ありがとう!」
 仲間たちも誉めてくれ、カリーナは笑顔を見せた後、マルカブの隣に座り、
「ホント?」
 と、彼にはもう一回尋ねた。嘘ついてどうすんだよ、とマルカブは呆れつつも、可愛い可愛いと彼女の頭を撫でる。撫でながら、
「ありがとな、マリアさん。カリーナの分まで作ってくれて。ほら、カリーナも礼を言え。」
「あ、ありがとうございました!こんなに可愛いお洋服・・・!」
「いいのいいの。作ってるの楽しかったし、喜んでもらえてうれしいわ。・・・じゃあ、オリヒメちゃん。」
 マリアは、にこやかに有無を言わせず、オリヒメの手をつかみ、
「今度はあなたのお洋服を作るわね!採寸しに行きましょう!」
 と、そのまま引っ張って自室に向かった。スハイルがカリーナの膝から降り、ぴよー!とそれに付いていった。カリーナは服の皺をのばしながら、にこにこと服を見ている。よかったな、とマルカブに声をかけられ、笑顔で頷いた。その様子を微笑ましく見ていたフェイデンは、アル・ジルとサビクもやってきたのを見てから
「ああ、お茶が冷めちゃうな。お菓子も一緒に食べてくれ。」
「あ!それ、姫リンゴ!?」
 サビクがテーブルに載ったリンゴの袋を見て、駆け寄ってきて一つ手に取る。
「ネイピア商会に持ち込んだ冒険者がいる・・・って市場で聞いたけど、なんだ、『アルゴー』か。」
「・・・なんだって、なんだ。」
「フェイデンさん、一個、もらっていいかな。研究用に。」
「おお、いいぞー。僕も種を保管しておこう。」
 みんなでいくつか食べてみようかーと、フェイデンは台所に果物ナイフを取りに行く。
「何の研究するの?」
 アヴィーがサビクに尋ねると、サビクはストールに座って、
「故郷で育てられるか。薬の材料にもなるから、育てば高く売れると思うんだ。」
「わたしたちの村は、災害でやられちゃってるんだ。今すぐお金も必要でそれを稼ごうとみんな出稼ぎに出てるんだけど・・・みんな、今で精一杯。でも、何年後には借金を返していくことになるから、そのときの収入源になるものをサビクは今、探してるの。」
 アル・ジルがそう言葉を続け、カリーナとアヴィーは尊敬のまなざしでサビクを見た。サビクはすごいでしょう!とアル・ジルは胸を張り、サビクは頬を掻いた。そして、話題を変えようと
「それより、四階層ってどんなとこだよ?リンゴが育つ場所の様子を教えてほしいんだけど。」
 と、アヴィーに話を振る。単純なアヴィーなので、あのねあのね、と四階層の様子を一生懸命説明し始めた。ああ、僕も興味あるなーと、フェイデンが果物ナイフと小さなまな板を持って戻ってくるのを見て、
 そうだ。コイツ、植物学者だった、とマルカブは閃きのように思い出した。

*****

「アマランソス・・・ヒユ科ヒユ属の一年草。非耐寒性。種子は食べられる。花からは赤系の染料がとれる。名の由来は、アマラントス。古い異国の言葉で、意味は『しおれることがない』。」
「・・・そういうことを聞いたんじゃないが、説明ありがとうな。」
 フェイデンの書斎でマルカブは溜息混じりに礼を言った。植物学者であるフェイデンに、姫からの話と『ファクト』から聞いた話を伝え、【アマラントス】について何か知らないか、と聞いたのだ。フェイデンは図鑑を探しながら、
「そういうことを聞いたんじゃないのかぁ?」
 と、おっとりと聞き返し、見つけた図鑑を開いてマルカブに見せた。
「これが、アマランソス。多分、【アマラントス】の言葉がなまったものだと思う。」
「・・・俺らが15階で見つけたものとは違う花だ。」
「やっぱりかあ。今度、摘んできてくれ。」
「どうかな。それらしい花は一輪しか咲いてなかった。」
「・・・その花が、姫様の寿命を延ばしている、かあ・・・。気になるなあ、どんな花なんだろうなあ・・・ああ、顕微鏡で花弁や花粉を見たり、花弁や葉を搾って薬液と混ぜてみたり、受粉したりさせたりシャーレの上で組織培養してみたいなあ・・・」
 うっとり、とそんなことを言われて、アヴィーやディスケといい俺の周りはなんで研究バカばっかなんだろうな・・・とマルカブは若干引き気味だ。故郷のためにと研究に励むサビクの健気さは、むしろ希少に感じられる。
「・・・フェイデン。お前、この街に住んで何年だ?」
「うん?・・・・・・ええっと、3年かな。まあ、最初の2年は、冒険者としてだから、住んでる、とは違うけど。そうこうしてるうちにドルチェを授かってなあ、住民になったんだよなあ、あの時はびっくりしたけどなあ、お腹に子どもがいるって告げる時のマリアはそれはもう可愛」
「その3年の間に、【アマラントス】の名前を聞いたことはないのか。」
「・・・・・・これからがいいところだぞ!僕とマリアの愛が深まるところだ!」
「聞きたくねえよ、あんなおっかない嫁と愛が深まる過程なんて。」
「マリアのドコがおっかないんだ!むしろ、怖い嫁と言ってほしい!」
「・・・怖いってことは認めてるのか。で?名前は聞いたこと無いのか?」
「・・・・・・、名前を聞いたことはないけど・・・」
 フェイデンは考えながら、
「もしかして・・・あの本に書いてあったことはこのことなのかな・・・。大昔、世界樹から生えてきた植物を用いて、不老不死の薬を作ろうとして失敗したって・・・。」
「世界樹から?」
「民話か何かの本だったから、その植物の詳しいことは分からないんだけどな。寄生植物かな・・・とは思ったんだけどなあ。」
「・・・薬を作ろうとしたってことは、栽培した可能性もあるよな?」
「そうだな。第四階層が元々は海都の神殿だって言うなら、そこで栽培してたんじゃないかな。さすがに、フカビトとの関連までは分からないけど。」
「まあ、そうだよな。他の街で、同じような花のことを聞いたことは?」
「ないなあ。・・・ただ・・・」
 フェイデンは図鑑を閉じて、溜息をついた。少し表情が変わる。ここから話が変わることを、マルカブは理解した。
「・・・エトリアの世界樹と樹海のことは、アヴィーから聞いたかな?」
「地下にあるとか、世界樹の上にエトリアがあるとか、大昔の遺跡が樹海の中にあるとか、モリビトってやつらがいるとか、そういう話は聞いてる。」
「そうか。・・・きっと、シルンも全部はアヴィーに話していないんだな。・・・まあ、大昔の遺跡が樹海の中にあるんだけどな、その大昔の技術でつくられたのが、エトリアの世界樹だしハイラガの空飛ぶ城だ。そして、その中にいる人でない存在、モリビトと翼人も大昔の技術で作られたらしい。・・・となると、この街の世界樹やフカビトだって、同じ技術で作られているかもしれない。」
「・・・・・・、人が、『人に近い』ものを作れると?」
「大昔は作れたんだろうなあ、それが正しいのかどうかはともかく。けれど、例え、間違いで生まれても、生き物が生きようとするのは正しいことなんだよな。」
 なのに、殺し合ってしまったよ、とフェイデンは呟いた。
「・・・どういうことだ?」
「・・・僕たちは、エトリアで、モリビトを殺してしまった。詳しくは話さないぞ、マルカブは顔に出るし。シルンがアヴィーに詳しく話していないなら、君も知るべきじゃない。ただ・・・」
 フェイデンは、苦笑してマルカブに告げた。それが、願いのようだった。
「・・・互いに話を聞いていれば、もう少し違う結末があったと思う。あの時、執政院長の話を頭から信じ込まずに自分で考えていれば、違う方法が取れたかもしれない。だから、もし、フカビトともう一度会うことがあれば、どうか僕らと同じ結末は迎えないでほしいな。」
 僕は君たちに後悔してほしくないしなあ、とフェイデンは情けなく笑う。そういえば、誰かが自分に「同じ後悔をさせたくはないんだよ。」と言っていたことをマルカブは意識の奥で思い出したが、それが誰だったかはどうしても思い出せなかった。
 ・・・思い出せなかったが、なんとなく疼きだした脚をさするのだ。
 


(23章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

それはモン爺だぞ、赤パイ。


モリビト殲滅戦にかかるあれやこれやについては、書く気があったんですが
入れる場所が見つからず、この程度を匂わせるだけにします。
「殲滅戦ネタで本作るから、30ページ書いてw」という
依頼でもくれば書きますけど、嫌な本だなソレ。(笑)

マリアさんは
「ほら、食べな。もっと食べな。
 そんだ、漬け物もだすっぺ。おかわりいるべ?遠慮すんなあ。」
と言って、無理矢理に飯をよそってしまう北関東のおばちゃんノリだと思ってます。
ところどころの台詞回しモデルは志水の母方祖母です。
そんなマリアさんは、名物は餃子と雷な町の出身という設定です。
だから餃子が得意料理です。同じ町出身の志水は餃子はみん○んよりも正○派です。

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